概要
鳥山明の漫画『ドラゴンボール』シリーズに登場するキャラクター。名前の由来は「ゴボウ」の英語読み。
原作漫画で「ラディッツと孫悟空(カカロット)の父親に当たるサイヤ人」として初めてその存在が言及され、アニメ『ドラゴンボールZ』の外伝「たったひとりの最終決戦」で本人が初登場したバーダックは、後に原作漫画にも逆輸入されて登場した(フリーザの回想)。
その後、2014年に発売された鳥山の新作『銀河パトロールジャコ』の単行本に収録されたバーダックを主役としたおまけ漫画『ドラゴンボール-(マイナス) 放たれた運命の子供』では、ストーリーや衣装や性格など様々な要素が鳥山によって再考され、『たったひとりの最終決戦』とは異なっている。こちらは後に『ドラゴンボール超』の劇場版『ブロリー(BROLY)』にてアニメ化された。また、とよたろうによる漫画版『ドラゴンボール超』の『生残者グラノラ編』においても、概ねこの『ドラゴンボールマイナス』以降に再構成された設定に基づくバーダックが登場した。
本稿では『ドラゴンボールマイナス』以降のリブートされたバーダックについて解説する。
容姿
髪型や容姿、顔の傷などは『たったひとりの最終決戦』と共通しているが、旧作における最大の特徴であったトーマのバンダナは着けていない。
戦闘ジャケットはベジータやナッパなど原作に出てきたサイヤ人達と同じく、四角い肩パッドがついたウイングタイプのデザインで、黄土色のものを着用している。ブーツはベジータのような白色になっている。腕には『たったひとりの最終決戦』と同様にリストバンドを付けているが、こちらの配色は青色になっている。
また、フリーザ軍に盗聴される恐れがあるため、スカウターは戦闘時以外は常に外していた。
性格
性格はサイヤ人の例に漏れず好戦的で残忍ではあるが、冷血で単純な思考の他のサイヤ人に比べ、冷静な判断力と僅かな人間性を持ち合わせている。またサイヤ人にしては珍しく仲間を助ける思いやりを持っており、そのため一部の下級戦士達から強く慕われている。悟空や悟飯らの優しさや仲間想いな部分もこの辺りから来ているのもかも知れない。
特に同じチームに所属していた女サイヤ人・ギネの危機を何度も救っており、その過程で2人の間には特別な感情が生まれ、後に結婚する。通常サイヤ人には恋愛や結婚という概念はあまりなく、ベジータ王族以外は血のつながりにこだわりがないとの事だが、バーダックとギネは繁殖目的以外でも絆で結ばれている特殊な例である。
旧作では次男カカロットに対する情を持ち合わせておらず、長男ラディッツに至っては言及すらしていなかったが、こちらではカカロットの生い先を心配しており、ラディッツについても気にかけていた。
このような性格になった理由としては『ドラゴンボールマイナス』では「ギネの甘ったるい病気が移った」、『ブロリー』では「いつも戦いの中にいて気まぐれで何かを救いたくなった」と本人は語っている。
ただ、やはりサイヤ人であるため「家族」という概念が薄く、今まで家族4人が一堂に揃ったことは一度もなく、またどこかに存在しているであろう自身の兄弟についてもよく分かっておらず、興味すらないらしい。
戦闘力
鳥山へのインタビュー記事では、サイヤ人は持って生まれた潜在的な戦闘力で階級が決められ、バーダックは下級戦士としては上位にいるが中級戦士にはなれていないとされている。
また今後、再登場するかについては「バーダックはとっくに死んでいるので活躍は過去話でしか見られないでしょう。生き返っても戦闘力が足りないのでちょっと難しい」と語っている。
活躍
『ドラゴンボール-(マイナス)放たれた運命の子供』
仲間のサイヤ人「リーク」と2人でとある惑星の侵略活動を行っている最中、フリーザ軍から召集命令が下されすぐに惑星ベジータへ帰還した。しかし、この召集命令の裏に何かあると感じ取ったバーダックは、フリーザ軍が超サイヤ人の情報を探っていた事を知るとそれを確信する。
そして妻であるギネに相談し、1人用ポッドを使い赤ん坊を辺境の惑星に送り込む『飛ばし子』という手法でカカロットを惑星ベジータから脱出させようと考え、その晩1人用ポッドを盗んでくると行先を地球に指定し、満月を見ないようカカロットに伝えギネと共に出発を見送った。
その後、飛ばされたカカロットを追い銀河パトロールからジャコが地球へと出動し、それから暫く経ってから惑星ベジータはフリーザの手によって消滅させられたのであった。
劇場版『ドラゴンボール超 ブロリー(BROLY)』
基本的には『ドラゴンボールマイナス』と内容は変わりないが、一部の台詞や描写が追加、変更されている。
特に大きな追加シーンは『ドラゴンボールマイナス』では描かれていなかったフリーザへの反抗が描かれている点。その内容はたった一人でフリーザ軍に立ち向かい、成層圏にてフリーザ軍兵士に取り囲まれる中、フリーザのエネルギー弾に抵抗するという『たったひとりの最終決戦』を連想させるものであった。
『たったひとりの最終決戦』とは異なり「フリーザが放ったエネルギー弾をバーダックがエネルギー波で押し返そうとする」という図になっている。しかし押し負けてしまいエネルギー弾に呑み込まれ散っていった。
戦闘ジャケットは破損部位が『たったひとりの最終決戦』とほぼ同じであり、バンダナを付けていない点と右肩に残っている肩パッドを除けばパッと見では違いが分からない。
ただ原作での登場シーンは『たったひとりの最終決戦』の時のバンダナを付け肩パッド無しの戦闘服を着用しており、本来このシーンは上記の『たったひとりの最終決戦』を見て気に入り、入れた要素であった為、こうして異なる形となってしまった。
漫画版『ドラゴンボール超』・『生残者グラノラ編』
かつてサイヤ人によって滅ぼされたシリアル人の生き残りグラノラとの闘いを描いた物語。シリアル星を襲ったサイヤ人の一人として登場していたが、どうやら彼の活躍はそれだけではなく……?
