「果敢無き哉...」
「この国に必要なのは防人ではなく“護国の鬼”ッ!儂は死んで護国の鬼とならん!そしてお前も!」
CV:麦人
概要
日本国家を裏から支える風鳴の一族の長にして、第二次大戦中の諜報機関『風鳴機関』を前身とする特異災害対策機動部二課(後の超常災害対策機動部タスクフォースS.O.N.G)の初代司令官。
シンフォギア装者の1人である風鳴翼の祖父(血縁上は父)にして、内閣諜報員風鳴八紘とその弟である風鳴弦十郎の父でもある。
「有象無象の民草よりも、国家基盤そのものの守護を優先する」という強い国粋主義の持ち主で、「国家という枠組みを守るためなら、そこに住まう民が全て死に絶えようがどうでも良い」と言い切る冷酷非情な人物でもある。
その一環として、風鳴の血を濃く残すべく八紘の妻を寝取り、翼を産ませた上で自身の後継者に指名するなど、目的のために手段を選ばない。
一方、その苛烈な性格故か、手段を選ばぬ行いというのも「堂々と約束を破る」「拠り所を皆殺しにして心を揺さぶる」といった強引かつ力押しなものが殆どで、奸計を巡らす老獪というには相当に杜撰な点が散見される。
劇中での活躍
第1期以前~戦姫絶唱シンフォギアG
劇中には登場していないが、設定自体は第1期のころから存在しており、公式サイトの用語集にも名前が確認できる。
ストーリー開始のおよそ10年前、風鳴機関が特異災害対策機動部二課として新たに編成され、その長に就任。しかし、それと前後して二課が保有する第2号聖遺物イチイバルを紛失し、責任を取る形で辞任した。公式に明言こそされていないが、イチイバルの行方からいってもフィーネの策略であることはほぼ間違いないだろう。
以後は完全に歴史の表舞台から退き、後任として公安警察官であった若き日の弦十郎が収まり今日に至る。引退して以降も、風鳴機関およびS.O.N.G.対して、多大な影響力を有している模様。
戦姫絶唱シンフォギアGX
後ろ姿が登場したのみ。AXZとは髪型が違っているため、細かいデザインが決まっていなかったのかもしれない。
また、弦十郎の兄である八紘が初登場し、風鳴家の家庭事情にスポットライトが当たる。
9話で翼が実家に戻った際には、翼の血縁上の父であることが明かされた。
その鬼畜ぶりには、同行したマリアも「人の道を外れたか」と嫌悪をあらわにしている。
戦姫絶唱シンフォギアAXZ
4話にて、声とシルエットのみであったが初登場。閉鎖区域へ敵の侵入を許した上に取り逃したことに憤り、弦十郎を叱責した。その夜、装者たちの奮戦も及ばず、松代の風鳴機関本部はアダムによって壊滅させられてしまう。
この問題を受け、5話では鎌倉の屋敷に弦十郎・八紘・翼を招致し、訃堂も本格的に登場。護国災害派遣法の即時施行を命じ、その権力の強大さを見せつけた。錬金術師に敗北した翼にも、辛辣な言葉をぶつけている。
ディバイン・ウェポンの顕現により国連の軍事介入が予想された際には、ついに自ら「真の防人」として行動を開始。護国災害派遣法の下に自衛隊を動かし、神の力に取り込まれた立花響を抹殺しようとする。しかし、半端な砲撃は破壊神ヒビキの覚醒を促進する結果となり、S.O.N.Gの介入もあって自衛隊は撤退に追い込まれた。
事件は装者たちの活躍によって無事に解決を見たものの、目の当たりにした神の力を「日本の守護」の名目で利用しようと考えるなど、訃堂に危険な野心を抱かせることになる。また、響の抹殺を巡っては翼と激しく衝突しており、第5期にまで尾を引く可能性は高い。
戦姫絶唱シンフォギアXV
公式サイトのキャラ情報により、100歳を遥かに超えていることが放送前にして判明。何らかの延命措置を行っているか、下手をすると人外である可能性すら出てきた。
弦十郎や八紘と並び、6人の装者たちの次に情報が公開されたこともあり、ストーリーにより深く関わってくるものと思われる(AXZでは訃堂と八紘のキャラ紹介はなかった)。
武器として護国挺身刀・群蜘蛛を持つ。本人曰く、命にも等しいとのこと。また、愛銃のモーゼルC96を懐に忍ばせている。
戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED
「竜姫咆哮メックヴァラヌス」に登場。シンフォギアの代わりにメックヴァラヌスが存在する並行世界で特異災害対策機動部二課の終身名誉司令に就いているが、身分を隠すために表向きは私立仰陽館女学院(正史に於けるリディアン音楽院)の理事長と名乗っている。さて、この世界の彼だが、
