概要
てんとう虫コミックス2巻及び、藤子・F・不二雄大全集3巻に収録。
「アンキパン」が初登場したエピソードである。
ストーリー
「困った。困った」とのび太はやかんと枕を持って部屋を走り回り、ドラえもんは訳が分からず、のび太に訳を聞く。すると明日、国語と算数のテストが一片にあることを話され、やかんと枕は全く無関係だったが、のび太は引き続き「困った。困った」と走り続けた。
だがドラえもんは「なあんだ」と呆れて出て行ってしまったので、のび太は慌てて引き留め、このままだと確実に0てんを取ってしまうことを説明する。そしてドラえもんは扇風機や動物ライトを取り出すが、どちらも学校を吹き飛ばすや、先生をゴリラに変えるという物騒なものだったため、のび太は「真面目に考えてくれっ」と逆切れ。
だがドラえもんから「普段勉強しないのがいけないんだっ」と怒られ、これからはちゃんと勉強することを泣いて約束した。するとドラえもんは「アンキパン」を出してくれ、これで算数の問題を写し取って食べたところ、のび太は2×3が6だと回答できた。そしてそのまま算数、国語のノートとワークブックを覚えようとしたが、チリ紙の代わりに使ってしまったことでノートの肝心のページが破けていたため、アンキパンをたくさん持って友達のノートを写させてもらうことにした。
だが最初に頼んだスネ夫のノートはズタボロだったため、とても映して食べる気になれず、しずかの綺麗なノートを見せてもらうことに。そしてのび太は覚えることには自信があると胸を張るが、「クラスで一番忘れん坊のあんたが?」としずかに大笑いされてしまったため、電話帳の番号を覚えて見せることにし、阿井上男、柿久家子の番号がそれぞれ「123の4567」、「999...」であることを見事言い当てた。
そしてのび太は「テストで百点取るなんて訳ないね」と豪語し、しずかの母親が持ってきてくれた草餅を食べながら、漫画を読み続けたが、このことでいざ勉強を再開しようとしても満腹でできなくなってしまった。そこでしずかからノートを借りて帰宅したが、パパが晩御飯を作って待っていてくらたので、断ることもできず食べざるを得なくなった。
だが部屋に帰るとドラえもんに全く覚えてこなかったことがバレ、「0点を取ってもいいのか!!」とアンキパンを口に無理やり詰め込まれ、水で流し込まれることとなってしまった。そして翌日、ドラえもんはトイレに入れずにいるパパに話しかけると、のび太がお腹を壊して一時間もトイレにこもっていることを聞かされ、思えたことをすっかり出してしまったのび太の、アンキパンでの勉強を手伝うことになるのだった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版と水田版で各2回ずつ放送されており、放送日は前者が1979年4月4日及び1992年6月12日、後者が2005年8月12日及び2012年1月6日である。
1979年版
- 冒頭でドラえもんは漫画を大笑いしながら読んでいて、のび太の方もこれを踏んずけたりしてドラえもんの注意を引こうとしたが、ドラえもんが漫画を持ち上げたことで転んでしまい、悩みを聞くように言った。ちなみに読んでいた漫画の表紙にはQ太郎が描かれていた。ちなみにのび太は机の椅子には登っていない。
- のび太は出してもらった扇風機やライトを始めは喜んで受け取ったが、すぐに使用してはまずいことに気付いている。また、ドラえもんに泣き付いた際には、「今度0点取ったら、僕家出しちゃう」とも言っていた。
- ドラえもんが出した算数の問題には「5に何をかけたら10になるか」も追加されていて、のび太はちゃんと2と答えている。
- のび太に頼まれた際、スネ夫は「人の役に立つならノートなんていくらでも見せてあげるよ」と、かなり協力的になっていた。
- 柿久家子の番号は999-9876になっていた。また、この後のび太が読んでいた漫画の表紙にもQ太郎が描かれていた。
- のび太が帰宅後に食べたのは、ママが作った特大のチーズバーグになっている。そして食事のシーンはのび太が必死にこれを食べるというものになっていた。
- ドラえもんに水を1流し込まれたのび太は目の焦点がずれた上、少し膨れ上がっていた。
- 暗記パンを食べなおしした際、のび太は頭にハチマキを巻いていて、ママがこの場に来ていなかった。
本編終了後のショートアニメは、原作の扉絵と同じく、ドラえもんが巨大なアンキパンをのび太の口に押し込もうとしているというものだった。ただしアンキパンには何も書かれていなかった。
1992年版
- サブタイトルが「アンキパン」に変更
- 1979年版と同じく、冒頭で慌てたのび太は机の椅子には伸びっていない。一方のドラえもんものび太に慌ててないで早く勉強をすることを勧めていて、邪魔にならないように部屋から出て行った。
- のび太は原作にあった問題を答えれたが、そのくらいは分かるとまだ信じなかったため、ドラえもんは「25に何をかけたら100になるか」とも問題を出していて、のび太はちゃんと4を答えている。だがこの後アンパン味やカレーパン味のはないか聞いて、「贅沢いわないの!」と怒鳴られている。
- 算数のページが破けていたので、ドラえもんは国語のノートを覚えることを勧めたが、のび太はその授業の時居眠りをしていたため、ドラえもんは呆れ果ててしまった。
