概要
秋の星座のひとつ。カシオペア座とぎょしゃ座の中間に位置する星座。
ギリシャの英雄ペルセウスを模した星座で、β星アルゴル(右手にぶら提げたメドゥーサの首にあたる)は食変光星(二連星が互いの周りを回ることで、疑似的な日食が起こり明るさの変わる星)として有名。
秋口にはペルセウス座流星群が発生しやすく、三大流星群の一つにも数えられている。
星座神話
誕生
アルゴス王アクリシオスにはダナエ姫という美しい娘がおりました。ある日、「ダナエ姫の息子は、いずれ王様を殺します」とお告げを受けたアクリシオス王は、ダナエを塔の中に幽閉してしまいました。
それを見た大神ゼウスは、なんと黄金の雨になって窓から降り注ぐことでダナエと結ばれました。それによってダナエはゼウスの子を孕み、半狂乱になったアクリシオス王はダナエを国外追放しました。
メデューサ退治
ダナエはやがてセリーポス島に流れ着き、ディクティスという漁師の世話で息子のペルセウスと共に暮らしました。
ところが、ディクティスの兄であるセリーポスの領主・ポリュデクテースは悪政を敷き、ダナエに結婚を迫っていましたが、ペルセウスに毎回追い返されていました。
ある日、ポリュデクテースは誕生日に「島民は全員、立派なプレゼントを持ってこい」と命じました。ダナエの家は貧乏でしたから、このままではダナエが身売りすることになってしまいます。ポリュデクテースは焦るペルセウスに「母親を失いたくなければ、メドゥーサの首を持って来い」と命令しました。メドゥーサは見たもの全てを石に変える魔物ですが、ペルセウスはこの条件を呑み、メドゥーサ退治に向かいました。
途中、知恵の女神アテナと伝令の神ヘルメスの助けを借り、ペルセウスは鏡の盾と空を飛ぶサンダル、強力な剣、メドゥーサの首を安全に運ぶ袋、そして姿を隠す兜を授かりました。
かくして、ペルセウスは万全に万全を期してメドゥーサに挑み見事打ち取りました。この時、首の切り口から、巨人クリュサオルと天馬ペガサスが生まれました。
そうしてペルセウスは袋に首を収めて帰ろうとしたのですが道中、岩壁に磔にされたエチオピア王女・アンドロメダを化け鯨から救い出し、後の生涯の伴侶としました。
英雄誕生
一方セリーポス島では、なかなか帰ってこないペルセウスにしびれを切らしたポリュデクテースがダナエを攫うために家に上がり込んでいました。
ポリュデクテース「さあ期は熟した! 我が妻となれ!」
ダナエ「おやめください! ペルセウスはきっと約束を守ります!!」
ポリュデクテース「バカめ、ヤツならとっくに死んだわい!! 者ども! かかれ!!」
そのとき、間一髪で駆けつけたペルセウスが、「メドゥーサの首を持って来たぞ!」と袋から取り出し、ポリュデクテースを石に変えてしまいました。
こうして領主の悪政から解放されたペルセウスは、ディクティスを新しい領主の座に推薦し、自分はアンドロメダ姫を妻に迎えました。
エチオピア王妃を怪物から助け、魔女メドゥーサを倒した英雄の噂話は、アルゴスにまで届きました。
それを聞いてダナエの息子が存命だと知ったアクリシオスは度肝を抜かれ、そのまま逃走しました。ダナエたちがアルゴスに帰郷した時には既にアクリシオスは退位していたため、王位はペルセウスに移り、ペルセウスはアルゴス王となりました。
王位継承後
王になってから暫く立った時、ペルセウスは王家主催の競技大会に出場しました。ペルセウスは円盤投げに出場しますが、運悪くその円盤は大きく軌道がそれ、道端にいた老爺の頭に命中してしまいました。その老人こそが前王アクリシオスであり、ペルセウスが近寄ったころには、アクリシオスは事切れておりました。神託を変えることはできなかったのです。
祖父を事故死させてしまったペルセウスは深く哀しみ、王位を退きました。この後、ペルセウスは他国の王と領地を交換し、死ぬまでアルゴスの地を踏まなかったとも言われています。
今は空に輝く星となった英雄には、こんな哀しい物語があったのでした。
関連項目
星座 アンドロメダ座 カシオペア座 ケフェウス座 ペガスス座 くじら座