概要
コウモリの仲間は手(前足)と胴体の間に皮膜があり、それを翼のように扱って飛行できるため、翼手目ともいう。
顔はネズミっぽいが、遺伝子等の分子生物学的な点から、「ネコとかウマとかに近い動物」であることが分かった。
だが、小さな動物で化石が残り難いこともあり、進化の過程が分からない生き物である。もっとも古いイカロニクテリスやオニコニクテリスでも、現生のコウモリとあんまり変わらない。
大半の種(特にヨーロッパに生息する種)が夜行性である故に、吸血鬼・ドラキュラが大コウモリに変身したり、手下として描かれたりする。
本来は虫食性・果食性であり、性格も臆病で大人しいものが大多数を占める。
虫食の種類は大抵小型で目がつぶら、そしてちょっと豚鼻気味。これは餌を探すために超音波を発しているからである。夕暮れ時、ひらひらと舞いつつ時折クイックターンなどのアクロバティックな飛び方をしている鳥や蛾のような影を見たら、それがコウモリである。
果食性の種類がだいたい大型(シロヘラコウモリなどの例外あり)で犬かキツネのような顔立ちをしており、虫食性の種と違って超音波を出さず視覚に頼るため目が大きくかわいい。なお花の蜜を吸うフィロストミドコウモリは、夜行性でかつ「花が反射する紫外線」を感知する能力を持つ。
また多くの種が群れを作って生活を送っている。フンがかなりまとまっている上にいい感じに発酵しているので、バットグアノは値段は張るもののリン酸を多く含む上質な肥料である。(アマゾンやホームセンターなどで売っている)
哺乳類のなかでも結構な数を占め、かつ「小回りの利く飛翔能力や超音波レーダーなどで鳥類のニッチに殴り込みをかけて繁栄した」偉い点がある。なお偶然、「雌の方に精子を貯める器官がある」という、鳥類(ヘビとかサメにもあるんだけど)と同じ生殖器を持つ、温帯性のコウモリが、そこそこいる。
南米を中心に吸血を行う種、「チスイコウモリ属」が生息しているが、フィクションとは異なり吸うものはおもに家畜の血である。ただし伝染病の媒介の危険があるということでやはり現地では嫌われている。
その他
- よく吸血鬼の周りにいるように描かれている。
- 鳥でもないのに飛べるため、どっちつかずの日和見主義者のたとえなどネガティブな描かれ方をされる(卑怯なコウモリ)。
- 蚊食い鳥 とか蝙蝠の音読が「偏福(福がかたよる→福が寄ってくる)に似る」と言って、アジア圏では金魚や桃、鶴亀などと同じくめでたい生き物である。
主な種類
虫食性
沖縄周辺の一部地域を除く日本で見られるのはほとんど虫食性である。
ウサギコウモリ/キクガシラコウモリ/アブラコウモリ/ヒナコウモリ
魚食性・肉食性
果食・蜜食性の種類
熱帯、亜熱帯に住む大型の種が多い。
クビワオオコウモリ(オリイオコウモリ等)/オガサワラオオコウモリ/ルーセットオオコウモリ/シタナガコウモリ/テントコウモリ/シロヘラコウモリ
吸血性
チスイコウモリ(ナミチスイコウモリとも呼ぶ)