CV:島本須美
概要
主人公・江戸川コナン(工藤新一)の母親。37歳。旧姓名は藤峰有希子。
初登場は5巻収録『江戸川コナン誘拐事件』(アニメは43話)。
かつては世界的に有名な伝説の美人女優で、夫・工藤優作とアメリカで暮らしていたが、現在は帰国している。
子煩悩な親バカで、新一を「新ちゃん」と呼んで甘えたり甘やかそうとしたりする。
息子が江戸川コナンになっても(たまに「新ちゃん」と呼びそうになってボロが出てしまうが)基本的に変わらない……というより、ますます可愛がっている。当人曰く「小さな新ちゃんといると自分も若返ったみたいだもの」とのこと。
夫である優作のことは「優ちゃん」「優作」等、今でも新婚ラブラブのおしどり夫婦である。
くるくるとした巻き毛がトレードマークのパワフルで家族愛の強い女性。
「帝丹高校のプリンセス」の異名を取っただけあって、年齢の割に非常に若々しく可愛い容姿は殆ど変化しておらず、性格もしっかり者で優しく純真だが、唯一の欠点としてその異名に対するプライドから「おばさん」呼ばわりされるのをかなり嫌っており(一応表向きは母ではなく親戚扱いの)コナンが少年探偵団やFBIに「おばさん」と紹介した際にはいつもの黒い人のような目つきで睨んだり、幼い黒羽快斗に青筋を立てながら「『きれい』と『おばさん』は並べちゃいけないのよ」と忠告する程である(もっとも言われた当時は27歳だったので無理もないが)。
またコナン(新一)との共通点として
- 無謀な行動に出て、事件の犯人に殺されかける
- 目的のために手段を択ばない
- わざわざライトアップで派手な登場をする
がある
服部平次の母静華が(有希子より年上とはいえ)息子からちょくちょくオバハン呼ばわりされているのとは対照的である。
初期の頃は夫とセットでの登場が多かったが、優作に比べるとコナンに直接手助けをすることが多いためか準レギュラー的ではあるが単独での出番も多い。回想シーンも含めれば登場頻度は割合としてレギュラー並みに高めである。
その一方で劇場版シリーズでは現時点では冒頭ナレーション以外では全く登場していない。
『犯人の犯沢さん』では美容師の資格を持っている設定で、米花町では時たま訪れる度に美容師たちが騒然となる。犯沢さんは若かったからか素性に気付かず「芸能人みたいな人だ!」としか思わなかった。
女優時代
高校在学中にその美貌と演技力で女優デビューを果たして、日本中どころか世界的にも名が知られるようになり、卒業後は19歳にして大女優として数々の賞を総ナメ的に受賞するなどの伝説を残し、ハリウッド映画界にも進出した。
演技力においては天才的で灰原哀は「彼(コナン)の演技力と目立ちたがり屋な性格は彼女譲り」だと述べている。
女優になりたての頃に女スパイの役作りで黒羽盗一に弟子入りした経験があり、自分はもちろんのこと他人をもまったく別の人物に変装させるメイク技術を持っている。ただし当人曰く、実在の人物にそっくりという域ではないとのことで、新一からも「変装ではなく仮装」と言い放たれ、身内の変装は得意としているが声は真似できないので変声機は必須。変声機の関係もあってマスクや包帯等の顔を覆うアイテムも付随するパターンも多い。また盗一の息子である快斗とも彼が幼少期の頃に会ったことがある。
有望な若手小説家だった工藤優作との大恋愛の末、弱冠20歳で芸能界を引退。
アイドル女優であり華々しい賞を独占した彼女の早すぎる引退は伝説となり、沖野ヨーコと同じアイドルグループメンバーだった草野薫は彼女に憧れ20歳で電撃結婚することを夢見ていた。
作中に出た出演作
- 「あぶない婦警物語」(主演)
- 「タイトル不明」(坂本乙女役)
- 「タイトル不明」(女スパイ役)
- 「ホワイト・プリンセス」(作品媒体不明※)
- 「YUKIKO」(作品媒体不明※、おそらく本人役)
- 「明日にさようなら」(主演※)
※ベイカー街の亡霊のオープニングより
引退後
根強いファンは多く、藤峰有希子と知られれば「女優復帰しないんですか」などと聞かれることもある。アメリカで時々テレビ番組に出演したり、新一の幼少期にもエッセイを執筆するなど、女優業の第一線からは退いたが、時折メディアに姿を見せたり活動する事がある。
アメリカでは、「闇の男爵夫人(ナイトバロニス)」と呼ばれている。由来は「闇の男爵」の作者の妻であることに加え、アメリカのテレビ番組に招かれた際に話した推理(夫の受け売り)が見事に的中してあっという間に難事件を解決したことから。
