概要
1947年に創業者がフェライト磁石を用いた小型モーターを製造・販売したことから始まった。
小型・高性能で、さらに「ゼンマイ切れを気にする心配がない」ということで、模型・おもちゃの動力を瞬く間にゼンマイから電動のモーターに置き換えてしまったと言われている。
現在でも模型のモーターのメーカーとして馴染み深いメーカーである。
模型だけじゃない
意外かも知れないが、模型用だけでなく産業用の小型モーターも手がけている。
というより、「小型の直流モーター」の分野では文字通り無双しまくっている企業である。
マブチモーターが制作したモーターのサイズが国際規格となった例も多い。
自動車のパワーウインドウやワイパーやドアミラー駆動用モーターも、
WiiUやPS3やBDレコーダーのBDドライブのモーターも、
肩たたきマシーンや小型ドライヤーのモーターも、
工場で使われているマニピュレーター(ロボットアーム)の駆動用モーターも、
多くがマブチモーターの製品(であろう)。
模型メーカーとの関係
マブチモーターと切っても切れない関係なのが田宮模型をはじめとする模型メーカーやおもちゃメーカー。
スロットカー(給電用のレールから電力を供給し、溝(スロット)のガイドでコースを走る競技用模型自動車)用に超高性能モーターを生産し、世界に売ったのがマブチであった。このFTシリーズの上位モデルは、後のミニ四駆用のFA-130系ライトチューンとは異なり、ボールベアリングにカーボンブラシというガチ仕様である(高価でもあったが)。
その後模型メーカー各社が、車や戦車などのいわゆるモーターライズモデルや、ラジコン、タミヤはミニ四駆などにもマブチのモーターを採用し、「模型のモーター」としてマブチの名を世界に知らしめたため、模型メーカーとマブチは切っても切れない関係にある。
ラジコン用などではラジコン(含むパーツ)メーカーブランドを付けているチューニングモーターなどもある。そんなうちのひとつ、タミヤのテクニゴールドことRX-540VZの、RCカーグランプリなどで流れたTVCMは、ナレーションに声優の古谷徹を起用したカーグラフィックTVのオマージュであり、印象に残っている方も多いだろう。
有名な水中モーターも、現在タミヤが金型を引き継いでいる(タミヤはスケールモデルだけでなく、モーターを利用する「楽しい工作シリーズ」なども積極的に展開している為)。実は昔は飛行機用プロペラが付く「空中モーター」もあった。
また、製品だけでなく学校の職業体験などにも協力している。
マブチモーター社長宅殺人放火事件
マブチモーターと言えば、この残虐な事件を思い出す人も多いはずである。
事件は2002年8月5日、松戸市内にある馬渕隆一社長(当時)の自宅で発生した。
当時家にいた社長の妻と長女が殺害され、966万円相当の貴金属製品を強奪、そしてガソリンとエンジンオイルの混合燃料を撒いて自宅に放火し半焼させた。
家にいなかった社長は事件に巻き込まれなかったが、多くのものを失うこととなった。
この時期と言えば第二次ミニ四駆ブーム終焉間もない頃で、当時ミニ四駆にハマっていた世代はもちろんのこと同モーターが使われているラジコンやプラモデル愛好家にもこのニュースは大きなショックを与えた。
犯人を炙り出すのにも苦労し、3年後の2005年1月18日になってようやく特定され、二人の男が逮捕された。またこの二名は前科持ちで服役中に知り合った関係で、この事件の後にも強盗殺害事件を繰り返していた重罪犯であることが判明しており、どちらも死刑判決を受けている(そのうち片方は死刑執行前の2017年9月に食道がんで病死)。
犯人の動機は「資産家ならば誰でもよかった」というもので、後に起こした事件や馬渕社長は他人に恨まれるような人柄ではないという関係者の証言からも事実とみてよいだろう。