概要
『ONE PIECE』に登場する、神の名を冠する古代兵器と呼ばれる存在。
島1つを消し飛ばすとも、世界を海に沈めるとも言われ、恐れられている兵器の総称で、ポーネグリフ(歴史の本文)にその在り処が記されているとされる。
あまりに強力すぎるため、世界政府は古代兵器が復活し、悪用される事を防ぐために一切の研究を禁じている一方、他派閥の手に渡る前の独占を考える過激派も出ている(スパンダムなど)。
3つとも既に名前は出てきており、その中でもポセイドンに関しては正体まで判明している。
名称はローマ神話およびギリシャ神話の神々の名、またはそこからとられた太陽系の外惑星(連載開始当時、冥王星はまだ惑星扱いだった)にそれぞれ由来する。
なお冒頭の通り作中でも「神の名を冠する」とされているが、作中世界にも同じ神話が存在するかは現状不明。
プルトン
初めてその存在が言及された古代兵器。
アラバスタ王国の地下墳墓に置かれているポーネグリフに、その在処が刻まれていた。
アラバスタ編のクロコダイル並びにミス・オールサンデー=ニコ・ロビンと、国王ネフェルタリ・コブラとの会話にてその名が登場。
クロコダイル曰く、一発の攻撃で島一つを消し飛ばすだけの力を有しているとされ、クロコダイルたちがアラバスタを手中に収めようとしたのもプルトンを手にするため為であったという。
後にウォーターセブン編にて、より詳しい内容が判明する。
その正体は、大昔にウォーターセブンの技術者達が作りあげた最強最悪の戦艦。
現存する古代兵器が他の勢力に悪用された場合、それに対する抵抗勢力が必要だと考えた当時の技師たちが設計図を残し、以後代々ウォーターセブンの船大工達の間で密かに受け継がれてきたとの事。
その設計図は、当時所有していたトムが秘密裏にアイスバーグに渡し、彼もフランキーに託し、最終的に政府の眼前でフランキーが焼き払った。
それ故、(フェイクでなければ)設計図はもうこの世のどこにも存在しない。
幼少期のフランキーとアイスバーグはもちろん、本職の船大工ではないカクやルッチが設計図をちらっと見ただけでもその恐ろしさを肌で感じるという凄まじいもので、フランキー曰く「人間が作れるとは信じ難かった」との事。
だからなのか、燃やされた場面では長期間の任務を一瞬で台無しにされてショックを受けるカリファや大騒ぎするスパンダムとは異なり、その二人はその事実を静かに受け止めていた。
その後、ワノ国編でその名が再登場。ニコ・ロビンによるとアラバスタ王国にあったポーネグリフに、プルトンの現物がワノ国にあると記されていたという。
元将軍・光月スキヤキもその存在を認め、ワノ国が開国し、島本来の姿を甦らせることでプルトンが解放されると語っている。
尚、ルフィは「プルトンは要らない」と語っており、モモの助自身も、現在カイドウとオロチの圧政によって国が荒廃した状態でワノ国を開国した場合、支配者がオロチ以上の人間の屑に代わるだけになる事は察していたので、現状は封印されたままとなった。
ポセイドン
二つ目にその存在が明らかにされた古代兵器。
ジャヤ島(現在では空島のアッパーヤード)にあるシャンドラの鐘の鐘楼に収められているポーネグリフに、その名と在処が刻まれていた。
作中の中で一番わかっていることが多い古代兵器。
その正体は魚人島の王族に数百年に一度生まれてくるとされる人魚の二つ名を指す。
リュウグウ王国の歴代の人魚姫の中にその該当者がおり、現代ではしらほしがその力を宿している。
このポセイドンの力を宿す者は海王類と言葉を交わして自在に操ることが出来る力を持ち、悪意を持って使えば世界を海に沈めることも可能な力であるらしい。
また、魚人街に沈む箱舟「ノア」は海王類たちが引くことを前提に造られたらしく、海王類たちはしらほしのことを「生まれたときから僕たちの王」「君が生まれてくるのをずっと待っていた」とのこと。
実際、ネプチューンがオトヒメと結婚する前から、幼いシャーリーはポセイドンが自分たちの代で顕現することを言い当てている。
しらほしよりも前任の”ポセイドンの力を持つ”人魚姫には空白の百年の間に存命中だったものが居り、彼女は謎の人物「ジョイボーイ」と面識がある模様。
なおリュウグウ王国の国王ネプチューンの名は、ローマ神話における海の神ネプトゥーヌスの英語形である。また、ギリシア神話のポセイドンと同一視される事もある。
ウラヌス
最後に言及された古代兵器。
現状最も謎に包まれており、魚人島編にて名前が初登場するも、それ以降主だった情報は出てきていない。
考察
最強最悪の戦艦と称されたプルトンだがなぜか軍艦ではなく戦艦とかっこで囲われて明記されている。
もちろん作者の尾田栄一郎氏の間違いやミスリードの可能性もあるがフランキーやアイスバーグたちが「何のためにこんなものを…」「こんなもん…人間に造れんのか…」と言っていたことから、あの世界における一般的な軍艦ではなく21世紀を生きる我々のよく知る形の戦艦、あるいは我々すら作り出せていないものである可能性がある。
扉絵連載「エネルのスペース大作戦」では月に辿り着いたエネルが「月から逃れてきた民の名前が、嘗ての故郷ビルカと同じ名前である」という壁画を見つけているが、この壁画には「巨大な船」と「海に浮かぶ生き物」が描かれていた。
上記の古代兵器の内容が判明してからは読者の間で考察が進み、「巨大な船→プルトン」・「海の生き物→海王類→ポセイドン」ではないかと考えられている。そしてこの壁画にはもう1つ「太陽のようなもの」が上部に描かれている。
(現在では海王類が引く巨大な船という壁画の要素と酷似した特徴を持つ箱舟「ノア」の可能性も浮上している。)
仮に上記の説が正しい場合、ウラヌスの元ネタとされる存在が天空の神である事が根拠となり、この太陽らしきものがウラヌスであり、もしウラヌスが太陽のような機能を備えているとした場合、常に昼間のままの島が関係しているのではないかと言われているが...?
