SEKIRO
せきろ
隻腕の狼、戦国に忍ぶ。
概要
架空の戦国末期を舞台に隻腕の忍者の活躍を描く和風アクションゲーム。
フロムソフトウェアの過去作である『ダークソウル』シリーズと『天誅』シリーズを組み合わせたようなゲームデザインとなっており、攻撃を弾いたりすることで敵の『体幹』を打ち崩して致命の一撃を叩き込む『忍殺』システムと、死んでも一定のデメリットと引き換えにその場で蘇ることができる『回生』システムが最大の特徴となっている。
フロム伝統の高難易度の死にゲーだが、過去作と比較しても強烈な難度の高さを誇っているのも特徴の一つである。
制作陣の殺意を練り固めたかの如き敵の強さやステージ設計など、とにかく初見では死にまくることは当たり前。ボス戦はもちろんのこと、雑魚敵相手でも一瞬の気の緩みが死に繋がりかねない。
さらに完全ソロプレイ用ゲームのため、『ダークソウル』や『ブラッドボーン』のように、協力プレイでの攻略ができないことも難度に拍車をかけている。
かなり人を選ぶゲームではあるが、それだけに強力なボスキャラを死闘の末に倒したり、華麗に忍殺をキメた際の達成感と爽快感は格別。常に緊張感MAXな駆け引きの高さ、アクロバティックなスタイリッシュ・ニンジャアクション、美しいグラフィックなど多くの点で魅力的な作品でもある。
世界観や設定は直接明かされることのない仄めかす程度の説明(フレーバーテキスト)に留められており、理解にはフロム脳が必要となるのもいつも通り。
ただ、ストーリーそのものに関しては従来のフロム作品に比較して分かりやすく、エンディングや、それに至るまでの道筋なども、他作品に比較してすっきりとした終わりや、救いの有る内容で構成されている。
話の内容そのものは従来作同様に決して軽いものではないのだが、特にこの作品と比べると、穏やかやな性格や気さくな性格のNPCが多く、悲劇的であっても理不尽な内容が少ないなど、ストーリーにおけるストレスの軽さが段違いである。
そのため、難易度は上級者向け、ストーリーは初心者向けのフロム作品と言える。
また、ゲームシステムや制作陣的にはSOULSシリーズ系の、舞台となる和風世界の関係上「九怨」や「O・TO・GIシリーズ」、「義経英雄伝」などとの過去作の小ネタ系の繋がりが有るのが察せる。
「日本ゲーム大賞2018フューチャー部門」、「gamescom award 2018 Best of Action Game」、「gamescom award 2018 Best of gamescom」、「The Game Awards 2019 」(=GOTY2019)などなど、受賞歴多数の傑作である。
なお「せきろ」の発音は、公式トレーラー動画のナレーションによれば、先頭の「せ」にアクセントをつける頭高型が正しいようである(例えば「みどり」と同じ)。
世界観
ダークソウルが炎、Bloodborneが血液をテーマとしているのに対して、本作では水をテーマとしている設定が各所で目立つ。
戦国時代の日本を舞台としており、ステージの各所に血なまぐさい戦争を感じさせる反面、建物は武家屋敷、城郭、城下町、寺院、神社、寝殿造りなど、様々な日本建築に、紅葉、すすき、雪、桜などの日本の四季を感じさせる自然を組み合わせることで、とにかく美しい日本の原風景をゲーム内に再現している。
そんな美しい風景とは裏腹に、フロムソフトウェアらしく、人体実験や薬物によって強化された改造人間など、おどろおどろしい設定も随所に感じられる。
また、桜竜をはじめとして、和風ファンタジー的な側面が強く押し出されている反面、不死の研究や特殊な病気、義手忍具をはじめとする高度な絡繰り技術などが存在している。
ファンからは全体的にはBloodborneと世界観がつながっているのでは?と指摘されることも多いが、コズミックホラーの要素が強い同作よりも、和風ファンタジーとしての側面の方が強く押し出されているのが、本作の作品の特徴。
ストーリーのモデル
本作は主に日本に伝わる伝説を基に、本筋となるストーリーが構成されている節がある。
