概要
著:内田弘樹、イラスト:魔太郎。
ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』に登場する艦娘「瑞鶴」を主人公としたノベライズシリーズ。富士見ファンタジア文庫より発売され、2015年7月末現在5巻まで刊行されている。第6巻で完結予定で、2016年3月19日(土)に発売予定。
正式タイトルは「艦隊これくしょん -艦これ- 鶴翼の絆」。
「超弩級“戦記”小説」と銘打たれており、艦娘達が過去の大戦のトラウマに囚われながらもそれを乗り越えて自身の存在意義を掴もうとするというシリアス色の強いストーリーとなっている。
なお作中の戦いのモデルとなるのは、1巻では通常海域の沖ノ島海域(2-4)、2巻では決戦!鉄底海峡を抜けて!、3/4巻ではAL作戦/MI作戦、5巻では迎撃!トラック泊地強襲である。いずれもゲーム中で多くの提督達を苦しめた海域やイベントであり、作中でもそれに恥じない過酷な戦いが描かれている。その分、燃え度も高い。
あらすじ
かつての戦いで沈んだはずの空母・瑞鶴は、目を覚ますと人間の少女となっていた。
周囲では姉の翔鶴など他の艦達も、同じく少女の姿となっていた。
彼女は間もなく、ここが元いた世界とは異なる異世界である事、自身が「艦娘」に転生した事、そしてこの世界を危機に陥れている「深海棲艦」の存在を知らされる。
紆余曲折を経て、艦娘として深海棲艦と戦う事を決心する瑞鶴。
だがそれは、自らに課せられた宿命と向き合う、過酷な戦いの始まりだった……!
主な登場人物
(※)書きかけなので追記募集中
レギュラー
主人公。彼女が艦娘として目覚める所から物語が始まる。
勝気ではあるがエンガノ岬での最期を明確に記憶しそれを仕方がない事と受け入れているからか、性格は若干大人びている。
深海棲艦との戦いの中で、自らが幸運艦として奇跡を招く手段に利用されている事を知り苦悩しながらも、「みんなを幸せにする『幸運の空母』」を目指して成長していく。
5巻において改に改装される。
瑞鶴の姉。秘書艦も務める。やや天然ボケな部分こそあるが、基本的に妹から頼られている。
不運艦としての運命を自分なりに受け止め、自爆してでも瑞鶴を守ろうとしていたが、共に最後まで戦いたいと願う瑞鶴の思いを受け止め、共に戦っていく事を誓う。
呉鎮守府にて指揮を執る、純白の第一種軍装をした青年。
セクハラ魔人ぶりが一部の艦娘達に恐れられており、曰く「翔鶴のような優しい人を苛めるのが大好き」。艦娘を戦争の道具として扱わないとする一方で、時に上層部からの指令をあたかも自分の判断のように語って冷酷とも取れる指示をするなど、憎まれ役になる事を躊躇わない節があり、翔鶴をして「難しい人」と言わしめている。
1巻
主力メンバーの一角を担う、瑞鶴の先輩。
本作でも瑞鶴ら五航戦を格下に見ているが、模擬戦での瑞鶴の奮闘ぶりを見て「未来の正規空母」と認める。以降、表には出さないものの瑞鶴の事をそれなりに心配している。
3巻および4巻ではMI作戦参加に当たって蒼龍にあるものを託す。
加賀の相棒。
主力メンバーの一角ではあるが、本作でも相変わらずの大食艦で、加賀曰く「鎮守府周辺のおいしい店の情報をいつも探しており、ダイエットについてもいろいろ教えてくれる」との事。
3巻および4巻では、MI作戦参加に当たって自らがミッドウェー海戦に抱く思いを語り、強い決意を胸に攻略へ挑むが……
商船改造空母。なぜか瑞鶴を一方的にライバル視してくる。
洋食好きで鎮守府周辺の洋食屋を全て制覇しており、隼鷹によると体重を気にしているらしい。
飛鷹の相棒。
いつも飛鷹の事をからかっているが、何だかんだ言って心配はしているらしく、飛鷹が瑞鶴と同じ艦隊を組んだ時は気を配るよう瑞鶴に頼んでいた。
本作において最も練度の高い駆逐艦娘2人。
普段翔鶴らとは絡まない艦娘だが、瑞鶴が『幸運の空母』として最善の未来を掴む力があるかどうかを調べていた。1巻終盤では瑞鶴達と共に艦隊を組む。雪風は2巻にも台詞こそないが登場している。
鎮守府工廠において装備開発に携わっている。
瑞鶴と翔鶴に工廠の内部を案内した。
1巻冒頭の戦闘シーンで赤城、加賀、響、雪風と共に初登場。その後、瑞鶴と加賀の模擬戦を見物する。
