概要
事の発端は、2022年3月27日に配信された視聴者参加型のインターネット気象番組「ウェザーニュースLiVE(以下、WNL)・アフタヌーン」での一幕。
当該時間帯は、当時まだキャスター歴3ヶ月ながら新人離れした場回し力で視聴者の支持を集めていた期待のルーキー・大島璃音キャスターと、この道20年以上のベテランで視聴者からの信頼も厚い山口剛央(たけひさ)予報士のコンビで放送がなされていた。
この言葉が生まれたのは番組終了まであと10分ほどとなった時間帯、大島キャスターが山口予報士に「ダンゴムシはまだ今日は見当たらなかったですか?」と尋ねたことに端を発するやり取りの中でのこと。
山口予報士は、過去に起きた大きな災害の統計を年月日から被害規模に至るまで全て脳内にインプットしているばかりか、昆虫の活動から自然災害に至るまでありとあらゆるデータを個人で取ることを趣味とし、極めつけはそのための計測機器(雨量計・地震計etc...)を自作してしまうほどの筋金入りの記録・統計マニアとしてWNL視聴者からは知られており、このやり取りもそのことを踏まえて始まったものであった。
その後、山口予報士がこの日はダンゴムシに出逢えなかったことや普段の観測方法などを大島キャスターに説明するなど、終始和やかなムードで両者の会話は進み、次のコーナーに移るために大島キャスターが締めの挨拶をしようとした…その時、事件が起こる。
何と大島キャスターは締めの挨拶で、
「さあ…ということで、ダンゴムシにも解説していただきましたけども」
と発言してしまったのである。
言うまでもなく、これでは山口予報士=ダンゴムシである。
すると、これを聞いた山口予報士はすかさず「ダンゴムシ『の』、ですよね?」と冷静に切り返し、さらに間髪を入れずに「私、ダンゴムシではない…」と笑みを交えつつやんわりとコメント。この返しに大島キャスターは笑い崩れてしまい、さらに動転してしまったのか「山口さんは全くもってダンゴムシではございません」と突っ込みの1つや2つを入れたくなるような訂正の仕方をしてしまったのであった…。
その後の反響
この発言後の大島キャスターは何とか持ち直し、苦笑交じりになりつつも番組を最後まで完遂したのだが、この「ダンゴムシにも~」発言は凄まじい反響を呼び起こすこととなった。
この一件そのものは…
まず、この場面はいわゆる「切り抜き動画」という形で視聴者によって拡散され、猛烈な勢いでバズることとなった。
特に一番視聴率を集めた動画(「関連動画」の項で取り上げている動画)では最初の1ヶ月で500万回再生を突破すると、その後も勢いは衰えず、最初の1年間で1200万回再生をマーク。元々WNLは独自のガイドラインの下で切り抜き動画の作成を推奨していることで知られ、また2022年は他のキャスター陣の台頭などでWNL自体の知名度が急上昇していた時期とも重なるのだが、それを加味しても驚異的な伸び率である。
これについて大島キャスターは後の放送で、「(自分がミスを犯した瞬間の動画であることから)伸びないでくれ、伸びないでくれと祈りながら動画の再生数を見るが、いつもすごく伸びている」「あの日以来、思い出さないことはない。日々深く反省です」などと語っているが、一方の山口予報士の方は意外にも視聴回数が伸びることを肯定的に捉えており「次は2000万回再生を目指しましょう!」などと大島キャスターに語り掛けている模様。
「ダンゴムシ」と言ってしまった側の大島キャスターは…
翌2023年に週刊誌の「FLASH」が開催した「お天気キャスター総選挙」で前年圏外から順位を爆発的に押し上げ、一気にTOP10に急上昇。WNLのキャスターでは他に檜山沙耶キャスター(優勝、現在はフリータレント)と駒木結衣キャスター(3位)がランクインし、加えて当時WNLに籍を置いたままテレビ朝日系列「報道ステーション」に出向していた眞家泉キャスター(5位)もTOP10入りを果たしているが、この3人は地上波放送の出演者+WNLの二枚看板として前年からTOP10に顔を出していた2人であり、そこにデビューからまだ約1年の大島キャスターが食い込んだのは紛れもなく快挙である。この一件の影響は言うまでもなく大きいだろう。
