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概要編集

平安時代末期の女性で源義経の正室。義経との間に一人娘がいるがのちの中村朝定も義経との息子とされる。

義経の正妻だが、妾の静御前の知名度があまりにも高く(静御前が都で有名な白拍子であるのに対し、彼女は鎌倉の有力武士の娘(ただのお嬢様)であるため)、知名度が低いという不幸な女性である。


生没年は1168(仁安3)年~1189(文治5)年。


武蔵の豪族、河越重頼の娘。河越氏は「坂東八平氏」と称される坂東平氏の名門・秩父党の嫡流であり畠山重忠稲毛重成らと同族であり武蔵の豪族では最大の規模を持っていた。

母は源頼朝の乳母、比企尼の次女であり頼朝の嫡男(次男)・頼家の乳母である河越尼。なお姉の娘が義経の異母兄・範頼の正室となっている。


生涯編集

1184(元暦元)年9月、頼朝の代官として京に駐在していた義経に嫁ぐ。

この後1年の間で、屋島壇ノ浦の戦いで平家を滅ぼした義経は、1185(文治元)年10月に頼朝と断交し追われることとなるが、郷御前もこの逃避行に随行した。

一方叛逆者の親族となってしまった父・重頼は、同年11月に所領を没収され、12月に弟で嫡男の重房と共に殺害されてしまった。


2年に及ぶ逃避行の後、1187(文治3)年に奥州藤原氏の下へ赴く(その間文治2年に女児を生んでいる)が、文治5年閏4月30日、頼朝の圧力に抗しきれなくなった奥州藤原氏当主・藤原泰衡が義経一党が住む衣川館を襲撃。義経は郷と娘を殺害したのちに、自身も自害した。


なお河越氏は、河越尼に本領である河越荘(現埼玉県川越市)が安堵され、命脈を保った。



静御前が有名で影に隠れがちだが、義経が落ち目にあっても寄り添い愛を貫きとおし、最後は愛する夫と娘と共に死んだという、愛に生き愛に死んだ一途な生涯は貞女の鑑と言っても過言ではない女性。



大河ドラマ『草燃える』では編集

演:宮地真由美

小菊という名前で登場。静御前の影に隠れてあまり目立たなかったが、義経の正妻として要所要所で描写が描かれている。義経を一途に愛し、義経が落ちぶれても黙って付き添いついていくなど、とても一途で献身的な女性。


頼朝や父の思惑で義経の妻となるが、義経への愛は本物であり、義経が鎌倉に追われるようになって、父から離縁して家に戻るように言われるが、「戻りませぬ」とあくまで義経に寄り添うことを選んで姿を消す。そのため父親は微妙な立場に追い込まれて、隠居することで家の立場を守った。


その後、義経を追って娘を連れて奥州に赴き、再会を果たしたが、奥州藤原氏に追いつめられた義経と共に死んだ。


義経の死後、頼朝が政子に「小菊も共に死んだらしいな」「娘も四つになっていたらしい」と話して死を悼んでいて、政子も小菊の一途な生き様に思いを馳せていた。



大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では編集

演:三浦透子

という名前で登場。本作では実父や弟など河越一族がカットされため比企尼の孫娘で比企能員の姪という扱いになった。義経の信濃への出発前夜、源範頼とともに比企館に招かれた義経に見初められ、一夜を共にした。ちなみに義経はそのまま寝過ごしてしまい、信濃行きに同行し損なうという大失態を演じてしまった。その後、義経の妻となるが、義経を巡って静御前と対立する場面もあるなど、とてもやきもち焼きで気が強い女性として描かれている。


しかし、静御前への嫉妬の念が強まるあまり、ある日遂に僧兵:土佐坊昌俊を雇って義経のいる館を襲撃し、静御前を殺害しようとするが失敗。さらに、これを義経が頼朝からの刺客と勘違いしたことから、兄弟間の対立は最早決定的なものとなってしまう。


その後は義経に同行する形で共に平泉に落ち延びる(とはいえ、義経は何かあった時のための人質と見做していた)ものの、藤原泰衡の襲撃の直前に、上記の襲撃事件は自分が手引きしたものであると白状したことで義経の怒りを買い、彼に刺殺されるという悲惨な最期を遂げた(直接の描写はないが、直後に娘も殺害されている)。


余談編集

  • 上述のように静御前の印象が強いため、静御前が義経の正妻と誤認している人は多い。さらに単発ドラマでは、静御前が義経の正妻扱いされて、郷御前の存在自体がカットされていることが多いなど、扱いの悪さでも定評がある。


関連タグ編集

源義経 静御前

草燃える 鎌倉殿の13人


大姫:好きになった男性を心底愛し、生涯を愛に身を捧げた点で共通している。

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