概要
偉大なる航路(グランドライン)のある海域に位置する島の一つ。原住民はいないと思われるが、この島の唯一の案内人かつ自称「森の勇者」であるヘラクレス(ン)が暮らしている。
劇中ではこの島は「海に咲く一輪の花」と形容されていた…というかこの島は島そのものがバカでかい花なのである(つまり、厳密には島ではないと思われることから、記録指針(ログポース)に反応するのかは不明。ちなみに、「ボーイン列島」はあくまでこれを「島」とみなした際の通称のようなもので、植物のちゃんとした学名は、食肉植物「ストマックバロン」である(以下、便宜上ボーイン列島を「島」として説明する)。
後述するがこの島は、シャボンディ諸島よりバーソロミュー・くまに飛ばされてしまったウソップと後に修行の先生的存在となったヘラクレスンの出会いの場となる。
この島の特徴として、島全体が森に囲まれており、島全体そこら中から甘い匂いを絶えず漂わせている。これに引き寄せられるように巨大な昆虫や鳥達、果ては海カバのような海獣や海王類ですら魅惑的な匂いで島へ誘い込む。
また、この島には独特な生態系が発達しており、巨大かつ丈夫な甲殻をその身に蓄えた昆虫はもちろん、食「人」植物や見たことのない、栄養豊富な果実や食物、そして後に新世界編のウソップの主力となる「ポップグリーン(→各種「緑星」)」などがそこには存在している。当然、先述したような、島の匂いに引き寄せられた動物各種は、特にこの島の食物を目当てにして奥へ奥へと進んでいくのだが…
この島は「侵入したものには手出しをしない」のだが、それらがいざ出ようとすると「森の外へ出ようとするほどに強い生物たちが道を塞いで侵入したものを再び森の奥へ追いやる」という構造をしている。…ここまで書くとお察しかもしれないが、この島は『食肉植物』の学名よろしく、定期的に、島の花びらのような構造が閉じることによって、島の中心に位置する巨大な口のような構造で島全体が食事をする。つまり、この匂いに誘われてきた動物たちはたちまちこの島のエサとなってしまうのである。
なお、この島に存在する森は、所持しているものだけでなく命も落としてしまう可能性が極めて高いことから「おいはぎの森『グリンストン』」と作中では呼ばれている。また、この森は、そこに存在する食物の特性上「暴食の森」とも度々言われる。
登場
初登場は巻五十四第524話”もう誰にも止められない”からであり、シャボンディ諸島よりバーソロミュー・くまに飛ばされてしまったウソップが降り立った地として登場、ヘラクレスンとの出会いもそこで描かれ、ウソップはこの島もといおいはぎの森「グリンストン」で注意すべきことをヘラクレスンから学んでいた。
次の登場は巻五十六第550話”海軍本部”と第551話”四皇”白ひげ””の扉絵、「短期集中連載第十四弾 ウソップの一人じゃ死ぬ病」であり、登場時間こそ短かったが、この島に存在する栄養豊富な食物にフォーカスして説明が為されている。ちなみに、新世界編で登場するまでのウソップが激太りしていたのはこの島での暴飲暴食が原因となっている。
その次の登場は巻六十第591話”それでいいのか”であり、よりこの島に対する詳しい説明と、エースの死を知り、ルフィのことを心配してヤケクソになっているウソップの心理状態が描かれている。その後第594話”メッセージ”にて、ルフィが提示したメッセージの意味を悟り涙するウソップの1コマを経由。
最後に登場したのが巻六十一第596話"SPECTRUM"であり、そこでウソップはヘラクレスンに、「自分は強くなりたい」と意思表示をした後に、この島に生息している「ポップグリーン」を武器として扱うためのノウハウをヘラクレスンから教わっている。
なお、これ以降はこの島からウソップは旅立ち、また、ヘラクレスン自身も2年後のシャボンディ諸島でウソップ含めた、麦わらの一味を助けてからはこの島には帰っていない様子なので島に対する描写は為されていない(まあこの島そもそも留まるだけ危ないし…)。
余談
- 名前の由来
「ボーイン」列島の「ボーイン」はおそらく「暴飲暴食」の「暴飲」が由来となっている。ウソップが激太りしてしまったことや、この島に生息する生物たちの肥立ちから見受けられるように軒並み生物が(必要以上に)育ってしまうほど食べることや、島そのものが一度に大量の食事をすることからもふさわしいネーミングであると思われる。ちなみに、学名の「ストマックバロン」だが、「ストマック:stomach」は英語で「胃」のことを、「バロン:baron」は英語で、爵位の一つである「男爵」を指していると思われる。この島が、高級かつ豪勢な食事を楽しむ貴族にでも見えたのだろうか?
- ポップグリーンについて
ポップグリーンは今(2年後時点)でもウソップの主力の武器として役に立っているが、元はボーイン列島にしか存在していなかったはずなのに彼はその補充をどうしているのだろうか?
実はサウザンドサニー号には「ウソップガーデン」という、ポップグリーンを育てるための花壇がちゃんと用意してあり、ウソップ本人によって手塩に育てられている。ちなみに、映画『ONE PIECE FILM Z』では、その花壇に対してウソップが駆虫薬を吹き付けている様子が確認できる。
- 現実では
現実世界にはさすがに食「人」植物はまだ発見されていないであろうが、独特な香りで餌となる虫をおびき寄せ、捕獲して養分にしてしまう「食虫植物」は存在する。代表的なものはハエトリソウ、ウツボカズラ、ラフレシアなどが該当している。特に、この島が巨大な花である以上、ラフレシアはモチーフの主として色濃く影響されているだろう。
- ヘラクレスンは…
実はヘラクレスンの元々の身分は「植物学者」であり、この島全体が食肉植物であることに気付いたのも、ポップグリーンを武器として活用し始めたのも彼である。ちなみに、彼がここに降り立ったときは他の植物学者の仲間たちが複数人いたが、翌年には彼1人となってしまっているため、おそらくこの島か食人植物に食べられたり、昆虫に殺されてしまったりしたものと思われる。
- やはりさすがと言うべきか…
実はこの島の学名は、ONEPIECE公式のクイズ大会である「ナレッジキング」第1回のエクストラステージの問題として出題されたことがある。「ボーイン列島」という、比較的日本人には名付け方がわかりやすい名前は頭に入っているものの、「学名」まで頭に入っていた人はかなり少なかったのではなかろうか?(ちなみに、記事作成者は覚えていなかった…)