概要
古代~中世ではよく見られた処刑方法で、「十字架」「X字架(聖アンデレ十字)」「キ字架」といった専用の拘束架に受刑者を固定する。イエス・キリストの死因として有名。
西洋式(ローマ式)と東洋式の2種類に大別されるが、いずれも基本的に極刑という扱いであり、受刑者が生きて地上に下りる事は二度と無かった。
どうせ殺してしまう人間をわざわざ面倒な手順を踏んでまで磔にしたのは何故かと言うと、悪人が苦しみながら死んでゆく様を大衆に見せつける、すなわち見せしめ的な効果が期待されていたからである。
漢字の成り立ちから言うと、「磔」の字は「手足を伸ばして拘束した人体を切る・削ぐ・刺す」といった様子を表している。
その字意通り、磔にした後は槍などで刺し殺してしまうのが東洋式の特徴である。
そもそも東洋、特に中華文明圏では「肉刑」として体系化された人体損傷の様式を持っており、磔はその極致とも考えられる。
日本では、拘束架に縄で縛り、槍を両脇腹から反対側の肩先に向けてX字に貫通させる方法が戦国~江戸時代にかけて定着した。「貫通させる」という点はかなり重要視されていたようで、串刺し刑の一種とも言える。
明らかに死んだと分かった後も何度となく抜き差ししていたので、処刑後は内臓が飛び散り凄惨な状態となったという。これは儀式的な側面も強かったようで、執行予定日までの間に別の死因で死去していた場合であっても、わざわざ死体を保存しておいて同じ事を執り行ったとも伝わる。
江戸時代には儒教思想と結び付けられた節もあり、主人や親といった「目上の者」に反抗する存在に好んで用いられた。特に悪質とされた場合には鋸でじわじわと切断してゆくといった、より肉刑らしい手法が用いられる事もあった。
また、ヴラド三世よろしく槍を肛門から突き立てて串刺しにしたという話も伝わっているが、この方法については現実性が疑問視されている。
西洋式は磔の前に鞭で打たれ、十字架の一部又は全ての部分を担がされ、処刑場まで行く。処刑場に着くと受刑者の両手足首を拘束架に釘で打ちつけ、そのまま長時間晒して呼吸困難と飢餓衰亡による死をもたらす。イエスが受けたのもこれであった。
絶命までの苦痛が大きく長い事から、晒し刑の意義が非常に強い。より強めるために腕や足を捩った不自然・関節負荷の大きい状態で拘束する事などもあった一方、逆に酒を振舞って気を紛らわせたり、足の骨を叩き折る(上半身への負荷が強まって呼吸困難などに陥りやすくなる)などして絶命までの時間を短縮するケースもあった。さらに、苦痛の時間を増大するために体重を支える足場があったり、釘を使わずにロープで拘束したりと色々な方法がある。
なお、実際の拘束架は「T字架」が多かったと言われる。余談だが、火あぶりで有名なジャンヌ・ダルクは、単純な直線状の柱に括りつけられており、せめて十字架に架けられる事を望んだが叶わなかったそうである。処刑理由が理由なので、少しでも名誉を貶めるために意図的に違う形状にした可能性も考えられる。
もっとも西洋にも肉刑的なものが無かったわけではなく、車輪に手足を括り付け、それを生きたまま粉砕してゆく「車輪刑」などは有名である。
その見た目のインパクトから、二次元でも比較的見かける事が多い。
流石に処刑の瞬間はグロテスクなので省略されがちだが、執行前の状態ならば世界観を一目で伝えられる舞台装置として実際有効である。
特に東洋式は執行までほぼ無傷で置いておく事も可能であるため、仲間が救出する前提で低年齢向けの作品にも登場したりする。ファンタジー色の強い作品の場合、その状態のまま封印されているという事もあり、拘束にも人智を超えた謎の技術が用いられていたりする。
また、これをモチーフにしたSMプレイなども存在している。
もちろん殺すわけにはいかないので、くすぐりや強制絶頂などが行われる。単純に磔にされるだけでも羞恥プレイ・放置プレイとして機能するという話もある。
関連イラスト
特にキリスト教で一種の象徴とされ宗教画などの題材になってきたという歴史もあり、それらをオマージュしたようなやたらと神々しい作品も一定数投稿されている。
もちろん、リョナ・R-18G扱いで普通にグロい作品も多いが。