※本記事は、映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の重大なネタバレを含むので、作品鑑賞後の閲覧をお勧めします。
概要
カノンイベント(Canon Event)とは、スパイダーマンが生涯を形成していく中で起こる大きなイベント・転換点のこと。
なお日本語吹替版では中黒が入った「カノン・イベント」と表記されている。
なお、カノン(Canon)とはキリスト教では偽典や外典に対する「正典(正式な聖書の一部と認められている一群の文書。新約聖書における4福音書など)」の事。(例えば、新約聖書の4福音書は細かな点で違いは有るが、そこに書かれているキリストの人生や教えは概ね同じ)
より具体的には、「スパイダーマンが自身に近しい間柄の人物の命を守り切れず、その死を看取る」ことを指す。
すなわち、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」ことを、その身を以って経験するのが、カノン・イベントである。
実例
ピーター・パーカーがスパイダーマンである世界の場合。
同じく、ピーターの場合。
『アメイジング』はこれに該当する。
- ピーター(リザード)
グウェンがスパイダーウーマンの場合。
- 警察署長
スパイダーマンを務める人物を問わず、懇意にしている警察署長は大抵殉職する運命にある。
グウェンないし彼女に相当する人物の父が警察署長を務める世界では特に該当する。
- その他
サム・ライミ版三部作ではノーマン・オズボーンとハリー・オズボーン父子、MCUではトニー・スターク、メイ・パーカーといった人物との死別が描かれているが、他のバースではさらに多様なカノン・イベントが発生したと思われる。
また、東映版スパイダーマンの山城拓也の父とスパイダー星人ガリアもそれに該当すると思われるが、父は拓也がスパイダーマンの能力を得る直前、ガリアは拓也と出会って間もなく寿命で死亡している為、こちらもカノン・イベントに含むかどうかは様々な視聴者の解釈や意見を参考にする必要がある。
- 例外?
『スパイダーマン/偽りの赤』の主人公である尾ノ前侑の場合は「スパイダーマンの代理を務めた一般人」という特殊な役回りに加えて、カノン・イベントに直面する前に打ち切りで退場していたが、彼もカノン・イベントに含まれるかどうかは不明である。
また、原作コミックにおける『アイデンティティ・ウォー』ではベンおじさんが死ななかった結果スパイダーマンとベンおじさんが悪人化していたり、『エッジ・オブ・スパイダーバース』のとある世界ではスパイダーマンになる人物が陰湿な性格で周りの人物も問題だらけという環境だった結果スパイダーマンが単なる怪物になってしまいその周りの人物を殺害する、という展開も描かれている。これらの扱いについても不明。
マルチバースの影響に伴うイベント不成立
かつてミゲル・オハラ(スパイダーマン2099)は「スパイダーマンにならなかった自分が家族と暮らす世界」を観測。幸せそうに娘と暮らすもう一人の自分を見守るミゲルだったが、その彼がある日強盗犯に撃たれ死亡してしまう。娘を孤独にしてはならないと感じたミゲルはその世界の自分に成り代わって生活したことがあった。
しかし、その結果時空崩壊が発生。ピーター・B・パーカーと共に住民を避難させようとしたが間に合わず、その世界は住民を含む全てが消滅。娘も自分の腕の中で消滅してしまった。
スパイダーマン・インディアの世界で警察署長が死亡する運命をマイルス・モラレスの介入で回避してしまったことによって時空の歪みが発生しスパイダー・ソサエティが対応に当たっている。
マルチバースの出来事に対して異邦人が深入りしてはいけない。その結果1つの世界のみならず、
他の世界までもが連鎖崩壊する恐れがある。
その事実に気付いたミゲルは、あらゆる世界のスパイダーマンによる互助組織「スパイダー・ソサエティ」を結成し、「他所の世界でカノン・イベント発生の兆候が見られた場合傍観に徹する」「万が一イベント不成立による時空の乱れが発生した場合はその修正作業を行う」「マルチバースから迷い込んだ異分子を捕獲し元の世界に送り返す」「マルチバースそのものに悪影響を与えかねない存在を排除・隔離する」などの活動をするようになった。
全てはマルチバースの秩序と存在を維持するために。
しかし、必要な犠牲だとしても、その思想は「正義のヒーロー」たるスパイダーマンであろうとする者にとっては受け入れがたいものであり、特にまだ若いマイルス・モラレスは真っ向から反発。
ソサエティ全てを敵に回してでも、自身の次のカノン=愛する父がスポットに殺害される運命を阻止しようと奔走する。