「セイ・ピース!」
CV:水樹奈々
概要
コスタリカの少女で、名前の意味はスペイン語で平和。ハイスクールに通う16歳でガルベス教授の教え子であり、料理が得意で、人差し指を鼻の下に当てる癖がある。
経歴(ネタバレ注意)
『MGSPW』
コスタリカに侵入していた謎の武装集団の基地に踏み込んでしまったところを拘束され、乱暴されるが自力で脱出してきた後、スネークが率いるMSF(国境なき軍隊)へガルベスと共に訪れ、彼らに武装集団の追放を依頼する。
コスタリカの地理や気候、歴史などに詳しく、ミッション前のブリーフィングファイルでは彼女からミッションの舞台となるステージについての特徴などを聞くことができる。
マザーベースではなく寄宿舎から無線でスネーク達と連絡をとっていたが、物語終盤にコールドマンらに拉致され、人質にとられてしまう。しかしコールドマンに裏で協力していたガルベスことザドルノフが本性を表して彼を裏切り、スネーク達が駆けつけたことでなんとか事無きを得る。
スネーク達の活躍でピースウォーカー計画が阻止された後は、行く宛も無くなってしまったため、しばらくMSFのマザーベースで生活することになり、糧食ステータスが高く特殊スキル『家庭料理』を持っているため、MSFでは糧食班に配置することで兵士達の士気を大きく上昇させることができる。
兵士からの人気も高くちょっとしたアイドルのように扱われ、またある人物からは同性でありながら、寒気がするほどのいかがわしい目で見られていたという。
しかし物語最終盤で驚愕の真実が明らかとなり、その正体は謎の非政府諜報組織『CIPHER』の工作員。本名は「パシフィカ・オーシャン」で、CIA・KGBに通じてCIPHERへと情報を流していた三重スパイ(トリプルクロス)であった。
「16歳のハイスクールに通う平和を愛する少女」というのも全てスネーク達を騙すために用意された「設定」であり、実年齢は20代。人差し指で鼻の下を指す癖も上唇と歯茎に挟んだ嗅ぎ煙草の小袋の位置を直すためのものだった(実のところ、プロローグのムービーでパスにズームが出来るのだが、乱暴されたはずなのに、身体にはどこにも傷一つ付いていない事が分かる)。
物語終盤、ザドルノフ脱走騒動を囮にし、スネーク達がMSFの抑止力として建造していたメタルギアZEKEを秘密裏に人間が搭乗できる有人型に改造して奪取。そして独自の戦力をもたないCIPHERの組織の確立まで、MSFを自分たちの戦力として傘下に入るようスネークに要求するが断られたため、ZEKEから核を発射することでMSFのような何処にも属さない自由な軍隊を「危険な組織」だと世界中に認識させようとする。
しかしスネークとの対決で敗北し、コックピットから振り落とされ海に落ちそのまま消息を断った。
パスの日記
その後発見された彼女の日記からはスパイとしてMSFに潜りこんだものの、今まで愛情の無い生活をしてきた為に、マザーベースでのスネークやカズ、チコ達やMSFの兵士達とのコミュニケーションや賑やかで平和な共同生活を、本心で楽しいと感じていた様子を窺い知ることができる。
MSFでのお祭りではカズ達とバンドを組んで歌を歌う予定があり、彼女自身も密かに練習して楽しみにしていたが、CIPHERの計画開始命令が予定よりも早まってしまい、お祭りを無事開催させるために独断で計画を遅らせるよう、メタルギアZEKEに破壊工作をして使用不能にしようとしたが、偶然現場をチコに目撃されてスパイである事がバレてしまう。
その際に銃を所持しており、彼を殺して口を封じることも考えたが躊躇して出来ず、たとえチコが言わなかったとしても他にスパイがいて組織に漏れる可能性もあると考え、涙を必死にこらえながら作戦を強行することになり、スネークの前にラスボスとして登場する。
本作のラスボス戦で使われた曲はそのお祭り当日に披露するための歌であったため、彼女の日記を読む事で、お祭りを迎えることができなかった彼女の無念・苦悩さや、ラスボス戦では敢えて悪役として振る舞い、強がっていた事を感じることができる演出になっている。
ちなみに物語終了後は行方不明になるものの、システム上マザーベースの人員配置からは消えないので、人事面ではご安心を。
『MGSV:GROUND ZEROES』
カリブ海洋上を漂流中にベリーズの漁師に救助され、キューバ南端グアンタナモの米軍の収容キャンプで尋問を受け、その拷問は音声だけでも耳を塞ぎたくなるほど凄惨なもので、テープの内容から性的な陵辱をも何度も受け続けていたと思われる。
CIPHERにより二重スパイの嫌疑を掛けられており、救出のためにチコが向かうが失敗したため、二人を救助する為にビッグボスが敵の収容キャンプへ潜入する事になる。
チコの弁から死亡したと思われていたが、収容所内で生存しており救助に成功するも、その体内にはスカルフェイスによってトラップの爆弾が仕掛けられ、人間爆弾にされていた。
帰還中のヘリ内でチコがパスの異変に気付き、同乗していた衛生兵により腹部内の爆弾を麻酔無しで摘出される(なおこの開腹手術シーンは医療従事者が監修した本格的なもので、中の人の悲痛な演技のみならず、海外版では手術中に腸が飛び出し、かなりショッキングなシーンに仕上がっている)。