シリアル人とナメック星人が共存するシリアル星に、彼は数名のサイヤ人たちと襲来。
到着するや否や満月の影響で大猿へと姿を変え、彼らを攻撃。
フリーザ軍の兵士も加わり、抵抗するシリアル人たちや逃げ惑うナメック星人たちを蹂躙する。
バーダックは塔へ登り辺りを見渡すと、遠方へと走るシリアル人の子どもを発見。彼を追いかけ、逃げ込んだ建物の天井を破り中を覗く。
そこにはそのシリアル人の子どもと母親。
満月が破壊され、大猿から元に戻るバーダックは、母親からの狙撃で受けたかすり傷など気に求めず、ただ立ち尽くす。
自身に怯え気を失った息子を必死に守る母親。彼はその親子の姿を、ある人物を重ねていた。
それは、まだ生まれて間もない息子カカロットと、それに寄り添う妻ギネ。
遠征から帰還したバーダックは、出迎えるギネから息子の誕生を聞かされる。
保育器に入っていた息子を見たバーダックは、無垢な赤ん坊に目を奪われる。
純粋な生命に何かを感じる彼は、まだ決まっていなかった彼にカカロットと名をつける。
そして、カカロットに寄り添い愛でるギネを見つめていた。
バーダックは、シリアル人の子どもグラノラを抱え、母親のミューズリとともに街から離れた所に建つ家へ侵入。
そこで、ナメック星人のモナイトに不意打ちを喰らうも、難なく受け止める。戦闘力を変化させる種族に感心を持ちつつ、グラノラ親子を彼に任せ立ち去ろうとする。
すると、その外でサイヤ人たちの進軍を眺めるエレクらヒータ軍を発見。
フリーザ軍と共謀し、シリアル星襲撃を企てた彼らは、フリーザを騙し、不当に利益を得ようしていた。
さらに利用されているサイヤ人を嘲笑する彼ら。怒りの感情を抑えやり過ごそうとするも、目を覚ました少年グラノラは、自分を襲ったサイヤ人であるバーダックを見ると、取り乱し大声をあげてしまう。
モナイトの術により再び眠りにつくも、エレクらはこちらへと向かっている。
バーダックは、咄嗟にモナイトのローブを借り顔を隠す。
そして、今にもモナイトとグラノラ親子を殺そうとしているように装い、エレクらを退けようとする。
しかしエレクは引き下がるどころか、グラノラたちにとどめを刺すよう要求してくる。
戸惑うバーダックは、ミューズリから受けた自分の傷を直したモナイトの回復能力のことを思いだし、まだ利用価値があることを述べる。
途端、ミューズリが撃ち抜かれる。撃ったのはエレクが持つ銃。
エレクは、利用価値のあるナメック星人以外は生かしておく理由が無い為、残りを殺すよう告げる。
予想だにしないエレクの行動に反応が遅れたバーダックは、怒りに震え、エレクを攻撃。
ガスによって防がれるが、グラノラたちを連れその場を立ち去る。
その後をガスが追う。
ガスと激戦を繰り広げるバーダック。
ドラゴンボールで惑星ベジータへと帰還させようとするモナイトの助力もはね除け、強者との戦いを楽しむバーダック。それに苛立ち本能を解放し始めるガス。
苦戦を強いられ、尻尾までちぎられ大猿すら封じられてしまう。
さらにとどめを刺される直前でモナイトに庇われ、2人共々吹き飛ばされる。
しかしバーダックの勢いは止まらない。勝利への覚悟、それ以外の思考を放棄した彼のサイヤ人としての力は、窮地に立たされる度に強くなっていく。
そしてバーダックは、本能を全解放したガスを下したのである。
力尽きたバーダックは、様子を見にやってきたエレクに意味深な言葉を聞いた直後、光線銃で撃ち抜かれ崖から落下。
追撃されるも急所は外しており、駆け付けたモナイトに救出される。
この出来事はバーダックとガスしか知り得ないものであったが、彼のスカウターには一連の事柄が収録されている。
ゲーム作品での扱い
『ドラゴンボールマイナス』及び『ドラゴンボール超』版のバーダックは登場したのが比較的最近ということもあって、今のところ参戦しているのは『スーパードラゴンボールヒーローズ』とドッカンバトルのみである(「バーダック:BR」名義)。ただし、『ドラゴンボールZENKAIバトル』では、プレイアブルキャラクターのバーダックに、この時のコスチュームを着用させることが可能。
- ドラゴンボールヒーローズシリーズ
従来の『ドラゴンボールZ』に準拠したバーダックとは別個のキャラクターとして、バーダック:BRとして登場している。
必殺技はバーダック:ゼノの流用技『リベリオンファング』。
今までのSparkingシリーズとは異なり技や格好なども超基準のバーダックとなっており、従来のスーパーサイヤ人の形態などは存在しない。ただし、Zの衣装も用意されている。
余談
性格設定や人間性等が過去作と一部変更されている事からこのタグが使われることがある。公式的にはどちらも『バーダック』であるのでそこまで使用はされていない。
ただ近年のメディア作品ではこちらの格好に統一されることが増えてきた。特に前述の「Sparking!ZERO」やドラゴンボールDAIMAなど。