概要
フォモール族(Fomoire)とはアイルランドに伝承されるケルト神話に登場する、海の底に棲む異形の巨人族で、フォーモリアやフォウォレとも呼ばれる。
肉体の一部が欠損、もしくは過剰であったり、様々な動物が組み合わさった醜い姿や、山羊頭・牛頭・馬頭の異形であったともいわれる。
マン島ではちょっとお茶目で間抜けな「フォール」、ウェールズでは「カウル」と呼ばれている。
大古のアイルランドを支配していた蛮族であり、恐るべき力をもって巨石文明を築いた食人鬼であると伝わるが、酒造りや牧畜などを考案した豊かな民族であったともされ、トゥアハ・デ・ダナーンへ農業技術の指導をしたのは彼らだともされる。
「北の海の彼方から」やって来たともいわれるので、正体は北欧の人々ではないかとする説や(水木しげる『妖精大百科』では先住民として紹介されてた)、資料によっては「アフリカから」石材を持ち込んだとされることから、アフリカ系の人々であった可能性も考察される。
西方よりたくさんの民族がフォモール族が住むこの地を手に入れようと攻め入った。
パーソロン族は強大な武力でフルボッコにしたまでは良かったが、ペストを流行らされて滅亡。
次に訪れたネミディア族は、とりあえず彼らの力量を測るために土木作業を依頼したところ、常識外れの速度で完成させてしまったことに恐れ作業員を虐殺してしまう。当然、復讐されて(当たり前だ)、生贄として牛と子供を納めなければならなくなった。
フィル・ボルグ族は長老セミオンの計らいで融和を成し遂げ、平和的に共存することに成功。
最後にこの地に現れたトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)は、彼らをさらに上手く支配しただけではなく、最終的にマー・トゥーラの合戦において打ち破りアイルランドから駆逐した。
なおアイルランドに棲む妖精の中の異形の者は、生き延びて力を失った彼らの末裔であるとされ、またロックランと呼ばれる海の怪物になったともいわれる。
主なフォモール族
- ダムヌ:深海という意味の名を持つ母神。
- ロット:胸に口、背中に四つの目を持つ異形の戦いの女神。
- キッホル:パーソロン族を病で退けた脚無し王。胴体しかないキコル、足がないケンコスとも同一視される。
- コナン(コナン・マク・フェヴァル):ネミディア族を打ち破った征服王。
- モルク:反乱で命を失ったコナンに代わりネミディア族を滅ぼした王。
- ブレス:トゥアハデダナンとの間に生まれたもので、片腕を失ったヌアザに代わり王となったが、圧政を行ったため追放された魔王。
- バロール:魔眼もしくは邪眼のバロールと呼ばれる強大な王。
- インジッヒ:フィル・ボルグとのハーフでバロールとともにダーナ神族と戦った王。ぽっちゃり系のイケメンに娘をかどわかされ、ううっ。
- オクトリアラッハ:インジッヒの息子である若き長で、ダーナ神族の不死身の秘密である泉を埋めた。※メイン画像
関連作品
- 『女神転生』
「フォーモリア」名義でファミコンで発売された第1作から登場。姿は翼が生えていない以外は典型的な悪魔(色違いはメフィストフェレスとインキュバス)そのものの姿をしており、『真・女神転生シリーズ』では、『真・女神転生Ⅲ』から種族”夜魔”として太ったアルガリのような姿で登場している。
またブレスやバロールが”魔王”として、零落した姿とされるファハンやスプリガンが”地霊”として登場している。
『ファイナルファンタジー3』においてクラーケンの色違いのケンコス、大口を持つイーターの色違いバラー(バロール)が登場している。
『ファイナルファンタジー11』においてはフォモル族(シャドウ族)という人型のアンデッド類のモンスターが登場している。
- 『マビノギ』
ケルト神話をモチーフとしたオンラインゲームで、魔神キホールが守護する魔族ポウォール族が登場している。
ダンジョンの下層に登場するモンスター。下層のモンスターのためかなりの強敵だが劇中では相手がロキ・ファミリアということもあって特に苦戦はしない。
敵勢力ドルイドン族の創造主は山羊のような頭をした母神エラスであり、モチーフの一つであると考えられる。