概要
ドブのように汚い川。生活排水や雨水が細々と流れ、ゴミやヘドロがたまり、悪臭を放っている。目立った生き物はおらず、いたとしても特に汚染に強いアメリカザリガニやミズカマキリやタイコウチやタニシやコイなどに限られる。都市部の小川はドブ川と化すことが多く、蓋をされて暗渠にされてしまうことも多い。暗渠になると実質、下水道と変わらず、もはや大半の生物は生息できない。
ドブ川の水には有機物が大量に含まれており、これを餌としてプランクトンが大量発生、これらの呼吸によりドブ川の水が酸欠状態になる。上記の動物は多くが空気呼吸ができる、あるいは溶存酸素量が少なくても比較的耐えられるため、酸欠状態の水でも生息できるのだ。
ドブ川は汚水や排水が流れ込むために汚いと思われがちで、それも間違いではないものの、周囲を垂直の護岸で囲まれて日差しが差し込まなかったり、水際をコンクリートで固めるなどして、酸素を供給する水草や植物プランクトン、有機物を食って水をきれいにする二枚貝などの棲息場所を奪ってしまったという理由も大きい。ドブ川につながる湿地を再生することで、水質環境を改善する試みが各地で進められている。
沖縄県の湿地帯である漫湖に流れ込む国場川はかつてドブ川であり、漫湖自体も水質汚染が深刻で「漫湖が臭い」と度々問題になっていたが、密生しすぎたマングローブ林を伐採するなどして干潟の再生が進んだ今では美しい姿を取り戻している。