渡辺綱(Fate)
わたなべのつな
プロフィール
日本最強クラスの鬼殺し。豆まきをしなくても勝手に鬼が逃げるレベル。
概要
『Fate/Grand Order』に登場するセイバーのサーヴァント。レアリティは☆4。
第2部 第5.5章「地獄界曼荼羅 平安京」にて登場及び恒常サーヴァントとして実装。
以前より因縁の相手である茨木童子の発言やマテリアル、上司である源頼光や同じく頼光四天王である坂田金時による言及により存在及びその登場は示唆されていたが、日本出身サーヴァントにフォーカスが当たる平安時代舞台のシナリオで遂にその姿を現した。
真名
渡辺綱。天暦7年(953年)に武蔵国足立郡箕田郷(現在の埼玉県鴻巣市)で生まれ、万寿2年(1025年)に没した。
日本の平安時代中期の武士であり、源頼光に仕えた。その名だたる剛勇ぷりから頼光四天王の筆頭として知られた人物。
先祖の源融は『源氏物語』の主人公の光源氏の実在モデルとされ、綱もまた美男子として有名であったとされる。
「大江山の酒呑童子退治」や、京都の一条戻橋の上で鬼の腕を源氏の名刀「髭切りの太刀」で切り落とした逸話で有名。
人物
冷静沈着な鬼殺しとしてその名を馳せた、やや無口な四角四面の堅物。
頼光の信任が最も厚い武士であり、純粋な人間としては「人界最強の武者」とまで言われている。四天王の他三人である金時、碓井、卜部からも兄のように慕われていた。
現代に生まれていれば仕事を完璧にこなすビジネスマン(常に定時退社)。鍛錬を怠らず、技量を向上させ続ける怪物的な人間。人の営みは理解しているが、自分がそこに交わろうとは思わず、生粋の人間でありながらヒトという枠組みに自己を置いていない。
幼いころからの欠落者であり、鬼を斬ることが自分を人間らしく見せていると認識しており、鬼を殺すことに憎悪や特別な感情はない。
ただひとりの鬼を除いて…。
鬼も種族丸ごと嫌っているわけではなく、あくまで斬る必要があるから切っているだけで、必要が無いならやりたくないと語る彼なりの善性も秘めている。
本人は魔性以外の相手は苦手であるとしているが、それも、人間相手では加減が難しいからという理由である。
真面目一辺倒だがある程度の社交性・柔軟性もあり、人と鬼を分けるものは血ではなくその生き方であると考え、鬼の血を引いていようとも人であろうとする者に敵意を向ける事はない。
第一〜第二再臨は漆黒の軍服風の西洋上着の上に白の狩衣とマントを羽織った検非違使装束で、第二では垂纓冠を被っている。
第三〜最終再臨では髪が少し伸びて灼熱色のグラデーションカラーになり、炎を纏うようなエフェクトが入る。これは宝具・鬼切安綱の影響らしい。
ホワイトデー2021イベント「聖杯怪盗天草四郎」ではメインキャラとして参戦。そこで「宮内庁の渡辺です」と(真顔で)言って人を騙すシーンがある。
彼のこの一言は「語呂が良い」「あながち嘘ではないから面白い」と主に女性に刺さり、単体絵は勿論、同イベントに出ていた斎藤一との現代パロディ絵にも発展しTwitter上を賑わせた。
ちなみに「嘘ではない」のソースについては、彼が当時所属していた大内裏が現代で言う所の『宮内庁』に値することと、2020年まで宮内庁所属の外交官に渡辺という苗字の人が実際にいたことに由来する。
能力
ステータス
筋力 | 敏捷 | 耐久 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|
B+ | A+ | C | C | B | B |
保有スキル
対魔力(A) | 魔術への耐性。ランクAでは魔法陣及び瞬間契約を用いた大魔術すら完全に無効化してしまい、事実上現代の魔術師が彼を傷付けるのは不可能。 |
---|---|
騎乗(B) | 騎乗の才能。ランクBでは魔獣・聖獣ランク以外なら乗りこなせる。 |
