「ねえ、マシュ。知っていた? 私… 私、ね。キリシュタリア様の事……」
「オフェリア。君には、私が偉大な人物に見えていたかい?」
概要
「Fate/Grand Order」第二部に登場する、キリシュタリア・ヴォーダイムとオフェリア・ファムルソローネのコンビ・カップリング。
オフェリアはキリシュタリアに強い尊敬を抱いており、彼を「キリシュタリア様」と呼んでいる。
その姿勢は、公式プロフィールにも「キリシュタリア・ヴォーダイムに忠誠を誓い、部下のようにして振る舞う」と書かれるほど。
「私はキリシュタリア・ヴォーダイム様に絶対の忠誠を捧げています」と本人は宣言している。
また、カルデア在籍時は「Aチーム」として共に世界を救うはずだった。
ダ・ヴィンチやカドックがAチームの評価を述べた際、初めにリーダーであるキリシュタリア、次いでオフェリアの名前が挙がっており、Aチームの中でも優秀な二人。
共に時計塔の出身でもあり、キリシュタリアは「天体科の首席」、オフェリアは「降霊科の秀才」と評価されていた。
クリプターの中で二人のみ「令呪が点対称」という共通点がある。
カリスマ的リーダーである男性に、忠誠を誓う委員長気質な女性。
そんな印象の二人だが、作中で彼らの情報が明かされるにつれ、印象は変化していくことだろう。
第二部二章後は「キリシュタリアに一途な感情を向けるオフェリア」、
第二部五章後は「自由奔放なキリシュタリアに振り回される(もしくは彼をたしなめる)オフェリア」、といった印象が見受けられる。
第一印象から一変したイメージだが、それらを内包しているのがこの二人である。
詳しくは以下の項目にて。
作中の描写
第二部五章オリュンポスまでのネタバレ注意
【 】付きはオフェリア・キリシュタリアのメイン章。
- Lostbelt No.1 永久凍土帝国アナスタシア
「プロローグ intro.1」にて、クリプター同士の通信会議の場でキリシュタリアとオフェリアが初登場する。クリプターの中で唯一彼を「キリシュタリア様」と呼ぶオフェリアの姿は、ユーザーに強い印象を与えた。
一方キリシュタリアは「最後に覇を競い合うのは私と君の異聞帯である事が望ましい」とオフェリアに期待を寄せている。
だが、「目が醒めてから随分な変わりようで」という仲間の言葉から、オフェリアの態度は世界白紙化以降のものであることが窺える。
果たしてその真相は……。
「オフェリア。君のもたらす結末に期待している。
私にはひとりでも多くの同志が必要だ」
「はい――はい、キリシュタリア様……!
必ず、必ずご期待にお応えします……!」
- 【Lostbelt No.2 無間氷焔世紀ゲッテルデメルング】
オフェリアからキリシュタリアへの心情は、この章の全編を通して語られている。
「キリシュタリア様」の期待に応える為にカルデアと対峙する一方で、密かに彼を「ヴォーダイム」と呼び思い詰めるオフェリアの姿があった。
そんな彼女が、彼を「キリシュタリア様」と呼ぶようになった理由――……。
それはコフィン爆破事件の際、異星の神に呼びかけられたキリシュタリアが、自分の復活だけでなく他のAチームメンバーの復活を望んだところを見ていたため。
オフェリアは自分達を蘇らせたキリシュタリアに強い衝撃と敬意を抱くと同時に、本来彼に抱いていた感情から目を逸らしてしまう。
曰く――「私が抱くのは、恋ではなく、愛ではなく。自らよりも巨大な知性に対する絶対の忠誠である」。
魔術師は人のようには想いを抱かない。そう自分を律するオフェリアだが、一連の回想シーンの中で、コフィン爆破の前(カルデア在籍時)から彼に特別な感情を抱いていた事が窺える。
「ただ、最期ぐらいは素直になってもいいのにね、と自分自身に幻滅した。
……そう。
自分から手を伸ばした事はなかったけれど。
一度ぐらいは、ヴォーダイムの手を握って――」
そして終盤、北欧異聞帯とそれを取り巻く世界の焼却を防ぐため、大令呪を使用する。
「私は希望をもってこうするの。だって、せめて、私はあのひとの期待に応えたい。」
大令呪の使用により危篤状態となったオフェリアは、最後まで「キリシュタリア様は裏切れない。裏切りたくは、ないの。」と頑なに彼への忠誠を貫いた。
そして友達になりたかった少女との会話によって、キリシュタリアへと抱く感情の正体が打ち明けられた。
「ねえ、マシュ。知っていた? 私……
私、ね。キリシュタリア様の事……」
「……はい。
正確なメカニズムをわたしは知りませんが、あなたが彼を見つめる、それは……
多くの書籍や情報の中で目にした、いわゆる、恋であるように――感じられました」
- Lostbelt No.3 人智統合真国シン
「プロローグ intro.3-3」にて、北欧異聞帯の顛末を聞いたキリシュタリアは、神の使者や仲間の前ではオフェリアへの冷酷な評価を口にする。
だが、面倒見の良い仲間の「こういう時、男連中は格好つけて、周りを気にして平気ぶるから」「ちゃんと葬ってあげる。その椅子に座ってから満足に笑わなくなったアナタの代わりにね」といった言及から、彼の心境を推し量ることが出来るだろう。
キリシュタリアの本心は、会議後の独白と、数秒間の黙祷によって語られた。
「……わずか数年間の接触だったが。
君が穏やかな女性である事は、よく分かっていた。
オフェリア。君には、私が偉大な人物に見えていたかい?
