CV:濱野大輝
概要
本作の主人公で、26歳の大男。
まだ小さい頃にクレイス王国の養成所で鍛錬を積みきって尚「冒険者として有用なスキル」の一切を習得できず、スキル発現のため一人山籠りして数少ない習得スキルである「パリイ」を長年鍛えていた。
どれだけ鍛えてもスキルが発現しないため、見切りをつけて冒険者として活動すべく王国に再度足を踏み入れ、特例あるいは温情として冒険者としての最低ランクの更に下、本来は生活困窮者の救済措置として昔に設けられた、街の中の雑用しかできない「Fランク」の冒険者となる。
「街の外に出られない冒険者」としての生活を続けていた中、王女であるリーンを助けた事がきっかけでイネスと共にリーンの護衛として冒険(外交)する事になる。
人物像
生まれてから両親が無くなるまで人里離れた山奥で暮らしていたため無知で純朴。
田舎者であっても人間社会の最低限のルールは分かっているものの、俗世から長年離れて暮らしていたため王侯貴族等の高貴な社会のルールはまるで知らない。
魔物のことは知っているのにそれらと一般的な動物の区別ができず、冒険者が普段戦っている魔物のレベルとか、魔族の存在すら知らない(地の文に至っては彼のセリフだけ魔族が「ま族(テレビアニメ版ではひらがな表記のをわかりやすくか、まー族と発音・発言)」になっており、学の無さが間接的に表現されている)など、勘違いを加速させていく。勘違いしたままで致命的な事に関しては後から正しい情報を得るケースもたまにある。
ただ無知ゆえに偏見や差別意識も無い事は彼の美点であるといえる。
フォローしようのない彼の欠点の一つは、自身に対する視野狭窄だろう。彼の能力は「冒険者になるルール」からは外れている(親記事参照)だけで冒険者以外の道を征けば必ず大成すると言って良いくらい優れている(実際【隠聖】カルーはノールを王都諜報部にスカウトしようとしていた)のに、彼は冒険者になることにこだわり続けている。これは幼いころから父親に聞かされ続けた「冒険者の英雄譚」が原因。もはや呪いと言っていいだろう。
また3文字以上の人名を覚えるのが苦手なのもフォローできない。
能力
自身のスペック
「スキルを発現させるために肉体と精神を追い込むのが目的の為、養成期間である3か月を満了することを前提としてはいないほど過酷な養成訓練」を12才で六ケ所全て満了できるほど身心ともに頑強。また感覚も極めて鋭く、根本近くまで折れた剣で敵の攻撃をパリイで正確に弾き返したり、作中最速レベルの攻撃を見てから避けたり、高度な隠ぺい魔法で隠されたモノを直感で察知できる。ノールに自覚は無いが、作中での敵との打ち合いはリーン曰く「目で捉えられない」くらい速い。
その代わりスキルは初期習得できるもの各一つずつ以外発現しなかったため、ノールは冒険者としては『防ぐことしかできない【剣士】』『仲間を守れない【戦士】』『弓を持てない(握っただけで壊してしまう)【狩人】』『罠を解除できない【盗賊】』『魔術を飛ばせない【魔術師】』『仲間の怪我を癒せない【僧侶】』となり、落第の評価となる。
ノールが生家に戻ってからの十数年の鍛錬の中でスキルが成長するという現象が起き、本人に自覚はないようだが彼の習得スキルは高ランクの冒険者のそれに引けを取らないくらい強くなっているが、攻撃手段に乏しいことは変わらず、総じて持久力と耐久力に優れ火力に欠ける変則的な前衛防御役と言える。
スキル
- パリイ
本作とノールの代名詞。本来は敵の武器や物理攻撃を手持ちの武器で弾く【剣士】系防御スキル。
ノールの場合、吊るした木剣くらいの軽さのモノなら刀身に触れてなくても千本まとめて弾き飛ばせる(アニメ第9話で敵軍を無力化できたのはこの特性の為)。また、据置型の攻城兵器も『武器』と判定されるらしく弾き飛ばせる。
敵の攻撃を弾き返したり、敵の体ごと弾き飛ばすカウンター攻撃はノールにとって数少ない攻撃手段である。
- 筋力強化
身体能力を向上させる【戦士】系補助スキル。
ノールの場合も効果自体は同じだが、(ノールの肌感覚であって明言されていないものの)強化幅が経験を重ねるたびに増強されている。
- 投石
本来は物体の投擲に補正をかける【狩人】系補助スキル。
ノールの場合、補正率が極めて高く(命中率に至っては必中)、投擲物の強度と硬度も増強する。【弓聖】曰く「弓矢より強いから投石だけで十分」。物語序盤でミノタウロスのヘイトを集められたのは彼の投石が特別だったからに他ならない。
