「あたし達、あんなふうになれるかな?」
「"藍染隊長の部下として"じゃありません」
プロフィール
概要
幼い外見だが護廷十三隊の副隊長を務める小柄で可憐な少女。一人称は「あたし」
西流魂街第一地区「潤林安」出身で十番隊隊長の日番谷冬獅郎とは流魂街からの幼馴染で「シロちゃん」と呼んで可愛がっていた。学校に入るまでは日番谷と祖母との三人暮らし。友達もいた。
吉良イヅル・阿散井恋次とは霊術院時代の同期で、彼らと共に檜佐木修兵の後輩である。
霊術院に入学した理由は不明だが、一回生の時、藍染惣右介に命を救われたことで五番隊入隊を目指す。日番谷曰く、藍染の役に立ちたいと死にもの狂いで努力して、やっとの思いで副隊長になった。
原作では寝間着で藍染の部屋に訪問したがアニメは死覇装。
人物
初期は気弱そうですぐに泣いていたが、本来は明朗快活で真面目な性格である。感情表現豊かだったが藍染の一件以降は憔悴し、控え目で沈んだ表情ばかり見せることが多かった。
特技は絵を描くことで、実際上手で瀞霊廷通信の挿絵制作担当。
趣味は読書。藍染が読み終えた本を借りて読んでいたら好きになった。伊勢七緒とは読書友達。面白い本を紹介し合ったり、一冊の本について熱く語り合ったりしている。
四番隊の生け花教室に参加するなど、女の子らしい趣味が多く、休日は祖母の家や図書館に行ったりしている。
また、書類仕事を得意としており「書類仕事の虎」の異名を持つ。
容姿
可憐な容姿から他隊隊士からの人気も高い(『カラブリ+』)。
黒髪で茶色の瞳と太めの眉をしており、髪型はシニョン(お団子頭)。
千年血戦篇では髪を肩より上までばっさりと切り、前髪の分け目を変えて髪留めをしている。
おさげ、髪を伸ばしてひとつ結び、シニョン、ショートヘア、和装向けのアップスタイルなど、作中でもストーリーの時期によって髪型を大きく変えている。
髪飾りの色は原作カラー版では共通して白地に紫のリボン、アニメ版ではシニョンは水色の布地に青いリボン。
能力
鬼道の扱いにも長けており、複数の鬼道を組み合わせたり、斬魄刀の能力を上乗せするなど独自のアレンジを織り交ぜた搦め手で相手を翻弄する。日番谷曰く「鬼道の達人」。
四番隊には及ばないが回道による重傷治療も行える。
斬魄刀
解号は「弾け」。
詳細はリンク先を参照。
本編での動向
霊術院1回生時代の時系列である番外編『-17 逸れゆく星々の為の前奏曲』の魂葬実習にて、巨大虚に立ち向かう上級生(檜佐木)の危機を目にし、恐怖を圧し殺して一人で救援に向かう。次いで吉良・阿散井も加勢。複数の巨大虚に追い詰められたところを、藍染と市丸ギンに救われる。
この巨大虚に立ち向かった行動が、藍染(実は巨大虚の制作者)に手駒候補として目を付けられるきっかけとなり、彼女や友人達が歩むことになる数奇な運命の始まりとなった。
藍染に憧れ苦労の末に五番隊副隊長となるが、彼の殺害事件が起きた後は精神的に不安定となる。
日番谷の忠告から市丸が犯人だと思い込み激昂、市丸を守ろうとする吉良と戦闘になりかける。また改竄された藍染の遺書を真に受け、幼馴染の日番谷を犯人として討とうとする。
それほどまでに藍染への想いが強かったにもかかわらず、本性を現した藍染によって胸を貫かれ、重傷を負わされる。
藍染に助けられて以降ずっと深く敬愛して絶対の信頼を寄せていたため、裏切られたという現実を直視できず、藍染の救済を日番谷に願うなど、精神的ショックからなかなか立ち直れずにいた。
(ちなみに『カラブリ』では、隊の出店物として「メガネクッキー」を提出するも、「私が天に立つ」と草鹿やちるが粉砕したことで卒倒するというシャレにならないネタが描かれている。なおこのメガネクッキーは実際にジャンプフェスタで販売された。また、新人隊員募集において少女漫画タッチな藍染を描いている。応募条件は「裏切らない人」)
空座町決戦では多少の回復を見せて参戦。第3十刃ティア・ハリベルの従属官3人と戦う松本乱菊へ加勢。
その際藍染は尸魂界の敵だという認識を示すものの、「藍染"隊長"」という彼を慕っていた頃の呼び名を無意識に使っていた。
従属官たちを鬼道によって翻弄するも、召喚されたアヨンにより乱菊共々重傷を負い、後方にて治療を受ける。
しかしその後、仮面の軍勢や護廷十三隊による藍染との総力戦が始まると、鏡花水月によって藍染の身代わりにさせられてしまい、藍染と誤認した日番谷に刺されて重傷を負ってしまう。
最終決戦で藍染が捕縛され、戦いが終わった後は十二番隊に預けられて臓器回復の治療を受けた。
死神代行消失篇では直接の出番はないが、黒崎一護への死神能力譲渡に参加している。
