概要
一年戦争末期、コロニー落としの被災地となったオーストラリアを舞台として、主人公マスター・ピース・レイヤー率いる地球連邦軍ホワイト・ディンゴ隊の活躍を描いた作品。
それまで一年戦争期で描かれてこなかったオーストラリアを舞台としている。
前作で突っ込まれた「ジムゲーだと思ったら半分以上ガンダムじゃねーか」というツッコミを受けたのかどうなのか、従来『やられ役』とされてきたジムが大活躍するまさに「ジムゲー」となっている。それどころか本来の主役機であるガンダムが作中本編では全く登場しない、当時のガンダムゲーとしては前作以上に異色の作品となった(本編クリア後の模擬戦闘モードでのみガンダムは登場)。
……何? 一番強くて便利なのは量産型ガンキャノンだって? それをいっちゃあおしまいだよ。
また、前作の問題点であった「味方が全く役に立たず、実質救助対象である」という問題点も解消しており、味方を指揮して戦うことが重要となっている。
余談だが、前作からの要望として「ジオン側視点のジオン主役ゲーが見たい」というのがあったが、開発者いわく「それだと、敵がジムだらけになってしまい、画面的に見栄えしなくなる」ということから、当時は断念せざるを得ない事情があった。
2014年にPS3ソフト機動戦士ガンダムサイドストーリーズにおいてリメイクされた。
更には2017年にはガンダムエースにて才谷ウメタロウ氏が描く漫画版の「機動戦士ガンダム GROUND ZERO コロニーの落ちた地で」が同年7月号から連載した。
キャラクター
地球連邦
連邦軍特殊MS小隊ホワイト・ディンゴの隊長。階級は中尉。コールサインはファング1。
元は戦闘機パイロットで出身地はオーストラリア。
自分を過信せずに常にベストを尽くすと言う信念で戦う。瞬時に敵の要点や狙いを見抜く観察力、状況に合わせ正攻法・奇策を立案する作戦立案力、常に平静を保ち最良を模索する気質を持ち、『仲間や司令を信じる事』と『疑う事』と言う、相反する思考を両立できる。部隊内での信頼も高い。
名前の由来は「Pレイヤー」=「プレイヤー」であり、つまりはプレイヤー自身である事を意味している(『機動戦士ガンダム外伝THEBLUEDESTINY』の主人公ユウ・カジマの名前の由来が「YOU」=「あなた」、つまりプレイヤー自身を指しているのと同じ事である)。
ユウ・カジマとは同じゲーム出身のプレイヤーキャラクターということもあり、『ジオンの系譜』にてユウとレイヤーが会った際、レイヤーの口から同郷(同じゲーム出身キャラ)である事が語られる会話イベントがある。
初期のゲーム作品では整髪剤で整えたような七三分けの『いかにも軍人』な風貌だったが、上記のコミカライズ版では七三分けなのは変わらないが、毛先を適度に遊ばせており、若干若返った印象を与える(※個人の感想です)。
CV:幹本雄之
ホワイト・ディンゴの隊員。階級は少尉。コールサインはファング2。
元は戦車兵。真面目で実直だが堅物ではない。物事に対してはクールに対応する。
口数は少なめだが、たまに核心を突くような推察を行ったり、出所不明な噂を知っていたりする。
実はある所から、密命を帯びてやって来た諜報員である。
初期ゲーム・コミカライズ版ともに黒髪の角刈りと、大きな変化はないが、コミカライズ版は四白眼寄りの三白眼とも言う鋭い目付きに変更されている。
CV:宮本充
ホワイト・ディンゴ隊員。階級は少尉。コールサインはファング3。通称は「マイク」。
元は軍楽隊だったが、適正テストでの結果が良かった為にMSパイロットになった変わり種。
芸術家気質かつ軽いようなお調子者男だが、任務は確実にこなす。
連邦軍のラジオのDJジャグリーンの大ファンであり、よく録音している。
初期のゲーム作品では、レイヤーと瓜二つなぐらいに外見が似ていたが、上記のコミカライズ版では、天然パーマの童顔(どことなくアムロ・レイにも見える)に変更され、別人と言える外見になっている。
CV:土井美加
ホワイト・ディンゴ隊員。階級は軍曹。コールサインはオアシス。
