プロフィール
日本最強クラスの鬼殺し。豆まきをしなくても勝手に鬼が逃げるレベル。
概要
『Fate/Grand Order』に登場するセイバークラスのサーヴァント。レアリティは☆4。
第2部5.5章『地獄界曼荼羅 平安京』にて登場及び恒常サーヴァントとして実装された。
以前より因縁の相手である茨木童子の発言やマテリアル、上司である源頼光や同じく頼光四天王である坂田金時による言及により存在及びその登場は示唆されていたが、日本出身サーヴァントにフォーカスが当たる平安時代が舞台となるシナリオにおいて、遂にその姿を現した。
真名
日本の平安時代における武士にして頼光四天王の1人、「渡辺綱」。
天暦7年に武蔵国足立郡箕田郷(現在の埼玉県鴻巣市)で生まれ、万寿2年に没した。
日本の平安時代中期の武士であり、源頼光に仕えた。その名だたる剛勇ぷりから頼光四天王の筆頭として知られた人物。先祖の源融は『源氏物語』の主人公の光源氏の実在モデルとされ、綱もまた美男子として有名であったとされる。頼光や他の四天王との「大江山の酒呑童子退治」や、京都の一条戻橋の上で鬼の腕を源氏の名刀「髭切りの太刀」で切り落とした逸話で有名である。
人物
一人称は「俺」。
冷静沈着な鬼殺しとしてその名を馳せた、やや無口な四角四面の堅物。
頼光の信任が最も厚い武士であり、純粋な人間としては「人界最強の武者」とまで言われている。四天王の他三人である金時、碓井、卜部からも兄のように慕われていたという。
現代に生まれていれば仕事を完璧にこなすビジネスマン(常に定時退社)。
鍛錬を怠らず、技量を向上させ続ける怪物的な人間。人の営みは理解しているが、自分がそこに交わろうとは思わず、生粋の人間でありながらヒトという枠組みに自己を置いていない。
幼いころからの欠落者であり、鬼を斬ることが自分を人間らしく見せていると認識しており、鬼を殺すことにこれと言って憎悪や特別な感情は持っていない。ただひとりの鬼を除いて……
鬼も種族丸ごと嫌っているわけではなく、あくまで斬る必要があるから切っているだけで、必要が無い(悪しき鬼でない)ならやりたくないと語る彼なりの善性も秘めている。本人は魔性以外の相手は苦手であるとしているが、それも、人間相手では加減が難しいからという理由である。
真面目一辺倒だがある程度の社交性・柔軟性もあり、人と鬼を分けるものは血ではなくその生き方であると考え、鬼の血を引いていようとも人であろうとする者に敵意を向ける事はない。
第一〜第二再臨は漆黒の軍服風の西洋上着の上に白の狩衣とマントを羽織った検非違使装束。
第三〜最終再臨では髪先が少し伸びて灼熱色のグラデーションカラーになり、炎を纏うようなエフェクトが入るようになる。これは宝具・鬼切安綱による影響らしい。まさか……
2021年ホワイトデーイベント『聖杯怪盗天草四郎』ではメインキャラとして参戦。途中から追加された同行人員として参戦しており、そこで「宮内庁の渡辺です」と(真顔で)言って人を騙すシーンがある。彼のこの一言は「語呂が良い」「あながち嘘ではないから面白い」と主に女性に刺さり、単体絵は勿論、同イベントに出ていた斎藤一との現代パロディ絵にも発展しTwitter上を賑わせた。
ちなみに「嘘ではない」については、彼が当時所属していた大内裏が現代で言う所の『宮内庁』に値することと、2020年まで宮内庁所属の外交官に渡辺という苗字の人が実際にいたことに由来。
能力
戦闘においては、日本刀「鬼切安綱」を用いる。
モーション中では、刀身に炎を纏わせた剣撃を主体とする他、赤い光と共に回転斬りを放ったり、刀の振りに合わせて火炎を飛ばして敵を焼き尽くしたりという攻撃も披露している。
ステータス
マスター | 筋力 | 敏捷 | 耐久 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|---|
藤丸立香 | B+ | A+ | C | C | B | B |
保有スキル
