概要
ファイアーエムブレムのアカネイアシリーズに登場する歴史上の人物。
作中に本人は登場せず、語られる伝説等にその名を見ることが出来る。
初出は「ファイアーエムブレム紋章の謎」であり、FC版「暗黒竜と光の剣」ではアイオテの名が語られることはない。
人物
マケドニアの建国王となった伝説の竜騎士。男性。生没年不明。
アカネイア歴490年、地竜王メディウスが竜族の国「ドルーア帝国(第一次ドルーア帝国)」を建国。竜族は人間を奴隷として使役し、密林地帯マケドニアに多数送り込んで竜族の遺跡の発掘を行うとともに、密林を切り拓いて基盤を築いた。奴隷達に課された賦役は過酷なもので、ろくな食糧も支給されず、従わねば鞭打たれ、殺された。
そんな悲惨な状況の中でドルーアに反旗を翻した若者こそがアイオテだった。彼の武装蜂起はアカネイア聖王国が滅びる2年前、アカネイア歴491年のこと。他の奴隷達をまとめ上げてマケドニアの密林に潜伏し、飛竜に打ち跨ってゲリラ戦を仕掛け、援軍も望めぬ絶望的な状況の中でも折れることなく竜族に抗い続けた。
文字通り己の全てを懸けたアイオテの戦いは、メディウスが斃れるまで7年の長きに渡って続いた。その中でアイオテの目は潰れ、腕を喪い、歩くことさえ出来なくなったが、それでも戦いをやめず、戦場を飛び続けたと言われている。
そして戦争終結から暫く経ったアカネイア暦503年、生き残った奴隷達は自分達が切り拓いたマケドニアの地に国を起こし、勇者アイオテを初代国王に選んだ。アカネイア聖王国を再興したカルタス王もアイオテの勇名を讃えて援助を惜しまず、マケドニアは屈強な竜騎士団を擁する大陸有数の強国へと成長することになる。
マケドニア王家には彼の名を冠する家宝「アイオテの盾」が受け継がれている。アイオテが使っていた盾なのか、それとも優れた盾に建国王の名を冠したのか、作中ではその由来は語られない。
容姿
長らく不明だったが、新・紋章の謎の第3章で一枚絵が登場。緑の飛竜にうち跨がり、右手に槍(スピア)、左手には立派な盾を携えた竜騎士として描かれた。
赤い兜飾りのついた鉄色のコリント式兜(古代ギリシアの兜)を被り、上半身に同じく鉄色の板金鎧を着用。肩当はついているが腕部は軽装で、内側はFC版のミシェイルのグラフィックのようにたくましい腕がむき出しになっている。
商業出版物
高屋敷英夫によるノベライズ「ファイアーエムブレム─紋章の謎」(小学館スーパークエスト文庫)では各キャラクターにフルネームが設定されており、マケドニア王家のファミリーネームは「ギルシア」。なので、アイオテのフルネームも「アイオテ・ギルシア」に設定されていると思われる。
作中での登場
「アイオテ」の名が初めて登場するのは、紋章の謎第1部17章「天空を駆ける騎士」のミシェイルとガトーの会話。この中で、ミシェイルは
「俺にはマケドニア王家の
家宝 アイオテの盾 がある
これさえあれば 弓など
恐れぬ」
と、新登場アイテム「アイオテのたて」について語る。これはミシェイルが語るとおり、所持しているキャラクターの特効を無効化するというもの。
ミシェイルは対飛行系特効、対竜族特攻を無効化する手強いボスになっており、倒すと「アイオテのたて」を入手できる。
第2部では3章「連れ去られた王女」のオープニングでアイオテの建国伝説と、ミシェイルが「アイオテの再来」と呼ばれていたことが明かされる。
また、マケドニア城の城門付近に待機する事により一定確率で「アイオテのたて」を入手出来る。(隠れた財宝。盗賊なら100%入可能)
アイオテの盾
所持しているキャラクターが受ける特効全てを無効化出来るアイテム。
飛行系ユニットへの弓特効のみならず対火竜、対氷竜、対竜族全般、対ナイト系、対アーマー系、対傭兵系、対部族系(※)、対シューター(※)全てに効果有り。
(※ いずれもDS版。SFCではレディソードの部族系特効を受けるシチュエーションもサンダーボルトのシューター特効もない)
「暗黒竜と光の剣」で作中最強格のボスだったカミユに対し、弓やドラゴンキラーであっさり撃墜されてしまうミシェイルの存在感を高めるために登場した、一言で言えばミシェイル用のテコ入れアイテム。「アイオテ」の名はその為のマクガフィンとして生まれたと思われる。
ちなみに、FC時代のミシェイルは「アイオテの盾」の代わりに「竜の盾」を持っていた。
子孫
- オズモンド:暗黒戦争勃発時のマケドニア王。温厚ではあるがアカネイアへの盲信が過ぎるきらいがあり、ドルーアに対する見通しの甘さもあってミシェイルの反発を招き、ガーネフの策謀もあって王位を簒奪される。
- ミシェイル:“アイオテの再来”と呼ばれたマケドニアの王太子。オズモンドを廃してマケドニアを反アカネイアでまとめるが、父王弑逆と末妹マリアを人質に差し出したことでミネルバの離反を招く。
- ミネルバ:“赤い竜騎士”と呼ばれたマケドニアの第一王女。アカネイアへの不信は強かったがアリティアと連携してドルーアに立ち向かうべきと考えており、マリアが救出されたことでミシェイルから離反し、解放軍へ身を投じる。
- マリア:マケドニア第二王女。まだ幼さは残るが心優しいシスターであり、4年にわたって人質となっていた。「世界で一番好きなミシェイルのためなら自分はどうなっても良い」というほどに兄を慕っている。
余談
- カルタスがアイオテの後見を買って出た背景には、マケドニアを手駒にしたいという打算があった。カルタスは自身の右腕だった老将オードウィンが己よりも名声を得ることを恐れ、オードウィンを辺境グルニアへと追いやった。しかし多くの部下達が騎士団を離れてオードウィンに付き従ってしまい、「グルニア王国」と大陸随一の勇猛さを誇る「黒騎士団」が誕生。その為、カルタスとしてはアイオテを支援することで屈強な竜騎士団を傘下におさめ、グルニアの勢力拡大を牽制する必要があった。