浅上藤乃
あさがみふじの
とても……とても痛いです。わたし、泣いてしまいそうで
――泣いて、いいですか
プロフィール
日本人形を思わせる美人。陰のある立ち振る舞いは、しかし、滲むような清楚さがある。
概要
『空の境界』に登場するキャラクター。
第三章『痛覚残留』にてメインキャラクターの一人として活躍する少女。
礼園女学園の生徒であり、黒桐鮮花の友人。荒耶宗蓮が両儀式のために用意した3つの駒の1人にして、死に接触して快楽する存在不適合者。旧姓は「浅神」なのだが彼女が幼い頃に没落しており、母と共に分家である浅上家に引き取られた。劇中では慢性的な腹痛に悩まされていたが……?
ファンおよび公式からの愛称は「ふじのん」。
人物
一人称は「わたし」。
普段は鮮花から「誰も憎まない娘」と評されるほど温和で穏やかな性格。
夫の影踏まずタイプの控えめな女性像……なのだが、それは後天的な無痛症による外部刺激及び自らの身体を感じることができないために生じたものであり、根本では「無感情症」「他者への共感性の欠落」から起こる「集団からの孤立」を避けるために演じている人格にすぎない。
本来の彼女は常識を重んじ相手を立てる才女だが、根底は徹底した悲観主義者かつリアリストなので時に相手の心情を無視した辛辣な意見を口にする事もある。またその重んじる常識も「知識的」なものでしかなく、「実感」を伴っていない。式が生の実感をもてないこととは似て非なる。
基本的に忍耐強いが、一度たがが外れると相手を追い詰めるまで(事態を解決するまで)止まらない、暴走ダンプカーな気質でもある。このあたり、決断に容赦のない式と似ている。
女性的な仕草、口調、性格ではあるが、趣味は少女趣味からかけ離れたもの。スプラッタホラー映画鑑賞など、ひとりでこっそりと楽しむ暗いものを好む。特に登場人物たちが恐怖に駆られる様はとても興味深いとか。また『FGO』ではロボットのメカエリチャンを見て「藤乃VSメカエリチャンも良いかも」とか言い出すあたり、特撮・ロボット系にも理解がある様子である。
本人は最期まで自覚する事はないが、潜在的な加虐性質。追い詰められると途端に残酷・冷酷・悪趣味になるのはこのためである。前述の「他者への共感性の欠落」からも、後天的なサイコパスの素養を有している。その一方で、他者への気遣いや情については本心であることも多いので、何方かと言うと狭義の意味でのサイコパスよりはデミサイコパスである可能性が高い。
他者の痛みに共感する形でしか生への実感を得られなかったことから、荒耶の手によって感覚を取り戻した後は残虐に相手を殺して快楽を得るという暴走を招いていく。そして、彼女の義父からの依頼により、文字通り殺してでも止めに来た両儀式と死闘を繰り広げることになる。
礼園女学院に所属している人物の中でもスタイルが大変よろしいキャラであり、瀬尾静音曰く「礼園女学院が誇る和風美少女型・物理法則歪曲兵器。威力も胸囲も文句なしナンバーワン」と太鼓判を捺されている。武内崇氏の同人誌「春と月と空と」に記載の空の境界キャラの乳比べ図では、蒼崎橙子と並んで「豊」評価となっている。また、男性の暴力的なところは苦手だが、同時にそんな子供らしい一面を愛らしいとも思っている。なので、完全な理性の人に対しては愛情より憧れ(恋の感情)を抱くようだ。その関係か、黒桐幹也を「中学時代に出会った憧れの先輩」として密かに慕っていたのだが、残念ながら幹也側はそのことをすっかり忘れているようである。
能力
右目で右回転、左目で左回転の回転軸を視界内で作り、物を捻じ曲げる「歪曲」の力を持つ。
この力は元々生まれつきのものだったのだが、力を嫌った実父が薬品を使って彼女を人為的に無痛症にすることで力を封じていた。しかし、不良達の暴行(本当はある人物の干渉)が原因となって無痛症が直った事で、能力も元通りどころか性能が飛躍的に向上して再発現した。
所謂「一点特化型」なので汎用性に乏しいが、「凶(まが)れ」という言葉以外に予備動作を必要とせず、発生までのタイムラグも殆ど無く、広範囲に作用でき、さらに対象の強度にも左右されないと、極めて攻撃的な特性を備えており、攻撃能力だけであれば作中でもトップレベルを誇る。