ノールは生家に居た頃から投石で鳥系の魔物(凄く速い)を投石で仕留めていたためか発現が他のスキルより早かった。
- しのび足
本来は足音や気配を消す【盗賊】系移動スキル。
ノールの場合、空気を無視する、動かさないレベルに達しており、「筋力強化」と合わせることで空気抵抗を無視した無音・気配遮断高速移動を可能とする。
- プチファイア
本来は指先にマッチレベルの火を灯す【魔術師】系スキル。
【魔聖】曰くノールは「膨大な魔力が体内で凝り固まっていて動かせない」ために"魔術を飛ばす"ことができないらしい。
その代わり、【魔聖】やリーンが長年の鍛錬の末に可能にした『多重詠唱』をプチファイアを覚えたての時点(三か月)でやってみせたり、既存の魔術に魔力を上乗せして強化する『過剰詠唱』を意識せずに出来たりと、偏りはあるものの無才というわけではない。ちなみに作中で『過剰詠唱』ができるのはノールと【魔聖】オーケンだけである。
- ローヒール
本来はかすり傷程度しか治せない【僧侶】系治癒スキル。
そもそも【僧侶】は冒険者職のなかでも特殊で、素質に加え幼少期に精霊の洗礼を受け加護を得ていないとなれない。…のだが、ノールは洗礼と加護無し、自力で癒しの奇跡を起こしている。そして自力で発動しているので、望めば気力の続く限り回復し続けられる。
また、治癒力も通常の「ローヒール」より高めなのだが、これは誤って毒キノコを食して中毒になった時に必死でローヒールを発動し続けて命をつないだ経験が鍛錬になったからと思われる(この時に毒に耐性もできた)。
戦闘では被ダメージの回復の他、限界を超えた無理な動きをしたときの負荷の軽減にも使われる。
弱点
前述の通り火力に欠ける。作中の無双ぶりに隠れがちだが、彼の火力はメインキャラクター中最低であり、彼がとどめまで担った戦闘はとても少なかったりする。
また、無知ゆえに自身だけでなく敵も過小評価して危険な目に遭いかける、戦闘経験の少なさから自身の活動限界を見誤るなど、山籠もり生活の長さの弊害も散見される。
黒い剣について
本作のキーアイテムにしてノールの相棒。
クレイス王国の国宝で古代文明の遺物であり、国上層部での通称は「壊れずの剣」。
リーンを救ったお礼に「現役を退いてもう使わない」ということでクレイス王からノールに下賜された。
いわゆる両手剣で、平たい金属の板と形容されるくらいみすぼらしくボロボロな見た目だが、途轍もなく重く、途轍もなく硬くあらゆる物質や手段で傷つかない性質を持っており、ノールは得物としてだけでなくFランク冒険者としての仕事で工具代わりにも使っている。
また魔力を一切通さない性質も持ち、ノールはこの剣でないと魔法をパリイすることができない。
ちなみに現役時のクレイス王は両手持ちでないと振れなかったが、ノールは「筋力強化」込みではあるが片手で扱える。
関連タグ
今のはメラゾーマではない、メラだ:これに等しい事を無自覚にやった為。
リック・グラディアートル:同時期にアニメ版が放送されている作品の主人公で、こちらも遅咲きデビューの冒険者で、こっちは30歳でようやくスキルが発現し、更にメチャクチャ強い先輩達に2年間地獄の修行の末にめっちゃ強くなった。また、長いこと元ギルド職員だった為にノールと違って知識も豊富な方。
初代ウルトラマン:言わずと知れた国民的大人気特撮ヒーロー。(後付け設定だが)彼もまた光線技の基礎の基礎のはずであるスペシウム光線を徹底的に鍛えに鍛え上げ、代名詞たる必殺技にまで昇華させた事があり、後に後輩にしてウルトラ兄弟の一人にも受け継がれた事がある。更にはウルトラ水流などの必殺技ですらない小技をある戦いでの総力戦の戦場が寒冷地帯なのもあってか応用し、敵の雑兵どもを足止めや転ばせたりなどに活用していた。尚、マン兄さんの場合はノールと違って初登場作品の第1話時点で技術も経験も知識もある方である。
ノールは実は『黒い剣』と並んで謎の多い存在だったりする。
まず養成所での訓練は、何かしらの有用スキルが発現するのが普通であり発現しないというのは異例にして異常なことだったりする。ここで「いくら訓練してもスキルが発現しない」を「いくら身心をいじめ抜いても本人の性質が変化しない」と言い換えてみよう。この性質、『黒い剣』にどこか似ていないだろうか?
また「精霊の加護ではなく自力で癒しの奇跡を起こせる」というのも言い換えればノール自身が精霊に近いか同等の存在であるということになる。
アニメ版では、ノールの生家の周囲に結界が張られている描写が追加されており、ノールが並の人間ではない事が強調されている。