2巻では四姉妹揃って戦闘に参加。後半で金剛が改装され改二となる。
3/4巻でもMI攻略部隊の護衛として引き続き登場。
艦娘達のリーダー格として扱われている。
主力メンバーの一角……なのだが、1巻・2巻ではいい所がなくほとんどかませ犬役だった。しかし4巻では手薄になった鎮守府を守るべく他の戦艦娘達と共に立ち上がる。
エピローグで初登場。翔鶴が不在の時に秘書艦を務める事が多い。
呉鎮守府の艦娘の中でも古参であり、かつて第一線で空母として深海棲艦と戦った腕前はいまも健在といわれているが、戦域の拡大とそれに伴って増大する提督の仕事の補佐のため、鎮守府が大所帯になってきた現在は秘書艦として後方支援の仕事に徹しており、また母親然とした人柄もあって艦娘たちの人柄もしっかり把握しており、『鎮守府の女房役』――台所元締め筆頭として不動の地位にある。
提督とも彼女のその戦闘能力・人格・実務能力も含めて『懐刀』として強い信頼関係で結ばれており、その辺を陸奥に「鎮守府の女房役というより、提督の女房役って感じだけど~」とからかわれてもいる。
なお、鎮守府の食事は基本、間宮や伊良湖が作っているが、その二人でも手が足りない際は鳳翔が台所に立つこともしばしばの模様。
エピローグで初登場。
鎮守府真の切り札というべき存在だが、ある理由から戦場に出るのを拒んでおり、登場早々色を失った瞳で提督に「私を、沈めてください」と進言する。
それは、彼女の過去が大きく関係している。
エピローグで初登場。
提督の指揮の下、まだ深海棲艦の勢力圏にある海域の偵察を専らの任務としている。
水上を主戦場とせず隠密製の高い潜水艦という艦種ゆえに提督には重宝(酷使)されており、呉鎮守府には書類上で着任しただけで偵察に出ずっぱりであり、一度も顔を出せていないことを嘆いている。
3巻および4巻ではそのゲーム本編におけるオリョールクルージング以上のブラックな酷使ぶりに慣れ過ぎていたのか、「仲間とともに戦えるだけでとても幸せ」と言い放っており、僚艦の伊19に心中で哀れまれていた。
エピローグで初登場。イムヤの相棒として偵察任務に従事。
やはり北方、西方、南方海域とあちこちの海域の偵察や戦果確認など、特殊部隊まがいの任務に酷使されており、鎮守府に出ることもなく、書類提出および改修などで工廠に戻っては任地へ行き来するばかりの過酷な生活だが、むしろ相方のイムヤともどもそれに慣れきった感もある。
任務終了後に提督からご褒美としてもらえるかもしれない間宮羊羹を毎度の任務の楽しみにしている。
なお、イムヤ共々、制服は提督謹製のスクール水着の模様。
2巻
姉妹達と共にかつてのヘンダーソン飛行場砲撃の再現といえる飛行場姫撃破に挑む。
榛名は2巻の準主人公的存在で、立場が似通っている瑞鶴と仲良くなり、共に事態の打開に向けて奔走する事になる。
3/4巻でもMI攻略部隊の護衛として引き続き登場。
大和の身を案じており、雪風ら最後の第二水雷戦隊の面々を伴って大和の心を救おうとする。
3/4巻
1巻では顔見せ程度に登場していたが、3巻および4巻では中核を担う。
飛龍とは準同型艦ということもあって非常に仲良し。
艦娘に転生する前、赤城や加賀と同じく、自らの沈んだミッドウェー海戦における敗戦の苦い記憶を強く心に留めており、それの再現ともいえるMI作戦に、強い決意と戦訓を胸に臨むが、ある作戦のためあえて改二改装を拒み、飛龍にも厳しい態度を取り始める。
1巻では顔見せ程度に登場していたが、3巻および4巻では中核を担う。
蒼龍とは準同型艦ということもあり非常に仲良し。
彼女も転生前の最期の記憶からMI作戦には一方ならぬ思い入れがあるが、そのかつてのミッドウェーにおいて蒼龍や赤城、加賀とは違い、最後まで米軍と戦い続け、一矢を報いたという自負も持っている。そのため蒼龍と異なり改二改装を受け入れ、MI作戦を真の誇りとするべく戦いに挑むが……
1巻では顔見せ程度に登場していたが、3巻および4巻ではヒロイン艦娘のひとり。
制空権の取り合いがキモとなるMI作戦において、自身の趣味と才能を生かし、蒼龍・飛龍や瑞鶴、第十七駆逐隊の臨時旗艦として僚艦、浜風、浦風、谷風らと力を合わせて難局に挑んだ。そして……
3巻から初登場。イムヤ、ゴーヤの僚艦としてMI作戦に参加。
