概要
1998年12月23日にコナミより発売されたプレイステーション専用ゲームソフト。プレイステーションにおけるゴエモンシリーズの第2作目で、ジャンルは3Dアクションアドベンチャーゲームとなっている。
ストーリー
ある日、長屋で居眠りをしていたゴエモンは、自分を呼ぶ声があまりにうるさかったため、起き上がると同時に怒鳴りつける。だが、起こしに来たのはおみっちゃんで、ゴエモンの態度に彼女はカンカン。
おみっちゃんの機嫌をなだめるため、エビス丸と共に「へっぽこ山」にドングリを採りに行くことになったゴエモンだが、その途中、山でキノコを拾い食いしたエビス丸が倒れてしまう。そこに「やぶ」と名乗る医者が現れ、エビス丸を治してくれた。
世話になったやぶに礼を言いながらドングリを手に町に戻ると、なんとおみっちゃんが「綾繁(あやしげ)一家」の使い走りを名乗る謎の3人組に連れ去られていた!
こうして、おみっちゃんを救うべくゴエモンとエビス丸は旅立った。
主な登場人物
プレイヤーキャラクター
声:松本保典
本作の主人公。ちゃきちゃきの江戸っ子。一時使用不能の時がある。メイン武器はキセル。
声:緒方賢一
ゴエモンの相棒で、自称「正義の忍者」。メイン武器はフライパン。
声:堀絢子
物知り爺さんが製作した忍者。メイン武器はクナイ。今回ちょんまげ攻撃はできない。
声:笠原留美
秘密特捜忍者の一員で、ゴエモン達のお姉さん的存在。メイン武器は刀。本作の3Dモデルについては…(後述)。
ゴエモンの仲間
声:菅原淳一
サスケやゴエモンインパクトの産みの親でありさまざまな発明をしている。今作ではゴエモン以外の3人専用のインパクトを開発。
おみつ(おみっちゃん)
声:丹下桜
ゴエモンの住むはぐれ町の茶店の看板娘。デッチ・ゴー・三びきにさらわれてしまう。
やぶの医者/綾繁の父
声:柳沢栄治
へっぽこ山で医療を営む人物。毒キノコを食べたエビス丸を治療し、怪我をしたゴエモンを治すために協力する。正体は綾繁の母の夫・綾繁の父である。
綾繁一家
綾繁の母(あやしげのはは)
声:星野千寿子
ボンの母親で綾繁一家の首領。物語の冒頭でゴエモンをインパクトごと倒した人物。今作の登場人物の中で一番背が高い。
綾繁ボン(あやしげ ボン)
声:丹下桜
本作の最終ボス。綾繁の母の息子。母から甘やかされて育った結果、非常に我侭な性格をしており、一目惚れしたおみっちゃんと結婚しようと目論む。
デッチ・ゴー・三びき
綾繁一家の下っ端3人組(メイン画像参照)。
デッチ
声:星野千寿子
デッチ・ゴー・三びきの1人で、眼鏡をかけている。常にテンションが低い。
ゴー
声:くまいもとこ
デッチ・ゴー・三びきの1人でリーダー。右目に眼帯をしており、右手にハリセンをもっている。サンのボケによく突っ込む。
サン
声:かないみか
デッチ・ゴー・三びきの1人で紅一点。ボケをよくかます。
巨大メカ
声:松本保典
巨大メカ戦に登場する、お馴染みゴエモン達の巨大メカ。エステティック・アヤシゲに一度壊される。
サスケ・インパクト
サスケが操縦する空中戦用巨大メカ。サスケが物知り爺さんに頼んだもので、自分が作ったメカからの頼みごとということで物知り爺さんが仕方なく製作した。
ヤエ・インパクト
ヤエちゃんが操縦する水中戦用巨大メカ。ヤエが物知り爺さんに頼んだもので彼女頼みということで物知り爺さんが喜んで製作した。
エビス丸・インパクト
エビス丸が操縦する陸戦用巨大メカ。エビス丸が物知り爺さんに頼んだものだが緊急時にもかかわらず物知り爺さんが嫌々製作した。よって、物知り爺さん曰く「性能の補償は出来ない」と、結構いい加減な評価をされている。
ゴージャスインパクト
ラストバトルで登場する、ゴエモンインパクトをベースに、4つのインパクトが合体した巨大メカで4機の長所を活かしたインパクトの最強形態である。
エステティック・アヤシゲ
綾繁の母が操縦する巨大メカ。人型ロボットで両手にはドリルを装備して両肩には砲台を装備している。
ファンタスティック・アヤシゲ
デッチが操縦する空中戦用巨大メカ。手裏剣のような形をしている。
オトメチック・アヤシゲ
サンが操縦する水中戦用巨大メカ。1つのロボットの上にもう1つロボットが乗っている。
