陽あたり良好!
ひあたりりょうこう
概要
『週刊少女コミック』(少コミ、小学館)にて1980年2号から1981年15号にかけて連載(ただし1980年23号は休載)された少女漫画作品。連載終了後、実写ドラマとアニメでそれぞれ映像化された。
元々は登場人物たちが野球部で甲子園を目指す内容だったが、その後それ以降の日常が描かれる内容に変更された。なお、それぞれ第1部・第2部と分けられている。1号ほど休載があったのはそのため。
作者のあだち充が少年サンデーで「タッチ」の連載を開始した為、連載終了となった。連載当時は「第二部 完」と表記されていたが、下記の番外編とアニメ版後半を除き、その後が描かれる事は無かった。
連載終了後、その後のひだまり荘について(読者からの質問が多かったためとされている)あだち充本人が調査人として出演した番外編が少コミ1982年10号に発表されている。
ストーリー
岸本かすみは明条高校入学の際、自宅から通学するのが遠い為、若くして未亡人となった叔母の千草が運営する陽だまり荘に下宿する事になり、入浴中に高杉勇作とバッタリ会ってしまう。
陽だまり荘にはかすみの他、同級生となる高杉勇作、美樹本伸、有山高志、相戸誠がそれぞれ下宿しており、時には高校野球で甲子園を目指したり、様々な日常を経験する。
かすみはひたむきな勇作の事が気になるが、米に留学している文通相手の村木克彦にも想いがあり、2人の間で揺れ動く・・・・・・・・・
登場キャラクター(出演はテレビドラマ版、CVはアニメ版)
陽だまり荘の住人と関係者
男性ばかりの学生アパート・陽だまり荘で暮らすことになった少女。本来は主人公なのだが、テレビドラマ版ではヒロインに「格下げ」されてしまった。
一所懸命になっている奴を応援するのが好きな好青年。怪我人が出てしまった野球部に助っ人として参加、足の速さと肩の強さで「本職」を驚かせた。テレビドラマ版の主人公。また、テレビドラマ版では、演じていた人に合わせてか、長崎県出身者という設定がなされている。
黙っていればロン毛のイカすあんちゃん、だがその実態はドスケベ野郎という、いわゆる、ひとつの残念なイケメン。
有山高志(出演・水島聡/CV・林家こぶ平《TVシリーズ版》→鈴木信隆《劇場番外編》)
恰幅と人当たりのいい青年。体格の割にかなりシャープな動きが出来る。本職はサッカーのゴールキーパーだが、勇作に口説かれて、野球のキャッチャーもやったことがある。
相戸誠(テレビドラマ版)(出演・松田たつや)、中岡誠(アニメ版)(CV・難波克弘《TVシリーズ版》→松田辰也《劇場番外編》)
眼鏡をかけ、どこか胡散臭い雰囲気を醸し出す青年。
陽だまり荘の経営者。夫に先立たれている。テレビドラマ版では、「おばさん」と呼ばれるとややキレる。
退助(CV•小宮和枝)
勇作のペットのにゃんこ。名前の元ネタは財布に持ち合わせていた100円で引き取ったことから、かつて100円札に描かれていた板垣退助に引っかけたもの。そして、アニメ版後半は全く出番が無くスルーされた。
かすみと遠距離恋愛をしている男性。ある意味本作のキーパーソン。
明条高校の関係者
校長(出演・小林亜星/CV・担当声優不詳)
テレビドラマ版はかなり存在感のあるキャラで、アニメ版は野球部の廃部を企み、二年目以降も放送されていたらあの手この手で主人公達を妨害するヒールになる…筈だった。
教頭(出演・森川正太)
テレビドラマ版のみ出演の典型的な教頭キャラ。
関正人(出演・出演者不詳/CV・鈴置洋孝)
テレビドラマ版は僅か数話のみ登場の圭子の兄。明条高校野球部のキャプテンにしてエース。ピッチャーは彼1人なのと、部員がギリギリの人数の中、甲子園出場を目指していた。
なお、アニメ版では物語の前年に後述する坂本の暴力事件が原因で甲子園大会予選が出場停止になっていた事が判明
正人の妹で、かすみのクラスメート。当初は美樹本(更に原作ではかすみも)と同じテニス部所属だったが、野球部の助っ人マネージャーになり、後半正式にマネージャーになる。二年目以降も放送されていたら、それなりに出番もあったかも知れない。
アニメ版のみ登場(テレビドラマ版にも名無しの生徒がいたが、まりあかは不明)かすみのクラスメートだが、ほぼ前半しか出番が無かった。
