概要
ザフトで開発された遠隔操作兵器。
ビーム砲と多数の推進姿勢制御用スラスターを搭載した飛行砲台を同時制御し、ニュートロンジャマーの影響を受けない量子通信で遠隔操作する。
基幹の技術となったのは、ゲイツとのコンペティションに敗れたアクタイオン・インダストリー社製MSのゲル・フィニートが持つ量子通信技術とされる。
所謂ファンネル系の武装であり、コックピット周りの描写を見る限りMSと同じく神経接合で制御するものと思われる。ただし、コズミック・イラの世界にはミノフスキー粒子もなければそれを利用したサイコミュ通信もできないので、ファンネルと違い子機と母機との間で行われる大量の情報のやりとりには量子通信を用いている。
同時に複数の子機の所在位置や姿勢を把握し続ける必要があるため、当初は使用者に傑出した空間認識能力が求められ、この要求の有無により第1世代と第2世代の2種類に分かれている。当然だがこの制御をMSと神経接合した状態で操縦しながら行う。そのため、パイロット側に相応の負担が発生し連続使用の際は疲労する。
第1世代のもの(あるいはそれに相当するもの)を扱えるのは操縦技能が高いパイロットに限られている。仮に、第1世代のものを才能のない者が無理にでも扱おうとする場合、3人がかりに加えて外科手術による共通化処理で脳を繋げる必要がある。
一度に複数の相手を多角的に狙えることからファーストステージシリーズの機体群が搭載しているマルチロックオンシステムとは相性が良いように思えるが、併用した際に膨大な情報量の処理を要求されるためキラ・ヤマトでないと性能を最大限に発揮できない(実際、ラウ・ル・クルーゼもプロヴィデンスでドラグーンを扱っていた際にマルチロックオンシステムは併用しておらず、後のドラグーン・システム搭載機でマルチロックオンシステムも併載しているのはストライクフリーダムのみ)。
子機の端末はバッテリーで動作し、ビーム兵器を多用するため、定期的にパイロットのインターバルと再充電を兼ねて本体へ帰還しなければならず、そのビーム兵器の威力も手持ち用ビーム兵器と比較すると弱い。また、高推力スラスターを備えるカオスの機動兵装ポッドなどの大型なものを除けば、基本的に無重力の空間(宇宙等)でしか運用出来ない点も欠点として挙げられる。これは宇宙世紀のファンネル系武装と共通したデメリットでもある。ただし、レジェンドのようにフレキシブルな固定砲台として運用したり、ストライクフリーダムのように姿勢制御に用いたりと、デッドウェイトにならないよう工夫されている機体もある。なお、ゲームでは「連合VSザフト」シリーズなど、ゲームバランスの都合で重力下のステージでも普通にドラグーンを使用可能になっている作品もある。
前述の通り非常に強力な兵器であるが、厳しい操縦適性を要求し、機体のペイロードも圧迫する(ビームライフル以上のサイズを持つ複数の子機に加えて、急速充電用の大型バックパックまで搭載する必要がある)ため、搭載自体がその機体のコンセプトを決定づけてしまう。例えば、ドラグーン・システム搭載機筆頭のプロヴィデンスの別称(分類)は「ドラグーンシステム搭載型対MS戦用MS」、ストライクフリーダムは「スーパー・ドラグーン・システム搭載型MS」となっている。
名前について
ドラグーンシステムの名前は「Disconnected Rapid Armament Group Overlook Operation Network・system(訳:分離式統合制御高速機動兵装群ネットワーク・システム)」の頭文字をとったもの。
第2世代ドラグーン・システム
操作性の普遍化に加えて、量子インターフェイスを改良されレスポンスが上昇したことによって、使用者の空間認識力に依存しなくなったドラグーン・システム。
端末とパイロットの間にいくらかの機械的な補助が入っている形だが、元々が使用者の資質を前提としたことで強力となった兵装であるため、補助を重視した場合は第一世代よりも動作性能で劣るという欠点がある。また、機体の操縦とドラグーンの制御を同時にしなければならない点は変わっておらず、エース級のパイロットでなければ到底扱えることができない。
なお、一口に第2世代とは言っても、カオスの開発時に行われたのは操作性の普遍化までであり、その後のプロヴィデンスザクやレジェンドの開発において量子インターフェイスの改良が行われたため、時期によって性能が異なる。最も高性能な第2世代ドラグーン・システムは最新機であるレジェンドのものであり、パイロットが元から高度な空間認識能力を持っているとはいえ後述するスーパードラグーンと遜色ない動作性能を見せている。
スーパードラグーン
第2世代ドラグーン(開発時期的にカオス時点)をベースとしつつキラによる使用を前提としたターミナル独自の改良進化がなされたドラグーン・システム。
改良の結果、マルチロックオンシステムによる同時攻撃能力はフリーダムを上回っているが、その制御を担うパイロットには常人には不可能といわれる情報量の処理を要求するため、キラでなければ性能を最大限に発揮させることができない。加えて、キラの持つ高度な空間認識能力を前提とした改良が行われたために空間認識能力が必要となっている。
作中描写を見る限りかなりピーキーな調整が施されているらしく、キラが初めて使用した際には咄嗟だったとはいえ8発中3発外しており、ナスカ級3隻のスラスターと艦砲を同時かつピンポイントで狙う際には「当たれー」と叫んでいる。
簡易ドラグーン
セカンドステージシリーズ以降のビームブーメランの軌道操作に用いられるドラグーン・システム。
元々ビームブーメランはビーム刃形成に用いている力場による軌道修正が可能であり、それをドラグーン・システムの遠隔通信技術で制御できるようにした形である。そのため、他のドラグーン・システムと異なり高度な空間認識能力や大型バックパック等を必要としない。
ドラグーン・システム搭載機体
ザフト製
ドレッドノート(第1世代)
プロヴィデンス(第1世代)
カオス(第2世代)
ソードインパルス(簡易ドラグーン)
プロヴィデンスザク(第2世代)
デスティニー(簡易ドラグーン)
レジェンド(第2世代)
プロヴィデンスザク(第2世代)
ストライクフリーダム(スーパードラグーン)
非ザフト製、その他
アカツキ(第1世代)
デストロイ(世代不明、類似技術なだけで別物な可能性もある)
ペルグランデ(第1世代)
ニクスプロヴィデンス(第1世代)
エクストリームガンダムR(リフェイザー・イグニスのみ)
余談
ちょっとした応用
上述の通り通信には量子技術を用いているため、これを利用した通信機器を開発すれば遠隔地の機体同士が通信する事も可能である。Nジャマーが拡散した世界であるために需要はありそうなものだが、通信距離がそこまで長くない(ドラグーンとして使用する場合は有視界距離で通信できれば事足りる)のか、バクゥ戦術偵察タイプやコマンドザクCCIといったわずかな機体にしか採用されていない。