《鬮倬?滓姶髫》
「俺ハ走ル…!誰ニモ負ケナイ、将棋ロードヲ~ッ!!」
「三9金。二8歩打。四8玉…! 10ビョ~ウ、9、8、7、6、5、4、3、2、1!ウアアアッ!!」
CV:石田泰誠
データ
身長/189cm
体重/229kg
スキン/将棋駒GT
むかしむかし/青年の青春は学業と将棋の両立だったそうな…。
概要
高校生棋士の青年の「将棋でもっと強くなりたい」と言う欲望を叶える為に誕生した、高速モデルのヒトツ鬼。
シソツ鬼が、将棋の駒を思わせる五画形状のパーツが目に付く山吹色のスーパーカー型の胸鎧とヘルメットで構成されたスキン・“将棋駒GT”を身に纏った姿。
黒獣がヘルメットを被った様な顔を良く見ると鋭い牙を生やした口は車のフロントバンパー、四つ目はヘッドランプを模した造形なのが分かる。胸鎧の上中央には将棋駒の表面に刻まれた文字を彷彿とさせる「高」の字模様も施されている。また、胸鎧先端部のフロントグリルにあたる部分はよく見ると妖精の羽を思わせるデザインとなっている。
変貌の際には「鬮倬?滓姶髫」(高速戦隊)の文字化けと高速戦隊ターボレンジャーのクレストが浮かび上がる。
まずとにかく、高速鬼の名に恥じない敏捷性に優れた身体能力が特徴で、適当に放たれた攻撃は小刻みな高速ステップを駆使して回避してしまう。
更に宿主の、「“駒を取る”一手を高速思考で導き出す」棋士としての面を間違った形で誇張された結果、指し手の用語や技名を呟きながら目に付いた若さ全開な高校生等の人間に目から放った閃光を浴びせターボの速さで将棋駒へ変える能力も行使出来、ジグザグでも将棋ロードにアクセルを踏み込んでどんどん単独で突っ走って行く。
ただしあくまで“駒を取る=人を駒に変える”行動自体が目的なので、駒に変えた人々に興味は示さず、取り集めて糧や人質として扱う事もしない。
全体的に、以前登場した特命鬼(高速移動で逃げ回る、関わった人間を消して無力化する)と似通った点が多く散見されるが、その一方で宿主が直接変貌しているので攻撃自体は普通に効く。しかし敏捷故に動きを捉えるのは困難で、それこそ虚を突いての不意討ち位でしか有効打を与えられないとも言える。
活躍
ししおどしの音だけが鳴る引き締まった空気の御座敷、そこで重要な一戦と思われる対局に臨んでいた青年だったが、相手の一手を打破する策を見出せず「ダメだ、このままでは…!」と内心で焦るも無情にも時間は経って投了までのタイムリミット寸前に至った事で欲望が加速度的に増大。
これで知らぬ内に憑依していたヒトツ鬼が活性化した事で突如暴れ出して将棋盤を引っ繰り返し、その勢いで高速鬼へ変貌。人を超えた将棋の鬼となって将棋ロードを突き進み、試合相手や審判達を追い回す。
直後、屋外に出たタイミングで転送されて来たドンブラザーズのお供4人と遭遇。しかしこれまで戦いを引っ張って来たタロウ/ドンモモタロウの居ない相手はどう戦って良いか分からず、とにかく動こうと接近して来たサルブラザーも微妙に立ち回りがぎこちなかったので難無く反撃して圧倒、サルブラザーへ加勢するイヌブラザーとキジブラザーも特に恐れる事無く立ち回る。
更に程無く、棒立ち状態のオニシスターを強襲したソノニからソノイが庇うという予想外の事態へその場が唖然とした隙に、サルブラザーを振りほどいて逃走。一歩遅れて乱入したソノザの横槍も手伝いまんまと戦線離脱に成功した。
それから暫くして、宿主の姿に戻って彼の通学していると思わしき「都立武蔵野学園高校学校」に譫言の様に指し手用語を呟きながら、校庭内で部活動に励んでいた学友達の目の前で再度変貌。目から閃光を浴びせ将棋駒に変え始める。
「2四銀ッッ!!8六歩ッッ!!モット強ク……モットオオォォッ!!」
直後に徒歩で現場へと駆け付けた真一/サルブラザーとはるか/オニシスターがチェンジして銃撃を浴びせてくるも、高速ステップを駆使して難無く回避。更に暫くして現れた脳人が2人を包囲、袋叩きにする。
しかしここで、サルブラザーとオニシスターのキビ・ポイントで復活したドンモモタロウが参戦。この光景に動揺した脳人をサルブラザーとオニシスターが追い払った内に、ドンモモタロウはドンロボタロウにチェンジ。
同じくこの光景へ呆気に取られ、高速移動も止めて棒立ち状態だった高速鬼は次の瞬間に「心桃滅却・アバター光刃」で横一閃され、戦う暇も無しに敗北・爆散した。
しかし直後、宿主の欲望が暴走して脳人レイヤーに積み重なり、高速鬼ングへと変貌。負けじとドンブラザーズもドンオニタイジンを繰り出して対抗する。
高校生棋士の青年
十代後半の若い身でありながら、自分より年上なベテラン棋士と御座敷での対局を指せる実力を持った、はるかと同じ早咲きの才能を有した青年。