特に前半のストーリーは、「主君のために従者が尽くす」いわゆる「仇討ち物」をストーリーのベースに置き、下克上の末に国盗りを果たした葦名一心の半生や秘伝の巻物によって技を会得するなど、オーソドックスな剣豪伝説や忍者伝説を基にストーリーが構築されている。
ストーリー後半に入ると一転して、世界観のバックに蟲と竜の対決と言うバックボーンがあることと、不死者に憑いている蟲がムカデの様な形状をしていることから、主に藤原秀郷による蜈蚣退治の伝説を想起させる設定が目立つ。その為、本作のストーリーの直接的なモデルになっているのでは?と考察されることは多い。
この他にも、破戒僧の正体や、その破戒僧と狼との戦いを弁慶と義経の戦いに見立てたり、平安時代の民間信仰であった変若水(読みは「おちみず」)が物語の重要なキーワードになったりと、特に平安時代の伝説を基にした設定が多い。
余談ながら、フロムゲームに特有の書庫ステージは本作に登場せず、代わりに書庫に当たるエリアは本作におけるプレイヤーの拠点の一つとなっている。
テーマ
Blood borneが血液をメインテーマに置きつつも、母と子や、海・湖、宇宙、人類の進化、感染症など、複数のテーマで構成されているように、本作においても幾つかの要素が組み合わさっている。
特に本作のストーリーにおける最重要な要素としては、父と子、それも血の繋がらない父子関係がかなり大きなウェイトを占めており、この辺りは母と子をテーマの一つとしていた前作とは非常に対照的な要素となっている。
それも、血の繋がりの有無に関しては前作とはかなりスタンスに大きな違いがあり、人外の存在が自分の子供を手に入れる為に躍起になっていた前作とは違い、今作の親子関係はあくまでも義理の親子関係を重視し、最終的には子供に自立を促す父親の姿が全編を通して描かれている。
この他の隠し要素としては、猿と仏(寺)の関係、神道と仏教の戦い、陰陽五行説など、特に日本の信仰にまつわるテーマが数多く盛り込まれている。
ちなみに、本作でもテーマの一つに病気が盛り込まれているが、病気の内容が咳を伴ったものであることと、発売時期的なことから、本作を予言と呼ぶ者もいる。
エンディング
本作もソウルシリーズの流れ同様にマルチエンディングを採用している。
その中でも本作は、主人公である狼のキャラクター性が濃く、ストーリーについても縦軸が理解しやすいものになっている。しかしそれ故に、従来作よりも悲劇性を感じやすいものになっている為か、過去作とは違い茶屋エンドなる言葉が生まれて、狼と御子の二人が救われるエンディングを望む者も多い。
あらすじ
雪深い峠を越えた先にある戦国大名、剣聖と唄われる葦名一心が一代で国盗りで興した葦名の国。
しかしその葦名に内府軍が迫り、一心も病床に伏して今や亡国の鍔際にある。
一心の孫、葦名弦一郎は、葦名を守るため、家臣・平田氏の養子として預けられていた竜胤の御子を連れ去った。目的は御子の持つ、特別な力を使い内府軍を退けることだった。
一方、数十年前、一心の国盗りので大忍び、梟に拾われた幼い子供は、狼と呼ばれる忍者に成長していた。
狼は、御子に仕える忍であり、主を守ることが忍の掟。また奪われようとも必ず取り戻さなければならぬ。
掟は絶対。
これは、孤独な主従の物語である。
登場人物
CV.浪川大輔
左腕を無くしてからは、隻狼(せきろ)と呼ばれる寡黙な忍。
国盗りで大忍び、梟に拾われ、忍者として育てられた。物語の冒頭で葦名弦一郎に主である竜胤の御子を奪われてしまう。それ以来、彼の目的は、掟に従い御子を取り戻すことである。
また失った腕に代わって忍義手を身に着けている。これが本作のゲームのアクションの鍵となる。様々な義手忍具を操り、敵を倒したり、攻撃を防いだりする。
CV.佐藤美由希
葦名の重臣、平田氏に預けられた天涯孤独の少年。狼の仕える主。
葦名弦一郎に連れ去らわれ、彼の計画に協力することを強いられている。
特別な能力、竜胤の力を持つ。しかしそれは異形異類、世の理に反する力として彼自身が忌み、また遠ざけられて来た異端の力である。葦名は古い土地であり、このような異能の痕跡が各地に残っている。
CV.浦山迅
狼を助け、忍義手を仕込んだ片腕の怪老。
ただひたすら仏像を彫り続けている世捨て人。