対魔力(A) | セイバーのクラススキル。魔術に対する抵抗力。Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師が彼を傷付けるのは不可能。 |
---|---|
騎乗(B) | セイバーのクラススキル。乗り物を乗りこなす能力。これは「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルである為、生物・非生物を問わない。Bランクでは、魔獣・聖獣ランク以外なら乗りこなす事が可能となる。 |
無窮の武錬(対魔)(A−) | 相手が魔性のものである限り、彼の武芸は些かも揺らぐ事は無い。対鬼種、魔性のエキスパート……だが、とある事情により僅かながらランクダウンしている(マイナスが付与)。それは、はたまた未練の為か……? |
水天の徒(B) | 渡辺党の祖である綱は、水霊の鎮魂や水難防止などに携わっていた呪術師であった、という説がある。文字通りに水の脅威から身を守り、同時に水を慰撫する。キャスタークラスへの適性があるかどうかは不明である。 |
一条戻橋の腕斬(EX) | 京は一条戻橋での逸話がスキルとして昇華された。人を凌駕する身体能力を持つ鬼種に対し何の反応もさせず腕を切断した、剣士としての技量の一つの到達点。攻撃の発動を不可視とし、あらゆる回避を不可能とする。 |
宝具
大江山・菩提鬼殺(おおえやま・ぼだいきさつ)
- ランク:A
- 種別:対鬼宝具
- レンジ:1
- 最大捕捉:1人
「斬りに行く、援護を。」
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前――我が剣、魔性を斬る物。『大江山・菩提鬼殺(おおえやま・ぼだいきさつ)』!!……燃えろ、罪障が消滅する。」
一条戻橋にて茨木童子の腕を斬り落とした逸話が昇華された。渡辺綱は決して魔術師などではなかったが、こと鬼に対してのみ、九字切りなどで自身への暗示をかけ、一撃で絶殺することが可能になった。頼光や金時とは違う、人としての技量のみで行う「対人魔剣」にも等しい鬼殺し。
詳細は該当記事を参照。
鬼切安綱(おにきりやすつな)
- ランク:C
- 種別:対人宝具
- レンジ:1
- 最大捕捉:1人
元は頼光から護り刀として預かった源氏重代の名剣、以前の名は髭切。鈴鹿御前との戦いに使用されたとも。茨木童子の腕を切断した後しばらくして、髭切から「鬼切」へと改名した。
対魔・対鬼への特攻を持ち、鞘から抜かれた剣を見ただけで、鬼種は無条件にBランクの重圧を受ける。それ以上の精神汚染、狂化、精神防護系のスキルがない限り、重圧からは解放されない。
『FGO』では基本的に通常武器として使用し、平安時代舞台のシナリオでは丁度茨木の腕を切断して間もない時期であることと、切断した経緯が正史と異なるためか、終始「髭切」と呼ばれる。
ゲーム上での性能
カード | A:2 B:2 Q:1 |
---|---|
スキル1 | 無窮の武練(対魔) A-:自身のバスターのスター集中度アップ(3T/300〜600%)&クリ威力アップ(3回/3T/30〜50%) |
スキル2 | 水天の徒 B:自身に回避を付与(1T)&アーツのスター集中度アップ(1T/300〜600%)&NP獲得量アップ(1T/30〜50%) |
スキル3 | 一条戻橋の腕斬 EX:自身のバスター性能アップ(3T/20〜40%)&必中を付与(3T)+敵全体のクリ発生率ダウン(3T/10〜20%) |
宝具 | 大江山・菩提鬼殺:自身に魔性特攻を付与(1T)+敵単体に超強力な鬼特攻攻撃(200%) |
もはや伝承からして言わずもがな「悪鬼絶対殺すマン」。
それを象徴する宝具は他の特攻宝具とは一線を画す200%の倍率(他は大抵150%止まり)を誇っているだけでなく、オーバーチャージ(NP200%以上or宝具チェイン2回目以降)でアップする魔性特攻によって通常攻撃にも特攻が乗るため宝具を絡めたエクストラアタックはレアリティ詐欺も甚だしい脅威の数値をたたき出す(鬼特性持ちが全員魔性特性を持っているわけではない点は注意)。
