サムソン(レイバー)
さむそん
『機動警察パトレイバー』に登場するレイバーの内の一機種。
注)「機動警察パトレイバー」はメディアミックス作品の為、作中での描写、設定資料全集、ムック、雑誌によって設定の相違点が非常に多い事にご注意下さい。
機体名 | サムソン |
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制式名称 | 菱井AL-97B |
開発メーカー | 菱井インダストリー |
全高 | 9.10m |
全幅 | 5.60m |
全装備重量 | 8.31トン |
最大起重 | 4.0t |
最小回転半径 | 4.1m |
装甲材質 | 高張力スチール |
装備 | 90mmチェーンガン、スモークディスチャージャー、重機関銃、その他オプション武装 |
主な乗員 | 不破環生、自衛隊員 |
パトレイバー30周年その52 サムソンbyアッくん |
四菱グループ菱井インダストリー製造。1997年10月、陸上自衛隊に採用された軍用レイバー。
「アトラス」を改良発展させたレイバー、それがサムソンである。
制式名称(型式番号)は<菱井AL-97B>。
機体名は「サムソン」。サムソンは旧約聖書の登場人物。長髪で怪力の持ち主。
別名「陸自97式改」、アトラスと同じく単に「97式」と呼ばれることも多い。
メカデザインは出渕裕。
「アトラス」の全身をコンパクトにしつつも、出力、火力と装甲を強化。それにともなう重量増加にかかわらず運動性能の向上を果たした。
致命的な弱点であったキャノピー式コックピットを装甲化して、密閉型モニター視認に変更。キャノピーを廃したため、搭乗口は頭頂部のハッチ式に変更され、操縦席も奥へ移設された。
複雑な火器管制を一部コンピューターの管理下に置いているため、一人で操縦可能な単座式となった。一部、複座式の機体がある。
機体形状はアトラスを全体的に小型化した姿。頭部にブチ穴がある。
武装は90mmチェーンガンを股間に装備、両手で保持する。
左肩に74式戦車に搭載されているものに似た箱型の装置(赤外線サーチライト?)。オプションで肩にスモークディスチャージャー、その他用途に合わせて多数のオプション武装が用意されているが、装備制限がある演習ばかりだったので未登場。
漫画版では搭乗ハッチ横に重機関銃が装備されている。
TVアニメ版では何故か搭乗者がアトラスのノクトビジョン付きの専用ヘルメットを着用している。
運動性能向上のおかげで格闘戦能力も少し改善、柔道技を繰り出すことができる。
攻撃されて大きく体勢を崩してもすぐ立ち直り、旋回能力も悪くはない。
装甲も強化され、イングラムの腕が吹き飛ぶ威力があるファントムのビームを全身に受けても形を留めていて、乗員も無事だったことからそれなりに頑丈になった様子。
ヘルダイバー登場後は旧式化するも、現場の操縦士からは「質実剛健さがいい」と評価されている。
以上アトラスから純粋に強化され、自衛隊の第一線主力機として使用されていた。
欠点
欠点は貧弱な索敵能力(センサー)。
初期の作業用レイバーの多くは開放式操縦席やキャノピー式操縦席を採用することで視界を確保していた。しかし落下物や運搬物に対する安全面の問題から密閉式コックピットへ移行していった。そのため複数のセンサー、頭部カメラ、可動カメラを備えて視界を維持している。
サムソンも操縦者の生存性の問題から、防御力を向上させるため密閉型操縦席を採用したのだが、直接視認ができなくなったのにメインセンサーがアトラスから変わらず、頭頂部に固定されたまま。一応サブセンサーも三つ追加されているが焼け石に水。
劇中では敵の接近に気づかず常に対戦相手に陽動や奇襲を受けて格闘戦に持ち込まれ、索敵に難がある様子が見て取れる。
余談だが菱井インダストリーのレイバーは、センサー系やカメラの開発で篠原重工に遅れをとっている描写が多い。開発中だったHAL-X10も当初は菱井インダストリー製センサーだったのが、篠原重工製に変更されている。
サムソンの全面改修型のハンニバルは、右肩に操縦士の首の動きと連動して作動する可動式センサーブロックを追加。他レイバーとのデータリンク機能を採用するなど大幅な改善が行われている。
TVアニメ版
第20話では警備会社のキュマイラと陸上自衛隊のサムソン3対3で戦闘。
キュマイラはほぼ同時期に開発された警備用レイバー、機動力の高い機種。
残念ながら2機のサムソンが早々に撃破され、陽動と地形の高低差を利用したキュマイラの奇襲を受けて格闘戦に持ち込まれた。
陽動の1機はチェーンガンで薙ぎ払い、もう1機が背後から砲撃&抱きつくようなタックル繰り出してきて拘束されるも柔道技の大内刈りで反撃、見事勝利を収めた。しかしその後、演習場に乱入してきたファントムと激しい銃撃戦になり、ビームを全身に乱射されて撃破された。
後日に準備を整えて待ち構え、複数機で再戦するも早々に撃破されて、増援のヘルダイバーの降下支援に失敗している。
第30話では演習中のライノス隊が登場。機動力の高いグリフォンに翻弄され、姿を明確に捉えることができずに格闘で破壊された。
漫画版
アメリカ軍の新型多脚レイバー「EX-13」と演習を行った。
EX-13は大型の多脚式で不整地踏破能力と機動力が高い機種。素早いEX-13に翻弄され、6対2で5機が撃破判定というほぼ一方的な展開になってしまった。(ただし、97式側はオプション装備のほとんどを禁じ手とされていたというハンデはある)
残った1機の不破環生二尉は乱入してきたグリフォンに襲撃されて対決。
グリフォンはサムソン背後から轟音と共に跳躍して接近、それに気づいた不破二尉は素早く旋回を行うことで、正面から相対することに成功するもチェーンガンを抑え込まれ、格闘戦に持ち込まれて撃破された。
その後はヘルダイバー導入時に演習を行う場面がある。今度はヘルダイバーに乗り換えた不破二尉がサムソンと対決。
ヘルダイバーは音を立てず至近距離まで接近、寸前に気づいたサムソンだが旋回が間に合わず、ナイフを側面に突き立てられて撃破された。
軍用レイバーの種類は多脚型、二脚型に大別されている。
多脚型は戦車等の既存兵器技術を流用可能で、火力と装甲に優れる。悪路走破性が高く、車輪走行が可能な機種も多いため機動力も高い。役目としては強化型装輪戦車である。
各国で90年代初頭から開発され、ソ連のツンドラやイスラエルの砂漠といった過酷な地形で採用されている。
日本やアメリカでは都市制圧用の無人重装レイバーとして開発されている。
軍用ではないが既存兵器よりも安価で改造がしやすいクラブマン・ハイレッグが、第三世界で軍や武装警察に採用されている。
二脚型は高い運動性を持ち、マニュピュレーターで複数の大型火器を兵士一人で運用できるのが利点。作業用レイバーを改装、または発展させることでコストと期間を抑えて開発可能。役目としては機械化重装歩兵である。
対人兵器程度であれば難なく防御し、環境による影響も防ぐことで戦闘による兵士の損耗を抑えれる。機関砲、小口径砲、ミサイルランチャーといった個人携行が難しい兵器を兵士1人で運用でき、装甲車が展開しづらい地形にも対応ができるのが利点。新型になるほど対レイバー格闘戦能力が重視されるようになる。
日本、ヨーロッパ、アメリカといった比較的レイバー技術が高く、多数のレイバーが運用されている国で採用されている。種類が少なく、そもそも二脚型軍用レイバーの有用性について疑念を持つ国もあり普及しているとは言い難い。