CV.伊藤静
稀代の薬師、道玄の弟子。
狼を助けるが、その目的は不明。
荒れ寺の仏師とは古い仲のようだ。
CV.土師孝也
主を持たぬ、はぐれ者の大忍び。狼の義父であり、彼の育ての親。
平田屋敷襲撃で命を落とし、狼に御子を救うように言付ける。
葦名一心(いっしん)
CV.金尾哲夫
剣聖と誉れ高い、一代で葦名の国を興した戦国大名。
しかし今や病床にあり、敵の攻勢を留め得ない。
死ねない男。
荒れ寺におり、狼の戦闘訓練の相手をしてくれる。
道順
捨て牢にいる薬師。
人を死なずに変える変若の澱の製法を道玄の書庫から持ち出した。
何やら怪しい研究を行っており、師の道策に応えるため、狼に話を持ちかける。
平田屋敷襲撃の折り、九郎救出に駆け付けた葦名の侍。
狼に協力する。息子らしい野上伊之助という人物も登場する。
黒傘のムジナ
仙峯寺を護る『らっぱ衆』を捨てた抜け忍。入り用なのか狼に取引を持ちかける。
ムジナから買える金城鉄壁(鉄扇)は義手忍具・仕込み傘の作成に必要。
小太郎
仙峯寺に続く道すがらにうずくまっている大男。
記憶が曖昧なのか、言葉を詰まらせながらも『真白いお花』を探している。
仙峯寺の即身仏
金剛山仙峯寺の本堂にいる即身仏(のハズだが、生きている)の僧正。
ミイラ化している上に全身を蟲が走り回っており、尋常な姿ではない。これは蟲憑きと呼ばれる。仙峯寺はその門を閉ざし怪しげな研究に耽っており、これは恐らくその成果の一つ。
変若の御子を生み出す研究に関わっていたようだが、今はそのことを後悔しており、奥の院に隠れてしまった変若の御子を気に掛けている。
不死斬りの存在を知る前に仙峯寺の本堂へ行った場合のみ会える人物。
仙峯寺の奥の院に隠れた御子。
竜胤の御子ではなく、仙峯寺の僧侶たちが人為的に作り出した。狼に協力してくれる。
柿が好き。お米は大事と存じます。
丈(たける)
先代の竜胤の御子。名前のみ登場。
かつて葦名に匿われ、人返りを果たすために不死断ちを求めた。
彼が残した書物を頼りに狼と九朗は不死断ちを進めていく。
巴(ともえ)
丈の従者であった女武者にして弦一郎の師匠。名前のみ登場。
一心が立会いの最中に見惚れる程の美貌と雷すら操る化生の剣を修めている。
ボスキャラ
全体的に中ボスの数が多く、幾つか使い回しのキャラクターや複数存在する者も中にはいるものの、総数で言うと五十体以上になる。ここでは世界観やストーリーを理解するのに必要な大ボスのみを取り扱う。
CV.津田健次郎
葦名の国主、一心の孫。ただし正統な血筋ではない。
強力な外敵の侵攻に対し、異端の力を手にしようと計画している。
葦名を救いたいという強い思いで動いており、御子を連れ去った張本人。
鬼庭刑部雅孝。大手門を護っている。
人馬一体となって戦いを挑んでくる騎馬武者。
CV.宮寺智子
梟が狼にあてがった忍び技の師の一人。平田屋敷のボス。
三年前に葦名を裏切り、狼と戦うことになる。
クナイと幻術を駆使する老齢のくノ一。
金剛山仙峯寺で戦うことになるボス。本作におけるギミックボスの内の一体にして、本作最弱のボスキャラ。
基本的に猿単体での攻撃力はなく、逃げる彼らを捕まえることでクリアとなる。
ただ、そのギミックは中々に捻った仕掛けが施されており、それ故に初見殺しと言うか、初見騙しと言えるボスとなっている。そのため、バトルそのものというより、バトルが終わった後の答え合わせが楽しいボスと言える。
落ち谷で戦うことになるボス。
外見は巨大な白い猿だが、首筋に巨大な刀が一本突き刺さっている。
セキロにおける最大のみんなのトラウマ。
本作を象徴するボスキャラ。
ストーリー全体での関り方は然程ではないが、強さ、ビジュアル、正体など、様々な印象的な要素から人気が高く、ある意味では本作に最も影響を与えているキャラクター。
源の宮の神域にて戦うことになるボス。本作におけるもう一体のギミックボスにして、フロムゲーにおける今作のムーンライトソード枠。
本作においてストーリーの根幹を担うボスだが、それ故に緻密で壮大な考察の対象となっている。
ビジュアル、BGM、戦闘アクションの全てがカッコよく、人気が高いボスとなっている。
CV.???
