意識高い系

いしきたかいけい

自らが高い能力や向上心を備えた優秀な存在であることをアピールするために、経歴や人脈、思想等を過剰に盛る人を揶揄する俗語。冷笑系とは犬猿の仲。

概要

自分の経歴や人脈、思想等を過剰演出し、パッと見はスゴい人のように思えるが、実際の経歴や活動は大したことない人々のことを指すレッテル貼りである。「系」という字に揶揄の意味が込められているが、さらに強調して(笑)が付け足されることもある。

いわゆる若者叩きのマジックワードとして使われがちで、大学生や若手社員に使われることが最も多いが、氷河期世代やバブル世代などの中年層にも適用される言葉である。

一般的な特徴として、自らの努力や能力を過剰にアピールする自己顕示欲の強さが挙げられるが、他の特徴は論者によって異なる。

自分を売り込みたい人が相手の気持ちや市場を意識して自己アピールに励むのは当然のことであるが、「意識高い系」は成果に繋げるための行動よりも自己顕示欲や承認欲求が先行し、「盛られた」自己アピールだけが独り歩きするという本末転倒になった状態である事が多い。

本当に自己研鑽をして成果に繋げている人でも、自己アピールが過剰で鬱陶しいと認定されればやはり「意識高い系」と冷笑される。

ともすれば「意識高い系」という言葉を使う事で「冷笑系」（人の情熱を蔑み笑ったりせせら笑う態度・言説を取る人）認定されることもあるので使用には注意が必要である。

行動パターン

別に意識高い系に限定されないものも多い。

• 慇懃無礼。基本的に上から目線で、自分の主張に合致しない人間を遠回しに見下す。
• 自分のプロフィールを盛る。
  • せいぜい遊びレベルの体験談や誰もが通るような経験も、大言壮語で虚飾する。
• SNSのプロフィール画像がキメ顔の自撮り。
• TwitterやFacebookといったSNSで「俺は他とは一味違う」「物事を達観して見ている」的な発言を連発する。
  • だいたい自己啓発本やビジネス雑誌の受け売りで底が浅い。
• 聞いてもいない自分語りが多い。
  • 大学や前職での経験、そこから学んだこと、座右の銘、人生訓といった話で勤勉アピール。社会人は役職も添えて地位を強調したがる。
• 人脈を自慢する。
  • SNSで相互フォローしただけとか、ちょっと会っただけの人も人脈にカウントして水増し。
• 数字や英語の表記が好き。
  • 外国語の言い換えを多用する（コミットメント、アウトプット、レジュメ、オポチュニティ、エビデンスなど）。
• ビジネススーツと整髪料を好む。
  • ネクタイは派手な色のものかこれ見よがしなブランド物が基本。
• 身の回りの品を海外ブランドや環境保護系ブランドで揃える。
• サブカルチャーをジェンダー論の立場から解説する。
• 「日本の○○はレベル低い」「欧米では～」など、何かと海外（特に欧米）を引き合いに出したがる。
  • 自動車は欧州車を好む。環境保護を考えるなら低燃費な国産車に乗った方が良いが何かとダメ出し。
  • 以外とヘイト思想が強い。「欧米では〇〇。東アジアは✕✕。日本もしょせん東アジアだから✕✕」という論法を好む。
  • 海外旅行に行って価値観が変わったと発言しがち。
• 読書家をアピール。ビジネス本の表紙等をSNSにアップしてドヤる。
  • 有名な経営者や偉人・有名人の意識が高そうな名言を引用する。

映像化

「意識高い系」がピックアップされたことにより、2015年3月3日~4月21日までNHKテレビドラマ『その男、意識高い系。』が放映された。

内容としては主人公の中堅OLが、意識だけ高いが中身が伴わない新入社員に振り回されるビジネスコメディー作品。

林遣都による絶妙にウザい演技で話題となった。

作中において『意識高い系』とは「夢や理想を語り一見優秀に見えるが、自らの価値を世に認めさせることが最優先で実力と行動が伴わない、非常に惜しい人間」と説明された。

アニメ化もされているライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』に、海浜総合高校の玉縄生徒会長というキャラが登場するのだが典型的な「意識高い系」キャラで総武・海浜合同クリスマスイベントの企画会議で、あれやこれやと企画案を乱発するも捌ききれず迷走させてしまっている。

経緯

多くの俗語の例に漏れずこの言葉の発生源は定かではない。

もともと就職セミナーなどの「意識の高い学生の集まるイベント」という謳い文句から派生し、就職活動に対してズレた努力をする学生を揶揄して生まれたようである。

もともと2ちゃんねるを中心にナショナリズムと（リベラル）活動家嫌いが存在した。冷笑系の項目も参照。

「意識高い系」としての叩きは2013年ごろから目立ち始めた。SNSの流行で可視化されたことも大きいと思われる。当時の意識高い系叩きのターゲットは、主にカタカナ言葉を多用する就活中のゆとり世代の若者を中心としたビジネス意識高い系が多かった。上記のように意識高い系は日本文化を見下す傾向が強いため、ゆとり世代のオタク層が叩きを手動した。

同時に反・反原発の流れやSEALDsへの反発から、学生運動・政治運動を中心とするリベラル意識高い系批判も同時に起こった。

2010年代後半になると就職氷河期時代を乗り切った氷河期世代に多い自己責任論を振りまくネオリベ意識高い系が批判の対象となった。

2020年代前半にはSDGsに賛同する環境意識高い系やZ世代=リベラル論への反感と結び付けて語られることが多くなった。

関連企業

• ブルーボトルコーヒー：ブルーボトルに関するとあるつぶやきが意識高い系の象徴とされた。
  • 現在はネスレが買収。
• 阪急電鉄：2019年に電車の車内広告を意識高い系ビジネスのものに統一した結果、あまりの上から目線かつ、非現実的な内容が通勤客の怒りを買いネットで炎上。
  • 対象の編成はすぐに運行が停止され、車内広告を剥がす事態になった。
• Apple_Inc.：意識高い系と言われる人間は何故か、Apple製品を使用している事が多い。
  • 旧来からのマカーからすると甚だ迷惑極まりない。
• スターバックス：Appleと並んで、なぜか意識高い系御用達なブランド。

関連タグ

Z世代

自己顕示欲　承認欲求　Twitter　新自由主義　自意識ライジング

地獄のミサワ：意識高い系のキャラを多く描いている。

DQN：対抗して「意識低い系」と称されることも。

海馬瀬人：意識高い系(物理)or意識他界系。

ショウナンパンドラ：馬なり1ハロン劇場にてこのキャラにされていた。

対義語

冷笑系：人の情熱を蔑み笑ったりせせら笑う態度・言説を取る人。

当然ながら意識高い系とは犬猿の仲である。