後述の理由により藍染の一件からは立ち直っており、五番隊に隊長として復帰した平子真子の元で働いている。
最終章・千年血戦篇では元の明るい人柄を取り戻した姿が描かれ、見えざる帝国侵攻以降は主にサポート役として平子隊長と行動し、大前田希代や砕蜂の傷の治療などを行った。
戦闘面においても飛梅で複数の聖兵を一撃で焼却する活躍を見せたが……アニメ版ではカットされてしまった(とは言えアニメオリジナルシーンで一人で複数の聖兵と対峙したがその後問題なく平子隊長の元に駆け付けている為に聖兵を物ともしない事は示唆されている)。
ちなみに、平子隊長からは『桃』と呼ばれており、それまで名字呼びばかりだった中で珍しく下の名前で呼ぶ相手でもある(死神以前に日番谷が(寝ションベン)桃と呼んでいたことを除けば、他は小説版の京楽春水からの『桃ちゃん』のみ)。
大戦を生き残った10年後も副隊長をしており、髪型の影響か以前よりも大人びた姿に見える。
ノベライズ版
小説『BLEACH The Death Save The Strawberry』にて藍染捕縛後から死神代行消失篇までの時期にあった平子との初対面などのエピソードが収録されている。
隊長就任の話をするため綜合救護詰所の病室へ見舞いに訪れた平子と対談する。
平子は藍染の本性に初めから気づいていたが、隙を見せるまで泳がせる判断をした。その結果、膨大な数の犠牲者が生まれた事に平子は責任を感じており「オレが藍染を殺しておくべきやった……!」と吐露。雛森は「そんなこと……言わないで下さい……!あたし、藍染隊長に出会えたこと…やっぱり、感謝しているんです」と涙ながらに伝えた。
体が治った後は目が覚める度に「全部悪夢だったのでは」と淡い期待で藍染の霊圧を探すほど、心は藍染に囚われていた。五番隊の副隊長としてしっかりしよう、隊長のことは忘れよう、そう思うほどに苦しくなる一方。尸魂界中に藍染との思い出が溢れていて、否応なく浮かぶ満ち足りた日々の記憶が恐ろしかった。そう悩んでいた時に「藍染との思い出や学んだことを無理に忘れようとしなくていいんだ」と乱菊や七緒たちに諭されたことで、事実を受け入れ、道を選べるようになった旨を語った。
入院が長引いていたのは藍染の件で悩んでいたわけではなく、隊を離れていた事で職場復帰する自信を失っていたからだった。
そこを平子の上司論によって諭されたことで復隊。
復隊後は溜まっていた仕事を終わらせるだけでなく、部下の仕事も全部引き受けて休暇を与えた。「あたしの分まで働いてくれたお礼がしたいんです。っていっても、お休みをあげることぐらいしかできないんですけど……」と大量の書類の中、晴れやかな顔をしていた。
復隊後も雛森と交流する時は皆、藍染に触れないよう気を遣った。そんな中、平子は意図的に触れはしないが不自然に避けないよう藍染を話題に上げた。それが雛森の心を時間をかけてほぐした。
雛森の書類の書き方、整理整頓の仕方はびっくりするほど藍染に似ており、藍染を見て仕事を覚えたんだろうと平子は見ている。
仕事ばかりする雛森に平子は休めと命令を下したり、平子が仕事時間に雑誌を開いてると雛森が微笑んで(目は全然笑ってない)注意したりと、二人は互いに前任者との距離感とは異なる、程よく良好な関係を築いている。
小説『WE_DO_knot_ALWAYS_LOVE_YOU』では大戦の爪痕が残る復興の中、仲間達と語らい前向きに過ごす様子が描かれる。恋次と朽木ルキアの結婚報告会で「あたしも二人に結婚式挙げて欲しいでずぅ……!」と号泣したり、式に着る着物を乱菊と買いに行く約束をしたりしている。矢胴丸リサと七緒の会話を聞いて月日の重みを感じて泣き「感情移入が激しすぎへん?」とリサに呆れられ七緒に慰め続けられたりしていた。その一方で、辛いことを乗り越えて逞しくなったのか、隊費を個人的な趣味に使おうとした平子とリサに対して闇夜を押し固めたような恐ろしい瞳で忠告をした。二人には「鬼がおった!!」「雛森には逆らわんとこ」と恐れられ、この出来事は「雛森事変」として二人の胸に深く刻みつけられた。
ノベライズ『Can't Fear Your Own World』では出番自体は少ないが、本編との対比構造が度々見られる。
読書好き繋がりか平子を通じてリサと親しくなっていたり、本編含め平子と猿柿ひよ里の喧嘩の仲裁役・見守り役になっていたり、ルキアと阿散井の結婚報告会にて朽木白哉のルキアへの不器用な愛情表現に気付き、冷酷無比に見える彼の情の深さを周囲の者たちと察するなど、日々新たな交友関係を広げているようである。