概要
ファミ通ブロスにて連載。単行本は全5巻。現在はアンソロジーエピソード等が収録された新装版が上下巻で発売されている。
「エリーのアトリエ」において『錬金術の店を開く』というエンドを迎えたところに、折よく(?)マルローネがザールブルグを訪れ、話の流れと酒の勢いで2人で店を共同経営することとなる……というところから始まる、完全オリジナルのストーリー。
ベースはGB版「マリーのアトリエ」「エリーのアトリエ」となっており、ゲームに登場する二人の妖精さんのほか、ゲームキャラクターも登場する。
なお越智善彦は本作には非常に強い思い入れがあるらしく、連載が終了した後も同人誌として続きが描かれており、基本的に夏コミや冬コミ(ときどき春コミ)で頒布されている。
現在はエンターブレインより「マリーとエリーのアトリエ セカンド・シーズン」として同人発表作(+アンソロジー掲載作品)が商業ベースにまとめられて、1~2年に1冊のペースで出版されている。2018年2月現在で第8巻まで発売中。
この第8巻あとがきにて作者が網膜色素変性症という目の病気を発症し、徐々に視力が低下してることを明かした。
登場人物
・マリー
主人公の一人。長らく一人旅をしていたが、久しぶりにザールブルグへ帰還。その際にかつて自分が救った少女エリーと恩師イングリドに再会し、紆余曲折を経てエリーと共に二人の妖精さんに錬金術を教えながら工房を開くこととなる。
ファーレン復活騒動の終息後、イングリドからアカデミー教員になってほしいと頼まれそれを承諾。現在は「生命」科目の教員としてアカデミーで教鞭をとっている(ちなみに「教師になる」というEDが「マリーのアトリエ」に存在している)。前教科担当だったヘルミーナから彼女の研究成果を託されており、最近では口癖も似てくるなど、徐々にヘルミーナの影響が見え始めている。
よく「爆弾系のアイテム作りが得意」とされているが、今作の彼女は「生きてる系」アイテムを作ることが多い。そしてよく飲んでいる。あとアラサー(後に三十路突入)。いやまあ「マリーのアトリエ」から出てる人はだいたいそうなんだけど。
・エリー
主人公の一人。自身を救ってくれた錬金術士の女性・マリーに憧れて自身もザールブルグアカデミーに入学を決意、運良く補欠合格となり、4年間勉学に励んだ末、無事アカデミーを卒業する。マイスターランクへ進むことも可能だったが町で新しい工房を開こうと考えていたのでそれを辞退する。店舗兼住居を探していたところ恩人マリーと再会し、紆余曲折を経て二人の妖精さんに錬金術を教えながら、工房を営むこととなった。
現在はマリーがアカデミー教員となったため、パセック&プルシャと共に工房を切り盛りしている。
妖精の森に住んでいた妖精さん。ランクは一番下の黒い服。メイン画像でマリーの肩にいる方がパセック、エリーに抱えられてる方がプルシャ。プルシャは女の子のような外見だが、一人称は「ぼく」である(パセックはカタカナで「ボク」)。
能力的にはパセックがエリーに、プルシャがマリーに似ているところがあり、マリーが教師になってからはもっぱらパセックが工房でエリーの手伝いを、プルシャが採取に出ることが多い(しかも質の良いものを見つける目利きの持ち主)。
現在は二人ともエリキシル剤まで作れるようになるなどすっかり一人前の錬金術士に成長し、プルシャは更にキリーに剣術を習って二刀流を会得、「ツインブレードのプルシャ」の異名まで持つようになった。
アカデミーで教員をしているマリー達の恩師。成績優秀だったエリーには優しいが、卒業に9年もかかったマリーには少々手厳しい。しかしマリーの才能には一目置いており、物語開始時はマリーに教壇に立って欲しいと願っていた。度々マリー達の相談に乗ってくれる。
その後ヘルミーナ先生が南方の学校に行くこととなり教師に欠員が出たため、マリーに教壇に立ってくれないかと頼み、マリーもその頼みを引き受けた。
「セカンドシーズン」では引退したドルニエ校長の後を継ぎ、アカデミーの校長になっている。それに伴い、連載時では若々しかった容貌も歳相応に描かれている。
イングリドの幼馴染で、アイゼルの恩師。本気と冗談の境目がわからない発言をすることが多く少々不気味な雰囲気の先生なので、ミリィからは「魔女みたい」と言われていた。アカデミーで教鞭をとっていたが、南方の学校(描写からして恐らくアニスの母校)に転勤となり、ザールブルグを離れる。
彼女の欠員を補う形でマリーがアカデミーの教壇に立つこととなり、自身の研究成果とチョーカーをマリーに託した。