ホバートラックからバックアップを担当。卓越した聴覚の持ち主で音紋索敵や電子戦、情報戦に長けている優秀な女性オペレーター。
ただ連邦軍の正義を盲信気味。よくマイクともめる。
- スタンリー・ホーキンス
CV:藤本譲
連邦軍オーストラリア方面軍の司令官。階級は大佐。ホワイト・ディンゴの直接の上司。
反攻作戦の為に困難な任務をホワイト・ディンゴに命ずるも個人的に心苦しく思っているが、司令官としてそれを断じることの出来る人物。
軍人家系で、職務に有能であり態度に嫌味は無いので部下からの信頼は厚い。
- ボブ・ロック
CV:緒方賢一
ホワイト・ディンゴの整備長。階級は曹長。
気さくな性格と職人気質を合わせ持つ優秀な整備士。その技術も確かで、新兵器などの特徴を把握していたり、ジオン兵器との性質差を察するなど知識も豊富で、ホワイト・ディンゴから厚い信頼を得ている。
1年戦争後に遊撃部隊ファントムスイープ隊の整備長となる。
- ジャクリーン
CV:皆口裕子
連邦軍プロパガンダ放送のラジオDJ。兵士達の間では大人気でマイクもそのファンの一人。オーストラリア方面軍で使用されるジムの半分は「ジャクリーン」と言うパーソナルネームだとか。
またジオン軍内部でも彼女の放送に現を抜かすものも多いらしく、ウォルター大佐でさえも聞いている模様。
ジオン公国
CV:平田広明
CV:小山武宏
ジオン公国オーストラリア駐屯軍司令官。階級は大佐。
略奪行為と言った悪質な行動を嫌う正々堂々とした軍人で実務と実働を重視した有能な司令官であると同時に、類稀なる戦略家でもある。
コロニーを堕とした侵略軍であるジオン軍オーストラリア駐屯軍がオーストラリアの人々からさほど抵抗運動受けないのは生活のためにジオン軍の物資に頼らざるを得ないという事情はあるものの、前述の彼の方針によるところも大きい。
ザビ家のやり方を快く思っていないものの、スペースノイドの自立の為にはやむを得ないと考えている。なお彼の部下にはジオン軍ながらザビ家を好まないものも多い。オーストラリアでは優勢で情勢も安定していたが、ジオンの敗北を早期に見越し、「月の階段」と言う作戦を発案した。
- ユライア・ヒープ(原作未登場)
小説版のみに登場。
ジオン公国軍補給将校。階級は中佐。通称「ユーリ」。
輸送分野のスペシャリストでその能力とその貴重さゆえに、一年戦争開戦直前に招聘され、補給将校として人材育成や輸送作戦を立案したが、それと同時にジオン軍の後方支援能力の低さと開戦の無謀さを指摘した為、ザビ家に睨まれオーストラリアに左遷された。結局彼の指摘は大当たりで彼はザビ家を嫌うようになった(実際キシリアを「妖怪の手先」呼ばわりしている)。能力を高く評価したウォルターにより、「月の階段」実行の為の特別部隊「オクトパス」の司令官に抜擢される。
- マヤ・コイズミ(原作未登場)
CV:小林優子(GジェネレーションF)
小説版に登場。
ジオン公国軍オーストラリア方面軍鉄道大隊指揮官で階級は大尉。
お嬢様とあだ名されており、よく交渉相手の愚痴や嫌みを言い、嫌な上司等を相手にした後は厄払いに塩を撒いている。オーストラリア駐屯隊の指揮官とも親しく、以前にはヴィッシュとも交際していたが、彼は彼女とひどい別れ方をしたらしく、交際していた頃の記憶を忘れたいらしい。
良くも悪くも合理主義者であり、自分の都合に合わせて前言撤回する事もある。
- ニアーライト (原作未登場)
CV:置鮎龍太郎(GジェネレーションF)
小説版に登場。
局地戦戦技研究特別小隊マッチモニード隊長。階級は少佐。
下層階級の生まれで自分らを虐げられる立場から脱出し、見下せる立場へ逆転できるきっかけを作ったザビ家を信奉している。
オカマ口調で話し、物腰は丁寧だが、歪んだ劣等感と選民思想で凝り固まっている。自分以外は部下と言えども一切信用せず、捨て駒同然に使っており、邪魔になるなら躊躇なく死亡必至なオトリに使う等と残虐な性格である。それ故に当人には戦争の行方も勝敗も、ひいては自分の命も人類の存続も無意味なもので、ザビ家の脅威となる者と自分を馬鹿にする者を排除する事が全てである。