特に人生最大の未練にして怨敵、その水着姿、チアガールになった相方の別側面、白無垢のティラノサウルスにはクラス相性も相まって洒落にならないダメージを与えることができる。
保有スキルも3つとも優秀なものが揃っており、攻撃に特化させたいならS1、NP回収や回避をしたいならS2を切るといった感じでそれぞれ棲み分けができており、S3は攻撃性能を上げつつ敵からのクリティカル事故を対策することもできるため、器用な立ち回りが可能なのが◎である。
ただ、弱点として彼は自分で即時スターを生産する術がない(騎乗はBと高めなのでQBBで結構稼げたりはする)。そのため、その辺りはBクリティカルの鉄板サポーターのマーリンや手札ロックしながらスターを生産してくれる水着BB、B性能アップにスター生産だけでなくスキルで人属性特攻を付与してくれる光のコヤンスカヤなどがコンビを組むサポート相手として望ましい。
また、一応回避こそ持っているものの、宿敵の方は宝具に強化解除を持つため、宝具自体は防げてもその後の(運が悪ければ)クリ殴りであっけなく落ちる場合もある。注意しよう。
関連人物
生前
主君かつ「鬼切安綱」の元々の持ち主。敬意を払っておりカルデアでもその態度は崩さない。
夏の風紀委員である水着の彼女については、やや困惑しつつやはり敬意を払っている。
弟分である頼光四天王の同僚。現代に毒された彼にはやや呆れ気味。
ギャグ時空では頼光への対応において息ピッタリなやり取りを見せる。
頼光四天王の同僚の内、未登場の残り2人。
現時点での関係性は不明であるが、慕われていたらしい。
生前腕を斬り落とした鬼で、彼女からは宿敵として扱われている。
綱としては、会わないほうが彼女の為とできるだけ顔を会わせないようにしている模様。
生前の人間関係や茨木と遭遇した経緯も相まって、金時と酒呑の2人に負けず劣らずなレベルの複雑な関係となっている。その上、勝利時と戦闘不能時に茨木へ宛てたボイスが1つずつある。
茨木の上司にして、金時と因縁深い鬼の頭領。
自由にさせてはいい鬼ではないと認識しており、警戒している。
また、金時に任せようかとも思ったがそれはそれで厄介なことになるとも。
生前討伐した元人間の鬼女。元夫の再婚相手への嫉妬で鬼に変じた。
恋敵を殺した後見境なく殺戮を続ける彼女を、安倍晴明と共に討伐したとされている。
Fate/Grand Order
契約したマスター。基本的に「主殿」と呼んでいる。
人の営みに混じれない自分を重用してくれる彼/彼女には深く感謝している。
第2部5.5章において、天覧聖杯戦争で召喚したサーヴァント。
彼女の有用性と聡明さを信頼し、副官的立場に据える。メディアも自身の来歴を恐れず、実直な綱へ献身を尽くした。一見理想的な主従関係だが、メディアの存在は綱のある琴線に触れ、彼を駆り立てる結果となる。2人の共通点を見出すなら「目の前の相手を見ているようで見ておらず、それを自覚できずに後の悲劇につながった」といったところだろう。具体的な原因も共通している。
初見では鬼と勘違いしたが、恐らくJAPANへの反応と思われる。
鬼界のアイドルを自称する彼女を「立派なトカゲ」と褒めて怒らせている。
平安時代出身で、鬼殺しのセイバークラス繋がり。
彼女も鬼の特性を持っているのであるが、角では無く狐耳と尻尾を持ち、携帯電話を持って制服を着込んでいるという盛りに盛った彼女の事は「鬼とは言えない」と判断している。
セイバークラス仲間にして、上述の酒呑童子の別側面。
討伐するならば、命懸けの任務になるだろうと危機感を抱いている。
マイルーム会話ではその太刀筋を大絶賛されている。ちなみに自身の所持刀「鬼切安綱」の弟刀にあたる「膝丸(薄緑)」を所有しているのだが、そこについて言及は今のところない。
頼光に「綱と同じく金時の良い兄分になる」とされた人物。特に絡みは無く、豪放磊落な人物像は綱とは正反対と言えるが、人間としての正しい規範としてなら共に目標に値する人物ではある。
余談
『氷室の天地』では、蒔寺楓から勝手にマグロ投げ(“ツナ”・トス)の英霊にされた。