無窮の武錬(対魔)(A-) | 相手が魔性のものである限り、彼の武芸は些かも揺らぐことはない。対鬼種、魔性のエキスパート……だが、とある事情によりわずかながらランクダウンしている。 |
水天の徒(B) | 渡辺党の祖である綱は、水霊の鎮魂や水難防止などに携わっていた呪術師であった、という説がある。文字通りに水の脅威から身を守り、同時に水を慰撫する。 |
一条戻橋の腕斬(EX) | 京は一条戻橋での逸話がスキルとして昇華されたもの。人を凌駕する身体能力を持つ鬼種に対し、何の反応もさせずに腕を切断した、剣士としての技量の一つの到達点。攻撃の起こりを不可視とし、あらゆる回避を不可能とする。 |
大江山・菩提鬼殺(おおえやま・ぼだいきさつ)
- ランク:A
- 種別:対鬼宝具
- レンジ:1
- 最大捕捉:1人
「斬りに行く、援護を。」
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前――我が剣、魔性を斬る物。『大江山・菩提鬼殺(おおえやま・ぼだいきさつ)』!!……燃えろ、罪障が消滅する。」
詳細は該当記事を参照。
鬼切安綱(おにきりやすつな)
- ランク:C
- 種別:対人宝具
- レンジ:1
- 最大捕捉:1人
元は頼光から護り刀として預かった源氏重代の名剣、以前の名は髭切。鈴鹿御前との戦いに使用されたとも。
茨木童子の腕を切断した後しばらくして、髭切から『鬼切』へと改名した。
対魔・対鬼への特攻を持ち、鞘から抜かれたこの剣を見ただけで、鬼種は無条件にランクBの重圧を受ける。ランクB以上の精神汚染、狂化、あるいは精神防護系のスキルがない限り、重圧からは解放されない。
『FGO』では基本的に通常武器としてしか使用されず、平安時代舞台のシナリオでは丁度茨木の腕を切断して間もない時期であることと、切断した経緯が正史と異なるためか、終始『髭切』と呼ばれる。
関連人物
生前
主君かつ『鬼切安綱』の元々の持ち主。敬意を払っておりカルデアでもその態度は崩さない。
夏の風紀員である水着の彼女については、やや困惑しつつやはり敬意を払っている。
弟分の同僚。現代に毒された彼にはやや呆れ気味。
碓井貞光、卜部季武
同僚の内、残り二人。
現時点での関係性は不明。
彼女からは宿敵として扱われている。綱としては、会わないほうが彼女の為とできるだけ顔を会わせないようにしている模様。
生前の人間関係や茨木と遭遇した経緯も相まって、金時と酒呑の二人に負けず劣らずなレベルの複雑な関係となってしまっている。その上、勝利時と戦闘不能時に茨木へ宛てたボイスが一つずつ用意されている。
自由にさせてはいい鬼ではないと認識し警戒している。
Fate/Grand Order
契約したマスター。
人の営みに混じれない自分を重用してくれる彼/彼女には深く感謝している。
第2部第5.5章で召喚したサーヴァント。
彼女の有用性と聡明さを信頼し、副官的立場に据える。メディアも自身の来歴を恐れず、実直な綱へ献身を尽くした。
一見理想的な主従関係だが、メディアの存在は綱のある琴線に触れ、彼を駆り立てる結果となる。
二人の共通点を見出すなら「目の前の相手を見ているようで見ておらず、のちの悲劇につながった」といったところだろう。原因も共通している。
鬼界のアイドルを自称する彼女を「立派なトカゲ」と褒めて怒らせている。
盛りに盛った彼女の事は「鬼とは言えない」と判断している。
マイルーム会話ではその太刀筋を大絶賛されている。
ちなみに自身の所持刀『鬼切安綱』の弟刀にあたる「膝丸(薄緑)」を所有しているのだが、そこについて言及はない。
頼光に「綱と同じく金時の良い兄分になる」とされた人物。特に絡みは無く、豪放磊落な人物像は綱とは正反対と言えるが、人間としての正しい規範としてなら共に目標に値する人物ではある。
余談