ザビ家の勝利の為に、キャリフォルニアベース陥落前に生物兵器アスタロスを持ち逃げし、味方のユーコンにシージャック同然で乗り込みオーストラリアへ脱出した。
必要な作戦を立てられる有能さと、ゴロツキ同然な隊員達すら恐れる冷徹冷酷ぶりでマッチモニードをまとめており、能力は高い。声帯模写の特技があり、一度聞いただけで概ね模倣できる。
- グロック(原作未登場)
コミカライズ版のオリジナルキャラクターで、階級は大尉の壮年。
有能とは言い難いが無能とも言い切れない、実に凡庸の人物でドナヒューから呆れられている。
最期はライノサラスに自ら志願して搭乗、ホワイトディンゴと対峙するも、同兵器の欠陥を突かれた事で敗北・戦死した。
民間人
- オリヴィア・グラント
KADOKAWAコミック版に登場。
シドニー出身の地質学者の女性。スタンリー大佐直々の指示でホワイト・ディンゴに同行する事になった。コロニー落としの影響で荒廃したオーストラリアの汚染状況を把握するために連邦政府から依頼を受けているが、故郷を失った経験から軍人を快く思っていない。開戦時、つまりブリティッシュ作戦当時は学会出席のためパリにいた為に難を逃れていた。
地質学の分野から兵器になる前のアスタロスの研究にも携わっていたことがあり、アスタロスの概要と原理の知識もある。
- ピオ
KADOKAWAコミック版に登場。
オリヴィアの助手を務める眼鏡を掛けた女性で、やはりオーストラリア出身。
オリヴィアを慕っているが……。
メカニック
地球連邦
ジオン公国
専門用語
- ホワイト・ディンゴ
地球連邦軍オーストラリア方面軍遊撃MS小隊。主人公の部隊である。
連邦軍オーストラリア方面軍ではレッドポッサム、グリーンエキドナ、イエロークオッカ、と言うように部隊や方面軍の名前に色とオーストラリア大陸およびその周辺の棲息する動物の名を組み合わせたものが使用されている。
- マッチモニード
キシリア直属の局地戦戦技研究特別小隊で、隊長はニアーライト少佐。ドムのみで構成されている。
(ちなみに、このドムはランバ・ラル隊に配備予定だったのを、ラル隊が戦力の補充要請を握り潰された為、ドムはこの隊に配備された。)
しかしその局地戦戦技研究特別小隊と言う肩書は名ばかりに過ぎず、戦技研究なんて全くやっておらず、実際の仕事は連邦軍やジオン軍内部の反ザビ家派への諜報や謀略などと、ザビ家の目としてジオン軍を監視をする事である、まさにザビ家の私兵集団である。
ニアーライトを始めとする隊員たちはサイド3の下層階級の出身であり、彼らは有能ではあるが蔑まれ虐げられながら生きていたがザビ家がサイド3を支配してからは彼らの支持者となり、反対派の弾圧を行い、後に軍へと編入されたと言う経緯がある。
ただしこの部隊、ニアーライトを始め隊員全員がお互いを「利用価値がある道具」と見なしている状態で「部隊」の体を成しているような有様で、軍隊としての規律も倫理観も無きに等しいゴロツキ集団であり、ヴィッシュからは「装備は一流、腕は二流、人間としては三流」と酷評されている。
キャリフォルニアベースから脱出する際に生物兵器アスタロスを持ち出し、友軍の潜水艦にシージャック同然で乗り込んで、打ち上げ基地のあるオーストラリアへ上陸した。
- アスタロス
ジオン軍北米キャリフォルニアベースにて開発された環境破壊用生物兵器。
元々は過酷な閉鎖空間であるコロニーでも生育できる植物としてジオン・ズム・ダイクンの指示で研究・開発されていたものである。しかし研究が行き詰まり始め、研究チームは開戦後に地球へ降下、そしてキャリフォルニアベースにて研究はスムーズに進んだがその副産物としてサンプルの中に繁殖力の強すぎる個体が出来てしまう。そしてジオンはそれを南極条約に抵触しない生物兵器として使用する計画を思いついた。
もしこれが散布されれば地球上の植物がアスタロスに食い潰され、大規模な環境破壊が起きてしまうのである。