また、式との最終決戦では千里眼に近い透視能力にも目覚めており、難点であった「障害物による防御」も克服。自分らのいた巨大な鉄橋を一瞬で捻じ切って全壊させる程の力を見せた。
しかし、そこまで強大な力の負荷には脳が耐えきれなかった様で、以降は視力が著しく低下してしまい、六章『忘却録音』や『未来福音』では、杖をついて歩いている様子が見られる。
『FGO』では、捻り方にバリエーションがあり、縦向きや横向きに全体を捻る、腰部分で分断するように捻る、3つに分割したり粉々に千切るように捻る、圧壊させるように捻り潰すなどする。
復刻コラボイベントである『復刻版:空の境界/the Garden of Order −Revival−』と共に実装。イベント直前まで情報が伏せられていた上に復刻版という事で油断していたマスター達に衝撃を与えた。レアリティは☆4で、クラスは魔眼が飛び道具という解釈なのかアーチャーとなっている。
両儀式のように根源接続者でもない彼女がサーヴァント化できたのは、その高い能力を「世界の抑止力」に買われたから。「世界の抑止力(アラヤ識)」は人理焼却を覆す為の戦力の一つとして彼女の異能を採用し、彼女は仮初めのサーヴァントとしてカルデアに召喚される事になった。
彼女にとってサーヴァントである自分は『夢』にすぎない。
式同様、燃え尽きる直前に見ている、人理焼却を覆さなければ消えるだけの一夜の幻。
普通の感性なら混乱し、パニックに陥るところだが、藤乃はこの異常をすんなりと受け入れた。自分の立場をきっちりと理解し、自分にできる範囲でマスターの力になろうと努めるだろう。
また、サーヴァント化によって身体能力が向上している(ただし、痛覚は薄めな模様)ためか、普段よりも人格が勝ち気でアグレッシブになっている。またそのせいか攻撃手段は魔眼一択なのだが、戦闘中は頻繁に動き回り、一部からは「スタイリッシュ魔眼」なんて呼ばれている。
マスターとの間柄は例えるならマスターから見て「近所の素敵なお姉さん」というのが一番近い。
親身になって接してくれるがどこかで一線をきちんと引いている、そんな関係性である。
ガチャサーヴァントなので、当然霊基再臨で衣装や髪型が変化する。
初期はお馴染みの礼園女学園制服だが、第2段階では『まほうつかいの箱』等で登場した喫茶アーネンエルベの制服に似た給仕服(本人曰く文化祭で着たらしい)&ポニーテール、第3段階では浅神家が存続していたなら存在していただろう、艶やかな着物姿の正装を披露する。
こちらのステータス上ではなぜか「痛覚残留」のときよりも体重が3kg増えているのは秘密。
2019年5月9日には、『Fate/Grand Order Arcade』にも『空の境界』イベント後半ピックアップとして実装された。通常攻撃の全てが敵の居場所をサーチして行う特徴的な性能となっており、アプリ版において2018年代に実装された第1.5部以降のサーヴァントからは初の参戦となっている。
本来Fate世界の住人ではないためか長らく他イベントには登場しなかったのだが、2020年水着イベント『サーヴァント・サマーキャンプ!』にて「ビデオを見た者を追跡する少女霊」としてまさかの登場。倒されるまであまり台詞がなかったが、倒されフェードアウトする直前主人公に対しある約束をする。そして後始末も済ませ全てが終わった後、主人公は約束を果たしに彼女の元へ……
ふじのんファン、そして型月マニア必見のしっとりとしたシナリオなので、頑張ってストーリーを進めてみよう。ただし態度には気を付けるように。あまりふざけ過ぎると……
その後、2021年の『アキハバラ・エクスプロージョン!』にて、
という形で登場。
特にメイドカフェにおいては、バトルにおいてサポートキャラとして使用することになる。
ちなみに、ふじのんはかつての謎のヒロインXやブリュンヒルデを上回る「復刻までの期間が最長のサーヴァント」となっているため、物珍しさで彼女をサポートに選んだマスターも多いとか。そして、5月末の復刻版『サーヴァント・サマーキャンプ!』の後半ピックアップ召喚にて、待望の復刻召喚が行われる事となった(その後は定期的に復刻)。やったねふじのんファン!
