概要
ディセプティコンにおける憲兵隊「DJD」の指揮官。e-HOBBY限定キャラクターカードでの役職は督戦将校。
凶悪なサディストだが、古典に精通しており、古代セイバートロン語しか話さないヴォスと唯一コミュニケーションが取れる。音楽愛好家という一面もある。また、スパークについて言えば、フォージドの中でも珍しいポイントワンパーセンターである。
ディセプティコンのエンブレムを模したマスクが特徴で、マスクを外した素の顔には傷痕が走っており、明言こそされていないものの、作中ではグリムロックに付けられたと示唆されている。このマスクはディセプティコンの優越性やそれに対する忠誠心の現れ.....と思いきや、本人曰く、自分が働く残虐行為に怯えて目を閉じているのを相手に悟られぬようにするのが本来の目的らしい。エイリアンタンクに変形するが、変形依存症であり、四六時中変形してはトランスフォームコグを消費してしまう悪癖がある為、かつてオートボット軍医のファルマと裏取引を行ないトランスフォームコグを貢がせていた。また、強化剤として核物質を摂取しているが、こちらもショックの余り過剰摂取に走ったことがある。
メガトロンへの忠誠心が強いDJDの中でも特にメガトロンを信仰したメガトロン原理主義者で、ディセプティコンの意思に反する者は同じディセプティコンであろうと容赦なく抹殺するという物騒極まりない危険人物。その熱の入り方と言えば、オートボットとの戦争もメガトロンが終わりを告げるまで戦うと決めており、何かとメガトロンの書いた著書『平和論(Towards Peace)』を引用して話す癖があるほど。その悪名はオートボットにも轟いており、サンストリーカーは「ノンストップキラーマシン」呼ばわりして恐れていた。また、戦時中、DJDの隊長就任以前は強制収容所グラインドコア(Grindcore)の署長を務めていたが、その時もオートボットの囚人を溶鉱炉で溶かし、自軍の兵士の材料に充てるという行為を働いており、この一件からも彼の残忍性が窺える。しかもこの虐殺に当たり、当時囚われていたスキッズを騙して溶鉱炉への転送装置の整備をさせており、この結果彼の友人クォーク(Quark)が命を落とした事で、スキッズがプライマス崇拝を捨てる原因を作った可能性がある。
武器として右腕には2連の融合カノン砲を装備しているが、これ以外にも内蔵されているボーカルエフェクターで、特殊な音波を発生させて罪人を爆殺する事が可能。この音波は通信機による会話や録音であっても効果があり、続編の『LOST LIGHT』ではメンバーに緊急時の武器としてこの死の声を録音した端末を配布していた事が明かされた。
正体とその末路
以下、『MTMTE』重大ネタバレ注意
その正体は、議員時代のショックウエーブが匿っていたアウトライアーの一人ダムス(Damus)別名をグリッチ(Glitch)という、元オートボット。自身の放出する脳波によって、接触した機械を機能不全に出来る特殊能力を持っており、前述のボーカルエフェクターによるデスヴォイス攻撃もこの能力が進化した結果である。なお、スキッズやトレイルブレイカーとは同門の関係であり、前述のグラインドコアでの一件も、その知己としての信頼関係を悪用してのものだった。
戦前はショックウェーブが学長を務めるジアクシアン先進技術アカデミー(Jhiaxian Academy of Advanced Technology)の生徒であったが、アウトライアーだった為に評議会から、後に恩師にも施されてるエンプラータ(Empurata)の刑を受け、ボディを単眼などに改造されてしまっていた。オライオンパックスと出会った事で支配層の評議会に対する戦いに身を投じていくようになり、センチネル・プライムのプライム就任後はオライオンパックスの指揮の下、サイバトロン各地を逃げ回る事となる。
『MTMTE』にてダムスとしての活動が描写されたのはこの地下活動中で「ローラーが『平和論』をオライオンから薦められ、直後に行方不明になった戦い」が最後であり、一体何故、ディセプティコンに下ったかを明確に説明される事は無かった。しかしながらここまで記した体験の結果、オートボットの体制に幻滅し、その状況下でローラーが遺した『平和論』を読み、メガトロンの思想に感化されたためと考えるのが自然だろう。結成間もないディセプティコンに加入したダムスはメガトロンに認められ、現在のボディへと強化改造された。そのパワーはディセプティコンの最終兵器、フェイズシクサーズにも匹敵するものとなっていた。
