分類
- 甲虫目 オサムシ亜目 オサムシ上科 オサムシ科 ホソクビゴミムシ亜科 ミイデラゴミムシ属
- 学名:Pheropsophus jessoensis
概要
コウチュウ目ゴミムシ科(またはホソクビゴミムシ科)に属す昆虫の一種。
マンガなどの創作物に登場したり、罵倒に使われたりと、知名度が低いゴミムシ類の中では最も有名な種の一つである。
体長は16mmほどで、体は黄色と黒の甲殻に覆われている。背部の黄色い二つの模様が特徴。
日本(北海道~奄美大島)、朝鮮半島、中国に分布し、平地の湿った草原の地表に生息する。
昼間は石の下などに潜み、夜間に活動する。飛べない。
幼虫はオケラの卵の殻を破って中を啜り、その栄養を食べて成長する。
幼虫はケラの卵を食べないと成長出来ない為、ケラの個体数が多い環境でないと生息出来ない。
最大の特徴はそのオナラである。
ミイデラゴミムシの腹部には過酸化水素とヒドロキノンが蓄えられており、体内の酵素と酸化還元反応を起こすことにより、高温高圧の水蒸気とベンゾキノンを含むとんでもない悪臭の毒ガス(ベンゾキノンはタンパク質と反応し炎症を起こす成分である)を超高圧で放ち、その温度は瞬間的に摂氏100度にも達する。皮膚に付くと茶色いシミが数日間残ってしまう。
ちなみに人間大(2m)のミイデラゴミムシが放屁した場合、至近距離におかれたマネキン人形が跡形もなく吹き飛ぶ程に相当するらしい。2cmもない小さな虫だからよかったが、カメムシやスカンクとはまた違った方向から殺人的なおならである。
…かと思うと、「デコピンを何回喰らわせると、のたうち回って足を引き摺る様子がコミカルですごく面白い」と言い出す者も居り、危険なのか怖くないのか両極端な評価を受けている。
創作作品におけるミイデラゴミムシ
「スターシップトゥルーパーズ」のプラズマバグ、「トレマーズ3」のアスブラスター等、映画怪獣のモチーフになる事が多い。
その後、「サラマンダー」にて考案されたドラゴンによる火炎放射の由来として有名になり、これが後に「ハリー・ポッター」シリーズや「ゲームオブスローンズ」などにも影響を与えたとされている。
火星ゴキブリ駆除漫画「テラフォーマーズ」に登場するゴッド・リーの改造ベースにもなっている。
「新甲虫王者ムシキング」でも「おたすけムシ」として2016ファーストより登場し、自慢のオナラをおたすけ技「バーニングガス」として使用。属性はグー、レアリティはSR。
こうげきの伸びが+35と多い上にグーおたすけながらパーで勝つと発動する、優秀なおたすけムシ。ちなみに旧ムシキングでは「ばいがえし」としてカメムシ(アカシジキンカメムシ)が放屁する技があった。
なお初登場した2016ファーストにおいてはおたすけムシの出るステージであれば制限無く出現するもののピックアップステージが一つも無くやや入手困難だった反面、続く2016セカンドではピックアップステージが用意された他、記録カードによる確定SR以上キャンペーンや休日フレンドバトルのR以上確定キャンペーンにおいては当初の希少性が嘘のように大量に採れるようになった。
NHKのアニメ「エレメントハンター」ではこの虫をモチーフとしたQEX(モンスター)の「キコウチュウ」が登場。
見た目は金色に輝く虫(あと外国発カブトムシのように角がある)だが、体内で化学物質を急速に反応させることで爆発的なエネルギーを生み出し、ジェット噴射で推進力を得るという形で飛行能力を獲得している。つまり生きたロケット。