「ダンゴムシ」と言われてしまった側の山口予報士は…
この一件を皮切りに番組内での過去の発言(番組内での企画に触発されてバーナーを用いた自炊に挑戦、熱烈な阪神タイガースファンを公言して他球団推しの出演者達と舌戦を展開、スパゲティのことを「ゲッチュー」という聞き慣れない呼称で呼ぶ、etc...)にも注目が集まり人気が爆発。「ぐっさん」の愛称と共に予報士陣不動の人気を得ることとなり、2023年度のWNLキャスターカレンダーや2023年7月8日にWNLのYouTubeチャンネル登録者100万人突破記念で開催されたファンミーティングの関連グッズ各種ではキャスター陣と同等クラス、あるいはそれ以上に優遇されることとなった。
勢いはWNL内部だけにはとどまらず、この年の秋にはあのビジネス総合誌「プレジデント」に指名され、単独インタビュー記事が制作された。反響はすさまじいものがあり、同記事のWeb版は掲載開始からわずか2か月で2022年下半期のキャリア部門第4位の閲覧回数を達成している。
「名場面・迷場面ランキング2022」では…
そんな調子なので、WNLが2022年の大晦日に開催した「名場面・迷場面ランキング2022」では視聴者投票で見事1位を獲得。得票数は不明だが、司会の檜山沙耶・山岸愛梨両キャスターに「優勝はこれで間違いない」と言わしめるほどのぶっちぎりの支持率であったようだ。
結果発表の席には大島キャスターがビデオレターで登場。今回の一件の理由として「経験不足と番組終了が迫ったことによる焦り」を挙げたうえで山口予報士に謝罪と感謝を伝えた。これに対し、スタジオゲストとして参加していた山口予報士は「私の人生も大きく変わった。(大島キャスターには)むしろありがたいと思っている」と寛大なコメントを残している。
余談
- 大島キャスターはデビュー前の研修期間から山口予報士に対して絶大な信頼を寄せていたことを番組内で公言しており、この両者は視聴者から「ゴールデンコンビ」と呼ばれている。番組側もこのことをある程度理解しているのか、11月23日に開催の「勤労感謝イベント」ではキャスター同士で謝意を伝えあう企画が開催される中、大島キャスターの担当時間帯でのみ山口予報士に謝意を伝えるコーナーが別に設けられたりしていた。
- この一件がきっかけで、GoogleやYoutubeなどのサーチエンジンに「ダンゴムシ」と検索するとサジェストの上位に「山口さん」などのこの件に関する言葉が現れたという事例が確認されている。WNLを知らない人にとっては、なぜ昆虫を調べたら人名がサジェストされるのか…と混乱すること請け合いである。
- 先述した2023年7月8日のファンミーティングでは、伝言ゲームのコーナーにて、忌引によって欠席した大島キャスターの代打として山口予報士が起用され、司会の村田泰謁プロデューサーからは「ダンゴムシ繋がりで(山口予報士に)フォローしていただくことになりました」と説明が入る一幕があった。
- この出来事から約2年後の2024年3月22日には、大島キャスターと山口予報士のコンビでダンゴムシを探す、という番外企画が急遽組まれ、放送された(関連動画参照)。ご丁寧にもサムネイルにはこの出来事の画像が用いられており、視聴者の間で大きな話題となった。
関連動画
切り抜き動画(先述の「最初の1ヶ月で500万回再生を突破」したもの)
2年後に公開の「春のダンゴムシを探してみよう」企画
関連項目
チャハーン:同じく、「ウェザーニュースLiVE」から生まれて話題となった用語。
戸北美月:当事者である大島キャスターの同期。