- のび太は最初、出木杉の家に向かったが、授業を聞いてれば独りでに頭に入って来るから特別にノートを取ったことはないと言われてしまったので、イライラしながらスネ夫の家に向かった。だがスネ夫の家に着くも、ジャイアンが試験勉強をしにやって来ていたため、アンキパンを横取りされると思って用件は言わず引き返した。
- しずかがのび太を笑い場面はカットされ、その代わりにのび太が、勉強前にパンでお腹をいっぱいにしておくことを言う下りが描かれている。ちなみに阿井上男さんの番号は3123-4567に、柿久家子の番号は3999-8765にそれぞれなっていた。
- 野比家の晩御飯はパパが作った特製カレーだった。
- ドラえもんはトイレから出て来たのび太に、今日のテスト範囲である「古池や」の続きには何が来るかを聞いているが、「水がないから飛び込めない」とトンチンカンな答えが返ってきた。また、大量のアンキパンはのび太がポケットから無理やり出した。
2005年版
- ドラえもんが出した扇風機には「ふきとばし扇風機」という名前が付いていた。ちなに1979年版と同じく、この後の動物ライトと共にこれらを使った際のイメージ映像が追加された。ただし扇風機に関しては1979年版が学校が壊され飛んでいくというものだったのに対し、今回は壊れることなくただ吹き飛ばされるというものだった。
- のび太に泣き付かれた際ドラえもんは「いいじゃないか、たまに0点を取るくらい」と言ったが、のび太から今日のテストも2枚とも0点だったことを聞かされた。ちなみにこれらテストは○×式の20問だったが、のび太は全て外れであり、この確立を偶然引き起こすのは100万分の1であったため、ドラえもんは天文学的な数字だと別の意味で驚いていた。
- そしてのび太も思っていた答えと逆の物書いた場合100点になることを聞かされ、「0点がなんだ!次は100点だ!」と喜んだが、これを後ろにいたママに聞かれていてお説教をされることとなった。そして途中パパが説教を中断したらと言ったがダメで、のび太は次0点を取ったらお小遣いを半分にすることを言い渡されてしまった。
- ドラえもんが出した問題は「円の中心から円の周りまでの直線は?」と「二辺の長さが等しい三角形のことを?」というものになっていて、のび太はどちらも半径、二等辺三角形と答えていた。
- 今回も1992年版と同じくスネ夫の家にはジャイアンが来ていて、ジャイアンはのび太が使おうとしたアンキパンを一枚食べてしまっている。またスネ夫はのび太にノートが汚いと言われた際「使い込んでるって言え!」と反論している。
- 原作通りしずかがのび太を笑っているが、笑い方が「フフフ」と静かなのになっていた。またこの後しずかが出した問題は「アーティチョークとは何でしょう?」と「アイーダは?」になっていて、のび太は「地中海沿岸出身のキク科の宿根草」「ベルディの四幕七番のグランドオペラ」と見事に答えている。またこの後のび太は草餅を食べているものの、これをしずかの母親が持ってくる場面は描かれていない。
- 野比家の晩御飯はパパが作った特製かつ丼で、縁起を担ぐのと、小遣いを減らされるのを可愛そうに思ったからだった。
- ドラえもんは手にやかんを持っていたが、水を飲むか勧めるだけで、のび太の口に無理やり流し込む描写はなかった。
- パパはのび太が出て来るのを我慢できず、公園のトイレに行くことにした。
2012年版
- 慌てるのび太に話しかけたところ、「落ち着けドラえもん」と言われたので、ドラえもんは「落ち着くのは君だ」と返している。またこの後のび太は椅子に乗って部屋中を走り回って最後は転倒している。
- ドラえもんはどこでもドアで学校の校庭に移動してから「ふきとばし扇風機」及び「動物ライト」を取り出して実際に使用しようとしているが、すぐにのび太が止めさせた。
- ドラえもんが出した算数の問題は「6.5×2.6」「18.6÷3」「21.55×6」になっていて、のび太は全問正解している。またのび太は1992年版の時のようにアンパン味やチョコパン味はないのか聞いていたが、ドラえもんが非常に不機嫌な顔をしたため冗談だと誤魔化した。更にこの後も1992年版と同じくのび太は出木杉の家を訪ねたが、これまた同じ理由でダメだった。
- 今回もジャイアンがスネ夫の家に試験勉強に来ていて、のび太は初めにジャイアンのノートを見せてもらったが、食いこぼしなどがひどかったため返却した。そしてスネ夫から電子ノートを貸してもらったものの、手違いで全て消去してしまい、スネ夫に殴られることとなり、スネ夫もジャイアンのノートをボロ雑巾呼ばわりした上、それの飢えにジュースをぶちまけてしまったため殴られることとなった。
- しずかがのび太に出した問題は百人一首からの問題になっている。そしてのび太は草餅を食べているものの、2005年版と同じくこれをしずかの母親が持ってくる場面は描かれていない。
- 野比家の晩御飯は2005年版と同じくかつ丼だったが、ママが作ったもので、のび太のだけは特別に大盛&エビ天付きだった。
- 満腹になったのび太は腹が出てしまっていて、のび太がアンキパンを突き返した際にはこれにドラえもんの顔が映っていた。そしてドラえもんはたくさんの腕が付いたヘルメット型の道具「好き嫌い強制ギブス」をのび太に装着させ、無理やりアンキパンを食べさせた。
- 1992年版の時のようにドラえもんはトイレから出て来たのび太に百人一首の問題を出しているが、返ってきた答えはやはりトンチンカンなものだった。
- ラストの場面にはママが映っていたが、ドラえもんとのび太のやっていることが分からず、首をかしげるばかりだった。