新世界編になってから判明した様々な事実により、古代兵器も更に考察が深まっている。
その中でも「地図から消えた島」ゴッドバレーについて、古代兵器との関連性が疑われている。
ゴッドバレーではかつて世界最強最悪の海賊ロックス率いるロックス海賊団と、後の海軍の英雄モンキー・D・ガープ、海賊王ゴールド・ロジャーとの間で激戦が繰り広げられていた。ロックスはここでガープ・ロジャーのコンビに討たれ、船長を失ったロックス海賊団は崩壊する事になった。
...のだがその後、ゴッドバレーは島ごと跡形も無く消滅し、地図からも存在が消えてしまったのである。
後にセンゴクはこの島を「世界政府が隠したがっていた島」と語り、当時島にはロックスだけでなくなぜか天竜人と奴隷達も居り、それらをロックスから守るためにガープとロジャーが一時共闘することになったのである。
島が消滅した事、島に天竜人がいた事、ロックスは世界の禁忌に触れすぎた事。この3つの要素によって、以下の説が考えられている。
- ロックスが古代兵器を手に入れようとして失敗した説
- 当時ゴッドバレーに古代兵器の1つが存在していたと仮定し、ロックスは天竜人を脅迫する形でゴッドバレーに辿り着き、そこにあった古代兵器が使用されたことで島が消滅した、という説。
- 単にロックスが使用した、ロックス残党が道連れにしようとした、ガープ・ロジャーに助けられた天竜人が隙をついて古代兵器を強奪し、秘密を知ったガープ・ロジャーをロックス諸共消そうとした、等の推測がなされている。この説ではゴッドバレーにはプルトンが保管されていて、「アラバスタのポーネグリフはゴッドバレーを指していた」、「クロコダイルのセリフはこの時にゴッドバレーが消滅したことが噂になって伝わった」、という推測がなされていた。
- 後にワノ国編にてプルトンの所在・アラバスタのポーネグリフの示す場所が判明し、プルトン説は否定された。このため可能性があるのはウラヌスのみとなっている。
- 世界政府が古代兵器を使用して島を消滅させた説
- 実は世界政府が既に古代兵器を保有していて、禁忌に触れすぎたロックスを、隠滅させたかったゴッドバレーごと都合よく消滅させるために兵器を使用した、という説。
- これは政府がかつてプルトンの設計図を入手しようとしたのは「古代兵器復活による世界滅亡を防ぐため」ではなく、「政府が保有する古代兵器に対抗する力が生まれないようにするため」ではないかという考察に関連付けている。
- この説で深く関係するのは先の壁画。もしも壁画の考察通り太陽のようなもの→ウラヌスだった場合、政府は既にウラヌスを保有していて、それを使い天空からの攻撃によって島を消滅させたのではないか、と考察されている。
- なぜプルトンではなくウラヌスを保有していたと考えるのか、については、先の「常に昼間の島」が世界政府の直轄地である事、島には底が見えない巨大な大穴が開いている事などから、「上空に太陽の代わりになるもの→ウラヌスが存在していて、その力が使用された結果大穴ができたのではないか」、という推測がなされている。
- またプルトン(=ハデス)とポセイドンはそれぞれ神話においては兄弟でほぼ同格の関係にあるのに対し、ウラヌスはそれらの祖父にあたる関係であるため、他2つとは状況が異なるのではないか、とも考えられている。
ワノ国編にて現存するプルトンの所在が判明したため、どちらの仮説もウラヌスに収束されたことになった。