概要
初出は「小学三年生」1973年2月号。てんとう虫コミックス第14巻ならびに藤子・F・不二雄大全集「ドラえもん」第3巻に収録。
「ドラえもん」の中に数ある、ドラえもんの恋愛を扱ったエピソードの一つだが、その相手が相手なことやドラえもんの暴走ぶり、衝撃のオチから原作内でもカオスなエピソードとしても知名度が高い。このため今回はのび太がほぼツッコミ役に回っている。
あらすじ
一目見た「あの子」をすっかり好きになってしまい、それ以来好物のどら焼きも喉を通らないドラえもん。のび太が本人に告白するように勧めてもドラえもんは恥ずかしがるばかりなので、のび太はドラえもんについて行くことにする。しかしドラえもんが恋した相手は、ある家の門の前に落ちていたおもちゃのネコだった。
ドラえもんはこのおもちゃのネコを「ミイちゃん」と呼んでいるが、これはドラえもんが勝手につけた名前である。しかし本記事中でも、便宜上以後「ミイちゃん」と呼ぶ。
「おもちゃのネコじゃわるいか。ぼくはもともとネコ型ロボットなんだぞ!」
呆れたのび太が「まっ、ひとりでてきとうにやんな」と言って帰ってしまうと、ドラえもんも覚悟を決めてミイちゃんを操作する。するとミイちゃんが「ミイ」と鳴いたのを「好きだ」「ぼくと友だちになってくれる」と解釈したドラえもんは、大喜びで「ばんざあい。すぐデートしよう」と言ってミイちゃんを持ち去ろうとする。そこにミイちゃんの持ち主である小さな男の子が現れ、ドラえもんは男の子の父親に怒られてミイちゃんも取り上げられてしまう。
ドラえもんは男の子の両親に「どうかおねがいです。ミイちゃんをぼくのおよめにください。きっと、しあわせにしますから」と頼み込み、のび太が連れて帰ろうとしてもその場を動こうとしない。しかしそのとき、大きな犬がミイちゃんを持ち去ったので、ドラえもんは一心不乱に駆け出し必死で犬からミイちゃんを守ろうとする。その様子を見た男の子の父親も、ドラえもんの根気に負けてミイちゃんをドラえもんに譲ることにする。
さっそく家にミイちゃんを持ち帰ったドラえもんは、ミイちゃんに様々な装置を取り付けて完全なネコ型ロボットにすることを決める。
意識を持って動き出したミイちゃんにドラえもんはさっそく、「ぼくドラえもん。きみのおむこさん」と話しかけるが、その途端ミイちゃんは「イヤダナア、オムコサンダナンテ」と笑い出してこう告げた。
「ボク男ダヨ」
そう、ミイちゃんはオスであり、人間でいう男の娘だったのである。
ショックを受けて泣きじゃくるドラえもんを、のび太は「泣くなよ! 人生にはいろんなことがあるもんだ」と慰めるのだった。
備考
- 本作は初出誌にはカラー原稿で掲載されたが、藤子・F・不二雄大全集には雑誌を複写した版が収録されており、原稿は現在所在不明になっているものと思われる。てんとう虫コミックスには、トレスした版が収録されている。
- 本作は1979年5月3日、2007年1月19日、2017年10月20日と3度にわたってテレビアニメ化されている。2017年版では担当声優は愛河里花子で、ミイちゃんのセリフが中の人ネタつながりで「おいら、男だぜ」と変更されていたりドラえもんを「兄貴」と呼ぶなどべらんめえ口調になっている。
- 彼とは別に「ミイちゃん」という名前のメス猫がドラえもんのガールフレンドとして定着している。