設定ができる前なので、当然ながら容姿も全く異なっており、鎧姿のおじさんであった。
現代でも「渡辺性の人達は節分の豆まきが必要ない」と言われるほどの鬼特攻エピソードに事欠かない人物なため、一部のマスター達からは「魔性も除(よ)けて通る」と言う意味を込めて「綱魔除鬼斬(つなまよおにぎり)」の愛称で呼ばれている。そのせいか某所持刀の付喪神ゲームをやっていない又は所有刀がいないマスターの中で、ダメ元でツナ缶を触媒にしたら来たらしいとか……
彼が実装されたのとほぼ同時期に『歴史秘話ヒストリア』にて「鬼」特集が放送され(当時の某鬼退治漫画のブームにあやかったもの)、奇しくもその中で渡辺綱のエピソードも紹介されていた。
担当声優の赤羽根氏はカドック・ゼムルプス役以来の出演で、サーヴァントは初担当となる。
実装が発表された『カルデア放送局vol.15』出演時は知らないふりをして伏せていたものの、MCのマフィア梶田氏とゲスト出演の川澄綾子氏が「かっこいい声」と評した直後、スタジオのカメラが一瞬赤羽根氏をアップで映し、その隣で開発ディレクターのカノウヨシキ氏が我慢できず苦笑していたこともあり、多くのマスターには綱を担当したことが実装前にバレていた。
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個別
Fate/GrandOrder Cosmos_in_the_Lostbelt
以下、彼と茨木童子の関係についてのネタバレ注意!
綱と茨木童子の因縁は深く、その背後関係は極めて複雑なものである。特に茨木の背景については『Material Ⅳ』や紅閻魔の幕間、果ては水着茨木のONIRANDでの台詞など複数の期間限定要素に混入されているため、それらを統合しないと読み解けないのが、理解しづらさに拍車をかけている。
綱には、かつて想っていた女性がいた。彼女を守れるなら、それでいいと思うほどに。
しかし女性はある時を境に、父にあてがわれた屋敷へこもりきりとなる。
そして、幾年が過ぎた時……その屋敷は惨劇に見舞われることに。
住民は皆鬼に襲われたかのように惨殺され、遺体と「小さな足跡」だけが残された。
この時になってようやく、綱は彼女に対する想いに気づくも、時すでに遅し。
彼に残されたことはただ1つ。鬼を斬ることのみであった。そんな彼が、鬼殺しを極め金時にも厳しく武者を説く男が、何故か大江山の鬼の首魁・茨木童子には刃を納めこう問いかける。
「未だ、何ひとつ思い出せないのか」
「『あの屋敷』で何があったのか――」
茨木は自分自身を生粋の鬼だと思っているが、紅閻魔によれば人間から鬼になった存在である。そして茨木には弱点があった。武者や検非違使、すなわち自分に立ち向かってくる相手しか斃せない。平安京ではこの禁を破って、無抵抗な童女を斬った結果、恐慌状態になってしまう。
また、目の見えないものが色鮮やかな絵を描こうとするかのように「できないことをしようと、努力し続けたことがあるような気がする」と語り、狭くて高い場所が苦手だと感じながら、それらの理由を忘れていること。「母上の笑顔が苦手」「一度も見たことがなかったから」など語る彼女の背景を統合すると……茨木の意識がこの一点に触れかけると、酒呑ですらフォローに回る。
一方で、平安京では金時の口から鬼の性質らしきものが語られる。
曰く、「鬼は必ず反転する」。見事と称えた屋敷を毀す。愛着もった宝を潰す。
つまり、鬼種の愛情、愛着の末路は遅かれ早かれ定まっている。
以上の情報を踏まえると、仮に綱の憧れた貴人を殺害したのがその娘たる茨木であったとしてもできないことを成そうと耐え続けた、その根底にあったものが結末の残酷さを深めている。そして綱もそれを内心では知覚しているようで、仕留められる機会でも幾度も茨木を見逃してしまい、更には彼女に対する彼の眼差しには失われた尊さの欠片を慈しむような気配があるという。
いずれにしても2人の背景(特に綱)は平安京が初出であり、これからさらに掘り下げ(恐らく未開放の幕間)があるもの、と思われる。どうあがいても絶望とか言ってはいけない。