――では、それに応えよう。」
- Lostbelt No.4 創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラ
7節目。ある事情からカルデア一行と行動を共にしていたペペロンチーノは、Aチームは自分から『異星の神』の仲間になったのではないのかと問い掛けられる。
その際、オフェリアの事を「あの子は別の理由でクリプターとして生きようと誓っていたから。」と答えている。
その後マシュと「オフェリアとは話せた?」「たくさん、話せたような気がします。」と彼女の話をした。
「で、どんな話をしたの?」
「そうですね。例えば――恋の話を。」
「ウソ、ホントに?
あーあ羨ましい。私も参加したかったわ。
恋話ができるオフェリアなんて最強じゃない」
具体的な名前は出ていないが、二章から五章に至るまでオフェリアとキリシュタリアの双方を気遣っていたペペロンチーノの言葉である。
オフェリアにとっての「生きる理由」「恋の話」の対象が誰なのか、察することができるだろう。
- 【Lostbelt No.5星間都市山脈オリュンポス】
ギリシャ異聞帯において、オフェリアへの誓いの通りに堂々たる戦いを見せるキリシュタリアの姿、そして彼らの意外な一面が明らかになった。
なんとキリシュタリアは、仲間達を蘇らせる条件として「Aチーム一人ひとりと人理修復の旅を成し遂げる」という経験をしていた。
つまり、キリシュタリアとオフェリアの二人で、人理修復の旅をした経験があったのである。
物見遊山で冗談を口にするキリシュタリアと、彼を「ヴォーダイム」と呼びたしなめるオフェリアの姿は、これまでの二人の印象を覆すほど意外なものだった。
「ちょっと待つんだオフェリア。凱旋門を触媒にしたらナポレオンを召喚できるのでは?」
「真面目にやってください。普段の冷静なアナタは何処に行ったのですか。」
「…まったく。人が変わったように素直で、穏やかなんですから。」
三章では「その椅子に座ってから満足に笑わなくなった」と指摘されていたが、人理修復の旅では「オフェリアとは笑い合えた」と言えるほどの思い出を、キリシュタリアは大切に、厳重に仕舞い込んでいた。
「KKOAPBD」のパスワードの先に、単独保存したオフェリアの通信記録データと自身で記したメモを残し、生き残ったクリプターへと託した。
それらのエピソードから、キリシュタリアがAチームの仲間たちを友人として深く愛していたことが明らかになった。
彼の最期は、主人公が「……今のは、オフェリアさんの時の――」と口にするほどの、もしくは二人のクリプターを見届けたサーヴァントが「オフェリアのときとは全く違った。」と評価するほどの――どちらであれ、オフェリアの最期を思い出さずにはいられないものであった。
クリプターの役目を果たす為に、異星の神の監視下にあったが故に、相手の期待へと応える為に――オフェリアとキリシュタリアはお互いに最期まで、自身が抱える胸の内を相手に伝えることは叶わなかった。
マシュを「もうひとりの私」と呼んだオフェリア・ファムルソローネ。
「似てるのよ、キリシュタリアって。」とペペに評価されるほど、主人公と同じ性質を持っていたキリシュタリア・ヴォーダイム。
世界を救う為にカルデアに配属され、しかし世界を裏切り主人公たちとは真逆の道を進んでしまった二人。
世界的脅威を退ける為に大令呪を使用し命を落としたのは、奇しくも今現在、オフェリアとキリシュタリアの二人のみである。
本編の補足
- 周囲からの見解
オフェリア自身は死の間際までキリシュタリアへの恋心を自覚していなかった。
だが周囲の面々は「愛しのキリシュタリア様」「オマエさんの男」とキリシュタリアを指して呼んだり、「それは愛か。それとも恋なるモノか?」「女の顔だ」「思う存分、アナタは大切な人の命令に従えばいい」「ヴォーダイムの前では、ちゃんとした自分を見せたいんでしょう?」といった数々の台詞が投げかけられている。
極めつけに、(当時はまだ感情の機微に乏しかったであろう)マシュからその感情が恋であることを告げられるほど、オフェリアの好意は周囲にはバレバレだったようである。
- なお本人
キリシュタリアがオフェリアの恋心に気付いているのかいないのかは現在不明。
だが彼のAチームを愛する気持ちは深く、オフェリアの期待に応えようとする姿からは、少なくとも悪い気持ちは抱いていないように見える。
- 15歳のキリシュタリアと降霊科
五章の「断章」の回想の中で、15歳時のキリシュタリアが降霊科へ頻繁に足を運んでいたことが言及されている。降霊科といえばオフェリアが所属していた科だが、2020年12月のファミ通によるインタビュー記事の中で奈須きのこ氏から言及がある。
