市
しまたはいちなど
曖昧さ回避
日本の市
地方自治法における市は、一定の条件( 人口5万人以上、中心市街地の人口比が6割以上、都市的業態に従事する世帯人口が6割以上など )を満たした区域が指定される。ただしいったんこの分類にされた自治体が上記の実態を失っても町村に戻されることはない(分割独立した地域を除く)また、平成の大合併により、市町村合併を促進するために条件を緩和したため、広大な農山村部を抱え込んだ自治体が多数登場している(最大の市である岐阜県高山市は大阪府や香川県よりも面積が広い)。
[明治時代]]以前からあった「町」と「村」と違い、1888年に制定されて1889年に発足した行政区分である。もっとも現行の町村と、それ以前の町及び村との定義は異なり、明治以前の「村」は「自然村」と呼ばれ、現在の大字に当たり、同様に町は現在の町内会単位の「町」に相当する。
1889年に発足した市
日本以外の市
海外では、基礎自治体ではなく広域自治体としての「市」が存在することがある。中華人民共和国の市は、「省」に相当する「直轄市」から、県に相当する「県級市」まであり、「市」(直轄市、準省級市、地級市)の中に、「県」と並んで「市」(県級市)があったりする。直轄市の中で最も大きい重慶市は北海道に相当する広さを誇り、一番小さな省である海南省よりも広大である。準省級市、地級市は従来の「地区」が再編されたもので、都市部と言えるのはこのうちの「市轄区」部分のみである。中国以外でも、首都またはこれに準じる大都市については州と同格の広域自治体として位置づける特別市を設ける国は多い。
また、国によっては基礎自治体としての機能を持たない「行政市」というものもある(日本の行政区と同じようなものと考えればよい)。韓国の済州島の済州特別自治道は広域自治体と基礎自治体を兼ねており、特別自治道移行の際、島内の自治体が廃され、新たに公選市長と市議会を持たない行政市「済州市」と「西帰浦市」が発足した。
日本語では「市」としばしば表記されていても、行政区分としての実態を持たない都市をもある(日本の東京23区を海外で「東京市」と表記してしまうようなもの)。英国のロンドンは、1986年に大ロンドン市が廃止されてから、2000年に大ロンドン庁として復活するまで「ロンドン市」という行政区分は存在しなかった(シティ・オブ・ロンドンは直訳すると「ロンドン市」だが、ロンドン中心部のごく狭い地域を占めるにすぎない)。
フランスやイタリアの基礎自治体は全て「コミューン」(フランス語)「コムーネ」(イタリア語)とされ、特に制度上の区別はない。日本語で「マルセイユ市」「カマンベール村」などと表記されるのは訳語の問題であって、「カマンベール市」などとしてしまっても構わないわけである。