前述の通り元来はメガトロン原理主義者だったのだが、『MTMTE』シーズン2にて、『Dark Cybertron』にてオートボットに鞍替えし、裁判の結果、ディセプティコンに降伏撤退命令を出したメガトロンにショックを受ける。一時は前述した核物質の過剰摂取に走るなど失意の底に沈んだものの、命令を無視してデスザラス一味と手を組み、自らのディセプティコンの思想信条こそが正義と信じるようになり、メガトロンの粛清を目指すようになる。そして同シーズンの完結編「Dying of the Light」においてネクロワールドにクーデターで追放されたメガトロンやロディマスの一団と鉢合わせ、衝突する事となる。
この偶然の遭遇のみならず、オーバーロードも加わったこともあり戦力的に優位と思われたが、オートボットに連れ去られたペットを取り戻して欲しいと頼んできたケイオンを抱きしめて慰めると見せかけて首を引っこ抜いて処刑する等の峻烈な行為、ロストライトの一団との戦闘での戦術家としての素人ぶりの露呈、こう言った事が重なり協力者、そして部下だったニッケルからも見限られ、最終的には自分も含めたDJDのみでメガトロンを相手にせざるを得なくなる。
そしてこの時点で精神的に弱体化したかに見えたメガトロンも実は、戦時中に構想だけに終わった反物質の武器化を習得していた事が発覚。どれだけ悪名や戦果を誇ったDJDとて完成した新兵器の前では全くの無力であり、最後に残された彼も仮面を剥がされ本来のグリッチとして締め上げられた挙句、反物質の刃の一刀両断で処刑されそれまでの行いに対して報いを受けた。
かつて神聖視した元上司から最期に贈られた言葉は「Everything you did was for nothing.」…彼とDJDの行いを全否定するものであった。
残された仮面はメガトロンが胸のオートボットエンブレムに被せていたが、『平和論』執筆にも協力したターミナス(Terminus)と再会し抱き付いた際にずり落ち、これも無惨に踏みつけられてしまったのだった…。
サイバーバース
上記のように元はアメコミで活躍したキャラクターだったのだが、遂にアニメーション作品に出演。
日本未公開のシーズン3と4にて登場。
デザインや武器はアメコミのものに似ているが、劇中では一切トランスフォームしなかった。今作では量産兵のような扱いとなっているために決まった名称は無く、あくまでもターンと名乗っているのはシーズン4に登場する1体のみである。
そもそも今作のターンたちは別の宇宙(いわゆるパラレルワールドで、シーズン3でメガトロンが力を得るために向かった別の宇宙と同一)から来た存在。
別の宇宙ではメガトロン(以下アナザーメガトロン)はオートボットとの戦争に勝利。掌握したオールスパークの力で自分の言う事を何でも聞く様にプログラムした「究極の兵士」として作り上げた背景がある(その後、部下であったはずのディセプティコン達も一部を除いてオートボットもろとも皆殺しにしたということが判明している)。
初登場はシーズン3の最終話。
メインの宇宙(本編の宇宙)に来たアナザーメガトロンと共に登場。
言葉は喋らず、装備しているワープ装置を活かした瞬間移動と、オプティマスでも1体を倒すのがやっとのパワーで、オートボットとディセプティコンを翻弄。
しかし激闘の末にアナザーメガトロンはオプティマスのマトリクスのパワーに敗れ、アストロトレインによって完全に倒されてしまった。
シーズン4では主であるアナザーメガトロンを倒したアストロトレインに復讐。
その後、誰が新たなリーダーになるのかを決めるべく、兵士同士の殺し合いを開始。その過程でメインの宇宙のサイバトロン星に大群で出現する。その際にオプティマス達の前にテレポートして来た左腕が欠損した個体が「ターン」と名乗った。
最初は兵士たちは完全に和解して仲良く暮らしていたオートボット・ディセプティコン達には危害を全く加えなかったが、オプティマスは終わりそうに無い戦いをやめさせるべくプログラムを書き換えられる伝説のアイテム「コーテックスヘルム」を使おうとする。しかしそれをターンが強奪、全ての兵士に自分に従う様に再プログラムしてしまう。
再プログラムに成功したターンはメインの宇宙のディセプティコンと共にかつての主が行った様なオートボット皆殺しを遂行しようとオートボット達を追い詰める。
しかし一度は従ってくれたメインの宇宙のディセプティコン達に寝返られ、形勢は逆転。