『オリョクル時代が幸せに思えるほどの』超ブラック勤務体制についてのボヤきをイムヤに「そんなの潜水艦なら常識よ」と言い放たれ、それに慣れ切ってしまっている先輩二人と、そんな自分の職場環境にいろいろと危惧を抱いている。
なお、オリョクル従事中は『一週間に一度は鎮守府の布団で眠れた』との供述から、先輩二人と違いいちおう鎮守府への顔出しはできている模様。
3巻から初登場。これまでは鎮守府における作戦立案に関わり、戦闘に参加する事自体稀であったが、AL作戦/MI作戦の作戦規模の大きさ故に秘書艦に抜擢される。
1巻では演習で瑞鶴らと艦隊を組んだのみであったが、3巻では2人揃って改二となり、MI攻略艦隊索敵の要となるが……
1巻では鎮守府工廠において新型艦載機のテストを行っていたが、2巻では僅かだが冒頭で戦闘に参加している様子が描かれ、3/4巻ではAL作戦の中核を担う。
5巻
1巻から宴会の司会を務める立場で登場していたが、5巻では川内や神通共々改二となり物語の中核を担う。
戦闘には参加せず、正式なアイドルとなることを目指してライブ活動をしているが、それには過去のある戦いが関係していた。
トラック泊地にて錬成訓練を行っていた空母娘達。
大鳳と雲龍は翔鶴の、天城と葛城は瑞鶴の指導を受けることになる。
トラック泊地にて提督の代理を務めている艦娘。
独自設定
他のメディアミックス作品の例に漏れず、本作にも独自の設定がいくつかある。
艦娘
かつての大戦を戦った軍艦が、舞台となる異世界(艦娘たちの祖国と同じ島嶼国家)で転生した姿。そのため、提督も艦娘の過去については詳しく知らない。
感情の高ぶりによって魂の中に封じられた艤装を瞬時に身に纏うが、その整備や補給、開発は自力では行えない。なぜ少女の姿をしているのかについては、海の民が航海の安全を願う神「船魂(ふなだま)」が少女と言われている事と関係があるのではと推測されている。
この作品の主人公・瑞鶴が属する呉鎮守府には100人以上の艦娘がいるが、その全てが最前線で戦っている訳ではなく、後方任務に徹している艦娘もいる。
あまり長距離は移動できないのか、戦闘海域に向かう際には近場まで船を使い、そこから出撃する描写がある。
深海棲艦
10年ほど前から世界に姿を現した正体不明の敵。各地に泊地と呼ばれる海上拠点を建造し、そこから侵攻を行っている。
船を襲ってシーレーンを破壊、航空機による輸送も阻み、世界は鎖国同然の状態となっている。その力は強大で、本物の軍艦さえ直接戦闘で歯が立たないどころか探知すらできないという有様で、人間の力だけでは沿岸部の警備だけで手いっぱいとなっている。その沿岸部さえ揚陸部隊の襲撃を完全には防げていない。
艦娘達の活躍によって、少しずつではあるが大陸から物資が届くようになり、スーパーやコンビニも潤い始めている。
戦闘面では、泊地の主力部隊の周囲に多数の警戒部隊や前衛部隊を配置しており、艦娘が主力部隊に辿り着くためにはこれを回避、排除しながら進む必要がある。このため侵攻ルートは一定しない。
また艦娘が7隻以上の編成を組めないのは、7隻以上の艦隊を組むと深海棲艦に探知されて、待ち伏せを受ける危険性が倍増するためであり、その反動か深海棲艦側も7隻以上の艦隊を組む事は無い。ただし状況によっては無視される事もあった。
物語が進むに連れて、電探の装備に対抗したチャフを使った欺瞞戦術など、知的な作戦を展開する事も増えてきた。
装甲
本作では、装甲はバリアとして描かれ、艦娘・深海棲艦共通の能力となっている。
鎮守府工廠
艦娘達の艤装や武器の開発を行う場所。
深海棲艦がどこまで艦娘の事を知ろうとしているのかわからないという理由から、機密保持のため内部の詳細を知る事はできない。中には装備開発に携わる艦娘にさえ秘密になっている場所もある。
改二実装
本作においては、非常に高く練度を積み上げた艦娘に対して鎮守府側から辞令を出し、それに同意した艦娘およびその艤装が工廠で改装処置を受けるという形で行われる。
戦闘能力は普通の改装・近代化改修よりもさらに大きく高まるが、艤装が艦娘の魂を根源に展開されるという当作品の設定上、改二の艤装は艦娘の心身にもより強く負担がかかり、艤装側もその影響を受ける仕様となっており、艦娘の精神状態が不安定になれば、艤装そのものは壊れていなくても機能不全を起こす危険も孕んでいる。