南方の学校ではミリィが作り出した生物「ヂラアス」の再現を試みているがその進捗は一進一退といったところ。転勤はしつつもザールブルグアカデミーに用がある時は大抵ヘルミーナが出向くほか、ヂラアス再現の進捗具合の描写があるため、登場頻度は結構多い。
また研究成果を託したマリーや弟子のアイゼルに彼女の口癖が出てくるようになっており、二人からは「魔女の呪い」と嘆かれている。
アカデミーのマイスターランクに在籍する青年で、エリー、アイゼルの同級生。現在はクライスの助手として薬学に関する錬金術を学んでいる。
商家ワイマール家の息女で、エリー、ノルディスの同級生。ただし先生はヘルミーナ。現在はエリーと仲が良く、度々エリー達の工房に遊びに来ている。
担当科目が「生命」と不気味路線なヘルミーナ先生の指導についてこられただけあって、肝の据わったお嬢さん。
徐々に商人根性も芽生えてきており、エリー曰く「マリーに似てきた」らしい。現在はマイスターランクを卒業し、近くの森付近の土地を使って農場を経営するようになった。ほかにも様々な事業を興すことに積極的で、「空を飛ぶほうき」を使った遠方への配達業が確立できないかと試行錯誤中である。
なお彼女は「ヴィオラートのアトリエ」にも登場しているが、本作はヴィオラートには繋がらないストーリーである(越智善彦自身ヴィオラートのコミックを描いているが、それはそれ・これはこれ)。
ただしグラムナートへは父の仕事で訪れたことがある。
マリーの同級生で、学年1位の座にいた秀才。マリーの2歳年下になる。学生当時はマリーとは犬猿の仲だったが、内心マリーに想いを寄せている。が、素直になれないツンデレ青年。
マリーの方も自分の恋愛には殆ど興味が薄いという困難な道のりである。
現在はアカデミー教師として後進の育成に力を注いでいる。後にマリーも教壇に立つこととなったが昔ほど険悪なムードにはなっておらず、良き同僚といった間柄である。
マリーが学生時代に知り合った冒険者の一人で、南国出身の女性。
マリーがザールブルグから旅立ったあと彼女もまたザールブルグを離れ、エリーが学生の時はカスターニェで活動していた。その後マリーがザールブルグに帰っていると知って再びザールブルグを訪れ、以降はザールブルグとカスターニェを行き来しつつ時々マリー達の手助けをしていたが、アイゼルが経営する農場の警備を増員することになり、キリーの誘いで警備メンバーとして雇用されザールブルグに腰を落ち着けることとなった。
のんびりとした雰囲気と裏腹に、マリーと共にヴィラント山の火竜「フラン・プファイル」や「魔王ファーレン」を倒した実力者でもある。
マリーが学生時代の頃に親しくなった冒険者の女性。赤い髪から「紅バラのキリー」と呼ばれていた。
その正体は人間と魔人のハーフで、父親は当時エアフォルクの塔を拠点にしていた「魔王ファーレン」(PS版「マリー」のボスキャラの一人)。
マリーに自身の出自を明かした後ザールブルグを去り、エアフォルクの塔にあるゲートを通って魔界へ渡っていた。が、魔界の騒乱に巻き込まれて(恐らく王権争いと思われる)人間界へ逃亡、シュトラーフェに追われていたのを丁度採取に来ていたエリー達と出くわし、彼女らに助けられる。
その後マリー達と暮らす事となり、ファーレン復活騒動が終息した現在はアイゼルに雇われ、彼女の所有地の警備をしている。
マリーが学生時代に親しくなった冒険者で槍を使う。大柄な体躯と気さくな人柄の男性。昔は騎士団に所属していた。
酒場「飛翔亭」の看板娘・フレアに長年想いを寄せていて、第1巻で「うちの娘と一緒になるなら利き酒ができるようのならんとな」と彼女の父ディオに認められたらしく、第3巻以降は冒険者を引退し酒場の親父としてカウンターに立つようになった。フレアからは「ハレッシュ」と呼ばれ、彼女の叔父であるクーゲルを「叔父さん」と呼んでいたので、第2巻と第3巻の間に結婚したと思われる。
マリーが学生時代に捕まえた怪盗「デア・ヒメル」を名乗っていた冒険者の女性。
遠方からの荷馬車を襲っていた盗賊「シュワルデアヒメル」のやり方に怒っており、マリーを「やっつけに行こう」とニセモノ退治に勧誘、同じく名前を使われたシュワルベも参戦することとなり、無事盗賊退治を達成する。
その後シュワルベと共にヴィラント山近くに湧き出た温泉を使い温泉宿を経営するようになった。マリー達はここの常連となっている。
シュワルベのことを「うちの人」と呼ぶようになった辺り……?
