「電話の…邪魔ヲッ…スルナ!!」
データ
身長/186cm
体重/218kg
スキン/エンジン魂
概要
幽霊の少女・鷺山美奈子の「恋した新造さんに会いたい」と言う欲望を叶える為に誕生した、炎神モデルのヒトツ鬼。
シソツ鬼が、幽霊や鬼火を連想させる青白いカラーリングが目立つスキン・“エンジン魂”を身に纏った姿。全体的には未練を残した人魂(鬼火)が集結して形を成した様で、高速鬼と同形状の頭部はさながら顔だけが浮かんだ鬼火にも見え、激走鬼と同形状の胴体はあの世に死者を連れて行く地獄の車を連想させる。
寒色系で統一されたスキンの全体的なカラーリングはシソツ鬼の体色にマッチしており、大まかな見た目は正に幽鬼と言うべきおどろおどろしさを感じさせる。
宿主の影響により、本体(美奈子及び彼女が憑りついている電話ボックス)を護る為に分身として現れる、特命鬼に続く特殊な顕現を果たしたヒトツ鬼。
変貌時には「轤守・樊姶髫」(炎神戦隊)の文字化けと炎神戦隊ゴーオンジャーのクレストが浮かび上がると思われるが、あくまでも分身として最初からヒトツ鬼の姿で現れるからか上述のエフェクトは省略されている。
宿主が幽霊だからか、まず実体が無く物理攻撃は一切効かない。その上で両肩のマフラーを吹かしての超高速スライド移動からの連続体当たりや、掌から次々と生成する曲がる軌道のエネルギー弾を投擲しての爆撃で攻め立てる。また、粒子化した人を口から轟音と共に吸い込んでブンブンバンバン排除してしまう事も可能(※後日排除した人物が再び現れた事から、消すのでは無く別の場所へ飛ばすだけの様子)。
つまり、ドンブラザーズの攻撃は一切無効な上で猛攻を一方的に浴びせて来る、事実上無敵状態がデフォルトの絶対的なアドバンテージを持った難敵。おまけに粘っても自然と溜まった欲望が暴走して炎神鬼ングへ変貌、脅威度が更に引き上がる為、宿主の電話の邪魔をさせない護衛としては(過剰が過ぎる程に)有能・強力である。
一方、宿主の美奈子の欲望には明確なゴールが設定されているので、それが達成されれば美奈子との精神的な繋がりが経たれて力の源である欲望が消失、実体を得た上で活動を停止する仕組みも持つ。
よって、宿主の欲望=願いが叶う様御膳立てした上で、それが達成されるまでひたすら粘るのが、このヒトツ鬼を討伐する為の唯一の突破口と言える。
活躍
既に美奈子と一体化した状態であり、人を超えた未練の鬼と化して彼女が亡くなった場所でもある海岸沿いの電話ボックスを撤去しようとする解体業者を襲い、排除する事を繰り返していた様子。
やがて、いつもの様に業者を襲って作業員を一人排除するも、そこに転送されて来たドンブラザーズと交戦。しかし相手の攻撃は一切効かない為連続体当たりでの一方的な攻撃で翻弄している内に他の作業員が逃げた為、実体化を解除し戦闘を打ち切る。
その後、戦闘中に美奈子を視認して電話ボックスを訪れたはるかを美奈子が気に入った事が縁になり、美奈子はドンブラザーズから未練を晴らし成仏する手助けを受ける事に。
まずは、ドンブラザーズが実際に会った事の無い新造とのデートを再現する為、タロウや翼とのデートを体験してみたがしっくり来ず、介人に至っては別の世界の同一人物を思わせるネジの外れっぷりを見せた上に、公園にいた他の女性が寄ってきた事で美奈子が幻滅し、失敗。
その後、つよしが自分の会社との取引がある、別の会社の取締役が新造本人であったのを突き止めて彼を喫茶どんぶらに連れて来たが、当の美奈子は新造の顔を見た事が無かった為にイメージのままの美青年の認識で止まっているという問題があった。
そこではるかの発案により、どんぶらから新造が美奈子のいる電話ボックスに電話をかける事でようやく解決に至ったかと思われたが、折り悪くそこに撤去作業員が到着。
これでまた炎神鬼が出現し暴れ始めるが、様子を見守っていたドンブラザーズが割り込み再度の戦闘になる(更にジロウも加勢しようとしたが、ムラサメに妨害され合流は失敗している)。
攻撃が効かない事で、攻めあぐねながらも粘るドンブラザーズにエネルギー弾等での一方的な攻撃を加え続けるも、しばらくして溜まっていた欲望が膨れ上がり暴走し、炎神鬼ングへと自発的に変貌。だがドンブラザーズも怯まずドンオニタイジンを繰り出し、脳人レイヤーで戦闘を続行する。
そして、その間で電話越しに新造と満足行くまで話した美奈子が、過去の未練を晴らし成仏した結果、ヒトツ鬼の力の根源となる欲望が無くなり弱体化。そこでトドメを刺され討伐された事でようやく事態は収まるのだった。
鷺山美奈子
炎神鬼との一度目の戦闘後、はるかが訪れた電話ボックスに居た少女。ペンフレンドの田所新造と知り合って後日デートの約束をするも、当日に交通事故で亡くなり幽霊と化し、この場所に留まっていた。
その未練から成仏出来ず、電話ボックスに取り憑いた一種の自縛霊と化し、新造からの電話が掛かって来るのを50年もの間どんどん待ち続けていた(ドンブラザーズの時代設定を2022年とするなら美奈子が死亡したのは1972年頃と思われる)。故に未練こそ強いが、本人はこの状況に慣れっこで恨みも見せずはっちゃける、前向きで適応力が高過ぎる性格。
