タルカス(ジョジョの奇妙な冒険)
たるかす
かつてスコットランド王国女王、メアリー・スチュアートに仕え守護してきた騎士。
架空の人物だが、作中においては相方のブラフォードと共に王国の双璧として君臨し、イギリス国民なら誰もが知っている超有名な英雄的存在という設定になっている。
常人の倍以上の身長を持つ筋骨隆々の巨漢で、刃渡り2m近い大剣を持ち、それを振り下ろせば巨岩をバターのように真っ二つにするほどの剛腕の持ち主。過酷な試練「77の輝輪」を成功させた5人のうちの一人でもある。
代々騎士を輩出してきた家柄の出身だが、家族は戦で全員失っている。
青春を空しさと肉体の鍛錬の中で送っていたが、メアリー女王にやすらぎを与えられ、命を投げ出せるほどの忠誠を誓った。
メアリーが政敵であるイングランド女王エリザベス1世によって夫殺しの容疑が掛けられ、国中が彼女に反旗を翻し戦争を仕掛けられた際には、ブラフォードと共に軍を率いて各地を転戦し勝利するものの、二人以外の軍は悉く敗れ、メアリーは敗北し捕らえられる。
エリザベスから「投降し、大人しく処刑されるならばメアリーの命は助ける」という申し出に、「女王の命を救うと言うならこの申し出を受け入れない理由は無い」と呑むも、処刑寸前に処刑人からメアリーは既に処刑されていたことを告げられ、約束を反故にされた無念からエリザベスを、この世を呪いながら処刑された。しかしその筋肉の強さゆえに、首を切り落とすのは簡単ではなかったという。
300年後にゾンビとして吸血鬼「ディオ・ブランドー」の手によって復活。剣で地割れを起こすほどの圧倒的なパワーを獲得しジョナサン・ジョースターとウィル・A・ツェペリの前に立ちふさがる。
ジョジョとの戦いの中で高潔さを取り戻し、騎士道を貫いたブラフォードとは違い、
- 仲間を罵倒し、遺品の鎧を踏み砕いて蹴り飛ばす
- 「殺戮のエリート」と称し、子供を惨殺しようとする
- 2人の不良少年を雑巾を絞るように身体をねじり、全身から血を噴き出させ殺害して血を啜る
- 決闘と言っておきながら目潰し攻撃を仕掛ける
など、その行動はことごとく残忍で醜悪。生前の誇り高さを失って、心の底からディオに忠誠を誓い、魂を売り渡した卑劣なゾンビに成り果てている。
だが、友を罵倒し、己が残忍ぶりを強調するかのような台詞の中にもブラフォードを「尊敬していた」という言葉を使い、ジョナサンとブラフォードの一騎打ちにはあくまでもツェペリとスピードワゴンの前に立ちはだかり、決闘に手出しをさせないだけに留めた辺り、ほんの僅かでもディオでも穢し尽くせなかった親友への友情と高潔な騎士道精神を残していたのかも知れない。
『双首竜の間』でジョジョを得意のチェーン首輪デスマッチに誘い込んで、ゾンビですら手こずるほど頑丈な首輪で呼吸が阻害され、満足に波紋を使えないジョジョを凄まじいパワーで叩きのめす。加勢したツェペリの攻撃も難なくかわした上で、必殺技『天地来蛇殺(ヘルヘブンスネーキル)』でジョジョの首の骨を折り、ツェペリの胴体を真っ二つにして殺害した。
だが、ツェペリが死に際に『究極・深仙脈疾走』でジョジョを蘇生させたことで形勢は逆転。鉄の首輪を引きちぎるほどパワーアップしたジョジョに圧倒され、目つぶしを行ってまで勝ちを拾おうとした。しかし「小細工に堕したかッ!」と罵られ、顔面に両拳を叩き込まれ一瞬で全身が蒸発し、消滅した。
繰り返すが、本編で見せた外道な言動はディオの能力の影響によるもので、本来はブラフォードと同じく高潔な精神を持った騎士だった。しかし、相方とは違い最期まで正気に戻ることはなく、「怪物」として二度目の死を迎えてしまった。ツェペリを殺害したこともあって作中外問わずヘイトを買い気味ではあるものの、相方とは別ベクトルでの哀しき悪役でもある。