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|---|
藤丸立香 | E | B | D | A | C | EX |
保有スキル
対魔力(D) | アーチャーのクラススキル。魔術に対する抵抗力。一工程(シングルアクション)による魔術を無効化する。サーヴァントとして存在している恩恵。微弱な念動力者である藤乃は、戦闘時に無意識に力場を形成している。 |
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単独行動(A+) | アーチャーのクラススキル。マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。式やジークと同様、擬似サーヴァントとして有する能力。孤独を好む訳では無いが、何となくひとりでぶらつく悪癖あり。尾行とか得意。魔力切れを起こしてとても辛い筈だが、痛覚が薄い為気付いていない。 |
陣地作成(B) | 本来はキャスターのクラススキル。自身に有利な陣地を作り上げる。超抜とも言える視力は千里眼に近い透視能力を獲得した。周囲の空間を把握し、遮蔽物の向こうにいる対象を「視る」力は、最早一つの結界に近いレベル。 |
痛覚残留(A) | 完治したというのに繰り返す死の痛み。人間の証明。浅神の一族は少女の異能を封じる為、その触覚を閉じ込めた。『空の境界』本編では治っているのだが、どうやら『FGO』では腹痛を引き継いで召喚された模様である。 |
千里眼(闇)(C→C++) | 人間の視界から外れた視界「神の視点」である俯瞰の視点から対象を「視認」する為の能力。ただし、能力を得る代償で通常の視力を損なっている。 |
歪曲の魔眼(EX) | 魔眼と呼称される異能の中でも最上級のもの。異能の中の異能、希少品の中の希少品。無機・有機問わず『物質として存在するもの』を一枚のプリント映像として平面的・二次元的に捉え、これを捻る事で対象の強度・規模を問わずに捻り、切断する。後述する宝具『唯識・歪曲の魔眼』の要となる。 |
宝具
唯識・歪曲の魔眼(ゆいしき・わいきょくのまがん)
- ランク:EX
- 種別:対界宝具
- レンジ:1~9999
- 最大捕捉:不明
「はい、捻り切ってしまいますね。」
「凶れ、凶れ!凶れぇえええええっ!!」
夏に降る懐(なつかし)の。千里眼(クレアボイアンス)を併発した事により、人間の視界から外れた視界――神の視点である俯瞰の視点から対象を“視認”し、ねじ曲げる超遠距離物理崩壊。
封鎖されていた痛みは堰を切って螺旋を描く――その崩落は泣き崩れる女のように。
ちなみに演出として、かつての鉄橋がねじ切れるムービー ※ が入ることから、『対橋宝具』なんて呼ばれていたりもする。上述の通り、本来の彼女では視神経を初めとして甚大な反動を伴う力なのだが、某魔法少女同様サーヴァント化によってそのリスクが軽減されている模様である。
余談だが、宝具のレンジが999という3桁の限度を超えた初の4桁宝具となる。
※ 劇場版でのワンシーンの再現
ゲーム上での性能
☆4アーチャーでは初めてATKが10000を超えるAKT偏重型。
HPは低めだが11000台と極端に低くはないためステータスは良好。
カードのバランス配分は《Quick:1/Arts:2/Buster:2》というセイバー型。
ヒット数は全て3hitだがクラススキルに陣地作成を持つためAの性能が底上げされている。
スキルは自身のBuster性能とNP獲得率をUPし、防御無視状態を付与する「歪曲の魔眼」、必中状態を付与し、スターを獲得する「千里眼(闇)」、自身の最大HPを削る代わりにダメージカットとガッツを付与する「痛覚残留」。「痛覚残留」は支払うのが最大HPなので少しダメージを食らった後で発動すると実質的にデメリットをチャラにできる。減った分のHP回復はできないので注意が必要。無敵回避こそ持たないものの、攻撃バフと防御バフを併せ持つためバランスがいい。防御力アップではなくダメージカットなので効果中は相性有利の敵からの攻撃をほぼ無力化できる。『魔法使いの夜』コラボイベントに伴って強化クエストが実装され「千里眼(闇)」のNP獲得が増加した。
