『ウィザーディング・ワールド(Wizarding World)』は、複数の意味を持つ。
①イギリスの小説家「J・K・ローリング」が創造した世界のこと。魔法族が現実の歴史の影に潜み、独自の文化圏を作り上げている「ユニバース」。
小説『ハリー・ポッター シリーズ』や映画『ファンタスティック・ビースト シリーズ』などが有名。中でも『ハリー・ポッター シリーズ』は「史上最強のファンタジー」の異名を持つ。
②ユニバースの中で、特に非魔法族(マグル)の社会と区別した「魔法社界(マジカル・コミュニティ)」のこと。
③ウィザーディング・ワールド・シリーズの総合ポータルサイト「Wizarding World: The Official Home of Harry Potter」のこと。「Pottermore」が前身。
ウィザーディング・ワールドにおける建築物や生物など「世界観」をメインに据えた作品、
あるいは『ハリー・ポッター シリーズ』と『ファンタスティック・ビースト シリーズ』のコラボ作品に使用される。)
略称は「ウィザワ」。
本記事では①②③全ての意味について網羅的に解説する。
ユニバース「ウィザーディング・ワールド」
J・K・ローリングによる小説『ハリー・ポッター シリーズ』を最初の原作とし、映画、舞台劇、ゲーム、テーマパークなど多様なメディアミックス展開されている作品群を指す。
歴史や社会などは現実世界と遜色ないが、その裏では魔法族が生活しているという世界観。
魔法は血筋により継承され、主に杖と呪文により発動する。
その存在は魔法族同士の法律で秘匿されている。
特に知名度が高いのは小説・映画『ハリー・ポッター シリーズ』とその前日譚にあたる映画『ファンタスティック・ビースト シリーズ』。
2018年公開の『ファンタスティック・ビースト シリーズ』第2章『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の公開により、ユニバースとして定義された。
日本の興行収入と知名度はマーベル・シネマティック・ユニバースを上回り、世界規模ではマーベル・シネマティック・ユニバース、スター・ウォーズ シリーズに次ぐ第三位。
作品群
小説『ハリー・ポッター シリーズ』
舞台は20世期のイギリス。意地悪な親戚の家に住む11歳の孤児ハリー・ポッターのもとに、アルバス・ダンブルドアが校長を務めるホグワーツ魔法魔術学校入学許可の手紙が届く。ロンやハーマイオニーとの学校生活、そして闇の魔法使いにしてハリーの良心の仇ヴォルデモート卿との死闘が描かれる。全7巻。
初期は児童書的な明るい雰囲気だが、作中でハリーが成長するにつれて読解の難易度が上がり、社会の腐敗や差別、主要人物の死など暗い描写が増える。
映画化している。しかし原作の省略、根幹となる設定の矛盾が多く含まれているため、ユニバース「ウィザーディング・ワールド」の正史はあくまで原作である小説版の方だと考えた方が良いだろう。また、その原作の邦訳版も大量の珍訳・誤訳が含まれているので注意。
と言っても大まかなあらすじ程度ならどちらも問題なく表現できているので、どちらかを選んで視聴あるいは読了後、その表現・設定描写の問題点についてネットで勉強する程度で構わない。
原題は原則的に『Harry Potter and the 〇〇〇』となっており、邦訳版では『ハリー・ポッターと〇〇の〇〇』としている。
(本編リスト)
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1 | Harry Potter and the Philosopher's Stone |
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2 | Harry Potter and the Chamber of Secrets |
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3 | Harry Potter and the Prisoner of Azkaban |
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4 | Harry Potter and the Goblet of Fire |
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5 | Harry Potter and the Order of the Phoenix |
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6 | Harry Potter and the Half-Blood Prince |
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7 | Harry Potter and the Deathly Hallows |
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※原題に忠実に訳すなら「半純血のプリンス」や「混血の王子」と訳すのが正しい
(外伝・解説書)
作中作1 | Fantastic Beasts and Where to Find Them
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作中作2 | Quidditch Through the Ages
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作中作3 | The Tales of Beedle the Bard
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Pottermore presents1 | Short Stories from Hogwarts of Heroism, Hardship and Dangerous Hobbies
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Pottermore presents2 | Short Stories from Hogwarts of Power, Politics and Pesky Poltergeists
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Pottermore presents3 | Hogwarts:An Incomplete and Unreliable Guide
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舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』
7巻の19年後、ハリーの息子の物語。『ハリー・ポッター シリーズ』の正統続編であり第8巻という位置付け。
しかし媒体が小説でなく舞台劇(脚本は出版された)であり、原作者ローリングも脚本の「共同」執筆者であるということから「ウィザーディング・ワールドの正史ではなく、あくまでパラレル」と見なすファンもいる。
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8 | Harry Potter and the Cursed Child |
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映画『ファンタスティック・ビースト シリーズ』
ホグワーツ魔法魔術学校指定教科書という形で出版された『幻の動物とその生息地』を発展させた映画作品作品群。全5作予定。
ハリーよりも半世紀以上過去、闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドが暗躍する時代を舞台に『幻の動物とその生息地』の著者、魔法動物学者のニュート・スキャマンダーが活躍する。