アブラッギシュ・アヤシゲ
ゴーが操縦する陸戦用巨大メカ。蒸気機関車の形をしているが、戦うときは人型に変形する。
ハリセンを使う。
ヤスゲッキュウロボ
誓いのキス前におみっちゃんの結婚式に乗り込むためのラストダンジョン最終フロアの最後の関門
デッチゴー・さんびきが乗り込んでおり、こちらは生身で戦う。
やたらタフなうえ、最終フロアはここまで辿り着くまで+コイツを倒すまでが共通の時間制限付きなので、道中迷ったりロスが多いと倒すのが不可能になる。
挙句衝撃波による広範囲攻撃と吹き飛ばしで遅滞戦闘を仕掛けてくるうえ、攻撃力も高いので制限時間を待たずに敗北することもザラと、かなりの強敵である。
エキゾチック・ボン・ジョビーナ
ボンが操縦する金色の巨大メカ。多彩な攻撃をする。
本作の評価について
本作はゴエモンシリーズの生みの親にしてシリーズ優良作を開発してきたKCE大阪ではなく、『黒船党の謎』等で評判の良くないKCE名古屋が開発を担当している。
そのため、『ゴエモン』シリーズの中で最も評価の悪い、最悪のクソゲーとして今なお忌避されており、「シリーズ凋落の元凶」とする意見もあるほど。
不評点
システム面やシナリオが劣悪で、単調な作業の繰り返し
早い話、本作はほぼ「3D空間をただひたすら進んでおつかいをこなしていく作業ゲー」とも言える内容となっている。
ゲーム中でやることとしては、
1.「おみっちゃんの機嫌を直すため、「へっぽこ山」へドングリを採りに行く」
2.「綾繁の母との戦闘で傷ついたゴエモンを治す薬の材料3つを集めるため、3ステージを3人で冒険」
3.「ゴエモンインパクトを修理するため、「夢の島」へ向かってインパクトの部品集め」
4.「綾繁一家の本拠地へ乗り込み、最終決戦」
という流れであり、本作のシナリオは短めである。
不親切なことに、ドングリ等のイベントアイテムを入手しても、自動で町には戻してくれず、クリアしたステージからは自力で帰還しなければならない。加えて本作のカメラワークは劣悪で、視点が斜め上で固定されており、「進行方向が見えない」「距離感が掴みづらく、落下ダメージを負いやすい」という問題を抱えていて遊び辛い。
おまけに道中のステージギミックは動く足場と落ちる足場程度しかなく、次第に飽きが来やすくなる。
なお、「へっぽこ山」に至ってはストーリーの都合上、4回も登らされることになる。
グラフィックも全体的に劣悪
前述のシステム面と並んで槍玉に挙がっているポイント。全体的にポリゴンが粗くて汚く、当時のPS用ソフトであることを考慮しても、明らかに低レベルの出来となっている。いくつか例を挙げると…
- 全編通して、マップのテクスチャに線の痕がはっきりと見えている。
- どのステージも背景が作り込まれておらず、屋外のフィールドでは、空に雲すら描かれていない。
- 水の表現も出来ておらず、海に誤って落ちても水飛沫が上がらない。
- ムービーシーン含めて登場キャラの表情が切り替わらず、常に無表情で会話する。
- 登場キャラの中で、特にヤエちゃんのグラフィックの出来が酷く、言うなれば作画崩壊レベル。
- 前年に発売された『ネオ桃山幕府のおどり』のヤエちゃんは良質なグラフィックだっただけに、落差が凄まじい。
- 勿論、他のキャラのグラフィックの出来も良いとは言えない。
道中のザコ敵が異常に硬い
ザコ敵ながら体力が多く、初期状態では1分近く攻撃を当てないと倒せない。おまけに倒したとしても、落とすのは小判1枚のみ。他の作品で見られるザコ敵を蹴散らす爽快感等あったものではない。ザコ敵の中には厄介な攻撃や行動を仕掛けてくる者もいるため、そのような敵とエンカウントすれば、尚更ストレスの溜まることの請け合い。
対処法としては、敵と張り合わずにそのまま無視して進むことが推奨されている。
操作キャラに個性が無くなった
プレイアブルキャラ4人はほぼ同じ性能をしており、強いて違う点を挙げるとすれば、一部必殺技の性能やNPCとの会話内容くらいで、シリーズの醍醐味であったキャラ毎の個性が殺されてしまっている。
また、キャラの切り替えは即座には出来ず、「キャラチェンジ場」という施設で行う必要があるため、テンポが悪い。