曰く、学業と棋士を両立させながらの青春を過ごしてここまでの実力を身に付けたらしく、その分冷静さの裏に強い自負を持っていたのが窺え、件の対局で打開策を導けず追い詰められた事で欲望が活性化、何時の間にか引き寄せていた高速鬼に憑りつかれ暴走する羽目となった。
暴走中は、変貌直前で自分が投了し掛けた将棋盤面の打開策をずっと思考していたらしく、ドンブラザーズに討伐され欲望が解消されたと同時に解法を見付けたのか、はたまた負けを認める事が出来たのか「詰み、投了…」と一声呟いた。
余談
- モデルとして使われた戦隊は高速戦隊ターボレンジャー。素体にシソツ鬼が選ばれた理由は恐らく、本編序盤のスキンを纏っていないシソツ鬼の宿主が高校生だった(ターボレンジャーの変身者も高校生)為で、スキンの「将棋駒GT」はターボロボの構成パーツ「ターボGT」を模していると思われる。
- 顔が獣みたいな牙を持った風貌なのは暴魔獣を意識していると思われる。
- 劇中では、恐らく柔道部員と美術部員を将棋の駒に変化させたが、皮肉にもターボレンジャーの中にその部に所属していたメンバーはいない(一応歴代戦隊には将棋が得意な人がいる)。また、部員を襲う前に将棋の残り持ち時間の秒読みをしていたがカーレースのスタートシグナルとも捉える事が出来る。
- 劇中の対局では「10・9・8…」とカウントダウンの秒読みが行われていたが、実際のプロの対局の秒読みは、50秒経過した時点から「50秒、1・2・3…」と数を増やして読むのが正しい。
- 作中で取ったポーズはレッドターボの名乗りポーズが元ネタ。その際のイメージでは角行がブルーターボ、金将がピンクターボ、銀将がイエローターボ、飛車がブラックターボのポジションに立っている。
- また、瞳に道路が映る演出はターボレンジャーOPのワンシーンをオマージュした物。
- 宿主が棋士の理由は「将棋の駒の形状がスーパーカーに似ている」という無理矢理な物(こっちの方がマシだったんじゃ……只、ターボレンジャーもモチーフに自動車は使いつつも、ストーリーに自動車要素はなかったりする)。
- 辛うじて、宿主がターボレンジャーと同様に高校生である為、同じく無理矢理な超力鬼と異なり、完全に要素が無い訳では無い。
- 因みに「駒」とは元々は「小さな馬」転じて「馬」を指す単語であり、自動車が発明される前は人々の移動手段としてはメジャーな物であった。
- また、将棋の駒には「飛車」があり、略して「車」とも呼ばれる。
他にも、スーパーカー消しゴムの代用品として将棋の駒を使ったネタが由来とも考えられる。
- 翼が狭山に追われている際に、「田保建設」の名の建設会社らしき建物があったがこれもターボレンジャーが由来である。「ターボ→タボ→田保」
- 宿主が在籍していたのはターボレンジャーのメンバーが通っていた東京都立武蔵野学園高校であり、制服も男子がブレザーで女子がセーラー服と、当時と同じになっている。
- また、西洋将棋の異名を持つチェスは、これまでシャドータウンの管理人やドルイドン族の幹部のモチーフとして起用されて来たが、将棋の駒自体が怪人のデザインとして起用されたのはこの高速鬼が初である。
- 「完全読本」によると将棋の駒を中心にスーパーカー風にまとめ、ラジエーターグリル辺りは妖精の羽っぽい意匠を組み込んでいる。また、次回に登場する激走鬼の差別化の為、タイヤが目立たないデザインになっている。
- 後に頭部は、ドン19話に登場する炎神鬼のものにリペイントされた。
関連タグ
シソツ鬼:同じく高校生が宿主の、固有スキンを纏っていないヒトツ鬼。強さを求める為に誕生したのも一緒。
地球鬼:対象者を物体に変える能力を持つヒトツ鬼。宿主が学校関係者(教師)と言う点も一緒。
烈車鬼:こちらは蒸気機関車をモチーフとしたヒトツ鬼。
バスジゲン、バラモビル、バスオルグ、エンジンバンキ、妖怪ブルブル、ヤバイカー:歴代自動車モチーフの戦隊怪人。
スズナリボーマ:暴魔獣の1体であり、こちらは逆に人間へと変身させられた怪人。
シルフマイナソー:同じく超高速で動ける上、大まかなパーツ構成が類似している。
カタツムリワルド:対になる関係の戦隊怪人。しかも討伐にターボレンジャーの力が使用された。
アナザードライブ:車モデルのヒーローが歪められて怪人化した存在の先輩格。
仮面ライダードライブ タイプフォーミュラ:車が鎧に使われている所が類似する。因みに上述の怪人のモチーフ元である。
アナザークウガ:こちらは平成初代ライダーを歪めたデザインとしたライダー怪人。
炎神戦隊ゴーオンジャー:正義のロードを突き進むスーパー戦隊。(なお次週は2代目車戦隊モチーフのヒトツ鬼が登場した)。