早乙女博士
「ばかもん!甘ったれるんじゃない!お前達には、もっと残酷な未来が待ってるんだ!!」
CV:富田耕生(TVシリーズ、真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ)
メイン画像を見て「えっ、誰こいつ」と思った方はもうトシであろう。
早乙女博士とは、ゲッターロボシリーズに登場する天才科学者で、ゲッターロボを作ったお方である。メイン画像はゲッターロボサーガやそれを原作としたOVA『新ゲッターロボ』版のキャラデザ。
初代テレビアニメ版や真ゲッターロボ対ネオゲッターロボでは、世界を守るために立ち上がった心優しい科学者として登場する。
一方、アニメと同時期に連載が開始された漫画(ゲッターロボサーガ)版の序盤では、世界の平和を守る司令官というよりも、人類を生かす為ならどんな過激な手段も厭わない、やや常識を外れたバイオレンスなマッドサイエンティストとして描かれていた。また、シリーズ後半ではゲッター線の魅力に憑りつかれていき、別ベクトルの狂気を帯び始めていく。
1990年代以降の作品では、サーガ版序盤および後半のマジキチを絵にかいたようなキャラになっていることが多く、一目見てインパクトが強いキャラに仕上がっている。アニメ版のゲッターロボしか知らない視聴者が見たら唖然とすることも……というか、pixivに投稿されたイラストも、話題性の強かった漫画版とOVA版の早乙女博士が殆どである。
作品によって設定は異なるが、長男の早乙女達人、長女の早乙女ミチル、次男の早乙女元気という3人の子女を設けていることが多い。
本名は不明であり、サーガ版・TV版・OVA版のいずれにおいても「早乙女博士」と姓だけで呼ばれており、下の名前は明かされていなかった。ただし「ゲッターロボダークネス」では「早乙女 賢」というフルネームが設定されている。名前の由来は当然、原作者である。
テレビアニメ版
「馬鹿を言っちゃいけないよ。ゲッターロボは宇宙開発用に作ったんだ。怪獣をやっつけるために作ったんじゃない」
テレビアニメ版では比較的若く、黒髪に黒ひげの穏やかな顔をしている。
ゲッターロボを作った理由も漫画版やその他のOVAとは異なり、あくまで宇宙開発と言う平和利用が目的となっている。
とても常識的な人物で、ファッションがおっさん丸出しなナイスミドルである。ゲッターロボを開発したのも上述の通り平和利用のためである。柔道の心得があるのか腕っ節も強い。
サーガ版や世界最後の日版などの影に隠れがちだがこの人も結構な武闘派で恐竜兵やゲッターロボを取り込もうとした防衛軍の兵士などを相手に大立ち回りをしている。
なお、スパロボでは真ゲッターロボも作る事になるのだが、その経緯は大きく分かれて以下の三つ。
- 初代ゲッターロボにゲッター線を浴びせる実験を行ったら事故った、もしくは博士が意図しない形で暴走。いずれにしても偶発的に真ゲッターができちゃった
- ゲッター線の意志の命ずるままに真ゲッターの開発に取り組む
- ゲッターが戦闘に使われ続ける事を嘆いて、本気を出して戦闘用ではなく宇宙開発用のゲッターを作ったら真ゲッターが完成
……単に(ゲッター線が介入した可能性が高いが)事故である一つ目はともかく、ゲッター線に操られるかのように真ゲッターを作った二つ目も相当ヤバいが、一番ヤバいのはゲッター線の意志とか関係なく宇宙開発用のゲッターが真ゲッターとして完成してしまった三つ目な気もする。宇宙開発要素どこ行った。
あくまでスパロボ設定だが、やっぱ早乙女博士はどの世界でもどっかぶっ飛んでるようだ……
漫画(ゲッターロボサーガ)版
「またみんなひとつの形になる。そしてさらなる飛躍を」
ダイナミックプロ節全開のバイオレンスな人物である。
ゲッター線研究のパイオニアであり、ロボット工学の権威。迫り来る恐竜帝国の魔の手から人類を守るための戦闘用ロボットとしてゲッターロボを開発し、それをサポートするための戦闘要塞として早乙女研究所を設立した。
やることなすことがとにかくエキセントリックであり、流竜馬のパイロットとしての適性を計るために殺し屋をけしかけたり、最初は超危険人物(左翼テロリスト)だった神隼人も有能と見れば無理矢理味方に引きずり込みゲッターに搭乗させるなど、目的のためなら手段をまるで選ばない。巴武蔵が参列するまでは早乙女博士自らもゲットマシン・ベアー号のパイロットを務めており、竜馬達と前線で戦っていた。サポート担当なのに。