幽霊である為、基本的に見る事も触る事も出来ないが、はるか、タロウ、翼、介人には素で、他の面々は息を止める事で姿を見、声を聴く事が可能。更に未練の性質からか、好みの男性を見てテンションが上がると一時的に実体化して触ったり飲食も出来る様になると、最早幽霊にあるまじきトンデモスペックも獲得している(※実体化はヒトツ鬼と一体化した事で得た副産物の可能性もあるが)。
しかしそれでも、未練により縛られた場所から離れる事が不可能な自縛霊の哀しい本質は健在で、事情を知って同情したはるかを起点としてドンブラザーズから未練を晴らし、成仏する手助けを受ける事に。
そして紆余曲折の末、新造本人と電話越しの会話を交わす事が叶うも、痺れを切らして電話ボックスを撤去しようとした業者に怒って炎神鬼を顕現させてしまう。しかしドンブラザーズが炎神鬼を引き受けて粘った事で、新造と満足するまで語らう事が出来た結果、とうとう未練を晴らす事に成功。募らせた未練=欲望の抜けた炎神鬼を残し成仏、はるか達に見守られる中「ありがとう…」と言いつつ電話ボックスから消え、あの世へと旅立った。
その後、取り憑いていた電話ボックスも業者に撤去され、彼女の存在はドンブラザーズの記憶の中に残るだけとなった。しかしその顛末もすぐ近くで見守っていたはるかはこの経験を懐かしんで回想、50年遅れで動いて去った過去の物語に思いを馳せるのだった。
ちなみに、新造が68歳だったので、生きていれば68歳だった可能性があるが、この場合磯野さなえと同じ年齢だったりする。
余談
モデルとして使われた戦隊は炎神戦隊ゴーオンジャー。
今回の話にゴーオンジャーが選定されたポイントは、電話ボックス=電話=ゴーフォンと、幽霊=ヒトダマ=ソウルという連想から。これらと違いちゃんと納得がいく連想である。
スーツは同じ車スーパー戦隊モデルのヒトツ鬼である高速鬼と激走鬼のリペイント(あるいは高速鬼の胸部を激走鬼の物へ置き換えただけとも)。
将棋の駒を模した高速鬼の頭部が用いられたのは、炎神ソウルのイメージと思われスキンの「エンジン魂」もこれが掛かっていると考えられる。バンパーガードが付いたような激走鬼の胸部はパイプをイメージしたのかもしれない。
過去に倒された同じ車系スーパー戦隊モチーフの高速鬼と激走鬼のパーツを寄せ集めて作られたかの様な見た目は「廃車となったパーツを寄せ集めて作られた自動車」の様にも見える。
肩のタイヤはホイールの中心が青に、側面の1ヶ所が赤に塗られており、炎神ソウルのタイヤがモチーフになったと思われる。
また、リペイント前のヒトツ鬼の宿主はいずれも男性だった。
素体がシソツ鬼の理由は変身者が女性だったためと後述の今回の話が幽霊(怪談)の話からおそらくスーパー戦隊初の追加女性戦士ゴーオンシルバー、もしくは炎神モデルの蛮機族をイメージしていると考えられる。
原典の炎神はヒューマンワールドではボディと炎神ソウルに分かれているのだが、それに対し炎神鬼は実体を持たない存在となっている。
また、(TVシリーズのみに限定すると)キャリゲーターとジャン・ボエール以外はゴーオンジャーやゴーオンウイングスを相棒にしているのに反し、炎神鬼は美佐子の欲望(未練)を歪んだ形で反映して暴れる分身に過ぎない。
宿主である美奈子は、相棒と共にいるゴーオンジャーの面々とは逆に大事な人と一緒に居られないと、真逆の状況になった苦しみを持っている。また、上記の通り原典には炎神の魂である炎神ソウルが重要アイテムとして登場するのだが、彼女は体を持たない魂だけの存在と化してしまっている。
なお、名前ネタになるが彼女が現世に留まっていた電話ボックスのバス停の名は合恩(ゴーオン)である。また、バス会社の名は香坂バスである。
また、幽霊(怪談)回が取り上げられた点として敵側の倒された幹部が幽霊化したケースもありこの件でゴーオンシルバーの変身者がオバケを怖がったと言う要素も交じっておりこれがシソツ鬼素体の理由も考えられる。
田所役の井上氏は、過去に『動物戦隊ジュウオウジャー』にてジニスの声を担当していた。
pixivでは登場以前にオリジナル怪人として炎神鬼が投稿されていた。
関連タグ
高速鬼、激走鬼、魔進鬼:歴代車スーパー戦隊モデルのヒトツ鬼。
特命鬼:同じく実体の無いヒトツ鬼で、こちらは老人の幼少期の姿を象った生霊に近い存在。一方で同じくドンブラザーズに『悲しみを退治してもらい欲望から解き放たれる』結果を迎えている。
エンジンバンキ:ゴーオンジャーをモチーフに、悪趣味な形で皮肉った戦隊怪人の先輩。
ヒラメキメデス:ゴーオンジャーの敵幹部で前述の余談のようにこちらも幽霊化している。
アナザーゴースト:ヒーローを歪めた存在の中で本体が既に事故で亡くなっている怪人。
ユーレイボーマ:こちらは人間を幽霊に変えて操る事が出来る。
AngelBeats!:登場人物の多くが生前の未練を持ち、それを消し去っていった作品