概要
西部戦線の最前線部隊、ガーバック小隊に配属された、オースティン帝国の新人二等衛生兵(→一等衛生兵→衛生兵長→衛生曹→軍曹→少尉→少佐)。15歳(物語開始時点)。両親は戦争に巻き込まれ死亡し、ノエルにある孤児院に引き取られた。回復魔法の素養を見出され、成人後すぐに戦争でひっ迫する故国の為に志願し衛生兵となる。戦争のストレスにより表情が乏しい。
特技は人形劇と腹話術で、口を動かさずに2つの声を同時に出して歌う絶技を持つ。(兵士でなければ、芸人として身を立てるつもりだった)
前世の記憶を持つ転生者であり、前世の性別は男。凄腕のFPSプレイヤーで、世界大会で優勝したこともあった。
TS転生ではあるが、転生によるチート能力の習得は無く、前世の知識・技量を利用したチート行為などもほとんどなく、転生した先の世界の常識と世情に飲まれ、その中で鍛錬により技量を身に着けて必死に生き延びる個人・軍人としてのキャラを確立している。
一応羞恥心こそ薄目なものの、精神はかなり女性寄り。作中では男性と結婚もしており、その後他の男性から求婚などもされるが彼への操を立て続けている。
寝ている時に近くのものに抱き着く癖があり、男性兵士に抱き着いてしまったこともある。
何度も奇跡的な生還を果たすうちに「幸運運び(ラッキーキャリー)」という噂が立ち、兵士達から拝まれたり撫でられたり握手を求められるようになる。この噂は後に士気高揚のプロパガンダに使い倒された。
ベルン・ヴァロウを生理的に毛嫌いしており、アンリ大佐が話半分で縁談を持ちかけたところ「蟻の方がまし」と言って土下座で拒否している。が、情報操作で実は彼の妹だったと偽造されてしまった。
能力
ガーバックに鍛えられた並みの兵士以上の走力と、衛生部のブラック労働に鍛えられた不眠不休で数日動ける体力を持つ。
魔法は「癒」と「盾」の2種類が使用可能。衛生兵としても優秀だが、「盾」の練度と前世でのFPSで鍛えられたエイム力により、歩兵としても十分働ける。
前世からの才能として、危険を直感的に察知することができる(FPSの世界王者になれたのもこの才能によるところが大きい)。戦争のストレスで「ゲーマー」としての2つ目の人格が発現しており、危機に陥るとこの人格に身を委ねて精神を守り、先の直感と併せて戦場を生き残る。
上記の能力からヴェルディには「生き残る天才」と称されている。
活躍
作中のネタバレが含まれます
軍に入隊後、西部戦線の最前部隊であるガーバック小隊に配属される。ガーバックにより、虐待か拷問と呼ぶべき指導を受けて、歩兵としての基礎体力、命令に対する絶対服従、盾の魔法による護身といった、戦場で生き抜く術を身につける。
シルフ攻勢により西部戦線が崩壊したのちに、衛生兵唯一の生き残りとしてマシュデール撤退戦に参加。マシュデール陥落後に味方から取り残されるが、ゴムージと共に脱出に成功する。
ウィン撤退後、ベルン・ヴァロウが戦況を五分にまでひっくり返したことで戦争は継続。軍が再編され衛生兵長に昇進した。フラメールがオースティンに宣戦布告し、後見人のアリアから亡命を提案されるが残ることを選択。その後サバトとの北部決戦にて敵が衛生本部を奇襲した際の撤退戦で、囮部隊に志願し行方不明となる。この時同じく囮部隊に志願したロドリー・ロウと結婚し、名前をトウリ・ロウと改めた。瀕死であったところをゴムージの助けでサバト連邦に逃げのびた。
サバト連邦ではゴムージの息子セドルの世話をする日々を送っていたが、革命運動の余波でゴムージは死亡し、セドルを託される。更にシルフ・ノーヴァにスパイ容疑で捕えられ、紆余曲折の末にシルフの部下として革命運動の鎮圧に協力する。結果として鎮圧は失敗し、革命勢力とオースティンが同盟を組んだことで帰国を果たす。
帰国後は軍の衛生部に復帰。サバト旧政府軍がフラメールと合流し仕掛けてきた奇襲に対して、ガヴェル輸送中隊に保護されたのちに戦闘に参加。一時的に指揮権を預かり敵エースを撃破する。
※衛生兵の指揮権預りは軍機違反だったため、レンヴェルが「直前に歩兵軍曹に配置転換されていた」ことにして揉み消した。
この功績で少尉に昇進し、遊撃中隊の指揮官に任命される。(新兵ばかりのプロパガンダ部隊兼訓練部隊であり、前線投入は避ける想定だった。)オースティン軍がフラメールの義勇兵にまさかの敗北を喫した直後、フラメール同盟国のエイリス軍2万が追撃にアルガリアを奇襲。偵察任務を受けていたトウリ遊撃中隊は遅滞戦闘を敢行し、奇跡的に撃退に成功した。
国の英雄となってしまった後は、前線から遠ざけるため少佐に昇進され、連隊の指揮を任じられる。ここから前線は膠着したが、フラメールは1年かけ前線を突破した。同時期にベルンも死去し、オースティンは完全追い込まれ、ベルンの遺策でお飾りの参謀長官に就任した。この際にベルンの妹としてイリス・ヴァロウと名前を改めた。
ウィンでの首都決戦ではフラメール軍が自爆により壊滅したが、トウリの指示を無視しオースティンが無謀な追撃をかけたところに義勇兵を率いるアルノマが現れ、敗北した。が、アルノマが無条件講和を提案しトウリがそれを受け入れたことで、終戦となった。
※無条件講和は建前で、事実上の領土割譲はしっかりと行われた。
終戦後は数年間、国内の賊討伐に従事。退役後は外交官として各地を飛び回っている。