三年前の平田屋敷にて、内府軍と密通していた裏切り者。
修羅ルートにおいては一度狼が手を組むものの、最後には狼により殺される。
それ以外は基本的にストーリーの中盤にて狼と戦うボスキャラとなるが、ルート選択によっては三年前の平田屋敷にて再戦することになる。
CV.???
ストーリー終盤にて戦うことのできるボス。
いわゆる隠しボスであり、セキロの中でも最強クラスのボスキャラとなる。
その正体は狼とゆかりの深い人物であり、忍殺時の台詞からその正体を窺い知ることができる。
尚、直接戦っただけでは何故この鬼が出現して、何故戦うことになるのかは直接的に明かされないが、ゲーム内のイベントやテキストを通して、ある程度察することができる。
CV.???
修羅ルートにて戦うことになるボスキャラの一体。
とあるキャラクターが修羅となった狼を止めるべく、剣を取った姿。
CV.???
ラスボス。修羅ルート以外では全盛のラスボスと戦うことになるが、修羅ルートでは形態の違うラスボスと戦うことになる。
モブキャラ
一人一人に名前があるわけではないが、各地に出現するキャラクターたち。
概ねエネミーとして登場するのだが、供養衆のように必ずしも敵対するわけではない。
供養衆
葦名のいたる場所で死者を弔っている者たち。
死者の冥福のため品を売っている。…ご供養、如何かね?
葦名一心お抱えの忍衆、彼らの置く薄桃色の狼煙は狼も度々道しるべとして辿ることになる。
落ち谷と呼ばれる葦名の深い渓谷にある鉄砲砦のタタラ衆。
内府が最も信用する忍集団、度々葦名城を襲撃しにやってくる。
葦名と敵対する中央政府、葦名を滅ぼし竜胤を手に入れようとする。
野盗
三年前の平手屋敷に登場する。
単に平手屋敷を襲撃したわけではなく、後にある陰謀が隠されていたことが明らかになる。
用語
戦国末期をモデルにした架空の日本、その山深い北国にある雪の降り積もる場所。
本作の舞台であり、葦名城を中心に幾つかのステージが展開される。
雪国であることに加えて、切り立った谷や険しい山々に囲まれており、その谷の底には巨大な白蛇が生息している。
葦名流
剣聖、葦名一心の興した武術の流派。
一心がただひたすらに斬り続けた末に得た技であり、それ故に堅苦しい決まりや精神論は存在しない。
狼もスキルとして習得できる。
葦名無心流
葦名一心が生涯をかけて追い求めた剣術。
ほぼ存在そのものが葦名流の最終奥義とも言え、条件を満たせば狼もスキルとして修得できる。
酒
本作では四種類の酒が登場する。どぶろく、猿酒、葦名の酒、竜泉がそれである。ゲームの攻略そのものには何ら関係ないが、一心、エマ、仏師の三人にはそれぞれ酒をふるまうことができ、彼らが酒を飲むことで聞くことのできる話があり、ストーリーの考察やキャラクターのバックボーンを知る上では欠かせないアイテムである。
葦名城
城下、本城、水手曲輪、などの城郭と周辺の名残り墓、白蛇の社などの地域で構成されている。
また、谷あいには巨大な白蛇が生息し、『水』を通じて様々な場所から影響を受けている。
仙峯上人が開いた寺。
通じる道は閉ざされ、怪しげな研究を繰り返しており、蟲憑きと呼ばれる高僧たちが境内に陣取っている。
仙峯寺の僧侶たちが修得している拳法。仙峯寺で戦うことになる僧侶の殆どが、この拳法を駆使する徒手格闘の達人である。
伝書を入手することで狼もスキルを習得できる。
変若の御子
仙峯寺が作り出した異能の人間。
具体的にどのような目的で、どんな能力があるのかは不明。
かつて何人かいたらしいが今はただ一人、奥の院に生き残りがいるのみである。
葦名の深い渓谷。
近づく者に容赦なく十字砲火を浴びせる鉄砲砦、多数の巨大な仏像が並ぶ菩薩谷などからなる。
葦名城の井戸を潜り、身投げ場から飛び込むことで入れる地域。
毒だまり、隠し森、水生村などからなる。
不死の力を持つ変若水(おちみず)が流れ出る場所。
葦名の奥地にあり、竜胤の御子に関係する土地のようだ。
システム
世界観的にはダークソウルやBloodborneなどの過去作品との繋がりが指摘されているが、ゲーム性はそれらの作品とは大きく違っている。
