概要
現代の読者から見ればタイトルから吸血鬼伝説モチーフの作品と思われるかもしれないが、下敷きとなっているのは狼男伝説やシェイクスピアのマクベス等の方が影響が大きい。
「動物になれば人間界の規律や法律にも縛られず、自由にふるまいながら生きられる。それが可能になったらどんなにか楽しいだろうか」
というテーマを元に、普段は大人しいが怒りにかられると獣に変身して残酷な本性を露にする狼人間「バンパイヤ」一族の少年トッペイと、正真正銘の人間でありながらどんな悪事でも思うままにやってのける魔性の少年・間久部緑郎の対立と戦いを描く。
ロック・ホーム悪役デビュー作として有名である。子役時代のイメージを一新し、美形悪役としてデビューした彼は、手塚治虫も驚嘆するほどの女性人気を獲得。本来の主役であるトッペイの人気を食ってしまうほどで、以後も「間久部緑郎」名義で出演したり、悪役としての出演が多数増えるなど絶大な影響を及ぼした。
さらに、キャラクターとしてはあたりさわりのない一般人枠か、出オチ要員が常である「手塚治虫本人」が、ストーリーに大きく関わるメインキャラとして登場しているのも異例。他にも武闘派なヒゲオヤジなど、手塚スターシステム上の見どころは多い。
1968年に第二部の連載開始と合わせてドラマ化。虫プロダクションが制作し、実写・特撮・アニメの融合を試みた意欲作で、手塚治虫役は本人が務める(さすがに原作より出番は少ない)ほか、虫プロ自体が舞台になっているなど資料的な価値も高い。しかし……
- カラーフィルムの予定が急遽モノクロに変更
- スポンサー集めに難航
- 「バンパイヤの村の描写が被差別部落を連想させる」という局の意見で撮り直しに
- 脚本陣が途中で代わる
- ロック役も途中で代わる(整形したという設定)
……などゴタゴタに見舞われ、興行的には大失敗。ただでさえ順調ではなかった虫プロの経営に追い打ちをかけた。トッペイを演じた水谷豊にとっては初めて名前のある役をもらったドラマで、彼が狼に化けるシーンは今もテレビ番組などでたびたび紹介される。
第二部は掲載紙の休刊により1969年未完に終わっている。手塚本人にとっても悔やまれる打ち切りだったようで、「手塚全集の最後に、バンパイヤの完結編を書き下ろして載せたい」と希望していたが、「新宝島」が入らないと全集にならないという編集部の意見に手塚が折れ、書き下ろしの代わりに新宝島の全面書き直しが行われたという経緯があるそうだ。45年の時を経て2014年12月15日には江坂遊による第二部完結編が出版された。
あらすじ
木曽のある山奥に700年の昔から呪われた一族が隠れ住んで居た…
だが、日本に溢れる開発の波はそんな山奥にも伸び、彼らは明日にも発見されることを恐れ一族自らの手で村を灰塵に化し街に出て素性を隠し生きようとしていた。
しかしトッペイと言う一族の少年がいつの間にかいなくなっていた、時間が差し迫って居る事からやむを得ず村に火をかけ散っていく人々…
それから間もなく東京では虫プロで漫画映画を作りたいと言う少年が手塚治虫の元を訪ねていた…
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