マリーが学生時代に捕まえた「シュワルベ盗賊団」の団長その人。捕まったあとは足を洗って冒険者として暮らしていた。
仕事中に荷馬車を襲う盗賊「シュワルデアヒメル」の噂を聞き、ナタリエと同じようにマリーに相談、本物も手を組んで盗賊事件を解決する。その後ナタリエと共にヴィラント山近くに湧き出た温泉を使って温泉宿を開業。後にここを中心としてふもとに温泉町が出来上がり、町の自警団の団長となる。
良くも悪くも実績があるため、騎士団からは危険視されていた。
港町カスターニェで漁師をしている女性で、エリーの友人。さっぱりとした姐御肌な性格。
冒険者としても高い腕前を持っており、度々エリー達の元に遊びに来る。エリー、ダグラスと共に海竜「フラウ・シュトライト」を退治している。
ふとしたことがきっかけでウーナと出会い、同時に彼女の正体も知るが、特にこれと言って気にせずに良き友人関係を築いている。
シグザール王国の聖騎士団に所属する男性。北国・カリエル出身。エリーとは学生時代からの友人(と言うよりはほぼ恋仲に近い?)。ちなみにエリーと共に海竜「フラウ・シュトライト」を退治したことがある。
度々エリーの元に相談などをもちかけている。現在は分隊長を務めた後、本隊配属まで昇格している。
なお「責任ある立場になったから」という理由で、ゲーム本編よりもだいぶ落ち着いた性格として描かれている。
シグザール王国・聖騎士団団長を務める男性。マリー、エリーとは学生時代から交流がある。
ヴォルクとは共に王国に仕えた騎士という点と、並々ならぬ実力を持っていると悟った者同士で馬が合う。
・シア
マリーの幼馴染。エリーが学生の時に結婚、その後子供が生まれ一児の母となった。
マリー達が住んでいる家は彼女の実家が貸し出している物件で「シアの友人が借りるから」と実家から管理を任されたため、二人にとっては大家となる。
マリー達の隣(二人が学生時代に住んでた工房)に引っ越してきた、そばかす眼鏡の少女。愛称は「ミリィ」。ゲームに同名キャラが登場する。
遠方からのアカデミー留学生で、マリー達の後輩となる。
現在は成績が上がってマイスターランクへ進級。成績は上から5番目という優秀さである。
凛々しいキリーに憧れているが、キリーの方はミリィを苦手としている(嫌っているわけではなく、どう対応すればいいかわからないため)。
へーベル湖に放流した謎の生物(ヂラアスと命名した)観察を趣味としている。
第6巻で実家は山師(宝石や鉱石、鉱脈などを探す職業)をしていて、結構なお嬢様であることが判明、続く第7巻では身内の男性が登場した。
ゲームに出てくる同名キャラは成績が芳しくないようで、エリー版では留年していると胸を張っていた。
・ヴォルク
キリーを追って魔界からやってきた黒い鎧を身につけた騎士。元ネタはGB版「マリー」に登場する「黒騎士ジン」と思われる(なお登場当初は単に『黒騎士』)。
ファーレンの国の騎士団にいた過去があり、キリーとも長い付き合い。
またキリーに想いを寄せており、彼女の方もまんざらではないようで(騒動終息時に「あまり待たせないでよ」とまで言われたほど)、ファーレン騒動が治まった現在はキリーやシュトラーフェと共にアイゼルに雇われて人間界に留まっている(帰る気はないらしい)。
エンデルクとは共に王宮仕えと只ならぬ実力を持っていることを悟った者同士で、馬が合う。
・ウーナ
倒された魔王ファーレンを復活させ、魔界の覇権を握ろうとしたエルフの女性。GB版「エリー」に同名キャラが登場している。
魔人の中で強く生きようとする、魔界ではマイノリティなエルフ。ファーレン復活も地位獲得の手段にすぎなかった。だが人間界では魔力が低下してしまうことがアダとなって制御不能に陥り、マリーとヴォルクの手を借りて暴走を食い止める。
その後マリーの「人間界で修行して魔力が強くなれば、魔界に帰ったらもっと強くなっているのでは」という一言で、人間界を旅するようになった。
現在は良く当たる占い師としてみなしごミゼットと共にボルトの厚意で宿屋「船主像」に居候中。また地元民であるユーリカとも仲良くなった。
ヴォルク、ウーナと共にキリーを追いかけてきた魔界の住人。GB版「エリー」に同名キャラが登場している。
縦縞模様のある大きな犬のような姿と、額に縦縞のタトゥーをした男性の姿を取ることができる。愛称は「たてじまさん」。
キリーの追撃中に採取に来ていたエリー達と出くわし、返り討ちにあってしまう。
その後ザールブルグを訪れキリーと会うが、フローベル教会のミルカッセが気になっており一時休戦とし、そのまま冒険者として過ごす事となった。
ファーレン復活騒動の終息後はキリー、ヴォルクと共に冒険者としてアイゼルが経営する農場の警備員に雇用される。休日には時々フローベル教会前の掃き掃除などを手伝っている。