しかし実はもう一つの爆弾が仕掛けられており、それを知っていた彼女はボス達を救うために、ヘリから飛び降りて爆発した爆弾の炎の中に消えていった。
スタッフロール後のスカルフェイスとの会話はパス、チコ共に尋問されていた時の録音であり、「カセットテープ:チコの記録6」に収録されている。
『MGSV:THE PHANTOM PAIN』
ストーリーを進めると生きていることが判明し、実は仕掛けられた爆弾は両方共除去されており、奇跡的に生還しダイヤモンド・ドッグズのマザーベースの医療施設にて保護されている。
仕掛けられた場所はGZのチコのテープや摘出時のムービー等から察するに、恐らくは女性にしか無い「穴」だろう。
重大なトラウマから解離性同一障害などの記憶障害を引き起こしており、本来は潜入用に用意された「平和を愛する女子学生」という設定がそのまま自分の記憶となっている。
なお、スネークらの乗るヘリが撃墜した原因は敵のヘリからのロケット砲が直撃したためであった。
関係するミッションをこなしていくと写真を手に入れることができ、彼女の元へ渡すことで話を聞くことができる(ただし話が終わると頭痛で寝てしまう)。
ミッションを最後までこなしていくと写真を見ていくにつれ記憶が戻っていくが、最後のを終えてから彼女の部屋へ向かうと、自分で腹から何か抉り出そうとしている彼女に会うことになる(海外版は内臓が出てくるなどかなりグロテスク)。
次の瞬間、腹から出てきたのはGZで摘出したはずの爆弾が姿を現し、スネークが止めに入ろうとするも間に合わず爆発する。
そしてスネークが目を覚ますと、そこに部屋はなく鉄骨の上で気を失っていたことに気がつき、振り返ると壁にはピースマークが描かれており、一匹のモルフォ蝶が舞っている。目の前に来た瞬間蝶を掴むスネークだがそこにモルフォ蝶はおらず、壁のピースマークも消えていた。
実はパスはあの爆発で既に死亡しており、そもそもGZで救出された時点で既にパスは爆弾を埋め込むために臓器の一部を摘出された上で薬物で無理やり延命された状態で、保って数日という有様だった。
つまり、スネーク(ヴェノム)はずっとパスの幻(ファントム)を見ていたことになり、これは彼の正体に関わることで、もう一つの爆弾に気がつけなかった苦悩と後悔の結果からであることが示唆されている。
なお、幻覚である可能性はイベント前から示唆されており、パスの病室内ではなぜか屋外と同じ波の環境音や、天候等によっては屋外同様に画面に水滴が付き、医療棟自体にも後にスネークが目を覚ます鉄骨のある場所の扉の傍にはピースマークが描かれ、医療棟のヘリポートから出撃する際に見ることが出来る。
さらに言えば、ボスが建設中の区画に頻繁に視察に赴いているというDD隊員の会話もある(ちなみに、パスの病室内でマーカーを付けて退出すると、マーカーの位置が何故か病室の外にある)。
…しかしこれが本当に全てがヴェノム・スネークの幻覚で片付けるには難しく、パスがカセットテープに想いを連ねているところを聴くと、彼の幻覚はパスが望んでいた未来を観ているに等しいからである。
恐らくMGSPWの時に見せた、ザ・ボスの魂がピースウォーカーに乗り移った時の現象と同じく、ヘリ内での爆発の際に降りかかったパスの歯や骨の欠片がヴェノムの体内にめり込んだことにより、パスの幻肢痛を観せていたのかもしれない。彼女曰く、パスはヴェノムに幻肢ではなく心の一つとして生きていくと、カセットテープの記録(幻肢)として残した。
ちなみにパスが残した最後のカセットテープは彼に呼びかけて答えているのだが、彼の名前を一度も呼んでいない為、パスもヴェノム・スネークの正体を知っていたのかも知れない。
ちなみにDDの新たなマザーベースにある工事中の看板には、彼女がモチーフとなったと思われるイラストが描かれている。
おそらくは彼女を知るMSF時代から生き残っている隊員がデザインしたのであろうが、裏切り者とされるヒューイや敵に繋がるとされて嫌われているクワイエットすらデフォルメしたデザインを描ける人格者となってしまうが。
余談だが、小島秀夫氏はTwitterで「パスをラブプラスに転校生として登場させてほしい」と冗談なのか本気なのかわからないツイートをした事があり、ちなみに上記のパスをモチーフにしたイラストを描いた人物は箕星太朗氏であるが、関連性は不明。
『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』
『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』ではスピリッツとして、ファイターに能力を与えるキャラクターとして登場。しかしいざフタを開けてみると…
「ボ ム へ い 持 ち 込 み」
上記の彼女の最期を考えれば、全くもってシャレになっておらず笑えない能力であった。中には「ZEKEの破壊工作をしていたから」「MGSPWのラスボス戦の再現」を考察するファンもいるが、パスは破壊工作やラスボス戦でそもそも爆弾は一切使っていない。
メタルギアシリーズを知らない人には全くわからないだろうが、彼女の悲劇を知る人にはトラウマな能力だったのである。