一方で息子の達人の死を悔やみ、娘にも悟られぬよう隠れて涙するという人間的な描写もある。ゲッターチームが軌道に乗った事で精神的に余裕が出来たのか、武蔵が加入した辺りから言動も穏やかになっていった。ゲッターロボGの時期には先述の苛烈な印象は薄れており、正装を嫌がってダダをこねるなどのコミカルな姿を見せていた。
続く真ゲッターロボでも中盤までは温和な雰囲気だったのだが、車弁慶の死とゲッタードラゴンのメルトダウンという悲劇の中でゲッター線の未知なる力に魅せられて錯乱。執拗にゲッタードラゴンを掘り返そうとしたり、死者(傍目には何もない空間)に向かってブツブツと語り掛けるなど、その言動は狂気を帯びていった。
最期は覚醒したゲッタードラゴンの力によって研究所諸共消滅したが、死後のゲッターロボ號やゲッターロボアークの時期にも亡霊のような形で姿を見せている。ゲッター線に取り込まれた事で様々なしがらみから解放されたせいか、その表情は穏やかである事が多い。
なお、容姿は白髪頭で顎髭を生やした太り気味の老人という点は共通しているものの、作者の画風変化が激しい事もあり時期によって人相が全く異なる。特に真ゲッターロボの序盤では目が丸く口髭も生えているなどテレビアニメ版に近い雰囲気になっており、かなり違和感がある。
OVA真ゲッターロボ世界最後の日版
「左様、我が名は早乙女。地獄の底から還った男よ!」
「竜馬!隼人!弁慶!わしの引いたレールも最後だ!」
「あとはおまえたちの手で切り開け、人類の未来を! …さらば!!」
ゲッター線の狂気にとりつかれたマッドサイエンティストであり、悪役として登場。
世界を混乱と破壊に誘った張本人で、娘の早乙女ミチルがゲッターロボの合体事故で命を落とすと、娘の細胞から人工的に人間を生み出したり、量産型ゲッターロボを用いて全世界に対する反乱を起こした。
自ら生み出した人工生命体ゴールとブライによって一度殺害されたが、インベーダーの力を借りて復活しゲッターチームと戦うことになった。インベーダーと融合したゲッターロボGに自ら乗り込み、ゲッターチームと死闘を繰り広げた。しかしその真意は別にあり、自らの力で人類の未来を切り開くよう告げてストナーサンシャインの閃光に消えた。
そもそも隼人によって殺害を偽装された時点でインベーダーが滅んではいないことを見抜いていたようで、大量の量産型ゲッターGもそれを見越して用意してあった節がある。復活後もインベーダーに支配されたふりをして行動しながら、太陽系に(真ドラゴンを利用して)集まってくるのを逆利用して殲滅することを考えていたらしく、ゲッターチームに伝えてはいなかったが、真ドラゴンでもシャインスパークを使えるようにしてあった。
TV版はもちろんサーガ版とも性格・容姿共に大幅に異なり、殆ど本作オリジナルキャラと言える存在。また、珍しく下駄を履いていない。
ちなみに、LD・ビデオの最終巻の発売が延期になった際は博士が延期を詫びるCMが収録されていたことがある。
OVA真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ版
「いや…我々はゲッター線に生かされているだけなのかもしれん…!」
OVA版のなかでは一番まともな早乙女博士。
性格と声はTV版、容姿と一部の台詞だけがサーガ版初期といった感じ。
出番は少ないがゲッターチームを叱咤激励するおやっさんポジションである。
新ゲッターロボ版
「並のパイロットではゲッターに食い潰される。逆に喰らい付いてくる奴でなければ…」
表向きは厳格な基地司令官だが、一皮むけばヤバい人。
サーガ版初期のバイオレンスさと、後半期の狂気を余せ持ったハイブリッドバージョンのマッドサイエンティスト。荒くれ者のゲッターチームを纏め上げる胆力と、有無を言わさぬ気骨の持ち主である。ただし、原作と同様に達人の死を引きずっている場面もある。
弁慶の加入までベアー号の操縦を担当していた。
容姿はサーガ版真ゲッターロボ終盤のものに近い。なお本作には次男の元気が登場しない為、この世界では子供は達人とミチルの二人だけだったらしい。
ゲッターロボアークTVアニメ版
サーガ版真ゲッターロボ序盤の口髭が生えたデザインを採用しており、メイン画像とテレビアニメ版の温和な博士を足して割ったような姿。
すでに故人なので出番は回想シーンがメインだが、やはり亡霊としても登場する。
OPでは悪役みたいな演出で登場しているが、本編では原作での狂気的な言動があまり描かれておらず、終始穏やかな雰囲気だった(マッドサイエンティスト的なシーンは新ゲッターロボで既に映像化済みだったという事情もあるのだろう)。