原作者ローリングが脚本・製作として直接関わっているため「正史」である。
# | 『ファンタスティック・ビースト』シリーズ
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1 | Fantastic Beasts And Where To Find Them |
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2 | Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald |
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※原題に忠実に訳すなら「幻の動物とその生息地」と訳すのが正しい
※原題に忠実に訳すなら「グリンデルバルドの罪」と訳すのが正しい
ゲーム『ポートキー・ゲームズ』
ワーナー・ブラザースによって作られるビデオゲームの新しいレーベル。レーベル名のポートキー(Portkey)はウィーザーディング・ワールドにおける瞬間移動ができる魔法道具。
ちなみにポートキー・ゲームズより前にも『ハリー・ポッター シリーズ>ハリポタ]]』のゲーム化はされている。
# | 『ポートキー・ゲームズ』
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Harry Potter : Hogwarts Mystery |
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物語はハリー・ポッターがホグワーツ魔法魔術学校に入学する7年前から始まる。
主人公の兄、ジェイコブがホグワーツの『伝説の呪われた部屋』を探索中に校則違反をして退学となり、行方知れずとなったため主人公はホグワーツ入学後、呪われた部屋に挑戦する。
主人公のジェイコブのきょうだい(弟ないし妹)がハリー・ポッターとは七学年上なので在学期間は被らないが、いわゆる兄世代に該当し、ロン・ウィーズリーの兄たちやニンファドーラ・トンクスなど原作でお馴染みのキャラクターと友情を育むことが可能。
主人公はプレイヤーのアバターであり、性別や外見、寮などが選べる。
Harry Potter : Wizards Unite |
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通称ハリポタGO。ポケモンGOと同じNianticが製作しているため、ゲームの要素や流れは共通点が多い。時代設定はハリーが宿敵を倒した1998年以降かつ、呪いの子より前。大人になったハリーたちも登場する。
Harry Potter : Puzzles & Spells |
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『ハリー・ポッター シリーズ』の物語の進行に合わせてパズルをクリアする。
Harry Potter : Hogwarts Legacy |
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ホグワーツ全域がマップとなったオープンワールドゲーム。
ニュートはおろかダンブルドアも生まれていない可能性のある1800年代というシリーズ最古の時代に生きるホグワーツ生の冒険が描かれる予定。
テーマパークエリア「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」
ユニバーサル・スタジオのテーマパークに導入されている、『ウィザーディング・ワールド』の世界を忠実に再現したエリア。
2010年、フロリダ州ユニバーサル・オーランド・リゾート内のアイランズ・オブ・アドベンチャーに最初にオープン。
2014年には、ユニバーサル・スタジオ・フロリダにダイアゴン横丁を再現したエリアがオープン。
同年には米国外初としてユニバーサル・スタジオ・ジャパンにオープンし、2016年にはユニバーサル・スタジオ・ハリウッドにもオープンした。
テーマパーク | 場所 | モデル |
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アイランズ・オブ・アドベンチャー | アメリカ・フロリダ州 |
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ユニバーサル・スタジオ・フロリダ | アメリカ・フロリダ州 |
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ユニバーサル・スタジオ・ジャパン | 日本・大阪 |
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ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド | アメリカ・カリフォルニア州 |
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テーマーパーク「ワーナーブラザーズ・スタジオツアー東京・メイキング・オブ ハリー・ポッター」
としまえん跡地に2023年オープン予定。
ロゴについて
ユニバース「ウィザーディング・ワールド」のロゴは、本が見開かれた状態で、九本の杖がページを模している。
ページを模した九本の杖の内、中央は『ハリー・ポッター シリーズ』及び『ファンタスティック・ビースト シリーズ』双方に登場するキーアイテムであるニワトコの杖(前者ではアルバス・ダンブルドア、後者ではゲラート・グリンデルバルドの杖として登場)。
左側は左からハリポタの悪役ヴォルデモート、主人公の親友ロンとハーマイオニー、そして主人公のハリーのもの。
右側は左からファンタビの主人公ニュート、主人公の相棒ティナとその妹のクイニー、そしてニュート及びハリーの恩師であるダンブルドアのものになっている。
またダンブルドアの杖は、ハリポタではニワトコの杖だが、ファンタビではニワトコの杖を手に入れる以前のものである。
ティナ、クイニー、ダンブルドアの杖の芯、素材、長さなどは現状不明。
杖の持ち主 | 登場作品 | 役柄 | 備考 |
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ヴォルデモート | ハリポタ | 敵役 | 不死鳥の尾羽根、イチイの木、34センチ |
ロン・ウィーズリー | ハリポタ | ハリーの親友 | ユニコーンの尻尾の毛、柳の木、35.6センチ |
ハーマイオニー・グレンジャー | ハリポタ | ハリーの親友 | ドラゴンの心臓の琴線、ブドウの木、27センチ |
ハリー・ポッター | ハリポタ | 主人公 | 不死鳥の尾羽根、柊の木、28センチ |
ニワトコの杖
| ハリポタ、ファンタビ | 重要アイテム | セストラルの尻尾の毛、ニワトコの木、38センチ
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ニュート・スキャマンダー | ファンタビ | 主人公 | 骨、ライムの木・先端はトネリコ・持ち手は貝殻、36センチ |
ティナ・ゴールドスタイン | ファンタビ | ヒロイン | |
クイニー・ゴールドスタイン | ファンタビ | ティナの妹 | |
アルバス・ダンブルドア | ファンタビ | ハリーとニュートの恩師 |
魔法社会「ウィザーディング・ワールド」
ユニバース「ウィザーディング・ワールド」における魔法界もまた、ウィザーディング・ワールドと呼ばれる。こちらは「マジカル・コミュニティ」とも呼ばれる。
原語と邦訳
- ワーナーはWizardingWorldを「魔法ワールド」と訳している。原題はWizarding World又はJ. K. Rowling's Wizarding World。