テレビドラマ版では明条高校に在学の応援団長で、最初は煙たがっていたが次第に勇作の存在に一目置く様になる。
アニメ版は物語開始前に暴力事件を起こし退学。両親は既に亡く、姉(未登場)の経営する喫茶店で働いている。何かと主人公達にアドバイスを送る。
テレビドラマ
1982年3月末から9月半ばにかけて日本テレビ系列局ばかりかフジテレビ系列局約5局、テレビ朝日系列局約3局(いずれも放送当時)にて日曜20時台に放送された。製作は東宝。全19話。
ストーリー展開の都合上、主人公は高杉勇作に変更され、原作に無いオリジナルキャラクターが多数登場した。
また、次述するアニメ版が固執した野球は2話でバッサリ切っており、飽くまで陽だまり荘の騒動記に徹していた。
当時の日曜20時は大河ドラマ「峠の群像」(NHK総合)を始め、「オールスター家族対抗歌合戦」(フジテレビ系列。山形テレビ、福島テレビ、テレビ山口、テレビ長崎、テレビ大分、テレビ宮崎、鹿児島テレビは遅れネット)や「西部警察」シリーズ(テレビ朝日系列。青森放送と山口放送は遅れネット。テレビ信州は放送なし)や「日曜ビッグスペシャル」(テレビ東京、テレビ大阪)と言った強豪ひしめく激戦区であり、テレビドラマ版はこれらの裏番組に対し苦戦を強いられた。
なお、「青春とはなんだ」、「これが青春だ」、「おれは男だ!」、「飛び出せ!青春」、「われら青春」、「俺たちの旅」、「俺たちの朝」、「(マチャアキの)西遊記」、「俺たちは天使だ!」と言った名作を生み出した日本テレビの日曜20時台のドラマ枠は、本作を持って(完全に)廃止されてしまった。
アニメ
1987年3月末から1988年3月にかけて、フジテレビ系列局に加えてテレビ朝日系列局約1局(放送当時)にて全48話が放送された。アニメーション製作はグループ・タック。
本来は日曜19時台前半の番組であったが、テレビ朝日系列局約1局はともかく、フジテレビ系列局でも約5局が遅れネットであった。なお、これら約6局は、ドラマ版は日本テレビと同時ネット。
登場人物のひとりである誠のフルネームが「相戸誠」から「中岡誠」に変更された。
前半こそ好視聴率を稼いだが、原作終了後のオリジナルストーリーとなった後半が「陽だまり荘の面々が廃部の危機を迎えた野球部に再び入部し、克彦監督の指導で再び甲子園を目指す」と「甲子園出場を巡りかすみが勇作と克彦との三角関係に陥る」という、前半から伏線があったにせよ、二年目以降の放送を想定した展開と伏線が、何か取って付けた様な強引な展開と視聴者から取られ視聴率は低下。
「二兎追うも一兎を得ず」の状態となり、三角関係はかすみが勇作を選び辛うじて決着をみせたが、かすみの転校と言う如何にも丸投げ打ち切りエンドと思える強引な結末で、視聴者から失望と失笑を買い幕を降ろした。(かすみの転校がスタッフの作品結末丸投げのメタファーに見え、失笑を禁じ得なかった。)
蛇足ながら「ライバル」として「ロート製薬提供・クイズ!ひらめきパスワード」(毎日放送製作TBS系列)や「(ミキハウスアワー・)地球大好き!大冒険!→地球は僕らの宝島」(朝日放送・テレビ朝日系列。青森放送、テレビ信州、山口放送を除く)が存在した。後継番組は「キテレツ大百科」。
1988年10月に劇場版が公開されるも、視聴者が望んだであろう「明条高校野球部の甲子園出場と言う未回収伏線を回収する真の完結編」ではなく、全く無関係な番外編だったため興行収入が伸びず、同時上映だった「きまぐれオレンジ☆ロード」が後味の悪い結末ながら完結した。
添え物だった野球をメインにし、タッチの二番煎じを狙ったのがアニメ版の失敗だったと言える。
トリビア
テレビドラマ版で相戸誠を演じた松田辰也は、アニメ版劇場番外編でも中岡誠の声を当てており、唯一テレビドラマ版とアニメ版の両方に出演した。
テレビドラマ版のかすみは当初別な芸能人を起用する予定だったが、諸事情で降板し、伊藤さやかが起用され、アニメ版もまた当初は日高のり子をスライド起用する予定だったが、もう真偽不明だが(日高が自主降板したとも、スタッフが外したの二説あり)かすみ役は森尾由美が抜擢された。
テレビドラマ版もアニメ版もかすみ役が当初の役者及び声優から交替した共通点がある。