記事によると、「オフェリアはこの時期のキリシュタリアのことを、たぶん知らないと思います。」とのこと。
だが「時計塔」「降霊科」という共通項から、二人が時計塔でニアミスしていた可能性を考えずにはいられない。
- 「セプテムの夕べ」
五章の23節目。カルデアとの真っ向勝負のバトル時、キリシュタリアはAチームの人理修復の旅に因んだスキルを発動する。
7つあるスキルの中、オフェリアとの回想場面がセプテムだったことから、「セプテムの夕べ」がオフェリアとの思い出を表すものではと想像することができる。
スキル効果は「クリティカル攻撃耐性(3回/解除不可)」。バトル開幕時、ゲージブレイク時にそれぞれ発動する。
- 人理修復の旅に関して
二人で人理修復の旅をしたキリシュタリアとオフェリアだが、「みんな半分は超えられなかった。」の台詞から察するに、オフェリアも例に漏れず途中で脱落してしまったようだ。
ちなみに、2019年10月(五章配信前)のファミ通によるインタビュー記事では、Aチームにおける人理修復が可能な人材についての言及がある。
一人で生き残り人理修復をした場合と、キリシュタリアとオフェリアの二人で人理修復をした場合。その差については想像の余地がある。
本編以外の情報
- 礼装「雨雲を越えて」
オフェリアのキャラデザ担当のLa-na氏によって描き下ろされた礼装。(告知ツイート)
「――空の先の世界をたった一人で目指した人がいた。」の一文に、キリシュタリアへの想いが込められている。
- 「Fate/Grand Order material VIII」
クリプター達のプロフィールが記載された書籍の設定資料集。
オフェリアの「好きなもの」の項目に「ケーゼトルテ、リンツのチョコ、キリシュタリア」と堂々と彼の名前が記されている。ちなみに身長差は21cm(187cmと166cm)。
- 「Fate/Grand Order Original Soundtrack III」
クリプター達が集合したジャケットイラストが、キリシュタリアのキャラデザ担当のこやまひろかず氏によって描き下ろされている。
中央に立つキリシュタリアと後方から彼を見つめるようなオフェリアの姿があり、作中の二人の関係性を表すような光景が描かれている。
- 第二部後期OP「躍動」・「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア- Episode 0」等
数秒間の僅かなものだが、クリプター達が揃って登場するシーンがある。
作中の通信会議でも席が隣り合っているためか、映像化の際はキリシュタリアの隣に並ぶオフェリアの姿がよく見受けられる。
関連動画
- Lostbelt No.2 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング 30秒TVCM
第二部二章配信時に公開されたCM。「私は、キリシュタリア様のためにすべてを尽くす」の台詞をボイスで聴くことが出来る。
メインシナリオCMではクリプターの台詞が抜粋されるが、オフェリアの場合は上記の台詞であったことから、二章配信と同時にキリシュタリアへの気持ちの強さを主張するものとなった。
2021年6月3日にYouTube公式チャンネルより投稿された振り返り動画。フルボイスで二人の掛け合いや、オフェリアからキリシュタリアへの心境が聞ける。
(リンク先は該当シーンへジャンプします。)
FGO5周年の祝いの席で、クリプター全員で正装姿を披露している。
公式媒体においてクリプター達が標準衣装・カルデア戦闘服以外の特別な装いをしたのはこれが初だった。
二人が同じコンセプトで着飾りパーティーに参加する姿は夢のような光景と言える。
余談
pixiv内でもまだ二部が開始し始めの、キリオフェの可能性が出てきたばかりの頃はAチーム、そしてクリプターのリーダーとして皆をまとめるカリスマ性のあるキリシュタリアとそんなキリシュタリアに恋と尊敬を抱く乙女オフェリアが描かれていた。
が、五章で明らかになった情報から、なにかとおバカなキリシュタリアとそんなキリシュタリアに振り回されるオフェリアというこれまでの想像とのギャップのある二人が描かれるようになっていった。
このような二人は本編ストーリー内でも描かれており、キリオフェの民ならば必見なものの一つとなっている。
二人はストーリー内で死亡しているため、pixivに投稿された作品へのコメントでは「内容は可愛いのに何故か涙が止まらない」「なんで現実にならなかった」などと言われている。
「全て遠き理想郷」のタグが付けられることも。