サウンドウェーブがターンの隙を付いてコーテックスヘルムを奪い、プログラムを「兵士達の自由」に書き換られてしまう。
サウンドウェーブから奪い返してもう一度プログラムを書き換えようとしたが、サウンドウェーブが命を賭けて放った大技によってターンは消滅。
残された兵士達はサウンドウェーブによってプログラムされた「自由」に従い、サイバトロン星で平和に暮らす様になった。
こうしてターン達との戦い及び『トランスフォーマー/サイバーバース』は終結した。
余談
・線画担当のアレックス・ミルン氏曰く「ターンの脳内CVはキース・デヴィッド」との事。(参考)ゲーム版『トランスフォーマー』でバリケードを演じた俳優であり、マイケル・ベイ監督作品だと、『アルマゲドン』でのキジー将軍を演じている。
・脚本担当のジェームズ・ロバーツ氏曰く、裏設定として本名のダムスはノストラダムスが元ネタ。(参考)また、彼の出身都市はコードネームと同じターンだったらしい。
・ターンを現在の姿へと改造したのはローブ(Lobe)という医師だが、ショックウェーブにエンプラータ手術と洗脳手術のシャドウプレイを施したのも彼である。2015年にツイッターで行われたディスカッションにおいて、ロバーツ氏は該当場面でオレンジのボディだったトランスフォーマーがローブであると答え、もう片方の紫色の医師はフル・フロンタルと命名しようとしていたが、結局止めている。(参考)
・マスクのみならず、胴体部分もディセプティコンのエンブレムを思わせるデザインになっている。なお、似たような例としては別世界の合体戦士が挙げられる。
・彼が戦時中に総監を務めていた監獄、グラインドコアは同名のディセプティコンが存在するが、それとの関連は不明。
・処刑対象者の中で彼と同様、ポイントワンパーセンターのキャラクターというのは意外に多く、オーバーロード以外にもメガトロン、スコルポノック、グリムロック、ブラックシャドウ等が挙げられる。しかしながら劇中で判明している限り、アウトライアーでもあったキャラクターはターンのみである。
・正体が判明するのは前述の『MTMTE』第55号においてだが、それ以前にファンの間では「依存症持ち」、「顔についた傷」、「ポイントワンパーセンターという出自」、「オライオンパックスから『平和論』を薦められる」、「過去編のある時点で足取りが途絶えている」等の描写から、「ターンの正体はローラーではないか?」とする説がファンの間では囁かれていた。しかしながら、同号においてローラーは別の場面で再登場を果たし、赤の他人だったと判明した。それ以前にも「Ask Vector Prime」には2015年5月14日に、ターンはローラーではないかという質問が寄せられた事があったが、その返答は「自分の一番知っているターンは『Cybertron’s Got Talent』(恐らくは実在のTV番組『ブリテンズ・ゴット・タレント』のトランスフォーマー版)の立体映像で投影されるコンピュータープログラム上の審査員である。」というはぐらかしたものだった。
・『LOST LIGHT』では、メガトロンが誕生しなかった並行世界のダムスが登場。こちらでも矢張りエンピュラータ手術でボディを改造されてしまっていたが、正史世界からやって来たメガトロンの指揮の下、支配体制との戦いに加わる事となる。所属はディセプティコンではなく、反機能主義連盟(Anti-Vocationist League)である。
・マスクを外した素の顔はこんな感じ。(参考)。本編においては『LOST LIGHT』で初めて素の顔が描かれる事になった。
玩具
長らく非正規商品、もしくはスーパー7やフレイムトイズによるハズブロ公式ライセンス品ではあるが非変形の商品しかなかったものの、
マルチバースを主題として歴代キャラをリメイクする『トランスフォーマーレガシー』シリーズの第2弾『エボリューション』において、アメコミの時空「Comic Universe」から参戦という設定で、初の変形可能な公式玩具が発売。
サイズはボイジャークラス、両モードともにバランスがとれており可動も非常に優秀。融合カノン砲は分割して長距離砲に組み替える事も可能。
ただしビークルモードでのコロ走行用の車輪は設けられておらず、ターンの最大の特徴であるマスクも頭部と一体成型されているので素顔を拝むことはできないのが欠点。
後に頭部とカラーを変更したものがブラジオンとして発売された。