概要
二足歩行もしくは多足歩行型で、自律制御ができ、5~10m級のサイズのものがこう称されることが多い。
遡ると『ロボット三等兵』や、『鉄腕アトム』の中にも同様の名称が登場している。
しかし、もっとも有名なものは、『天空の城ラピュタ』のロボット兵と、その原型となった『ルパン三世』TV第2シリーズ第155話(最終話)『さらば愛しきルパンよ』に出てくる、宮崎駿デザインのものであろう。
『ルパン三世』TV第2シリーズのロボット兵
永田重工が国防軍の依頼を受けて開発していた兵器。
もともとは工学者・小山田博士が研究していた技術を、永田社長が軍事転用とは明かさずに資金提供をして完成させた。博士は途中で永田社長と国防軍の思惑に気付き叛旗を翻すも時既に遅し。防衛機密の元主張は圧殺され精神的に力尽きて他界した。
完成した試作ロボット兵「ラムダ」だったが、“ルパン三世”(偽物)に強奪され、強盗犯罪に利用され始めた────
デザインは、翼になる平面構造の多節型手足、光学兵器内蔵の頭部、やや高重心の丸みを帯びた胴体など、後述の『ラピュタ』のそれにほぼそのまま転用される。一方、飛行時の推進装置は2重反転プロペラを使用している。
ラムダ
日本国防軍に納入された試作ロボット兵。
簡易な自律行動能力も備えているが、基本的には搭乗型。
搭乗者は小山田博士の娘である小山田真希。
なお、彼女は後にジブリの劇場用アニメで『ラピュタ』の前作にあたる、
輸送中に“ルパン三世”(偽物)に強奪されるが────
ちなみにこのロボット兵の元ネタはフライシャー兄弟が1941年に制作したアニメ映画「スーパーマン」にて、スーパーマンと対決する殺人ロボットである。首のプロペラで空飛ぶところや劇中の描写もオマージュされており、劇中でも銭形警部が「まるでスーパーマンですな!」と語っている。
『SUPERMAN (The Mechanical Monsters) The Cartoons of Dave & Max Fleischer』(1941)
シグマ
量産を前提とした試作ロボット兵。
ラムダとは異なり、完全な自律型無人兵器である。
4脚歩行体型をとり、頭部はパラレル2連になっている。
最後に永田重工本社に乗り込んできた本物のルパン達を撃退するため永田社長が起動するが、それ以前に真希によって本社ビルを破壊した後自爆するよう命令された上、制御用エンコーダーを取り外されていた。
『天空の城ラピュタ』のロボット兵
古代空中都市国家“ラピュタ”の遺産。
戦闘用タイプとそれ以外のタイプがおり、腕部のトゲの有無で判別できる。
発見当初はメカニズムが生きているのか死んでいるのかさえ曖昧だったが、シータの所持していた飛行石に反応して起動、顔から放つ破壊光線で軍の要塞をメチャメチャに破壊したが、それはシータを護ろうとする行動だった────
最初に発見された1体はティディス要塞にて保管されており、かつて空から落下してきた個体を軍が回収したものであるとされている。左腕を半分失っており、この時点ではとうの昔に死んでいると思われていたが、かつてシータが教えられた呪文を何気なく唱えた直後に再起動。
王の末裔であるシータを守るべく行動を開始し、軍の抵抗を物ともせず、逆に頭部の光線砲の攻撃で瞬く間にティディス要塞を火の海に変えてしまった。
装甲も非常に堅牢であり、劇中では重機関銃や兵士が携行するライフル程度では傷一つ付けられておらず、トーチカ砲の直撃ですら装甲が凹む程度で致命傷には至らず、空中戦艦ゴリアテの砲撃を以ってしてやっと破壊された。
両目に見える部位に備えた光線砲は口径が小さい物(右目)と大きい物(左目)があり、小口径は対人用で大口径は遠距離への高火力攻撃に使用している。その射程は長く、要塞から推定5~6Kmは離れている隣町の建物にまで届いている。
発射された光線はビームやレーザーの様に命中物をそのまま貫通するだけでなく、着弾点を中心に爆発させる効果もあり、要塞に配備されていたトーチカ砲台は大口径光線砲により次々と破壊されている(小口径光線は爆発しない)。
上記の様な非常に高い破壊力を持っているにも関わらず劇中では極めて短い間隔で光線砲を連射しており、劇中ではエネルギー切れや弾切れの概念を感じさせない程の多数の光線砲を発射している。
その後舞台がラピュタに移り、庭園や墓石などに大量のロボット兵の亡骸が放置されている。
庭園にはまだ稼働しているロボット兵もおり、主がいなくなったラピュタで一人庭園で作業をしていた。
ラピュタ内部には出撃可能な状態で保管されているロボット兵がおびただしい数で残されており、ラピュタの権限を掌握したムスカ大佐の手により再起動。軍を攻撃し、ゴリアテすら撃沈させてしまう。しかしパズーとシータが唱えた「滅びの呪文」により全てのロボット兵がラピュタと共に自壊し瓦礫と共に海へ消えていった。
基本的には飛行石を有するラピュタ王家の人間の命に従うように造られているが、長年のうちに劣化や誤作動が起きたのか、勝手に起動して、地上に落下したりラピュタ上で機能停止して朽ち果てたりするもの、ただ黙々とラピュタを護りつつどこか人間くさく行動するものなどが出てきている(シータとパズーがラピュタに着いた後に発見したロボットがこれ。戦闘用との違いは、腕部分の棘が無い程度)。
なお「ラムダ」にあった二重反転プロペラは無くなっているが、代わりに胸部についたブースターと、腕部から出る飛膜らしきものを使い、飛ぶ事が可能。
その後の創作における人型兵器
長年、人型兵器全般に使われてきた「ロボット兵」の呼称だったが、1979年に放映された『機動戦士ガンダム』において「モビルスーツ」の呼称が登場すると、オリジナリティ確保のため急速に使われなくなっていった。
劇場版『ドラゴンボールZ 激突!!100億パワーの戦士たち』に登場するロボット兵
ビッグゲテスターのメインコンピューターの命令で動くメタルクウラの配下の戦闘ロボット。実に鳥山明チックなデザイン。
メタルクウラに命令され、ナメック星人をゲテスターのエネルギー炉に取り込もうとしていた。
主な武装は腕部の捕獲用ネットとどこまでも伸びるアーム。ロボットアームにはサブマシンガン、ビーム砲、キャノン砲が搭載されている。
亀仙人が殴ったら逆に手を痛め、クリリンや神コロ様の打撃にも耐えるなどかなり丈夫で、Z戦士でも思いっきり気を集中しなければ歯が立たなかった。
最期はメタルクウラ・コアが損傷した際に誘導ロボットと共に自爆。
実在のロボット兵器
自走ロボット兵器は実は第二次世界大戦時に既に始まっている。有線またはラジオコントロールによる自走爆雷で、主に鉄条網破壊や地雷原の突破を目的としていた。ドイツ軍の自走爆雷「ゴリアテ」が有名だが、日本でも九七式小作業器(い号作業機)の名で開発されていた。
戦後、1980年代になってコンピューターシステムの高度小型化が実現すると、カメラや赤外線スコープを搭載した無人偵察機や偵察車、さらには実際に銃火器を搭載して人間を攻撃するロボット兵器の開発が始まった。
ただ、多足歩行と言うのは難しいようで、殆どはキャタピラ走行式である。