- 普段は花の手入れ等の用務をこなしている。
- 身分を隠す理由の1つが「前途ある生徒達を応援するために、彼らの自然な顔を知っておきたいから」。
- 突然現れた響達から事情を聴くや、「よく来たのう、お嬢さん方」と笑顔で出迎え。
- なお、この世界には響・翼・クリスはいない。
- 板場弓美と『電光刑事バン』について語り合う。リアタイ世代らしい。「だてに長生きはしとらんからのう」
- その親しみやすさ故、弓美・寺島詩織・安藤創世からは(本来の立場を知らなかったからとはいえ)「おじいさん」「おじいちゃん」と呼ばれている。
とむっちゃフランクな良い人である。本編の黒っぽさの欠片も無い。そのギャップに響達は
と、茫然としてしまった。
余談
彼を演じている麦人氏は、過去には息子・弦十郎を演じている石川英郎氏と、金子彰史氏も大好きな別作品の宿敵同士を演じ合っていた。
そのため、同作の台詞になぞらえて一部のファンから「風鳴のジジイ」というあだ名で呼ばれることがある。
pixivでの投稿作品数はそう多くはない。しかもネタに走ったものが何故か目立つ。
関連項目
※以下、XDのイベントストーリーに関する重大なネタバレが含まれます。
前述の「竜姫咆哮メックヴァラヌス」における訃堂だが、終盤で現した本性はやはり外道であり、猫を被ることを覚えている以外は本編世界となんら変わらぬ人物であった。
弓美・詩織・創世に表面上は好々爺として優しく気さくに接しているが、内心では使い捨ての兵器としてしか見ておらず、部下らしき人物からも内心は快く思われていない様子。さらに事実上の完結編『竜姫咆哮メックヴァラヌスD』でその真の狙いが明らかになっており、それは日本だけではなく、ギャラルホルンによって開かれた新たなる並行世界による他国からの侵攻すら危険視するあまり、ギャラルホルンを手に入れてすべての世界を手中に収めるという、明らかに外道を超えて独裁者と思われるほどとんでもないものであった。更には七支刀と呼ばれる配下がおりその1人がメックヴァヌラスに関係した少女であることが明らかになっており、DVDやBDの限定CMに使われたロリコン疑惑も明確になった。
尚、猫を被っていた時期においても、翼に対しては「力あっての正義」「人は弱く、それは悪へと歪む脆さでもある。それを正す力の行使者が防人」という自身の考えを説いており、XVにおける翼のストーリーへと繋がっている。
※以下、XVのストーリーに関する重大なネタバレが含まれます。
実は、XVでノーブルレッドを動かしていた黒幕。
「護国の為」という名目で神の力を欲しており、パヴァリア光明結社の壊滅後、研究施設から脱走していたヴァネッサ達と接触。生命維持のために必要となる稀血の提供などを条件に手駒とした。そして南極から回収後、米国で解析されていた聖遺物「シェム・ハの腕輪」を奪取、起動させる。
しかし、ノーブルレッドのことはほぼ道具か奴隷としか見ておらず、失態を犯した部下を殺害させたり、目の前で取引材料である血液パックを踏みつけたり、異形である彼女達を「怪物」と蔑んだりと、容赦のない態度を取っている。また、その関係性が面従腹背に過ぎず、いずれ彼女達が自分を出し抜こうとするも見抜いていた事から、予め取引材料の血液パック内に何らかの「細工」を施し、後の戦いの最中で、彼女達の体調を不調に追い込んで切り捨てている。
一方、腕を掴まれたミラアルクからは「ジジイの力とは思えない」と評され、年齢の件も相まって訃堂自身が人外なのではないかという疑惑が強まることとなった。
さらに、ノーブルレッドがシンフォギア装者達に敗北しそうになったと見るや、配下を使ってS.O.N.G作戦本部を制圧。作戦中止命令を出させるという暴挙に及んだ。これは日本政府による正式な査察という体裁であったため、弦十郎も逆らうことができず、一時的に本部の機能が麻痺。関係者の保護や、装者への適切な指示が行えなくなってしまう。
その結果、本部にこもりきりであったエルフナインを外に出し、ミラアルクに拉致させることに成功。チフォージュ・シャトーのシステムの起動に利用した。また、本部の機密情報にアクセスした結果、未来が響と同様に神の力の器たる条件を満たしていることを知り、エルフナインとともに拉致させている。この指示は間一髪で間に合っており、一歩遅ければ未来は殺害されていた。