宝具の種別はBusterで、効果は【敵単体に超強力な攻撃&強化無効状態を付与(3ターン、1回)&攻撃力をダウン(3ターン)】。 攻撃力ダウンは「痛覚残留」との相性が良く、強化無効は厄介なバフを1回だけ無力化できるため非常に便利。「歪曲の魔眼」で防御バフを無視でき、回避も「千里眼(闇)」で無力化できるためにダメージを通しやすい。前述した再ピックアップに伴って強化クエストが実装され、宝具が【〔超巨大〕特攻攻撃<オーバーチャージで特攻威力アップ>)】に強化される。
自己完結気味のアタッカーで相手の搦め手に対して滅法強いギミックキラーという特性を持ち、ストーリークエストや高難度クエストで真価を発揮するタイプである。「痛覚残留」のおかげで耐久戦の適性も高い。悪属性で即時スター生成スキルを持つこともあって彼との相性が良い。
難点はスキル育成で銅素材をドカ食いする事であり、具体的には「虚影の塵」×24「凶骨」×36「宵哭きの鉄杭」「魔術髄液」×60と☆5サーヴァントにも劣らないほどの量が要求される。
どのスキルをから育てるべきか、優先順位を付けてじっくりと育成しよう。
関連人物
空の境界
先輩にして憧れの人。その極端なまでの「普通」さに惹かれている。
故にどうやっても「凶げる」事は出来ない。幹也本人は忘れていたが、本編以前に学校の体育祭の時に救護されたときに面識があり、その時の言葉が藤乃の心の中に残っているようであった。
黒桐幹也の妹であり、自身の友人。
幹也の妹である事は知らず、鮮花から「憧れの先輩探し」を依頼として幹也に紹介されかけた。
また『FGO』のバレンタインイベントでは『空の境界』本編では描かれていない時間軸において、彼女とルームメイトであったことが明かされており、当時の鮮花とのエピソードも語られている。
先輩にしてはじめて嫌いと思った相手。綺麗だけど、それ以上に怖い人。
一度殺し合った仲なのだが、お互いその点はあまり気にしていない様子である。
また、式の側からは『FGO』のマイルームで曰く「全方位に開いた人間大砲みたいな奴」「思い込みが強い上に、他人の心が読み取れない地雷女」などとある意味的を射た評価をされている。
安藤由子
学校の友人で「どれだけ苦しくとも、この世界を綺麗だと信じてほしい」という言葉を受け取った相手。巫条霧絵の騒動に巻き込まれて自殺してしまうが、彼女が残した言葉は今でも残っている。
知り合い。上記の安藤由子を通じて知り合った。自分の何気ない一言で由子を自殺に追い込んでしまったと悔やんでおり、後追い自殺を考えていた所を藤乃に半ば脅しのような形で止められる。
Fate/Grand Order
原作『空の境界』では出会うことがなかった両儀式のもう一つの人格。
マイルーム台詞で曰く「とても女性的で口調が穏やかで、柔らかくて、たおやかだけど、腹が立つ」と、元の式と比べてもかなり嫌っている様子である。一方、彼女からは「巨大積乱雲(スーパーセル)女」「基本的に自然災害」「怪獣みたいな恋人」とこれはまた的を射た評価をされている。
契約したマスター。基本的に「さん」付けで呼ぶ。
マイルームでは、親戚のお姉ちゃんの様な距離感で接している。
どこぞの姉なるものよりも、まともな態度に見えるのはなぜだろうか……
怪獣バトル的な意味で、ライバル視しているサーヴァント。マイルーム台詞で曰く「鉄のような肌、鉄のような翼、鉄のような絶壁を持つサーヴァントなんですが……あの目力、とても気になります」と結構な評価を下しているが、無意識に地雷を踏み抜いてるのはそのサガ故なのか……
自身と同じく生まれつきの異能を持つ少女。系統は違うが、他人のような気がしない人物。彼女の鍵を「回す」能力と、自身の空間を「凶げる」能力の共通性にシンパシーを感じているようだ。
マイルームで遭遇した際は鮮花と見間違えて驚いていた。第一印象は品のいい人だと思っていたが、青子が指先からビームを撃つと聞き「姉妹かもしれない」という感想を抱いている。
ディルムッド・オディナ(剣)、美遊・エーデルフェルト、ヘファイスティオン
他作品とのコラボイベントにおいて、復刻版で追加実装された☆4サーヴァント繋がり。
この内、美遊とは現代出身かつ、生まれつき魔術とは別の異能を持った者同士でもある。
関連イラスト
『FGO』