「言っただろ? 俺ぁなんでも出来るのよ」
概要
猿顔の魔族「ヌカ族」のシーフ。
冒険者パーティ「黒狼の牙」の元メンバーで主人公・ルーデウスの両親とは昔の仲間。
女好きで自分勝手な男がリーダーを務めるパーティで、唯一戦闘能力が全くない雑用係と追放ものの主人公のような設定だが、他の仲間との仲は良好。
もっともギャンブル好きで、パーティの財布から金をくすねてギャンブルに使う悪癖があるため、追放されても文句を言える立場ではないが(半分以下にする事はめったになかった事や、増やす時もあった事、何より他のメンバーもトラブルメーカーで迷惑をかけるのはお互い様だったで大目に見られていた)。
パウロの頼みでフィットア領転移事件で行方不明になったパウロの家族を捜索し、大森林でルーデウスと出会う。この時に牢名主ごっこをしていたルーデウスから「新入り」と呼ばれてそれに付き合う形でルーデウスを「先輩」と呼んでいる。
容姿
もみあげの長い猿顔で全体的に黒っぽい服装に関節各所だけ皮のプロテクターをつけている冒険者風の格好をしている。
人物像
飄々としたお調子者で他人をおだてたりするのが得意。
「4人でパーティを組むとロクなことがない」「料理を他人に教えない」「二択はギレーヌに選ばせないと失敗する」など独自のジンクスを多数持つ。だいたい悪いことが起きた際にできたジンクスのせいかギース自身はジンクスを嫌っている。
能力
戦闘の才能がなく剣も魔術もからっきしで人並みにも戦えないが、「戦闘以外なら何でもできる」と自称し、情報収集、進行方向の設定、食料の管理、野宿料理、素材の選別・剥ぎ取り、商人との交渉、撤収の判断などの雑務を高水準で行える。特に野宿料理は味にうるさいルーデウスからも絶賛されている。
ロキシーからも「戦闘以外の部分で、これほど頼もしいものはいない」と評価されているが、専門的に学んでいる者に比べると見劣りし、本人も内心では「他人の不得意なことをするだけの器用貧乏」と評している。
関連人物
かつての仲間。黒狼の牙を結成する前から2人で冒険者をやっていた。パウロは解散で冒険者を廃業したギースを「一番自分を恨んでいてもおかしくない」と思っているが、ギースのほうはパウロのことを「絶対裏切れないと思った相手」とメンバーで唯一悪く言っていない。
かつての仲間。ギースと逆に戦闘以外は何もできない。パーティ解散後は1人で仕事ができず野垂れ死に寸前まで追いつめられるなど追放もののざまぁされる側のような目に合った。何も悪いことをしていないのに…
かつての仲間。パウロの気を引こうとするゼニスから料理を教えてほしいと頼まれて料理を教えた。そのせいか不明だがゼニスとパウロが結婚してパーティが解散したので、「料理は二度と教えない」をジンクスにしている。
かつての仲間。ギャンブルで命が危なくなったギースをあきれつつも全財産はたいて助けた。
かつての仲間。ギースに飄々としていつも余裕があるイメージを持っていたルーデウスに「ルーデウスの前では大人ぶっていたんでしょう」と言う。
ネタバレ
以下ネタバレ注意。
「よう、センパイ。
センパイが神子に話を聞いて、ここに戻ってきて、この手紙を読んでるって事は、
大体、何が起こったかわかっただろうと思う。
わかったよな?
まさか、まだわかってねぇって事はねえよな?
まだわかってねえんだったら、この手紙は俺の失策だが……まあいい。
今、先輩は疑問を持ってるだろう。
わかるはずがねぇゼニスの居場所が、どうしてわかったか。
なんで、あんなタイミングよく、俺がゼニスを連れだせたか。
もっと遡ると、先輩に会った時もそうだったな。
ドルディア族の村で、偶然にも先輩を見つけた理由。
なんでだ、どうしてだ。
いくらS級冒険者のギース様といえど、できねぇことはあるはずだ、ってな。
答えてやる。
全部、ヒトガミ様の指示だ。
俺は、ヒトガミ様に助言を得て、動いている。
ようするに、『ヒトガミの使徒』だったってぇ、わけだ」
実は何度もヒトガミの使徒になっており、ヒトガミの本性を知りながら助言に従う。
ヌカ族の村長の息子に産まれて何不自由なく暮らしていたが、そうした生活をつまらないと思い、聞いたものが全て震えるような偉業を成し遂げたいと村を捨てて冒険者になった。
しかし、剣も魔術も人並み以下で雑用しかできず、ある依頼で死にかけたところをヒトガミの助言で助けられて、その後もヒトガミの助言で冒険者ランクを上げていくが、結局は他人の力だと冷めた気持ちを持っていた。
そんなある日ヒトガミに利用されて故郷を滅ぼされる。
ヒトガミの種明かしを聞いて涙を流し後悔するが、助言がなければ自分が生きていくことはできなかったので、「恨みは恨み、恩は恩」と考え、その後もヒトガミからの助言に従う。
ヒトガミからは「助言がないと何もできないゴミ」と見下されているが、他人を信頼させた後に裏切り破滅させ、後悔する姿を嘲笑ってきたヒトガミには他に本性を知っていて自分の話を聞いてくれる人間がいなかったので、龍神オルステッドとルーデウスが組んで追いつめられた際にすべてを明かして協力を要請。
自分の協力でヒトガミが勝てば自分が凄い奴だと証明になると考え、ルーデウスを裏切りヒトガミに協力することを了承した。
ルーデウスには恩があるからヒトガミに従うと言っていたが、協力者から「ヒトガミのために何でもするような気概はない」と指摘され自分でも認め、協力してからも負けるとヒトガミが追いつめられることには一度も気にしないなど、そこまで恩を感じている様子はない。
「助言に従っていれば嫌な目に合っても命は安全」と、結局のところ自分の命が一番大事で助言を突き返すような気概がなかった様子。ヒトガミがギースを「助言がないと何もできないゴミ」と評しているのは、こうした内心を理解しているからかもしれない。
邪悪な本性を知りながらヒトガミの助言に従っていたが「こいつの頼みを聞くとロクな事にはならない」と故郷が滅んで以降はヒトガミの頼み事は聞いていないなど、ヒトガミの手下という訳では無く、ヒトガミから協力を求められるまでは、一方的に助言されていただけで、他の使徒と同様にヒトガミの目的や助言に何の意図があるかは知らないと、ヒトガミの本性を知っていること以外に特別性は何もない。ルーデウスにも助言していることや騙そうとしていることも知らなかった。
加えて、常に使徒になっている訳ではないので、ヒトガミはギースの動向を把握しきれておらず、ベガリット大陸にルーデウスを呼んだ結果、ロキシーと合流させたくなかったヒトガミの策を台無しにした事もある。
協力関係を結んでからはヒトガミから具体的な指示を貰うようになり、同じくヒトガミに協力を約束した使徒たちのリーダー的な立ち位置になったが、忠誠心や仲間意識といった特別な感情は皆無で、雇い主と雇い人と言ったようなドライな関係に過ぎない。