上述の変装技術を存分に活かし、コナンを灰原に、服部平次を新一そっくりに変装させて二人が変装を解くまで周りを欺くことに成功している。この時は当人もハロウィンにあやかったメデューサに変装し、周囲に藤峰有希子とバレることはなかった。
また、高度な運転技術も持っており、平気でスピード違反を犯す。ニューヨークでの愛車は、ジャガー・Eタイプ。日本に来てまでレンタカーとしてアルファロメオ・アルファGTに乗るほどの相当な車好き。大型自動二輪の免許も持つ。
人間関係
- 江戸川コナン
真実を知らない相手(毛利蘭・妃英理)には祖父の兄の娘のいとこの叔父の孫と説明している(話の流れから、蘭には阿笠博士とは遠い親戚ということになってもいる)。
ちなみに上述の関係は嘘を言ってるように見えるが、関係をたどってみると『自分の息子』と言えなくもないものにしようと試みているが実はズレが生じている(正しくは、祖父の兄の娘のいとこの叔父の孫の子供)仮に、この説明が正しければ有希子の祖父には兄が少なくとも一人ともう一人兄または姉がいることになる。
例外的には出身地である群馬の幼馴染と、その時の事件で駆け付けた群馬県警刑事には「息子2号」と紹介している。前者はともかく、後者は準レギュラー化とヘッポコという二重の意味で下手を打ったかもしれない...。
学生時代に学園祭のミスコン対決を繰り広げた。結果は両者同票で、20年以上経った今でも伝説のミスコンとして校内に語り継がれている。いわゆるライバルだが、案外と似たところもあって良好な友人関係にある。
彼女の娘の蘭を幼少時から可愛がっていて、息子をからかいながらも2人の仲を暖かく見守っている。幼い頃は蘭も泊まり込みで旅行に連れて行く事も少なくなかった。2人が高校生になった年にニューヨークへ招いた際、蘭のことをあなたの子供かと聞かれて「未来のがつくかも」と答えた。蘭から憧れを向けらていて好きな女優の1人。英理に頼まれて、毎日のように息子・新一と遊んでいた別居中の幼い蘭に、料理や家事の仕方を色々教えたのではないかとも言われている。
英理と違って料理上手であり、工藤邸に下宿中の彼にその腕前を伝授する。更に上述のメイク技術の手ほどきもし、毎週変装の確認に来ていた。「会いに来る口実がなくなってちょっと残念」と発言したり、「イケメンで礼儀正しく、クールでダンディーで(以下略)」と自分の夫に惚気るほどお気に入りの様子。彼女の人柄と優作の寛容あっての芸当である。
同時期に黒羽盗一へ弟子入りした縁で知り合った親友。コナンからベルモットの正体を教えてもらったが、「本当にそうなの?シャロン・・・」と心の中で問いかけた。コナンは組織との争いに母親を巻き込む気はなかったが、「相手が銀幕のスターなら日本の伝説的女優である私をキャスティングしなさい」と要求して『漆黒の特急(ミステリートレイン)』で彼女と対峙。素顔を見て、年を食っても輝けるメイクの仕方を教わろうと思ってたのに老けメイクだったなんて残念と語った。
江戸川文代
CV:高畑淳子
有希子が初登場した際に変装した架空の人物で、「江戸川コナンの母」を名乗る姿。コナンが太ったような外見をしている。
毛利探偵事務所から用があると称してコナンを攫い、廃屋に閉じ込めた。その際には蓮っ葉な喋り方をしている(コナンが聞いてない優作との携帯電話の会話の時ですら)。
コナンからは黒の組織の構成員かと思われていたが、実は夫・優作(闇の男爵)や阿笠(謎の大男)と結託した芝居であった。
登場は1回限りだが、後に蘭の前で「確か、ママは文代さんって言うのよねー」と口裏合わせに名前が出たことがある。
名前の由来は明智小五郎の妻・明智文代から。この名前は『上野発北斗星3号』で偽名として使っていた。
余談
ベルモットと共に峰不二子をモデルとしており、作者によると有希子が良い方の峰不二子、ベルモットが悪い方の峰不二子らしい。名前の由来も峰不二子と初代不二子役の二階堂有希子から取られている。
ちなみに担当声優の島本須美はかの名作カリオストロの城のゲストヒロイン・クラリス役で有名であり、キャスティングもルパン三世との縁を思わせる配役になっている。
島本氏は風の谷のナウシカの主役ナウシカも演じており、また息子のコナン役の高山みなみは魔女の宅急便の主役キキを演じていることから中の人的にスタジオジブリ作品の主役二人が母子を担当していることになる。
また夫の優作役の声優田中秀幸とはめぞん一刻にて夫婦役で共演している。