概要
正式なタイトルは、「俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~」。著者は鍋敷。
2019年10月17日に小説家になろうで連載が開始された。翌年には書籍化及びコミカライズ化が決定。コミカライズ版のタイトルは、「俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者の夢を見る〜」と、微妙に異なる。
書籍版イラストはカワグチ氏が、コミカライズの作画はKRSG氏が担当。
2024年7月現在、小説の単行本は8巻、コミカライズは4巻まで刊行されている。
「パリィ」ではなく「パリイ(イが大文字)」なので検索やSNSなどでの書き込み時は注意されたし。
主人公ノールが「才能なし」と評され、防御技「パリイ」の修行に専念していた日々から始まり、ある日魔物に襲われた王女を助けることで、彼の運命が予想外の方向に進展していくストーリー。
とはいえ「追放もの」とはまた事情が違う「冒険者もの」なので大したスキルが無い事で「才能なし」と評した面々が酷い目に遭うお話ではない(スキルがないだけで能力のある少年と気づいて探そうとしたが見つけられなかった)。
2023年11月にOLM制作でアニメ化が決定した。2024年夏アニメとしてTOKYOMX、AT-Xに加えBS11や毎日放送にて放送されたほか、ABEMAやMBS動画イズム(スポーツニッポン系の動画配信サービス)などでの配信も実施している。オープニングテーマは、桜木舞華(鈴木杏奈)の「AMBITION」、エンディングテーマは、ウタヒメドリームオールスターズの「ノーギフテッド」。
なお、アニメ版は原作小説と同じタイトル「俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜」となっている。
登場人物
メインキャラクター
本作の主人公で、26歳の大男。
- リンネブルグ・クレイス(CV:前川涼子)
クレイス王国の王女。
【神盾】の二つ名を持つ王国戦士団副団長で、リーンの護衛を担当している。
動物や魔物と精神感応できる魔族の少年。奴隷少年兵としてクレイス王国に強力な魔物を運び込もうとしていたが、ノールによってその境遇から救われる。
クレイス王国関係者
- クレイス王(CV:山野井仁)
クレイス王国当主。根っからの冒険者気質で大らか。
政治の才に欠ける自覚があり、為政は専らレインに任せている。
- レイン(CV:寺島惇太)
クレイス王国王子でリーンの兄。冒険者気質な父や妹と異なり為政者向きの慎重な性格で、
リーンを救った男に対しても未知のS級相当の男として警戒していた。
- シグ(CV:三木眞一郎)
【剣聖】の二つ名を持つ養成所【剣士】部門の指導教官長。
- ダンダルグ(CV:三宅健太)
【盾聖】の二つ名を持つ養成所【戦士】部門の指導教官長。
- ミアンヌ(CV:豊口めぐみ)
【弓聖】の二つ名を持つ養成所【狩人】部門の指導教官長。
- カルー(CV:関俊彦)
【隠聖】の二つ名を持つ養成所【盗賊】部門の指導教官長。
- オーケン(CV:宇垣秀成)
【魔聖】の二つ名を持つ養成所【魔術師】部門の指導教官長。
- セイン(CV:羽多野渉)
【癒聖】の二つ名を持つ養成所【僧侶】部門の指導教官長。
- ギルバード(CV:武内駿輔)
【槍聖】の異名を持つクレイス王国を守護する剣士兵団の副団長。
敵
- シグルド・デリダス三世(CV:上別府仁資)
クレイス王国の東に位置する魔導皇国デリダスの皇帝。
- 【死人】のザドゥ(CV:坂泰斗)
元Sランク冒険者。常人では視認できない速度の剣撃を行うほか、ミスリルを材料に無数の銀色の十字手裏剣をスキルで精錬し、自在に操って攻撃することができる。
- 厄災の魔竜 / ララ(CV:森千晃)
デリダスによって150年ほどの眠りから叩き起こされ、クレイス王国へ送り込まれた巨大な竜。
その他
- 冒険者ギルドのマスター(CV:関口雄吾)
12歳のノールが冒険者を目指して王都にやってきた時にもギルド職員を務めていた男。十数年後、再びやってきたノールに頼み込まれ、すでに形骸化していたFランク冒険者の存在を教える。
キーワード
- 冒険者
ファンタジー作品で頻出する人材運用制度。今作では「有用なスキルを習得することで冒険者六職のうちのどれかになる」というルールであり、このルールに則るとノールはいくら強くても冒険者になることはできない。六聖のセリフなどから推測される具体的なスキルは以下の通り。
【剣士】…剣などの近接武器による攻撃系スキル
【戦士】…自分や仲間を守る防御系スキル
【狩人】…弓を用いた射撃スキル
【盗賊】…罠解除・不意打ち警戒などの支援スキル
【魔術師】…射程距離を有する攻撃魔術スキル
【僧侶】…他人の傷を癒せる奇跡スキル
- Fランク
ノールの冒険者ランクで、最早廃れていた古い制度。そしてノール自身の勘違いを助長し、街の人がノールの強さを誤解し続ける原因でもある。
本来はホームレスなどへの救済措置であり、有用スキル無しでも就くことができるが、街の外での討伐・採取の仕事を受領できない。できるのは街の中でのドブさらいなどの雑用だけ。結果、ノールが戦うことになるのは国難絡みのイベントボスばかりとなり、彼が一般的な冒険者が戦う魔物のことを知る機会は訪れず、街の人はノールが頼れる便利屋さんとしての姿しか見ることがないという状況が出来上がる。
- 養成所
冒険者になる為の訓練所。養成期間は3か月。「スキルを発現させるために肉体と精神を追い込む」のが目的の為、屈強な成人でも音を上げるほど訓練は過酷で、3か月を満了することを前提としてはいない(ここ重要)。
- 才能無しの少年
ノールのことであり、養成所では都市伝説めいて語られている。ノールは12才で全ての養成所の訓練を満了し肉体も精神も規格外に強いことを示したが、スキルは初期スキルを各職一つずつしか発現しなかった。これは異例にして異常なことであり、【魔聖】曰く「膨大な魔力が体内で凝り固まっていて動かせない」、【癒聖】曰く「精霊の力を借りるのではなく自分の力だけで最下級とはいえ奇跡を起こしている」とのことから、ノールは何らかの異常体質であると思われる。
アニメ版では「ノールの生家が結界で保護されている」描写が追加されており、彼が特殊な人間であるかあるいは特別な由来があることが分かり易く示されている。
- スキル
この世界では「スキルで攻撃する」のが常識であるようで、ノールは敵の攻撃をパリイで撃ち返したり、プチファイアを強引に巨大化してぶつけたりして凌いでいるものの戦闘の度に攻撃手段に苦労している。
後述する黒い剣をその膂力を以て叩きつけるだけでも十分な威力になりそうなものなのだが…
また、スキルを成長させることは可能だが、【魔聖】やリーンの言葉を借りると「常軌を逸した過酷な鍛錬を数十年から百年以上続ける必要がある」らしい。尚ノールは十年ちょっとで(ry。
- 黒い剣
本作のキーアイテムにしてノールの相棒。
クレイス王国の国宝で、リーンを救ったお礼に「現役を退いてもう使わない」ということでクレイス王からノールに下賜された。
平たい金属の板と形容されるくらいみすぼらしくボロボロな見た目だが、途轍もなく重く、途轍もなく硬くあらゆる物質で傷つかない性質を持ち、得物としてだけでなく、様々な用途で活用されている。古代文明の遺物であり、国上層部での通称は「壊れずの剣」。
ちなみに現役時のクレイス王は両手持ちでないと振れなかったが、ノールは「筋力強化」込みではあるが片手で扱える。