背景
足利義昭による信長追討令を承諾した上杉謙信は、織田信長を倒すことを決意する。
謙信は武田勝頼と和睦（**甲越和与**）し、さらに本願寺顕如とも和睦した。さらに毛利輝元とも同盟を締結すた。
これにより、上杉・武田・毛利・本願寺などの勢力による第三次信長包囲網が結成された。
そうして、謙信は1577年に織田家重臣・柴田勝家率いる織田軍を手取川の戦いにて撃破した。こうして、謙信は織田軍を圧倒した。
しかし、翌年の1578年に謙信は病死。その後、謙信の家督相続を巡り謙信の養子である上杉景勝と上杉景虎の戦い（御館の乱）が勃発した。この内乱は、謙信の実の甥である景勝が勝利し上杉家家督を継いだ。しかし、信長がこの隙をついて上杉領に侵攻してきた。
上杉景勝は、信長に対抗するために武田家との連携を強化するべく、上杉家と武田家の同盟・甲越同盟を締結し、菊姫（武田信玄の娘にして、勝頼の異母妹）と結婚した。
その後、景勝は神余親綱と本庄秀綱の反乱を鎮圧し、対織田戦を有利に進めた。
しかし、恩賞問題などでで景勝との関係が険悪化した新発田重家が信長や伊達輝宗・蘆名盛隆と組んで反乱。景勝は織田・新発田ばかりか伊達・蘆名さらには北条の脅威にも備える必要があった。
そんな中、景勝の盟友・武田勝頼が織田・徳川・北条軍による侵攻を受ける。景勝は勝頼を救援したが織田信忠を総大将とする織田軍の猛攻は凄まじく甲斐武田家は滅亡した。
景勝と組んだ小島職鎮は織田方の神保長住を幽閉し富山城を占拠した。しかし、柴田勝家率いる織田軍によって富山城は再び織田方に占領された。
その後、信長は上杉家を滅ぼそうと勝家らに上杉領侵攻を命じた。
概要
1582年、上杉家にとっての対織田戦の最前線・魚津城は柴田勝家・佐々成政・前田利家・佐久間盛政や内ヶ島氏理ら織田軍によって包囲された。
景勝は越中方面が（川中島方面などから侵攻してくる恐れのある）織田軍の脅威に晒されており魚津城が陥落すれば親不知を越えて越後の侵攻を許すため後詰に赴きたかった。しかし、新発田勢もまた上杉領へ侵攻する姿勢をとっていたので自らは救援に赴けず家臣の斎藤朝信や上条政繁に救援に行かせた。
しばらくして景勝は本拠地・春日山城を出発し魚津城への救援に赴いた。景勝は天神山城に陣を張ることで、柴田率いる織田軍を牽制した。
だが、景勝の留守である隙をついた織田家重臣で厩橋城主の滝川一益や海津城主の森長可が上杉領の南越後へと侵攻。景勝は、両者を撃退するためにやむなく春日山城へと撤退。
これにより柴田勝家は魚津城を総攻撃。魚津城にいた上杉軍の13人の武将（魚津在城十三将）たちは、自分たちの耳に穴を開け、それぞれの名前を書いた木札を全員で結んで自害した。
魚津在城十三将一覧
その後
実は魚津城が陥落する前日、信長信忠父子は横死していた。
このことをのちに知った勝家ら織田軍は上杉攻めを一時中断して魚津城から撤退。上杉家臣・須田満親が魚津城を奪還した。
しかし、このこともあり柴田勢は上方への出発が遅れに遅れ信長死後において羽柴秀吉の台頭を許すことになる。
翌1583年に秀吉と勝家・織田信孝の対立が激化した際、景勝は秀吉と結び勝家を挟撃する。秀吉が丹羽長秀と結び勝家や佐久間盛政を破った賤ヶ岳の戦いで景勝は越中の佐々成政を牽制したため成政は動けなかった。敗北した勝家は北ノ庄城でお市と共に自害し盛政は斬首された。
関連人物
上杉方
直江兼続・斎藤朝信・甘粕景持・甘糟景継・須田満親・上条政繁・泉沢久秀・大国実頼
魚津在城十三将（中条景泰・竹俣慶綱・吉江信景・寺嶋長資・蓼沼泰重・藤丸勝俊・亀田長乗・若林家吉・石口広宗・安部政吉・吉江宗信・山本寺景長・吉江景資）