翼に対しては、ミラアルクによるライブ会場での虐殺劇以降、精神的な揺さぶりをかけるかのような発言を繰り返している。防人の血を引く者としての不甲斐ない結果を叱責し、更にはダメ押しとして「歌で世界は守れない」と、彼女の歌手としての情熱をも否定した。
また、6話では「刻印・掌握」というキーワードを用いて翼の精神を掌握。S.O.N.Gを離れ、自分の元へやってくるよう促す様子が描かれた。これは本人の能力ではなく、2話でミラアルクが使用した「不浄なる視線」に連なるもの。洗脳とまではいかないが、翼の自己肯定感を低下させ他者への依存度を引き上げることで、ある程度行動を操作できるようになっている。
これらの点を踏まえると、ミラアルクによる虐殺劇自体が、翼を精神的に追い込んで操るために訃堂が仕組んだ謀略である可能性が高い。ノーブルレッドの立場からすれば、虐殺を積極的に行う動機が他に見当たらず、むしろ自分達がS.O.N.Gから危険視されるリスクの方が遥かに大きいからである。
7話~8話にかけては、キャロルの復活というアクシデントはあったものの、未来を依代にシェム・ハが降臨。「刻印・起動」のキーワードによって翼を操り、未来を鎌倉の風鳴本邸へと連れ去らせた。前述したノーブルレッドの切り捨てもこのタイミングで行われ、盤面が大きく動くこととなる。
本部の制圧以降、八紘や弦十郎も訃堂の暗躍を疑い始めたが、証拠不足のためすぐには動けなかった。しかし、アジトの残骸から回収したアンティキティラの歯車が決定打となったらしく、日本政府から訃堂の逮捕依頼が出される。これは皮肉にも、訃堂自身が成立を推し進めた護国災害派遣法に基づく措置であった。
9話後半、ついに八紘率いるチームが風鳴本邸へ突入。マリアがアルカ・ノイズを引き受ける一方、弦十郎が父・訃堂と相対する。初めて実力を見せた訃堂は、何とあの弦十郎と互角の戦いを展開。刀を弾き飛ばされるものの反撃し、飯綱落としを食らわせて弦十郎に勝利した。一応、弦十郎は手心を加えようとした様子があったため(貫手を握り拳に切り替えた)、それがなければ彼が勝っていたのかもしれない。
続けて、翼の催眠の解除に成功したマリアをギャグとしか思えない演出付きで一撃。戦う理由を見失った翼に失望し射殺しようとするも、凶弾は翼をかばった八紘に命中してしまう。訃堂はこの行為をも「親に逆らうからだ」と嘲笑った。八紘の言葉により翼は決意を固め、シンフォギア装者と生身の人間の死闘が幕を開ける。
勝負はやはり、訃堂が翼を押す展開に。翼の風林火斬を捌いた際には、「風輪火斬何するものぞ」という前代未聞のカットイン乗っ取りが行われた。そのまま翼にとどめを刺すかと思われたが、すんでのところでアマルガムの使用許可が下り、翼が猛反撃を開始。命にも等しき愛刀を折られ敗北を悟った訃堂は、もろ肌を脱いで潔く討たれようとする。これは翼に自分を殺させることで、翼を護国の鬼として完成させるためであった。
しかし、八紘の気持ちを汲んだ弦十郎が割って入ったため、その目論見は達成されずに終わる。ついに膝をつく訃堂だったが、時を同じくしてノーブルレッドが風鳴本邸に侵入。神の力の管理者権限を奪おうとして失敗し、捕らえていたシェム・ハを自由の身にしてしまう。「首輪をつけて神を飼い慣らそうとした報い」と、訃堂は己の野望が潰えたことを認め、弦十郎に肩を貸されて力なく連行されたのであった。
その後は、幾重もの鉄格子に囲まれた牢獄に収監されている。手錠に加えて拘束衣まで着用させられているため、相当警戒されていることがわかる。そんなもんで脱走を防げるとは思えないが、完全に心が折れてしまったようなので、今のところは問題ないのだろう。
檻に繋がれてなお、歌で世界を救うことを「世迷い言」と切り捨てているため、性根はまったく変わっていないようだ。
その後も改心することなく、翼や弦十郎との和解すらないまま最終回を迎えた為、アダムやティキと並び、主人公側と分かり合えない外道一直線の敵キャラクターとなった。
このように、自らの野望のためだけに翼や未来の人権や尊厳を踏み躙るだけでなく、ノーブルレッドを奴隷のように酷使し、そして何万もの命を犠牲にすることも辞さないその姿勢はまさに外道。公式サイトの用語解説にまで『外道』と書かれる始末である。
一方、護国のためであれば自らの命まで捧げる姿勢は、どこまでも防人であったといえよう。