基本的には、デモンズソウルの頃から継承されていたソウルシリーズにおなじみの要素の幾つかがオミットされる形になっており、ゲームシステムそのものが簡略化されている傾向にある。
オミットされた要素
- ロールプレイ要素
ロールプレイ要素の強かったダークソウルやBloodborneとは違い、キャラクターメイキングができず、プレイヤーはあくまでも主人公である狼のストーリーを体験することになる。
そして最大の特徴として、ステータスの振り分けが排除されており、レベルアップと言う概念が存在しない。極論、一部の必須スキルを除けばスキルを覚えなくてもラスボスにすら勝てる仕様になっている。キャラクターの操作に関しても、複雑なコマンド入力は一切存在せず、ジェスチャー機能も廃止されている。その他のアクション機能に関しても極力簡略化されており、ボタン一つで攻撃も防御も回避もできる様に設計されている。
- 耐久度とスタミナ
武器の耐久度とプレイキャラクターのスタミナと言う、一種の縛り要素もオミットされている。
特にメインウェポンである日本刀の楔丸は、強化もできず装備の切り替えもできない代わりに、破壊されるどころか傷一つつけることもできないという、ある種破格の性能を持っている。
一方で、義手忍具や不死斬りと言ったメイン以外の武器に関しては使用回数そのものに制限がかけられており、無制限に武器を使い続けることはできない。と言う要素自体は受け継がれている。
- 火防女ポジション
レベルと言う概念を撤廃したことで、レベルアップや回復薬の使用回数を増加させる火防女のポジションも本作では撤廃された。
その一方で、本作のエスト瓶に当たる傷薬瓢箪の使用回数を増加させる役目として、薬師エマが存在する。また、レベルアップはできないが、本作では残機とも言える回生が存在するしており、とある場所で手に入れることのできるアイテムを使用することで、竜胤の御子である九郎か、変若の御子の力を借りて回生の回数を増加させることができる。
- 小ネタ
ソウルシリーズにおなじみとなっているいくつかの小ネタもオミット、ないしは従来作よりも数が抑えられている傾向にある。
具体的には、爆発する樽、坂から転がってくる岩、パッチによる落とし穴イベント、エレベーター等のショートカットが特に顕著な例である。
但し、パッチによる落とし穴イベントに関しては、代替として物売りの穴山と言うキャラクターによって孤影衆の忍びと戦うというイベントになっており、エレベーターに関しては完全に取り除かれたわけではなく、仙峯寺に一台だけ設置されている。
また終盤には爆発する箱が一応登場しており、とある中ボスを倒すのに利用できる。
以上のように、従来のソウルシリーズと違い、RPG性を低くして、アクション性を高めたゲーム設計となっている。
その代わりに、プレイヤーのリアルなスキルが要求され、雑魚敵と戦うことにすら油断が許されない。
従来のフロム作品はおろか、近年のゲームソフトの流れからも完全に逆行している。
当初は、オンライン要素も完全に排除されていたが、2020年10月29日に無料アップデートを行い、ダークソウルシリーズにも使用されていた一部のオンライン要素が復活した。
それでも完全ソロプレイ特化、かつプレイヤースキルのみが物を言うゲームシステムとなっている。
本作のメインとなるゲームシステム
主にアクション性を高めるゲームシステムを多数搭載しており、特に体幹と忍殺は本作のゲームシステムの中核をなしているだけでなく、アクションゲームそのものに新しいシステムを確立したと高い評価を受けている。
- 体幹と忍殺
本作の戦闘においてキモとなるシステム。
忍殺とは、従来作における致命の一撃や、内臓攻撃にあたるが、あくまでも大ダメージを与えるだけであった従来作のそれらとは違い、忍殺は即死攻撃であり、これが決まると基本的に敵は即死する。
