(メイン画像は腐肉食で知られるルゴプス。)
概要
スカベンジャーとは、主に死肉を食べる動物のこと。一部では「腐食性」とも呼ばれるが、この場合はフナムシなど腐った植物を食べるものも含む。
実際のところ自然界に存在する肉食動物は(場合によっては草食動物ですら)機会があれば腐肉食は積極的に行う。狩りをするより圧倒的に労力が低いためである。
一方で死肉を食べるのに特化した動物、つまるところスカベンジャー(腐肉食動物)と議論無く呼べる動物というのも脊椎動物には稀である(無脊椎動物には多いが)。
脊椎動物の腹を満たせるほど食いでのある死体が転がっていることはなかなかなく、死体を探して駆けずり回る羽目になってしまうし、状態の悪い死体は食中毒の原因になるため強靭な内蔵や衛生的な配慮が要求されてしまう。
そのためある程度は自力で獲物を殺傷し、新鮮な死体を自弁できたほうが、総合的な労力は少なく済む。
なのでたいていの動物の場合、状況に応じて狩りもしつつ腐肉食もしつつの中庸の生態を取っている。ハイエナやライオン、トラなどがそうだ。
死肉をあさるのに特化した動物としてはまずハゲワシが有名。彼らは死肉をあさるのに不潔になりかねないため頭部に毛がなく、強力な胃酸を持つ(但し頭部の羽毛については近年異説もある)。
またタスマニアデビルも口の周りに毛がなく、強力な顎の力を持つためこれに該当する。
絶滅した動物においては、かつてティラノサウルスがそうではないかと言われており、これが原因でジュラシック・パーク3でもスピノサウルスに倒される演出があった。なぜかというと、ティラノサウルスは体重8tもあり、足が遅かった可能性があるためだ。
しかし、トリケラトプスやエドモントサウルスなど獲物となる恐竜の中には骨が治癒したものがあるほか、現在では気嚢システムのおかげで13mという全長に比べ体重8tという比較的軽い体重、そして強力な腱が張り巡らされた尻尾のおかげでアフリカゾウと同じ速度で走れた可能性が示唆、そのスペックの高さからも基本は昼夜問わず狩りをしていた超肉食恐竜だったというハイエナやライオンのような生態だ、といった見解が主流となる。
当時は死肉をついばむハゲコウのような生態の翼竜ケツァルコアトルスも生息していたため、スカベンジャーとしての役割はこちらが担っていたともされる。(もっともケツァルコアトルスは死肉をついばむほか小動物も食べていたと言われている)
また同じような見解がアンドリューサルクスにおいても示されたが、こちらも同地域にパラケラテリウムが生息したことからこれらを狙うために大型化、結果ハイエナに収斂進化を遂げた動物だったため生態も似通っていた可能性がある。
2009年にはルゴプスが見つかり、こちらは同地域に大型獣脚類が生息していたことからすみわけとしてスカベンジャーだった可能性も高い。