余談(ネタバレ注意)
訃堂の行動は確かに外道でこそあるが、全ての切っ掛けは
愛する故郷の自然を蹂躙・凌辱されたことが原因であり、故に手段を選ばず故郷を守る「鬼」へと至らせたのだ。
真正の外道にして狂人ではあるものの、その行動原理の根底にあったのは礎となった先達への敬意と、故国への紛れもない“愛”であり、もしもその切っ掛けが違えば、彼もまた分かり合うことが出来たのかもしれないのである。
何故ならシンフォギアの適合に必要なものもまた、"愛"なのだから。
それらに加え、実はXVで働いた外道な所業の数々であるが、実は行動の切っ掛けそのものは寧ろ正当性すら存在する。
というのも一期からAXZに至るまで日本が受けた米国をはじめとする干渉の数々は全て現実的に考えれば戦争になってもおかしくないレベルでありえない干渉であるため。
長期のシリーズになった上に登場したのが序盤で殆どモブキャラ扱いだったため忘れれていた視聴者も多いが、一期で日本の防衛大臣であり二課の後ろ盾であった広木防衛大臣は、フィーネの差し金だったとはいえアメリカによって暗殺され、親米派の防衛大臣を誕生させるという内政干渉染みた行いは到底許されることではなく『G』におけるアメリカによる日本への数回の特殊部隊派遣に加え、あからさまな蹂躙の挑発そのものな艦隊の派遣などの行動の全てもまた当然ながら許されていいような行為ではない。
極めつけはAXZでの核兵器の一件であり、この時はサンジェルマン達の死灯によって無力化され被害は奇跡的になかったが、もしそうでなければ戦力の殆どを吹き飛ばされた上で国の環境を完全破壊されるものであったことを忘れてはならない。
しかもこれらの問題行動の責任を日本側からは殆ど言及できていないという非常にまずい状況下にあった。
更に言えば、これも忘れがちであるが三期以降シンフォギア装者たちが所属しているのは日本ではなく国連直轄下の部隊S.O.N.G.であるということも大きな理由となる。
一期やGの時の二課は曲がりなりにも日本所属だったのだが、この所属変更の理由は公式サイトなどで語られている通りであり表向きの理由はどうあれ、日本政府が保有する異端技術を出来る限り目の届くところに置きたいという世界からの思惑のせいで、実質的には元々日本が保有していた国を守る戦力を外国によって強制的に奪われたということである。
更にAXZの冒頭に至っては、紛争解決のための戦力としてその奪われた戦力を投入されるという、国際情勢などを考えても信じられないことを行われる始末である。
総評すると、訃堂がここまでの行動を起こしたのは全て今まで響達S.O.N.G.が行ってきた、もしくは外部から行われた行為に対する行動のマズかった点がそのまま跳ね返ってきた当然の結果でしかないのだ。
やったことこそ人道を外れた行動であり論外だが、上記の多数の内政干渉や戦力の理不尽な強奪諸々を考えると、訃堂が動き出した理由は確かな正義がある。
というか、ここまで非道な行いをされて動き出さない方がおかしい。よく戦争にならなかったものである。
ちなみに、シンフォギアの世界は西暦2045年が舞台になっており、齢100歳を超えているという彼の年齢や、核兵器の一件を考えると、訃堂が経験した「愛する故郷の自然を蹂躙・凌辱された」とはなんなのかは自ずと予測が着くのではないだろうか。
真の関連タグ
志村ダンゾウ…NARUTOの登場人物。自身の里(作中では国扱い)を護るという考えに異常なまでに固執し、そのためならば他者の犠牲も卑劣な所業もお構いなしという危険人物。
また、護国のためならば敵側のキャラとも繋がりを持つことにも躊躇がないうえ、彼の起こした行動が巡り巡って主人公たちに影を落とす事件の遠因になったりと、性格、所業含めて訃堂に何もかも似通っている。
結論を言えば、この両者は「国を護る」という言葉の意味を履き違えて間違いを犯し続けた結果、登場人物の信用を完全に失って破滅を迎えてしまった哀しき男たちなのだ。
余談だが、ダンゾウのかつての部下の中の人は訃堂の息子弦十郎と同じである。
牙鬼幻月(手裏剣戦隊ニンニンジャー)……中の人繋がりで、こちらも野望の為なら身内を道具扱いにする外道。
シグマ(ロックマン)(ロックマンXシリーズ):こちらも中の人が同じ、しかも青い戦士との因縁があるという共通点を持つ。
四葉一郎(ドキドキ!プリキュア):こちらも中の人が同じ、かつ風貌も非常に似ている。