主人公・隻狼の攻撃は基本的に貧弱であり、敵の多くは防御に長けているため、通常攻撃だけで倒すのは容易なことではない。特に、中ボスなどのネームドキャラクターになると、攻撃力が増すだけでなく、毒や遠距離攻撃などの特殊な攻撃や、雑魚とは一味違うモーションが組み込まれるなど、倒すことの難易度が格段に上がる。特にボスキャラを始めとする一部の強敵は複数回の忍殺を必要とする。
しかし、敵に攻撃を当てる、タイミング良く弾きを決める等することで、敵の「体幹ゲージ」を溜めていくことができる。この体幹ゲージが満タンになることでガードを打ち崩して、「忍殺」攻撃を叩き込むことができる(体幹ゲージを溜めることを、俗に「体幹を削る」という)。
この体幹ゲージを溜め切った時に決めた忍殺は、敵側の残り体力ゲージがどれだけ残っていようとも0にすることができる。この為、極論すると、体幹ゲージさえ溜め切れれば、どれだけ強力なボスであろうとも、体力マックスの状態から即死させることができる。
また、敵に発見されていない状態からならば、体幹を削らずとも忍殺攻撃を打ち込むことが可能である。ゆえに道中は正面突破は避け、可能な限り見つからないようにニンジャらしくステルス行動を心がけることが基本となる。この他にも、前作で設計されたリゲインのシステムもその一部が導入されており、敵にとどめを刺す、忍殺を決めると言った要素で体力を回復させることができるようになる。
しかし、体幹ゲージは隻狼にも設定されており、これが満タンにされると逆にこちらが致命打を浴びせられる羽目になる。特に敵に攻撃を弾かれた場合、大きく体幹を削られてしまうので、何も考えずにがむしゃらに攻撃したり、ガードに頼り過ぎるのは禁物。攻めるべき時に攻め、受けられる時には受け、避けるべき時は避ける咄嗟の判断力と戦術眼が要求される。
一方、体幹の回復が非常に早い、あるいは弾きのチャンスが少ない敵も存在し、体幹よりもHPを削り切ることを意識した立ち回りが有効な場合もある。
- 義手忍具と忍殺忍術
義手忍具とは隻狼の左腕の義手に仕込まれた様々なギミックを使用したアクション要素。
『天誅』でお馴染みの鉤縄を始め、手裏剣や仕込み武器のような暗器の類まで用意されている。主に鉤縄はフィールドの移動に使用され、エレベーターやショートカット要素が撤廃された本作におけるプレイヤーの移動手段になる。
鉤縄の発動の際には、鉤縄の使用できるポイントが画面に表示され、表示に従って鉤縄を発動することで、高所への移動が可能となる。また、一部の敵には鉤縄が使用できるものが存在しており、鉤縄の使用によって一時的に行動を封じる、敵との距離を詰めるなどの戦闘の補助に使用できる。
鉤縄以外の義手忍具の発動には、「形代」と呼ばれる消費アイテムが必要となり、形代を消費することで様々な効果を持つ忍具を使用できる。忍具の種類は豊富で、敵によっては弱点となる忍具が変わってくるので、敵に合わせて使用する義手忍具を切り替えることで戦闘を有利に進めることができる。
特に手裏剣と爆竹は汎用性が高く、ほぼ効果の無い敵が存在しないので、使って損はない。ただし、あくまでも基本となるのはプレイヤー本人のプレイヤースキルなので、どれだけ剣強力な義手忍者具であっても過信はできない。
忍殺忍術は従来作における魔法や秘儀にあたり、忍殺忍術の名前通り、敵を忍殺した際に形代を消費することで使用できる。ただし、アクション要素に重点を置いている為か、本作における忍殺忍術の種類は少なく、忍殺した相手の血を使って煙幕を張る血煙の術、忍殺した相手の血を使って剣にエンチャントを施す血刀の術、忍殺した相手を操ることのできる傀儡の術の三種類しか存在していない。
他にも、形代を消費することでより強力な効果を発揮するスキルが存在するなど、本作では形代が重要な攻略の難易度に関わる重要な要素になっている。
- 危険攻撃
一部の強敵はガード不能の強力な危険攻撃を行う。
この際、「危」マークが表示され、敵の危険攻撃に合わせてジャンプやステップ、忍具などを使って的確な回避を行うことが要求される。
その危険攻撃がどのアクションで回避可能かどうかは、プレイヤー自身が敵の予備動作を観察して判断しなければならないが、上手く回避することに成功すれば、カウンターによって相手の体幹を大きく削ることのできるチャンスが得られる。
