概要
かわぐちかいじの漫画『ジパング』に登場する架空の護衛艦。主人公である角松洋介と、241名の海上自衛官が乗り、物語の基本的な舞台となる。
スペック
作者が当時のこんごう型護衛艦をもとにあたご型護衛艦を想像して描いたものである。連載当時はあたご型護衛艦の完成予想図が公表されていなかったため、こんごう型にむらさめ型護衛艦のヘリ格納庫を、ラファイエット級フリゲートの内火艇格納庫を挟んで継ぎ足した艦形になっている。そのため、真正面から見ればこんごう型そのものであり、艦尾からみればむらさめ型そのものである。
第一煙突付近まではこんごう型と同様の武装配置をしており、第二煙突の両脇にシースパロー用の発射機、Mk-48VLSを24セルずつ搭載するという、むらさめ型のようなミサイル装備をしている。搭載ミサイルはこんごう型とほぼ同じであるが、前甲板のMk-41VLSにはトマホーク対艦巡航ミサイル(BGM-109)を収めている。
機関はこんごう型と同じ、LM2500ガスタービンを4基搭載しているが、速力は35ノットとかなり高速力を出せる。また、ガトー級潜水艦に襲われた際に発揮した行き足(加速力)は、停船状態から30ノットまで30秒と驚異的であった。原作ではバウスラスターを装備していたが、アニメ版では削除されている。
艦内設備はかなり整っており、資料室(多数の書籍や検索コンピュータがある)や、破損した海鳥を単独で修理できるほどの設備まである。角松らが劇中で行動できた理由に、この設備は欠かせないだろう。
搭載機としてSH-60J対潜ヘリコプターを1機、MV/SA-32J 多目的哨戒偏向翼機(海鳥)を1機搭載する。これらは劇中内で、乗員の移送、対潜任務、強行偵察など多岐に渡って、みらいと乗組員らをサポートした。
破損との戦い
みらいにとって一番の弱点は、その艦自体の脆弱性であった。いくら戦闘艦と言えど、二次大戦時の艦艇と比べれば、あまりにも堪航性が低く、さらに技術的に修理がほぼ不可能という問題点は、劇中内でみらいを苦しめ続けた。
その中でも一番大きかったものを挙げると、
・マリアナ沖にて米軍機の体当たりを受け、SPY-1Dレーダーを1基、電子戦機器数機、主砲砲身を破損(この時、乗組員も5名が戦死した。が、主砲砲身だけはなんとか再生に成功する)
・ダンピール海峡にて米軍機の爆撃に晒された際に、みらいを守るため佐竹と海鳥が捨て身の迎撃を行い、1機と1名を失う。
・マリアナ沖にて戦艦大和との決戦の際、三式弾の攻撃を受けレーダーを全て喪失。また、着艦に失敗しSH-60Jを喪失(残存したこの機のレーダーは後にみらいの新たな目となった)
となっており、乗組員の喪失も相まって、次第にみらい乗組員らを追い詰めていくことになる。
その後…………
ネタバレ注意
遂にみらいは戦後日本に帰還することは無かった。そして乗組員の中で唯一生き残った角松は、他の乗組員と同じように戦後に生まれた新たなるみらいを見届けることになる。
全長は188m、全幅24m、基準排水量12000tと一回り大きくなっており、船体のデザインは「アーレイ・バーク級」にあたご型のパーツを付けたかのようなものになった。
そして新生みらいは、乗員241名を乗せて、無事に真珠湾へ入港したのであった。
実在するDDH-182
艦番号はDDH-182。
2009年にひゅうが型護衛艦2番艦の「いせ」が進水し、この艦番号を付けることとなった。モデルとしたあたご型護衛艦がミサイル護衛艦(DDG)を名乗るのに対し、みらいはヘリコプター搭載護衛艦(DDH)を名乗っている。
そして現実に………
アニメ版と漫画版では装備に細かい違いがあるが、これはアニメの制作に海上自衛隊が協力しており、自衛隊の協力で性能の矛盾を修正したり、一部の装備を当時の自衛隊が保有している装備に改めたからである。
因みに、対水上武器として対艦ミサイルのハープーンと共に、当時の海上自衛隊が導入していないトマホーク巡航ミサイル(過去に実在した対艦用巡航ミサイル型BGM-109B)を搭載しているが、後に現実の海上自衛隊に導入される事になった。しかも対艦ミサイルとしての能力が復活した最新型が含まれる。
ちなみに劇中の「オペレーション・サジタリウス」で使用した対地型トマホークのRGM-109Cも装備している。
姉妹艦
本艦はゆきなみ型護衛艦の3番艦となっており、原作ではほとんど描かれていないが、姉妹艦に『ゆきなみ』(1番艦)、『あすか』(2番艦)、『はるか』(4番艦?)が存在する。『ゆきなみ』は第1護衛隊群旗艦として、『はるか』は本艦の僚艦として登場する。
ただし、『はるか』は本艦の同型艦か後継艦かは作中で明言されていない。