概要
88星座のひとつで、天馬ペガススの上半身をモチーフとした大型の星座。
ペガススの四辺形と呼ばれる2等星3つと3等星1つで構成される巨大な四角を描くことから素人でも容易に発見しやすい。
なお、綴りであるpegasusは日本では英語読みの「ペガサス」もしくは「ペガソス」が有名だが、ここでは学術研究会議(現・日本学術会議)の制定した学術上の正式名称であるラテン語読みの「ペガスス」で統一する。
固有名のついている明るい星は多が、最も明るくて2等星であり、面積が広く有名な割には意外にも1等星は1つもない。そのほかに目立つ星雲・星団などもなく、これといって星座を代表するような飛びぬけて有名な天体がない星座である。
2019年のノーベル物理学賞の受賞事由となったペガスス座51番星があるのはこの星座だが、51番星は肉眼でかろうじて視認できる程度の暗い星に過ぎない。
このほかに重力レンズ効果で遠方の銀河の像が十字型に分裂して見える「アインシュタインの十字架」や衝突中の銀河を含む非常にコンパクトな銀河群である「ステファンの5つ子」など、学術的に著名な天体はいくつもあるが、いずれも非常に暗いため一般的な知名度はない。
星座神話
昔、ポリュデクース王の命令で魔女メデューサを殺して来いと言われた英雄ペルセウスは、メデューサが寝ていて邪眼が使えないスキをついて彼女を殺し、首を斬り落としました。
すると切り口から、なんとそれはそれは見事な翼の生えた天馬「ペガスス」が生まれてきました。メデューサはかつて海神ポセイドンと恋に落ち、メデューサ本人も知らない内に彼の子を身ごもっていたのでした。それがペガススだったわけです。
ペルセウスはペガススを従え、悠々と凱旋します。途中でポセイドンの怒りを買って鯨に喰われそうになっていたエチオピア王妃・アンドロメダを救い出し、ペルセウスは母親を人質にとって彼を追放しようとしたポリュデクースをメデューサの首で石にして殺してしまいました。
さてその後ペガススはペルセウスと別れ放浪していた所、ベレロフォンという青年と出会いました。ベレロフォンは実はポセイドンの隠し子であり、義弟殺しの罪を償うべく怪物キマイラを倒してくるように言われていたのです。ペガススはベレロフォンと協力し、キマイラを退治しました。
ベレロフォンはペガススと共に数々の苦難を乗り越えて、勇者と呼ばれるようになりました。
ですがベレロフォンは英雄として慕われるとともに増長し、「もし俺が神の子であれば、神の園にも行けるはずだ」と考え出しました。ベレロフォンはペガススを天に向かわせようとします。
ですがそこで大神ゼウスの放った一匹の虻が、ペガススの耳を刺しました。あまりの激痛に暴れるペガススは、ベレロフォンを振り落としてしまいました。
ベレロフォンは真っ逆さまに落ちていき、地面と激突して大怪我を負いました。幸い一命は取り留めたものの、ベレロフォンは両脚を骨折し、目が見えなくなって二度と馬には乗れなくなりました。
ペガススはやがて天に昇り、今はゼウスの雷を運ぶ仕事をしているそうです。