実際のミイデラゴミムシは飛べないのだが、QEXは取り込んだ元素の性質やモンスター化に伴う急速な"進化"の影響で通常の生物ならあり得ない程に生体機構が強化されたり、新たな能力を得たりしている上、そもそもが「地球とよく似た環境を持つ異界の星」の生物なので地球のミイデラゴミムシと同列に扱うべきではないのかもしれない。
最強王図鑑フランチャイズでは
昆虫王、異種最強、漫画版、アニメ版の4作品で登場。2つ名は『最大の攻撃はガス攻撃!!』、アニメ版のみ『昆虫界の虎』。
……なのだが、武器があまりにも少ないのか勝率は悉く悪い。
甲虫王ではシオヤアブにガスを躱された挙げ句、背後に忍び寄られて口器を刺されてしまい敗北。異種最強王ではティラノサウルスにガス攻撃をお見舞いしダメージを与えたものの、足を踏み鳴らしながら暴れるティラノサウルスに踏み潰されて敗北。
漫画版では主人公サイドとして登場しペルビアンジャイアントオオムカデと戦闘。ガス噴射を利用した突進をお見舞いし、そのまま降り注ぐ岩に呑まれ両者死亡…… 引き分けという結果になった。(漫画版とはいえ、最強王シリーズで引き分けが出たのはこれが最初)
アニメ版ではシベリアトラと戦闘。周囲の木々に潜みながら何度も攻撃してくる相手にガス噴射で対抗。暫くして死角を狙って飛び掛かられそうになった……が、ミイデラゴミムシの噴射口は前後左右に動かすことが出来る特徴があり、体の向きはそのままで噴射口だけを動かして1発噛ますことに成功。この1発を受けたシベリアトラは敗北を悟り、潔く森の中へと去ってしまった。
現状、これがミイデラゴミムシにとって最初にして唯一の勝利である。
その後26話にて再登場。対戦相手はプルスサウルス。
巨大化した体を活かした最初のガス攻撃で相手を吹き飛ばした後、わざと口の中に入ってから2発悪臭攻撃。追い出されても尚4度目のガス噴射で攻撃し、その一撃こそ躱されたものの直ぐ様洞窟の隙間へ逃げ込む。そしてプルスサウルスを岩の隙間に挟んで動けなくし、最後の1発を……を撃とうとしたところでまさかのガス切れ。結果プルスサウルスは抜け出され、尻尾の一撃でノックアウトされて敗北。
31話のオオスズメバチ戦でも1発だけ羽を狙い撃ち飛行出来なくさせたものの、2度も躱されてしまった挙げ句、最後の力を振り絞りガスを噴射。オオスズメバチを怯ませて、その隙に戦線離脱、棄権した。しかし本来ミイデラゴミムシは先述のような戦法で身を守る昆虫であるため、勝負自体はオオスズメバチが勝つことになったが、この回はまさに勝負に勝ち戦いに負けるというミイデラ本来の生態が垣間見えた終わり方だった。
というのも、ミイデラゴミムシのガス噴射は強烈ではあるが、使い果たしてしまうと再び使えるまで時間がかかるためそこを狙われると一巻の終わりであるという欠点もある。その回数は4回が限界らしく、プルスサウルス戦では調子に乗って連発してしまった事が原因である。またオオスズメバチ戦では序盤の2発をうまいこと躱されたため、先述の結果につながったともいえよう。
また、書籍版の試合でも散々な目に合っているのはそのためと推測される。
関連項目
ミイデラゴミムシと同所的に生息し、同じくオケラのみを捕食するカメムシ(正確にはサシガメ)の一種。
こちらは成虫もオケラしか食べない。
何故かミイデラゴミムシにそっくりな外見をしているが、これは危険な生物同士が互いに擬態をするミューラー型擬態と考えられている。
ミイデラゴミムシに似た模様を持つハネカクシの一種。
こちらもミューラー型擬態の可能性がある。
ミイデラゴミムシと同じく、幼虫がオケラしか食べない蜂の一種。
先述のアニメ最強王31話にて棄権した際にミイデラゴミムシの戦法が必殺技演出で名前が付けられていたが、その元ネタは明らかにこれ。今の子供たちは分かるのだろうか...