- 回生
本作において、体幹と忍殺に並ぶアクションの重要システム。
HPが尽きて死亡してしまっても、竜胤の力によって規定回数だけその場でHP半減状態で復活することができる。言わば、残機制である。また、初期状態では一回しか回生が使用できないが、あるアイテムを使用することで回生の回数を増やすことができる。
しかし、回生を使用する為には回生ゲージを消費する必要があり、これはチェックポイントである「鬼仏像」で回復できる他、敵を倒す、特定の消費アイテムを使用することで溜めることができる。
基本的には、一度死亡すると敵はこちらを倒したと思って背を向けるため、上手くやればそのまま背後から騙し討ち的に忍殺をぶちかますことができる。
一方でこの回生、通常のアクションゲームの様に無条件に使えるものではなく、一度回生を使用すると一時的に回生が使用できなくなる。この状態を解除する為には回生ゲージを溜める必要がある。この為、誰でも良いので忍殺を決めることで回生ゲージを溜めるか、回生ゲージを溜めるアイテムを使用すればいいのだが、この仕様はボス戦にも適用される。
つまり、ボス戦において回生を一度使用した場合、第一形態を倒さない限り回生は使用できない。事実上の一回しか回生できないのである。また、回生の使用回数を増やすこともできるが、それは正真正銘の一回限りであり、回生によって復活できる回数は、最大でも三回のみである。
また、ゲージを使い切るなどして回生できない状態で死亡した場合、スキルポイントや所持金が半減するデスペナルティが発生する。回生できる状態であっても、死亡状態で時間が経ち過ぎるとやはりそのまま死んでしまい、ペナルティが発生する。
本作におけるデスペナルティは、主に獲得した経験値と銭が半減すると言うものであるが、それに加えて一定確率でデスペナルティが免除される「冥助」と呼ばれる救済システムの発生確率を下げると言うものがある。
これも死亡回数が増加した場合、竜胤の呪いによってNPC達が確率で「竜咳」という病に罹っていく。この状況を解除する為には、回生ゲージを快復させるアイテムの中の一つがこの病の特効薬となる為、それを使用することで冥助の発生確率低下を解除することができる。
この回生システム、発売当初は体幹と忍殺のシステムが画期的であったことから、然程注目される要素ではなかったが、後にエルデンリングが発売されたことで、死にゲーにおいてその場で復活できることのメリットが見直される様になった。
- 残影
2020年のアップデートにより搭載されたオンライン要素。
ダークソウルシリーズにおける血痕とメッセージの機能を組み合わせたシステムで、プレイヤーの行動を記録してメッセージを添付した上で世界中に発信できる機能。
あくまでも攻略の手助けとして使用するのみで、基本的にはソロプレイに特化した本作のコンセプトを崩壊させずにオンラインを楽しめる要素なっている。
関連動画
外部リンク
関連タグ
- ベルセルク、火の鳥鳳凰編…オマージュされたと思われる作品。ベルセルクに関しては、狼と主人公ガッツの生い立ちと境遇が、鳳凰編に関しては荒れ寺の仏師が主人公の一人である我王の生い立ちと境遇が特に共通している。
- 高性能じいちゃん・高性能ばあちゃん…フロムソフトウェアおなじみの要素だが、本作では特に一心、梟、仏師、お蝶、意見は分かれるだろうが破戒僧も加えれば五人もの高性能なじいちゃんとばあちゃんがストーリーの重要な部分に絡む。
- エルデンリング…ゲーム内にSEKIROとの繋がりを示唆する設定が点々と見受けられる。ストーリーを知っていればニヤリとできるコアなものから、「葦の地・葦の国」としておおっぴらに言及されているものまである。ちなみに、開発時期的には本作とエルデンリングがほぼ同時並行で進んでいたらしい。
- モンスターハンターライズ…和風世界や翔虫という鉤縄と似たアクション、妖怪(モチーフ)など共通する部分もあってユーザー達も一時期そっくりと話題していた。梟、エマ、葦名弦一郎(サンブレイク)の声優も出演している事から一層話題に上がっていた。