イベントアイテム所持枠が4つしかない
内1つは序盤で入手する「ドングリ」で1枠埋まるため、実質3枠。前述したインパクトの部品集めについてだが、部品数は全12個であるため、最低でも4回「夢の島」ステージへ向かう必要がある。
インパクト戦の出来が悪い
これまでとは異なり、インパクト自体を直接動かせ、フィールド内を自在に動き回れるようになっている。試みとしては斬新なのだが…
- 敵にパンチや小判を当てづらい。
- 敵の攻撃を避けつつ、時間経過でチャージされる「んが砲」を当てていれば勝てる。
- その「んが砲」のエフェクトも例に漏れず、やたら刺々しい劣悪なグラフィックで表現されている。
と、ゴエモンインパクト戦もまた出来がよろしくない。
また、本作ではゴエモン以外の3人にも専用のインパクトが用意されているのだが…
- 「エビス丸インパクト」はまだ良いとして、戦闘機のノーズアートよろしく、凶悪な顔つきでサスケのイメージと合っていない「サスケインパクト」や、人魚変化中のヤエがモチーフなのだが、肝心の顔が濃くて怖い「ヤエインパクト」のデザイン。
- そのインパクト3体もまた、ゴエモンインパクトとほぼ同じ性能で、厳密には体力や防御力が少し異なる程度。
と、問題点を抱えている。
終盤にて各インパクトが合体する描写があるのだが、そのシーンもお粗末な出来で、「合体に不必要なパーツ(各インパクトの頭部等)が画面外に吹っ飛び、残りのパーツがゴエモンインパクトに集まり、ゴージャスインパクトになる」というもの。
そのゴージャスインパクトの性能もまた、ゴエモンインパクトと殆ど変わらない。
専用インパクトや合体インパクトの発想は良いだけに、非常に残念としか言いようがない。
BGMが世界観に合っていない
本作のBGMはロック調のもので統一されており、他のシリーズ作品のような和の雰囲気が薄く、『ゴエモン』に合わないという意見もある。ただし、BGMそのものの出来はどれも良く、特にヤエ専用ステージ「しおから海岸」や、ヤエインパクト戦のBGMは評価が高い。
また、本作には『DDR』『beatmaniaIIDX』『ポップン』で有名な、junこと辛島純子氏が作曲者の1人として参加していたりする。
他作品への影響
本作はゲームとアニメを跨った、出演声優の波及効果による影響の大きさを示した重要な資料としての価値を最悪な意味で有している。
理由はNHKで放送されたアニメ『カードキャプターさくら』で丹下桜とくまいもとこが共演しており、その特徴に着目した両氏のファンが本作にも触れた事で、クソゲーとしての悪評が拡散されたからである。反対に、ほぼ同時期に声優の波及効果による良い結果を齎したゲームは『ロックマンDASH』や『星のカービィ64』がある。
本家スタッフが開発した『でろでろ道中』も同日発売であり、あちらの売れ行きを悪化させた原因にもなっている。
翌年発売の『天狗党の逆襲』も本作の巻き添えでボリューム不足を理由にクソゲー扱いされがち(所謂風評被害)だが、遥かにマシな作品であり、何故か本作に実装されなかったダイレクトマップ機能(約20年後の某ゲームで言うところの「ソラワタリ」と同じ)をきちんと搭載している。
関連動画
作品の解説動画。本項にて取り上げた不評点について多く紹介している
関連タグ
バグバラヤー(秘宝伝説バンバラヤー):シリーズを破綻させたクソゲー且つ本家スタッフ以外の手で作られた共通点から、妖怪ウォッチ版綾繁一家と評されている。なお、後年発売された『妖怪ウォッチ4』は『新世代襲名!』に近い立ち位置で、皮肉にもゴエモンとほぼ同じ流れとなっている。
アレスの天秤 オリオンの刻印:アニメ展開ではあるが、シリーズに取り返しのつかない致命傷を負わせた戦犯である事からイナズマイレブン版綾繁一家と言える。ゲームシリーズ発売元はバグバラヤーと同じ会社。
参上!ドロッチェ団:発売当時はアニメ化絡みの不毛な展開が原因で一歩間違えればカービィ版綾繁一家になりかねない状況下に置かれていたが、5年後に汚名返上を果たしている。
カードキャプターさくら(CCさくら) YAT安心!宇宙旅行(2期):ほぼ同時期に丹下桜とくまいもとこが共演したアニメ。