『氷室の天地』では、蒔寺楓から勝手にマグロ投げ(“ツナ”・トス)の英霊にされている。容姿も全く異なっており、鎧姿のおじさんであった。
現代でも『渡辺性の人達は節分の豆まきが必要ない』と言われるほどの鬼特攻エピソードに事欠かない人物なため、一部のマスター達からは「魔性も除(よ)けて通る」と言う意味を込めて『綱魔除鬼斬(つなまよおにぎり)』の愛称で呼ばれている。そのせいか某所持刀の付喪神ゲームをやっていないマスターの中で、ダメ元でツナ缶を触媒にしたら来た。というビックリ報告が上がっているらしいとか・・・・・
担当声優の赤羽根氏はカドック・ゼムルプス役以来の出演で、サーヴァントは初担当となる。
実装が発表された「カルデア放送局vol.15」出演時は知らないふりをして伏せていたものの、MCのマフィア梶田氏とゲスト出演の川澄綾子氏が「かっこいい声」と評した直後、スタジオのカメラが一瞬赤羽根氏をアップで映し、その隣で開発ディレクターのカノウヨシキ氏が我慢できず苦笑していたこともあり、多くのマスターには綱を担当したことが実装前にバレていた。
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この先ネタバレ注意!
綱と茨木童子の因縁は深く、その背後関係は極めて複雑なものである。
特に茨木の背景についてはマテリアルⅣや紅閻魔の幕間、果ては水着茨木のONIランドでの台詞など複数の期間限定要素に混入されているため、それらを統合しないと読み解けないのが、理解しづらさに拍車をかけている。
綱には、かつて想っていた女性がいた。彼女を守れるなら、それでいいと思うほどに。
しかし女性はある時を境に、父にあてがわれた屋敷へこもりきりとなる。
そして、幾年が過ぎた時…その屋敷は惨劇に見舞われる。
住民は皆鬼に襲われたかのように惨殺され、遺体と「小さな足跡」だけが残された。
この時になってようやく、綱は彼女に対する想いに気づくも、時すでに遅し。
彼に残されたことはただ一つ。鬼を斬ることのみであった。
そんな彼が、鬼殺しを極め金時にも厳しく武者を説く男が、何故か大江山の鬼の首魁・茨木童子には刃を納めこう問いかける。
「未だ、何ひとつ思い出せないのか」
「『あの屋敷』で何があったのか――――」
茨木童子は自分自身を生粋の鬼だと思っているが、紅閻魔によれば彼女は人間から鬼になった存在である。
そして茨木には弱点があった。
武者や検非違使、すなわち自分に立ち向かってくる相手しか斃せない。
平安京では酒呑とパラケルススの策謀によりこの禁を破って、無抵抗な童女を斬った結果、恐慌状態になってしまう。
また、目の見えないものが色鮮やかな絵を描こうとするかのように、
「できないことをしようと、努力し続けたことがあるような気がする」と語り
狭くて高い場所が苦手だと感じながら、自身はそれらの理由を忘れていること。
「母上の笑顔が苦手」「一度も見たことがなかったから」など語る彼女の背景を統合すると……
茨木の意識がこの一点に触れかけると、あの酒呑童子ですらフォローに回るほどの禁忌となっている。
一方で、平安京では金時の口から鬼の性質らしきものが語られる。
曰く、「鬼は必ず反転する」。
見事と称えた屋敷を毀す。愛着もった宝を潰す。
つまり、鬼種の愛情、愛着の末路は遅かれ早かれ定まっている。
以上を踏まえると、仮に綱の憧れた貴人を殺害したのがその娘たる茨木であったとしても
できないことを成そうと耐え続けた、その根底にあったものが結末の残酷さを深めている。
そして綱もそれを知覚しているようで、幾度も茨木を見逃し、更には彼女に対する彼の眼差しには失われた尊さの欠片を慈しむような気配があるという。
いずれにしても二人の背景(特に綱)は平安京が初出であり、これからさらに掘り下げがあるもの、と思われる。どうあがいても絶望とか言ってはいけない。